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個人のTwitterが「主戦場」!BtoBマーケティングにおける「指名検索」の増やし方とは

〜「セオリー通り」のマーケティング戦略からの脱却。個人Twitterやユニークなメルマガでビジネス成長に寄与する、ホットリンクのマーケティング術〜

広告、SEO対策、SNS運用…Webマーケティングにおける手段がある程度確立された中で、自社の強みを活かし、投資対効果を高めるにはどうすれば良いのだろうか。

ソーシャルメディア分析ツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」をはじめ、SaaSとコンサルティングを通じて企業のマーケティング活動を支援する、株式会社ホットリンク。

同社では、自社についてより多くの人に知ってもらうという目的のもと、同社CMOの飯髙 悠太さんを中心に、2019年から自社のマーケティング施策を強化してきた。

その中では、ホットリンクのメンバー個人のTwitterにアテンションを集める、メールマガジンを「ラブレター」と捉えて連載小説を配信するなど、従来の枠組みにとらわれない活動を行っている。

結果的に、同社に対する検索エンジンの「指名検索」が増加し、メールマガジンの開封率が40%に迫るなど、大きな成果をあげているそうだ。

今回は8月29日に書籍‪「僕らはSNSでモノを買う」を出版され、ますます活躍の幅を広げる飯髙さんと、自身のTwitterアカウントのフォロワー数を5,000人にまで育てたマーケティング部 部長の室谷 良平さんに、詳しい話をお伺いした。

Twitterを軸に、企業のマーケティングを包括的に支援

飯髙 2019年からホットリンクに入り、4月にCMOに就任しました。いま自分がやっていることは、大きく分けて2つ。ひとつめは、クライアントワークです。顧客のSNS活用を中心とした、マーケティング施策全体に関するコンサルティングを提供しています。

もうひとつは、シンプルにホットリンク社のブランディングとマーケティングです。うちの会社を色々な人に知ってもらうための活動や、自社に興味を持ってもらい良質なアポを生み出すための設計などですね。

いまは特にSNSでの発信や、セミナーや外部イベントへの登壇を重要視しています。

その中では、「SNSマーケティングのスタンダードを創る」ということをメッセージにしていますが、これは結構深い意味があって。

例えばリスティング広告やSEOは既にある程度セオリーが決まっていますが、SNSは、まだ売上に明確にひもづいた事例が少ないんですよね。いまだに追っている数字はフォロワー数やインプレッション数だったりするので、ここをきちんとデータに基づいて作っていくことをメインでやっています。

室谷 私は2019年の2月にホットリンクに入社しました。前職は人材系のベンチャーでSEOやサイト改善、広告運用などの獲得系マーケティングを中心に取り組んでいたのですが、もう少しマーケターとしての幅を広げていきたいという気持ちがあって。

そのタイミングで飯髙さんにお声がけいただき、ソーシャルメディアもどんどん伸びていますし、優秀な方々がジョインされている会社と聞き、すごく面白そうだなと思って入社を決めました。

飯髙 いま自分が管轄しているのは、マーケティングとインサイドセールス、CSです。マーケティング部は、他の業務の兼任などありますが4人ほどのチームでやっています。

メインのサービスは、ソーシャルメディアの分析ツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」ですが、コンサルや広告も提供しているので、要するに「SNS支援であれば基本すべて」という感じです。

ですが、SNSだけでは伸びない企業ももちろんあるんですよね。そもそもコンテンツがないのでSNS上の口コミも出ない、という状態であれば、コンテンツマーケティングの支援も行います。

ただ、軸としてはSNS、特にデータが取得できるTwitterに強みを持っているという形です。

BtoBのマーケティングに「個人の」Twitterアカウントを活かす

飯髙 ホットリンクには、僕が入社するまでマーケティング本部はなかったので、「ホットリンクは何者なのか」ということを十分に伝えることができていなかったんですね。そこで必然的に、自分たちでそれを作っていくことになりました。

その中で個人のSNS、主にTwitterを活用してきたのですが、前提として、うちのようなBtoBの企業だと、会社の名前でTwitterを活用してもなかなか効果が出てこない部分があります。

