• コラボレーター
  • 加留部 有哉

ユーザー数1億人以上「Spotify」 招待コードを活用したインフルエンサーマーケティングとは

全世界で1億人以上のユーザーに使われる、スウェーデン世界No.1の音楽ストリーミングサービスSpotifyがいよいよ日本でも利用可能になりました。招待コードが発行されるまで待たないといけない焦れったさをお持ちの方も多いと思います。

Spotifyが日本以外で盛り上がる中、日本ではLINE musicやAWAなど、独自の音楽ストーリーミングサービスが生まれています。そんな中、どういう戦略をとり、日本でユーザーをアクティブにしていくのでしょうか。

▼SpotifyのUI

Spotifyの勢いとポテンシャル

Spotifyでは、無料プランと、月額980円の有料プランがあります。さっそく両者を使ってみましたが、無料プランでは、オフラインで再生ができなかったり広告表示があったりしますが、十分楽しめるプランだと感じました。

この広告もポテンシャルを秘めていると話題になっています。音楽の間に音声広告が入る形になっていますが、ユーザーのリアルタイムでの感情で広告を配信することが可能になります。その時の感情にあった形で音声広告を入れることにより、ユーザーの体験を損なわい広告になっています。Facebookやinstagramは興味・関心という切り口での広告出稿が主ですが、Spotifyではまた違った形の出稿が可能になるのでしょうか。

有料会員も9月時点で全世界で4,000万人を超えました。Apple musicが同時期で1,700万人ということを考えると、その勢いを感じることができます。

Kloutスコアを使ったインフルエンサーマーケティングを展開

Spotifyの初期のマーケティング戦略は、SNS中心に組み立てられているようです。満を持して、アメリカに進出した時のことを見てみましょう。アメリカ進出は2011年の時です、当時のSpotifyはヨーロッパですでに実績を持っていました。

▼日本では招待コードをリクエストして待つべし

Spotifyの最初の戦略は、日本と同じく招待コードでした。著名なブロガーや技術者、音楽愛好家の15,000人から20,000人を中心に招待コードを送っています。

日々有益な情報の発信を続けるブロガーや、音楽の知見の深い人にまず使ってもらい、使いごごちなどを情報発信してもらうことによって、SNS上での存在感を高めていきました。この人が良いというなら期待できる、でもまだ手に入らない…その時のボルテージは凄まじかったのではないでしょうか。

さて、この20,000人ものインフルエンサーたちをどのようにして探し出してきたのでしょうか。Spotifyにとって、その道具となったのがKloutスコアです。Kloutスコアとは、独自の計算で、ソーシャル上の影響力を数値化したものです。TwitterやFacebook、Tumblerなどのソーシャル上での活動や、「いいね!」などのリアクションを分析しています。

▼ソーシャル上での影響力を可視化する「Klout」

Kloutの拡張機能を使うことで、Twitterのタイムラインからも簡単にKloutスコアを見ることもできます。自社に興味あるツイートを検索し、その中でKloutスコアの高い人に対してアクションをしていくということができますね。

▼Google ウェブストアから拡張機能を追加

▼拡張機能を使えば、Twitterのタイムラインでも確認可能

リリースしてからすぐにTwitterでキャンペーンを実施

全員にリリースする前にインフルエンサーのみに招待コードを送りましたが、それだけではありません。
その後はSpotifyにアンテナを張ってくれている興味関心が高い人にアプローチをしました。そのためにTwitterで招待コードを送るキャンペーンを実施しています。アメリカに上陸して新しく作ったTwitterアカウント、@SpotifyUSAのフォロワーに対して、指定したハッシュタグをつけてツイートすることを頼みました。ツイートをしてくれた中で、先着の1,000名に対して新たに招待コードを送っています。

このキャンペーンでの先着の1,000名というのは、「Spotifyを早く使ってみたい」と思っている見込みユーザーだと推測できるでしょう。興味津々な彼らに使ってもらうことによってSNS上での「バズ」を起こすことに成功しています。

結果、約1ヶ月間で140万人のユーザーを獲得し、そのうちの17万人ものユーザーが有料会員になっています。

ツイートの感情をリアルタイムでearshotで分析

▼Spotifyの使うSNSマーケティングツール「earshot」

SpotifyがSNSマーケティングで主に使っているツールはearshotのようです。
earshotはSNSでの情報をリアルタイムに分析し、エンゲージメントを高めてくれるツールで、新規顧客の獲得インフルエンサーの発見キャンペーンの促進が見込めます。

特に独自のアルゴリズムを用いて、ツイートを「投稿内容」「場所」「時間」「ツイートした人のソーシャル上の行動」「感情」「天気」など様々な要素で分析してくれます。これらの要素に重み付けをカスタマイズして加えることで、自社の目的にあったリアルタイムの分析を行い、適したアクションをすることが可能です。

▼独自のアルゴリズムを使って、SNSをリアルタイム分析

SNSをつかって爆発的なマーケティングを行うには、Kloutスコアも使いながらインフルエンサーを見つけ、どのようなブランドをつくっていくかも考えなければいけません。
インフルエンサーの動向を見たり、普段からユーザーのツイートでSpotifyへの感情を見ておくことで、適したマーケティングを実施することができるでしょう。

特に音楽はムードや感情が出やすいツイートを生みやすいので、うまくSNSを利用することで、マーケティングしやすいのかもしれません。

今後の日本でのマーケティングに期待

日本では、リクエストを送れば招待コードを誰でも獲得することができます。しかし、その招待コードが送られてくる順番は闇の中に…もしかしたら招待コードをリクエストした人を分析して、誰に送るべきか判断しているのかもしれません。また、アーティストから招待コードを得ることもできます。アーティストを巻き込み、ユーザーを獲得していくことに力を入れていくのでしょうか。

▼日本法人公式アカウントで何が起こるか

今Spotifyの日本法人公式のTwitterアカウントでは「#Spotifyはじめました」というハッシュタグも盛り上がりを見せていきます。アメリカでのキャンペーンの例もありますし、今後も目を離せません。

※記事を執筆するにあたってSocial Media Breakdown: Spotifyを参考にしています。

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