• Tunnel株式会社
  • 代表取締役 社長
  • 高重 正彦

全ユーザーが主役!インテリアSNS「RoomClip」の、投稿したくなるコミュニティ運営術

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〜「投稿する人」「閲覧する人」の分断が発生しやすいコミュニティ型サービス。RoomClipが実践する、すべてのユーザーが主役となるコミュニティ運営とは〜

Tunnel株式会社が運営する「RoomClip」は、「部屋」の創意工夫を写真で投稿・共有するバーティカル(特化型)SNSである。食や旅行、ファッションに比べて共有にハードルがあると考えられていた「部屋」という分野で、今や月間250万人が利用するサービスに成長した。

▼日本最大の部屋のインテリア実例共有サイト「RoomClip」のWebサイト

そのポイントは、コミュニティでありがちな「一部のインフルエンサーにスポットライトが当たり、活動的な人と傍観者に分かれてしまう」という問題を解決し、多くのユーザーが主役になれるコミュニティを作り上げたことにあった。

今回は、同社の代表取締役である高重 正彦さんと、ユーザーコミュニティ担当の竹野 実希さんに、月間250万ユーザーに利用してもらうまでの変遷と、ユーザーの投稿モチベーションを上げるための施策について伺った。

震災をきっかけに、「家」の創意工夫が集まるSNSをスタート

竹野:弊社の運営するRoomClipは、インテリアや家の写真を投稿するSNSです。

私は昔からインテリアが好きで、学校もデザイン系のところに通っていました。卒業して一度は別の職種に就いたのですが、自分の好きなことで働ける機会はあと少ししかないと思い、Tunnelに入社しました。

▼ユーザーコミュニティ担当の竹野さん

高重:僕は2011年にTunnelを創業しましたが、インテリアのバックグランドはなく、完全にIT畑の人間でした。

RoomClipが生まれたきっかけは、2011年の震災です。実家がいわきにあり、幸い家族も家も無事でしたが、結果的には引っ越すことになって...。その時に、自分たちの思い入れや創意工夫が積み重なった家なのに、それを記録したり貯めておくところがなく、寂しく感じたんです。

当時はSNSの勢いがすごく、旅行や食といった領域のSNSはすでに浸透していました。でも、家ってプライベートなことでシェアしにくいものだったこともあり、家に関するSNSは無かったんです。それなら僕らではじめようと思い、RoomClipを立ち上げました。

ユーザーヒアリングで見えた、サービスの本当の価値とは?

高重:今ではおかげさまで月間250万ユーザーさんに利用していただけるくらいになりましたが、最初はまったくユーザー数が伸びなかったんです。「リリースしたら誰かが使うんじゃない?」くらいにしか考えていなくて。ユーザーさんのことも、サービスのことも全然見えていなかったと思います。

▼代表取締役の高重さん

運営して2年が経ち、このままがむしゃらに続けても何も見えてこないと思い、ユーザーさんと向き合うことにしました。少ないながらも、熱心に使ってくれるユーザーさんに対してヒアリングをしたところ、RoomClipのユーザー像がはじめて見えてきて。

ヒアリングをするまでは、スマートフォンアプリということもあり、都内に住むデザインが好きな人が使ってくれていると思っていました。でも、実際はまったく違ったんです。地方に住むユーザーさんが多く、主婦の方や、家が生活の中心にある方がほとんどでした。そして彼女たちは、日々気づかれない創造性を発揮しながら、家での生活を豊かにしていました。

このようなユーザーさんの創造性は、家族にはなかなか気づいてもらえなかったりします。そんな中、「素敵ですね」とフィードバックをもらうことができ、他の人の役に立てる場であるRoomClipに価値を感じてもらえていたんです。

脱・ピラミッド構造!フラットなコミュニティで全員を主役に

高重:そうして3年目になってようやく、より多くの人々が自分の創造性に気づき、投稿したくなるようなコミュニティ作りを意識していきました。

コミュニティ運営の失敗例でありがちなのは、一部の人気のあるユーザーさんだけにスポットライトが当たってしまうことです。

投稿する人と閲覧する人に分かれ、ピラミッド構造になってしまう。そうすると、僕らが目指したい、「多くの人々が自分の創造性を公開したくなるコミュニティ」からは遠のいてしまいます。

そこで、まずはランキング機能を排除しました。創造性を発揮する全ての人が、フラットな関係性でリスペクトされている雰囲気を作り出すためです。

また、より多くの投稿をしてもらうため、テーマに添った写真を募集するイベントでは、かなりニッチなテーマも用意するようにしています。

竹野:例えば2016年末には、部屋にプライベート音楽スタジオを作った人の写真を募集する「わたしの音楽スタジオ」という写真投稿イベントも行いました。これは、部屋に音楽スタジオを作っている、ごく一部のユーザーさんしか投稿できません。