まず、一般の方々が企業のアカウントをフォローするかというと、特別面白いコンテンツがない限りその動機が生まれないですよね。個人アカウントの方が、「その人の情報をフォローする」という形でエンゲージメントされやすい。

それに、BtoBのサービスに関して「この商品がいい」って個人が発信することって少ないじゃないですか。どこの会社も「うちでは◯◯を使っています」ということを公には言いづらいし、個人が「BuzzSpreader触って気持ちいい」なんて、まず言わないわけです。

そうすると、企業アカウントのSNS軸だと伸ばすことは限りなく難しいんですよね。であれば、社員1人ひとりが得意分野を持って発信をしていったほうが、会社のブランディングにつながっていくと考えています。

ホットリンクでいうと、SNS周りはもちろんのこと、1人ひとりがそれぞれの得意な領域で発信しています。

それによって、例えば「ソーシャルメディアにすごく詳しい人がいるから、この人のいる会社に相談しよう」という形で自社のサービスにつながるわけです。

室谷 私は去年(2018年)の1月くらいから個人のTwitter活用に力を入れるようになって、フォロワー400人ほどから1年で2,000人になり、現在は5,000人を超えました。

私はマーケティングの中でもSEOが好きで得意だったので、まずはそこにフォーカスを当ててガンガン発信しました。そうすると、色々なブロガーやマーケターといったSEOに興味がある人が集まってきます

これは弊社が提唱しているULSASS(※)とも関連するのですが、まずは小さく共通のインタレストを取っていく。同じ興味、関心の人を取っていくということですね。

▼※SNS時代の購買行動システム「ULSASS」(※画像はホットリンク社より提供)

そこから、だんだんインタレストをずらしていって。SEOに興味がある人は、サイト改善にも興味があるだろうから、UI改善について発信しよう。ソーシャルメディアにも興味があるだろうから、発信しよう。こんな感じで、インタレストをメッシュのように広げていきました。

アカウントの「初期構造」の段階で、「濃い関係性」をつくる

飯髙 おかげさまで「最近Twitterでホットリンクさんよく見るよね」と言われることも増えたのですが、ここは戦略的な部分と、そうではない部分も正直ありますね。

室谷 私の場合も、拡散されやすいアカウントの初期構造が出来上がってきてからは、あまり戦略性を持ってやっていたわけではないところもあります

今はもう息を吐くようにツイートしているので。基本の土台ができれば、あとは勝手に伸びていく部分があると思います。

例えば最近だと、とある著名マーケターの取材記事を「1年前の記事だけど、やっぱり最高だな」と息を吐くように投稿したら、4,000件ほどのLike(いいね)がついた例があります。

既にマーケティング領域のフォロワーがたくさん集まっているので、コンテンツが彼らのインタレストに当たれば、どんどん共感を呼んで拡散される。そういった、拡散されやすいアカウント基盤ができたということですね。

飯髙 Twitterはフォロワー50人以下で利用している人が65%、51〜300人以下で利用してる人が25%なので、プライベートグラフ・ソーシャルグラフ(※)のもとでやっている人が90%なんですよね。

※Web上における人間の相関関係、またはその結びつきの情報

つまり、Twitterは縦軸で存在している「村」がある。ここの関係性の濃さの方が重要なので、本当は数が多いことが正義ではないですね。それこそ、インプレッションを上げることだけ考えたら、かわいいペットのアカウントを作ったほうがいいですし(笑)。

でも、それは本質的じゃない。何千、何万人との薄い関係性だと、結局は発信しても流れてしまって見られないんですよ。逆に、100人しかフォロワーがいない人が500人いる村に入ったら、ここに自分の発言が常に届き続ける。これってめちゃくちゃすごいことですよね。

なので、色々な「濃い村」に所属していけるように発信していくと良いと思っています。要は、どのクラスターに良いフォロワーを集めるか、を考えるということですね。

ただ、その得意分野は別に仕事だけじゃなくてもいいと思っています。例えばうちでも、「インサイドセールス ✕ ビジュアル系バンド」みたいな、自分の好きなものと仕事の領域を兼ねて発信している人もいます。

