• 富士フイルム株式会社
  • e戦略推進室 マネージャー
  • 一色 昭典

決め手はビッグデータの解釈! 富士フイルムのサイト改善を担うコンサルティングとは

今回のソリューション:【USERDIVE/ユーザーダイブ】

〜自社サイトのコンバージョン数が25%改善!ヒートマップでWebサイトを解析できる「USERDIVE」の使い方〜

Webサイト上で、ユーザーに期待する動きをしてもらうにはどうしたらいいだろうか。その一般的な答えは、ユーザー行動の仮説検証を経てサイトのPDCAを回すことだ。しかし、改善の余地があるポイントをすべて自分たちだけで抽出し、アクションに落とし込んで効果を上げるのはなかなか難しいのが現実だ。

富士フイルム株式会社は、写真、カメラ、化粧品、サプリメントなど幅広い事業をグローバルで展開する企業だ。同社ではベネッセと提携し、「おたんじょうび記念号フォトブック」というサービスを運営している。

こどもちゃれんじの利用者の誕生日にフォトブックを届けるサービスだが、そのWeb上での申し込みの際に、有償版を選ぶユーザーの割合がなかなか増えないことが課題であった。

そこで同社では、Webサイト上のユーザーの行動を解析するヒートマップツールと、サイト改善のコンサルティングサービスをグローバルに展開する「USERDIVE(ユーザーダイブ)」を導入した。

その結果、有償版のフォトブックを選ぶユーザーの割合が25%上昇したのだという。同社のe戦略室でマネージャーを務める一色 昭典さんと藤堂 正寛さんに、そのサービスの魅力について語っていただいた。

▼Webサイト上のユーザーの行動を解析する「USERDIVE」とは…

ベネッセと協力し、「フォトデュケーション」を進める

一色 私は入社以来、ずっと営業とマーケティングに携わってきました。その中でライフサイエンス事業部という、化粧品やサプリを扱う部署でEコマースのチームを立ち上げたり、その後は全社的なWebの販促活動に携わるe戦略推進室に異動しました。

現在は20名ほどのチームのマネージャーを務め、海外支社を含めた全社的なWebの販促戦略を策定しています。

藤堂 私は入社してから2006年までは、福岡で仕事をしていました。地方ですと何でも自分たちでしなければならないので、写真展の開催からアミューズメント施設用の写真システムの開発・営業、顕微鏡につけるデジタルカメラの販売など、様々な業務に携わっていました。

2006年に東京に転勤してからは、ネットプリントサービスに携わっています。2009年頃からWebで発注できるフォトブックのサービス展開を始め、現在は主にこちらの業務に関わっています。

一色 弊社はベネッセさんと提携して、こどもちゃれんじをご利用いただいているご家庭の1歳から6歳までのお子様の誕生日の記念に、フォトブックを無料でお届けするサービスを提供しています。

ベネッセさんは「よく生きる」という企業理念に基づき、子どもと親の関わりを高めてよりよい家族の絆をつくることを目指しています。富士フイルムは健やかな子供の成長をアルバムorフォトブックにすることで、永く人生に残るものを提供したいと考えています。

そしてそれを、写真(フォト)と教育(エデュケーション)を掛けあわせて、フォトデュケーションと呼んで共に活動させていただいています。

有償版を選ぶ人が増えない… ユーザー行動を知るため「USERDIVE」導入

一色 我々の提供するフォトブックには無償版と有償版があります。無償版はソフトカバーの印刷フォトブック、有償版は980円〜で、写真仕上げのハードカバーです。

その家族にとってどちらが未来に向けて残っていくかというのは一目瞭然で、弊社としてはぜひ写真仕上げの方を利用いただきたいと考え、数年かけてフォトブックのサービスページを改善してきました。

ただ、フォトブックそのものを作ったことがない方が非常に多いことと、Webサイト上でサービスを理解していただくことが難しいことから、有償版を選んでくださる方の割合が頭打ちになっていました。

▼無償版と有償版から選択できる、同社のフォトブック

サイトをより良くするために、アンケートやデプスインタビュー(対象者とインタビュアーによる、1対1の面談式インタビュー)を実施してユーザーのニーズを聞き出して、打てる施策はほとんど打っていたつもりでした。

