• 株式会社オウケイウェイヴ
  • エンタープライズソリューション事業部 統括部長
  • 松本 雅紀

+αの顧客情報で効率的なマーケ戦略を!CRMの価値を最大化するuSonar活用術

〜売り上げ予測が立てられない!?Microsoft Dynamics CRMと、データ統合ツール「uSonar」で、顧客情報の価値を最大化する取り組み〜

Q&Aサイト「OKWAVE」を運営する株式会社オウケイウェイヴ。実は同社の売り上げの7割は、法人向けFAQ(※)サービス「OKBIZ.」が占め、国内シェアNo.1を誇る。そのクライアント数は約400社にのぼり、様々な業種に展開している。

※よくある質問とその回答をまとめたもの。問い合わせ数を減らすため顧客向けに活用されるほか、社員間のナレッジ共有やコールセンターの対応などでも使用される。

▼6年連続シェアNo.1のFAQサービス「OKBIZ.」のWebサイト

しかし、その膨大なクライアントと見込み顧客を効率的に管理できないという問題を抱えていた。商談管理ができておらず、当月の売り上げ予測を立てることができていなかったのである。

そこで同社は、顧客管理ツール「Microsoft Dynamics CRM Online」を導入した。しかし、名刺スキャナーで読み込んだデータを正確に企業情報に反映できないという、新たな課題が発生したのである。

それを解決したのが、データ統合ツール「uSonar(ユーソナー)」だ。Dynamics CRMと連携させることで、名刺の名寄せだけでなく、企業規模や業種などの情報取得の自動化に成功した。そこで得られた顧客データは、営業やマーケティングに活用しているという。

今回は、Dynamics CRMとuSonarの連携を先導した松本 雅紀さんと徳竹 信彦さんに、その導入プロセスから活用方法まで詳しく伺った。

「売り上げの予測が立てられない」チームを立て直す!

松本 私は複数のIT企業を経て、2013年にオウケイウェイヴに入社しました。入社後は製品企画やマーケティング部のマネージャーを経て、今はセールスマーケティング全体の統括をしております。

▼左:松本 雅紀さん 右:徳竹 信彦さん

徳竹 私は実家がメッキ屋だったので、社会人としての最初の経験はITとはまったく関係のないメッキ業でした(笑)。ただ中高生からパソコンを自作するのが好きだったことから、小さなIT企業に移り、2008年からはオウケイウェイヴで働いています。

松本 オウケイウェイヴというと、Q&Aのコミュニティサイトを思い浮かべる人が多いと思います。ですが実は売り上げの7割は、法人向けのFAQシステム「OKBIZ.」が占めています。

OKBIZ.の前身となるサービスは17年前から提供しており、今では国内のFAQサービスのうち約6割のシェアを獲得しています。契約している企業様も400社近くにのぼり、大手金融機関からメーカー、コールセンターまで様々です。

さらにサービスを拡大させていくためにも、2013年からは私がセールスマネージャーとして、営業体制を強化しています。

しかし、営業体制を作ろうという中で、大きな課題が見つかりました。それは、商談管理ができておらず、売り上げの予測が立てられていなかったことです。

いま誰がどの商談を追いかけて、それがいくらの案件で、今月はどの程度の売り上げが見込めるのかというステータスがわかりませんでした。

CRMを導入!成功のコツはプロジェクトチームの作り方にあり

松本 そこで、商談ステータスをしっかりと管理していこうと、マイクロソフト社が提供するCRM(顧客管理)ツール「Microsoft Dynamics CRM Online」を導入しました。


Dynamics CRMを選んだ決め手は、カスタマイズの自由度が高かったという点、そして、そのカスタマイズを受けていただけるCECさんという導入パートナーがいらしたことです。

OKBIZ.は売って終わりのサービスではないため、継続利用料を考慮して売上予測を立てなければいけません。そのため現在の契約状況などの項目を、柔軟にカスタマイズできる必要があったのです。

▼Dynamics CRM上で顧客を管理している様子

CRMを導入するときに気をつけるべきなのは、「商談状況を入力してください」と言うだけで終わってはいけないということです。そうしてしまうと、入力が面倒だと感じてしまい、いずれ活用されなくなってしまいます。

そこで私たちの場合は、「各部門にとってどんなメリットがあるのか」を明確にするように意識しました。例えば営業メンバーに対しては、「商談情報を管理すれば、アカウントマネジメントチームにパスする際に、イチから状況を説明する必要がなくなる」というメリットを提示しました。

さらにそのメリットを最大化していくために、各部署からそれぞれ代表を出してプロジェクトチームを結成しました。そうすることで各部署の視点から、すべての部署にメリットが生まれる最適な運用の仕方を検討していったのです。

CRMは、あくまでも情報を入れておく箱でしかありません。その中にどういう情報を入れ、管理するべきなのかを考え、どれだけトライアンドエラーを繰り返せるかが重要になります。

データ統合ツール「uSonar」で、名刺には無い企業情報まで管理!

