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孫正義も唸った!「論理」と「感情」を操り、人に意思決定させるフレームワークとは?

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〜飛び込み営業や孫 正義さんのプレゼン担当を経て、現在はプレゼン講師・書道家である前田 鎌利さんの、「決断させる伝え方」の秘密に迫る〜

営業、コンペ、交渉、会議、資金調達、社内調整…。ビジネスシーンでは、「人に意思決定してもらうスキル」が重要だ。

ソフトバンクグループ株式会社(以下ソフトバンク)で孫 正義さんのプレゼン資料作成を担当していた、前田 鎌利さん。

前田さんは現在、書道家という肩書きで、一般社団法人 継未の代表理事として書道塾を運営する一方、株式会社 固の代表取締役として様々な企業でプレゼン講師を行う「伝え方のプロフェッショナル」でもある。彼の著書である「社内プレゼンの資料作成術」「社外プレゼンの資料作成術」は、合計で約10万部を売り上げている。

孫 正義さんに「脳がちぎれるほど考えろ、と言われながら鍛えられた」と語る前田さんに、「人に意思決定してもらうスキル」について、詳しくお伺いした。

▼意思決定してもらうためのプレゼンフレームワーク

フレームワーク

伝える技術を買われ、孫正義のプレゼン作りを担当

私はキャリアを通じて「人に物事を伝え意思決定してもらう」という経験を一貫して積んできました。

一般社団法人 継未の前田 鎌利さん

2013年まではソフトバンクで働いており、いくつもの業務を兼務する傍ら、孫さんのプレゼン資料の作成も行っていました。例えば、5,000人の社員に対して、毎年孫さんがビジョンの話をするために使う100枚程度のスライドや、新卒ライブと言われる学生向けのプレゼンなどですね。

この資料では会社のことを多くの人に伝えなければならないため、孫さんに憑依したつもりで「なぜソフトバンクを始めたのか、なぜこのようなビジョンを達成したいのか」ということを理解し、スライドに落とし込んでいました。

孫さんは、難しいことを分かりやすく伝え、多くの人を納得させる能力が大変優れていました。「比喩力」も素晴らしかったので、とても勉強になりましたね。

一緒に仕事をしていて印象的だったのは、「脳がちぎれるほど考えろ」というセリフを本当に言われたことです(笑)。孫さんの本で読んで半信半疑だったんですが、会議でこの言葉が本当に飛んできました。

一般社団法人 継未の前田 鎌利さん

ソフトバンク以外でも、新卒で入った株式会社光通信では、飛び込み営業でどうしたら契約を決められるかということや、ソフトバンクの前に働いていたボーダフォン株式会社では、外資系特有の意思決定のさせ方を学びました。

このような経験を通じて気付いたのは、ビジネスシーンにおける「人への伝え方」はフレームワーク化でき、誰でも実践できるということです

伝えるストーリーの基礎は、ひとつのロジックで十分

人に何かを伝える上で重要なのが「論理」と「感情」です。

まず論理ですが、ビジネスシーンで人に何かを伝える目的は「相手に意思決定をしてもらうこと」です。意思決定してもらうためには「あなたの課題を解決できますよ」と論理的に伝えることが重要。これは「課題、原因、解決策、効果」というフレームワークを使えばOKです。

▼「課題、原因、解決策、効果」のフレームワーク

課題、原因、解決策、効果

ここからは、私が代表理事を務める書道塾「一般社団法人 継未」の説明会で使っているプレゼン資料を例に、「意思決定してもらう伝え方」について説明していきます。

▼書道塾「継未」

継未

まずはじめに、生徒になりうる人たちに対して「最近、文字を書きましたか?」という問いかけをします。ここで、「仕事に埋没してゆっくりとする時間が取れていない」という自身の「課題」に気付いてもらうんです。

そして「SNSやメールだけになっているあなたへ」というメッセージで、課題の「原因」がスマートフォンであることを理解してもらうんです。

▼「課題」「原因」

課題に気付いてもらい、その原因を伝える

次に、その原因の「解決策」を提示します。今回の場合は、「継未」という書道塾です。

▼「解決策」

継未が相手にとって解決策であることを伝える

最後に、その解決策を取り入れた時に生じる「効果」を伝えるんです。継未では参加したその日から「書家」と名乗ることができるので、そういった提供価値を見せていきます。

▼「効果」

書家と名乗ることができる

この「課題、原因、解決策、効果」という論理構造が、「人に伝える」ための基本のフレームワークになります。

▼「課題、原因、解決策、効果」のフレームワーク

論理フレームワーク

ロジックだけでは伝わらない? 感情を動かすフレームワークとは

ただし、ロジックだけ整ったストーリーを伝えても、相手からポジティブな反応を勝ち取ることはできません。意思決定をしてもらうためには、論理構成に「感情」を加えることが重要なんです。そのためのフレームワークは「共感、信頼、納得、決断」になります。