▼「わたしの音楽スタジオ」のイベントで集まったユーザーさんの部屋の写真

「自分なんかも投稿していいのかな」と思い、一歩を踏み出せないユーザーさんに対して、「自分の部屋も価値があるんだ」と思ってもらうことが狙いです。このようにして、多くのユーザーさんがリスペクトされる空気感を作っていきました。

サービスのコアとなる「投稿のモチベーション」をどう作る?

高重:こうしてフラットなコミュニティ作りを心がけながらも、僕らが最も注力していることは「投稿のモチベーション作り」です。RoomClipのようなCGM(※)では、ユーザーさんの投稿がそのままコンテンツになるので、そのモチベーションがサービスのコアでもあるんです。

※Consumer Generated Media:ユーザーがコンテンツを投稿するメディア

そこで運営側として気をつけているのが、「投稿するきっかけの提供」と「投稿したあとの満足度の醸成」です。

例えば、「100円均一の商品を使ったDIY」というテーマのイベントなら母数が多いので、多くの新規ユーザーさんが投稿するきっかけになります。

ただ、どのような施策が投稿のきっかけになるのかは、ユーザーさんのフェーズごとに異なってきます。僕らの場合はユーザーさんのタイプを「閲覧のみ」「1度だけ投稿」「継続的に投稿」の3つに分けて、それぞれにあったモチベーションを設計しています。

継続的に投稿しているユーザーさんに向けては、2016年7月頃に「定点観測」という取り組みを行いました。これは、ユーザーさんにお部屋の定点観測、つまり「お部屋を毎日記録」してもらうための活動です。

いつも見ているお部屋でも、写真になると一気に客観的に見ることができるので、「こんな変化があったよ」「今日は変化がなかった」という投稿を毎日することが出来ます。

具体的には、「定点観測」というタグを作ることで、運営主導でコミュニティに広げていったのですが、現在はユーザーさんの間でこのタグが定着していて、定期的に投稿してくれています。

▼「定点観測」のタグがついた、ユーザーさんの投稿

雑誌「RoomClip Style」刊行の狙いとは?

高重:実は、僕らはRoomClipというサービスの他にも、雑誌「RoomClip Style」を刊行していたり、「RoomClip mag」というオウンドメディアも持っています。

▼雑誌「RoomClip Style」シリーズの歴代表紙画像

他社のサービスだと、認知度向上やブランディングを目的にメディアを運営することが多いと思うのですが、弊社の場合はこれらが「投稿してくれた方の満足度の醸成」の役割を担っています。

竹野:投稿者さんに「また投稿したい」と思ってもらうためには、その投稿を通じて嬉しい気持ちになってもらえることが重要です。いいねやコメントがもらえることも満足度につながるのですが、雑誌に出るとまた違った喜びがあるみたいで。

他にも、出版社さんやテレビ局さんから、掲載のお声がけをいただくこともあります。2014年から2016年末までに、150以上の媒体に1,500人以上のユーザーさんを紹介させていただいていますね。

でも、ただメディアに載せることを目的にするのではなく、私たちは「ユーザーさんが本当に喜んでくれるかどうか」を最優先に考えています。

たとえば、「男前インテリア」というスタイルがあるのですが、「私は男前インテリアのつもりで部屋づくりをしたわけじゃないのに、男前と言われて嫌だ」という方もいらっしゃいます。そういったことを防ぐため、事前にユーザーさんとメールでコミュニケーションを取って、温度感を確認するようにしています。

RoomClipを通じて、多くの人々の創造性を応援していきたい

高重:僕らはホームランの施策でユーザー数を増やしていったわけではなく、地道にユーザーさんの要望に答えていって、サービスを成長させてきたというのが正直なところですね。

月間250万ユーザーさんというのは、まだまだ少ないほうだと思います。これからも、僕らのサービスの中心は投稿してくれる方だと思っているので、ユーザーさんをリスペクトできる仕組みを、ユーザーさんと一緒に創っていきたいと思っています。

竹野:私はRoomClipを通じて、「生活が楽しくなった」「雑誌に掲載されて世界が広がった」と思ってくれる方を、世の中にもっと増やせていけたらいいなと思っています。

高重:多くの人々の創造性を応援する場所にできるよう、RoomClipというコミュニティをもっと盛り上げていきたいですね。(了)

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