松本 こうして商談ステータスが管理できるようになり、続いてリードナーチャリング(※)の強化にシフトしていきました。

※ 見込み顧客にアプローチして商談の確度を高めていくこと

弊社ではイベントや展示会を開催し、見込み顧客を獲得しています。ですが、獲得した見込み顧客の温度感は様々なので、必ずしもすぐ商談になるわけではありません。その場合でも、しっかりと継続的にアプローチして、リードにしていきたいという思いがありました。

そこで、まずは頂いた名刺をスキャナーで取り込み、Dynamics CRMに流していきました。しかし、人名や社名の表記ゆれ、社名変更が原因で、データが重複して登録されてしまうという問題が発生したのです。

徳竹 名寄せ(※)をして対処しようと、独自でシステムも作ってみました。でも今度は、1週間の間に交換した名刺をデータ化するまでに、10営業日もかかってしまって…。

※ 同じ人(データ)をまとめる作業


松本 この課題を解決するため、名寄せツールを探していたところ、株式会社ランドスケイプさんが提供するデータ統合ツール「uSonar(ユーソナー)」に出会い、導入を決めました。

導入の決め手はDynamics CRMとの連携が可能なこと名刺の大量読み取りが可能な点、そして膨大な企業データを保有している点です。

特に企業データの面で言うと、uSonarは約820万件の企業データを持っており、それを名刺の情報と関連付けて管理してくれます。これにより、名刺を交換した人の名寄せより重要な、企業の名寄せを簡単に行うことができました。

弊社では、スキャンした名刺データが一度uSonarのシステムに入り、クレンジングされてDynamics CRMに送られるように連携させています。

▼uSonarとDynamicsの連携状況


これにより、今までは「名刺上に印字されている文字データ」しかわからなかったのが、企業規模、地域、業種、企業群まで可視化できるようになったのです。

企業同士のつながりを可視化し、包括契約にも成功!

松本 uSonarを導入することによる一番の効果は、包括契約の営業アプローチが可能になったことです。

例えば金融機関を例にとっても、銀行、証券、信託などいくつもの事業体がひとつのグループを構成しています。これまでは、これらの企業を単独のものとしてしか管理できず、包括的にアプローチできたはずの案件を見逃していました。

uSonar導入後は、企業群として営業アプローチができるようになり、メガバンクさんとも包括契約を結ぼうという動きが生まれました。

さらに、uSonarで顧客の傾向が把握できたことで、自社が得意な業界、苦手な業界が見えてきたのです。例えば、大手の金融機関は取れているけれど、地銀はまだまだアプローチする余地がある、というようなことが可視化されました。これにより、営業の優先順位付けや、今後の打ち手を戦略的に考えられるようになりました。

マーケティングの観点でも、顧客情報が一元管理できるようになったというメリットがありました。

見込み顧客に対しては、企業規模や業種に合わせたセミナーの案内ができるようになり、集客率も上がりました。これまでは一度のセミナーに参加してくださる人は20名ほどでしたが、今ではコンスタントに40〜50名ほど来てくださるようになったのです。

既存顧客に対しても、適切なアプローチができるようになったことでアップセルにつながり、売上高が25%増加しました。

CRMの導入がゴールではない!使い続けられる工夫を

松本 CRMは導入することがゴールではなく、しっかり活用していかないと意味がありません。だからこそ、メンバーに使ってもらうためのサポートや、各部署にメリットがあるように実現することが重要になってきます。

そのために弊社では、OKBIZ.を自社でも活用してFAQを構築しています。名刺のスキャンの仕方やDynamicsの使い方などをまとめ、しっかりとCRMを運用していけるインフラを構築しています。

▼FAQを構築し、名刺スキャンの方法などがすぐにわかるように

このような情報共有は、正しく情報を受け取れることが重要なのです。「ここに情報が置いてあるから」と責任逃れをするのではなく、情報を受け取りやすくする方法を常に考えていきたいですね。

今後はリードナーチャリングをさらに強化していきたいと思っています。その際も、営業をはじめとする全メンバーにとって納得がいくように、継続的に運用していきたいと思います。(了)

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