▼「共感、信頼、納得、決断」のフレームワーク

感情フレームワーク

ここからは、先ほど説明した「課題、原因、解決策、効果」という論理的な骨子に、感情を動かすこちらのフレームワークを差し込んでいきます。

まず「課題」のスライドの後に「共感」という感情を生むために、疲れていそうな女性のスライドを付け加えます

▼「共感」

うちのお教室の生徒さんは、9割が女性なんです。特に30代から40代の女性の方が多く、彼女たちは、朝会社に行って、夜終わって家に帰って寝て、また出社しての繰り返し。そこで、「自分と向き合う時間を持ちたい」と感じられる方が多いので、こういったスライドを使うと「共感」を生みやすいんです。

また、「全国15校」で教室が運営されていることを示すことで、この書道塾は安心だ、と「信頼」してもらいます。

▼「信頼」

信頼のスライド

次に、ある程度の人数がしっかり昇段していくことを示すことで、「塾に通ったらしっかり上達していくんだ」と書道塾の質に「納得」してもらうんです。単に塾の概要だけ説明されても、信頼感は生まれないですし、感情は動かないので

▼「納得」

納得のスライド

最後に、「決断」をしてもらうために、解決策を選択した後に広がるであろうワクワクする未来を見せるんです。継未では、生徒様は自分の作品を国内外にWebページで販売することができます。ですのでこのように、作品が販売されているWebページのスライドを加えることで、意思決定してもらいやすくするんです。

▼「決断」

決断のスライド

▼フレームワークワーク全体像

※実際のプレゼンテーション資料から一部抜粋しております。

フレームワークの実行に重要なのは、「念(おも)い」

実は忘れられがちなのですが、これら論理の「課題、原因、解決策、効果」と感情の「共感、信頼、納得、決断」を組み立てる上で、まずはじめに「なぜその商品・サービスを売っているのか」という「念(おも)い」を持っていることが大切なんです

例えば、課題を提示するときに使っていた「最近、慌ただしくないですか」というメッセージには、私が書道塾を始めた「念(おも)い」が込められています。

私はそもそも、ソフトバンクなどの経験では得られなかった「満足感」を得たくて起業しました。

一般社団法人 継未の前田 鎌利さん

ソフトバンクの理念は、情報革命で人を幸せにすることですが、その解釈は「売上が上がる=お客さんが喜んでくれている」というものでした。でも私は、もっとストレートに相手の喜びを実感したかったんです。だから、この課題提示も、相手が本当に幸せかどうかを問いかける「最近、慌ただしくないですか」というメッセージにしています。

このように「念(おも)い」をベースにすると、伝え方に独自性をもたらすことができます。これがなければ、ただの書道教室の紹介になってしまうんですよね。

「相手目線」で、感情に訴えかけるプレゼンテーションを

また、このような「念(おも)い」は、相手目線である必要があります。お金儲けなど、自分目線になってしまうと中々うまくいかないんです。

例えば、お金儲けがしたいということであれば、必ずしもその商品やサービスでなくても良いわけですよね。しかし、そうすると、プレゼンに独自性が出ないんです。どのような商品・サービスでも、それを始めた理由は必ずあるはずなので、それをひねり出しましょう。

私がこのことに気付いたのは、実は光通信で携帯電話の飛び込み営業をしていた時でした。初めは、営業先で携帯電話のスペックばかりを説明していましたが、ほとんど売れなかったんです。

一般社団法人 継未の前田 鎌利さん

そのような日々を送っていたある日、営業先の社長に「なんで携帯売ってるの」と聞かれたんですよね。そこで「阪神・淡路大震災を経験して、通信ネットワークが広がることの重要性に気づき、携帯電話を売りたいと思った」、「人々に安否を伝える機器をたくさんの方が持てば、一人でも多くの命が救われることになる」という話をしたところ、意思決定をしていただき買っていただけたんです。

「人に意思決定してもらう力」で、書道家としてビジネスを拡大

私は書道家として、Jリーグや、FREETELなどのお仕事をさせていただいております。また、書道塾「継未」の生徒数も、PRなしで全国500人を超えました。自分で言うのもなんですが、書道家でありながらビジネスを推進していけるのは異色だと思います(笑)。

一般社団法人 継未の前田 鎌利さん

これも、過去のキャリアを通じて鍛えられた「人に意思決定してもらう力」のおかげだと思っています。今後も、継未を通じて書という「日本の文化」を継いでいく場を増やしていければと思います。(了)

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