最初はどのアカウントでも良いので、自分の投稿に対してリアクションってどれだけつくんだろう、ということを体験してわかるようになると良いですね。

方法はTwitterでなくても良い。自らの「主戦場」を定める

飯髙 ホットリンクでは、ビジネスサイドのメンバーを中心にTwitterの発信を強化したことで、結果的に周りのリアクションも、事業上の数字もすごく変わりました。

例えばセミナーを開催するときに、インハウスのリストとSNSだけで70〜80人は応募がすぐに来る、みたいな状態に現在はなっています。

クライアント数も増えていますし、今までには来なかったような規模感の問い合わせが入ってくるようになりました。問い合わせ段階のときから、既に指名で「お願いします」ということも増えました。つまり、指名検索が増加したんですね。

この話って、Twitterという文脈で考えると「真似できない…」と思う人も多いかもしれないですが、それぞれの得意な主戦場を決めていく、ということなので、どの会社でもできることだと思っています。

それはFacebookでもいいし、リアルな場でも良い。どのクラスターでも僕は良いと思っていて。

室谷 主戦場の決め方でいうと、いま自分たちのお客様がどこにいるのか、その場所に対して自分が何を提供できるか、ということが大事なんだと思います。

自分たちはソーシャルメディア上にもお客様がいるし、自分たちもそれが得意。戦場選びと戦闘の武器が、マッチしているイメージです。

セオリーにとらわれない、柔軟な発想が求められる時代

室谷 個人的に思うのは、マーケティングの施策立案において、多くの人がフレームワークや固定観念に捉われすぎなんじゃないかなと。

BtoBマーケティングだと、パイプラインやファネルに沿って、デジタル広告やホワイトペーパー、セミナー等の施策で総リード数を最大化することがセオリーだと言われていますが、それだけではないかもしれないですよね。

例えば、メンバーがSNSで情報を発信し続けることで、結果的に指名検索されて、問い合わせをいただくかもしれない。

そこは全体最適の思考で、戦況やリソース的に、何が一番効率が良いのかを立ち止まってゼロベースで考えたほうがいいと思っています。

例えばホットリンクの場合は、メルマガでもちょっと異色のコンテンツを発信していまして。

飯髙 連載小説をメルマガに載せたり、先日はインターンの卒業挨拶の全文を載せたら「泣ける」みたいな感じですごく反響があったんですよ。

もちろんセミナー案内のような営業っぽいコンテンツもありますが、週に1本くらいはオリジナルの記事書こうよ、という感じで運用しています。

というのもメルマガって本来、宣伝のツールじゃないんですよね。1to1でコミュニケーションをとるためのものなので、ラブレターに近い。「ここだけでしか読めない」特別感があるから登録するものだと思うんです。

それによって「ホットリンク面白いよね」という反応があれば嬉しいし。BtoB企業なのに、メルマガから口コミが発生するという面白い状況になっています。ただそれはあくまでも手段なので、目的と履き違えてはいけないですが。

室谷 世の中には色々なBtoBマーケティングのセオリーがありますが、結局ほかの会社と同じようなことをやっても、最終的には「どれだけ同じことをより良くできるか」「どれだけ工数をかけられるか」っていう競争になるんですよね。

でも、少し勝負の軸をずらすだけで全然競合がいなかったり、独自性を出したりできるので、アテンションを集めやすい部分があると思います。

飯髙 フレームワークやセオリー自体は重要だと思っていて。なのでもちろん使うときには使いますが、その使い方が重要なんですよね。

最終的に、なんのためにマーケティングの施策をやるかって、すべては顧客のためじゃないですか。

それこそ、本質的なユーザーファーストを考えるんだったら、まず自分の商品がどんな人にどういう経路で買われているのか、体験するべきなんですね。そうすると、フレームワークにはなかった「こういう買い方もあるんだ」という気付きが生まれます。じゃあ、そこに対してどうやってアプローチするんだろうね、みたいな。

これだけプラットフォームや人の購買が多様化している中では、このくらい柔軟に考えることが必要だと思っています。そうすると、結果的にマーケティングの効率が高まって、マーケター自身ももっとラクになるぞ、と考えていますね。(了)

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