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- 加留部 有哉
【人気急上昇中】マーケティングオートメーションは無料で始められる?MAツール「Mautic」入門
SELECKでは、今まで数々のマーケティングオートメーションツールと、その活用事例を取り上げてました。しかし、「マーケティングオートメーション」はその全体像をつかむことが難しく、何から始めていいかわからないという人も多いはず。
そのような方のために、この記事では無料で使えるMAツール「Mautic」をご紹介します!まずは使ってみることで、自社にマーケティングオートメーションをどう活かせるか、見えてくる事もあるのではないでしょうか。
連載形式(の予定)の第1回、まず「Mautic」で何ができるのか?という点について解説していきます!
<目次>
- マーケティングを効率化する、マーケティングオートメーションとは
- 無料で使えるMAツール「Mautic」の全貌
- 機能1:雑多なリード(顧客)を可視化
- 機能2:ポイント(スコアリング)機能で、営業の確度を確認
- 機能3:メールを配信してリードを育てる
- OSSのメリットと、OSSであることのデメリット
マーケティングを効率化する、マーケティングオートメーションとは
分かっている人はさくっと読み飛ばしてもらいたいですが、一応マーケティングオートメーション(MA)について解説します。
MAは、その名の通りマーケティング活動を自動化し、効率化していこうという手法です。自社でサービスを展開している企業の場合、そのサービスのランディングページに訪れたユーザーや、お問い合わせをしてきたユーザーは貴重な見込み顧客になるはずです。
ただ、Web上のユーザーは雑多な見込み顧客なので、実際に契約につながるケースは少ないでしょう。マーケティングオートメーションは、「そのユーザーがどれだけ顧客になりえるか」という温度感を自動的に算出し、効率的にアプローチする仕組みです。
MAについて、詳しく知りたい方はインタビュー記事もどうぞ!
温度感を測るために、メルマガでのクリック数、ノウハウ資料のダウンロード数、Webサイトの閲覧数、セミナーへの参加などのアクションにそれぞれ点数を付けています。そしてその点数が高い順にインサイドセールスが電話をしたり、個別にメールをするといったアクションを実施しています。
例えば、ランディングページに訪れたユーザーは1ポイント、メルマガ登録したユーザーは10ポイントといったように、ユーザー行動によってスコアを付けます。そうして顧客になりえる可能性を見極め、効率的に営業をかけれるようになります。
ちなみに今回取り上げるMauticには謎のキャラクターがいます。なんだこれは…OSSらしい陽気な日本語を使うようです。
無料で使えるMAツール「Mautic」の全貌
MAを実現するツールは、SELECKでも今まで取り上げてきています。
その中でも今回取り上げるMauticは、OSS(オープンソース・ソフトウェア)で提供されており、自前でサーバーさえ立ててしまえば無料で使えるところがポイントです。反面、他の有料ツールと比較して機能面で劣るところもありますが、基本的な機能は揃っています。
Mauticは、日本ではまだまだ情報が少ないですが、Googleトレンドによると凄い勢いで伸びています!
また、何故か執筆時点ですでに日本語対応されていて(!)、ドキュメントも日本語のものが用意されています。まあ基本的に日本語が若干おかしいというOSSあるあるな状態ですが、英語に拒否反応がある人でも使える程度には充実しています。
それでは実際に、Mauticで実現できることを解説していきます。
機能1:雑多なリード(顧客)を可視化
MAの一番重要な機能は、なんといってもリード(見込み顧客)の管理です。どのような人がランディングページを訪れて、どのような行動をし、スコア(温度感)がどれだけ上がったのかを一覧化できます。
ここでリードを分析し、実際にアプローチする先を決めたり、今までの施策の効果を確認できます。余談ですが、Mauticは、デフォルトではメールアドレスが取得できていない(= ネームドでない)リードを非表示にしています。それらのリードを表示するには、フィルター欄に「is:anonymous」を設定します。
機能2:ポイント(スコアリング)機能で、営業の確度を確認
一般的には「スコアリング」と呼ばれる事も多いですが、Mauticではユーザーの温度感を示す数字を「ポイント」と呼んでいます。例えば機能一覧ページに遷移したら3ポイント、1週間以内にもう一度訪れたら20ポイントという風に、ユーザーのスコアを増減させる機能です。
[ポイント] から[アクションの管理]を選択すると、登録されているアクションの一覧画面が表示されます。
[新規]をクリックすると新規作成画面に遷移し、そこで「どんなアクションが発生したときに」「何ポイント与えるか」ということを設定します。ちなみに、ポイントは減少させることも可能です(いつポイントを減少させるのか、MAに詳しい人に聞いてみたいです…)。
ポイントを増減させるアクションは、「特定のURLの訪問」、「メルマガの開封」、「フォームの送信」など様々です。どのアクション対して何ポイント与えるか、実際の成約率を見てフィードバックしながら、スコアリングを最適化することがMAでは重要です。
もう一つ、ポイントトリガーという機能もあり、これを使うことで「〇〇ポイントに達したユーザーに目印を付ける」ことができます。[イベント]タブで、「〇〇ポイントに達したとき、〇〇というイベントを実施する」という設定ができます。例えば、あるポイントに達したユーザーに対して自動的に営業メールを送信したり、リードにタグを付けて管理しやすく出来ます。
機能3:メールを配信してリードを育てる
マーケティングオートメーションを行う上で、メール配信は重要な施策の一つです。お問い合わせや資料ダウンロードなどでメールアドレスを取得できた見込み顧客は、ただページを訪れただけのユーザーよりも確度が高いはずです。
どのMAツールもメール配信との連携には力を入れていて、MauticもMandrilやSendgridといったメルマガ配信サービスや、Amazon SESのようなSMTPサービスと密に連携できます。[設定]の[メール設定]から好きなメールサービスを選び、必要な項目を選択するだけで使えるようになります。
Mauticと各種メールサービスを連携させることで、「メールを開いた・遷移した」ことがリードに記録されていきます。Web上だけではトラッキングができない、より温度感の高いユーザーに対してアプローチができます。
ちなみにHTMLメールを作れるメールビルダーも付いているので、HTMLメールの作成も簡単です。OSSなのに結構機能が豊富ですね…
OSSのメリットと、OSSであることのデメリット
Mautic、無料の割に高機能ですが、やっぱり難点も「OSSであること」ですね。構築方法の解説はまた後ほど書きますが、変な所で詰まったりとか、エラー処理が不十分で動いていないのにエラーが出ないとか、そういったことはありました。
MAは、サーバーが落ちてリードを消失してしまうと一大事ですし、メールアドレスのような個人情報も入ったセキュアなシステムです。OSSで自前で構築する場合は、インフラやネットワークに強いエンジニアが必要になり、それが悩みのタネにはなりそうです。
とはいえ、サーバー代だけで「まず試してみる」ことができるツールとしては十分すぎる機能を持っているので、MA導入を検討している方はまず使ってみて、「MAとは何だろう」というのを体験してみると良いのではないでしょうか!