しかし、それでも改善が進まないので、我々のこれまでのユーザー行動の分析とユーザーの無意識の動きに差があるのではないかと考えました。そこで2014年11月に導入したのが、ヒートマップツール「USERDIVE(ユーザーダイブ)」です。

USERDIVEは、サイト内のクリックやマウスオーバーを分析できるツールです。サイト内の実際のユーザーの動きを動画で可視化してくれ、かつヒートマップでユーザーのマウスの動きやクリックポイントを見ることができます。

▼ヒートマップで、Webサイト上のユーザーの動きが可視化される

USERDIVEに決めた理由は、グロースハックの体制をきちっと築いた上で、成果にまでコミットしてくれたことです。

正直私はコンサルが嫌いだったのですが、サイトが抱える課題1つひとつに対して、仮説検証をしっかり行ってアクションにつなげ、目標の数字を達成するまで一緒に頑張りましょう、という姿勢が決め手になりましたね。

第三者目線で、ビッグデータの中の有益な情報をフラットに解釈

一色 弊社では、ツールとしてUSERDIVEを活用しながら、コンサルティングでもお世話になっています。ツールとしても優秀なのですが、いくらいい道具でもそれを使いこなせないと意味がありません。蓄積されたデータの分析・解釈等、チームとして一緒に考えていただいています。

藤堂 目標達成のために、提供元のUNCOVER TRUTHさんにはGoogleアナリティクスのデータを全て取っていただいて、どうやったらハードカバーのフォトブックの発注数を増やせるのか、一緒に深く議論していただきました。

一色 購入者のデータなどのリアルな情報をうまく結合して、単なるヒートマップ解析に留まらずデータアナリティクスに近い動きをしてくださったのは非常にありがたかったです。

ビッグデータってゴミ箱手前のようなものもあるので、どのデータが本当に有益なのか、クレンジングした上でピックアップして解釈する必要があります。そこを第三者目線で見ていただいているのが、本当にいい勉強になります。自分達はサービスに思い入れがある分、なかなかフラットに数値を解釈できない部分がありますので。

思いこみや固定観念からの脱却で、サイトのパフォーマンスが上昇

一色 例えば、フォトブックのサイズを選ぶページがあるのですが、以前はページ数をお客様が自由に設定できるようになっていました。しかし実際にお客様の動きを分析した結果、実はこの「選択」の部分でお客様を悩ませてしまっているのではないかという仮説が浮かび上がってきました。

そこで、UNCOVER TRUTHさんの提案に従って、フォトブックのページ数にパターンを提示し、その中で選択をするようにしたところ、実際にクリック率の向上につながりました。

お客様としては、自由度が高すぎて逆に決めることができなかったのだと思います。でも以前は、すべての決定をお客様に委ねる方が良いと思い込んでいたので、そういった対策を打てていなかったんです。

藤堂 また、以前はフォトブックを発注するフローの初期段階で会員登録を行っていただいていましたが、こちらも改善提案をいただいて外すようにしました。我々としては、最初に登録しておく方がそのあとがスムーズですし、また利用されるお客様もベネッセ会員の方なのでそこまで登録も苦でないだろうという仮説を持っていたのですが…。

けれど実際にA/Bテストで検証したところ、結果はUNCOVER TRUTHさんの提案通りでした。やはり会員登録がない方が、有償版を購入してくださる方の割合が増えていたんですね。ほらね、という感じで数値を見せていただいて、それまでの固定観念を改めるきっかけになりました。

結果的に、導入前と比べて有償版のフォトブックを選んでいただく方の割合は25%アップしました。それを年間売上に直すと、約3,600万円の売上増になります。

もともとサービスサイトは改善作業を重ねて考えられる施策も尽くしていたので、「これ以上できるものならやってみろ!」という位の気持ちだったのですが(笑)、良い意味で期待を裏切っていただけましたね。

顧客のユーザービリティーを徹底的に追求したい企業にオススメ

一色 USERDIVEをオススメする企業としては、お客様のユーザビリティを非常に高いレベルまで追求する企業だと思います。単に良い言葉を並べて商品を売りたい、というだけならUSERDIVEを使わなくても、導線だけをチェックし、ボタンの色などの細部を試行錯誤すれば十分だと思います。

一方でお客様が何を感じ、何を望んでいるか。そういった見えない気持ちを類推して、最終的に気持よくボタンを押してもらうことを目指すための確度の高い分析を求めている企業には良いサービスだと思います。

また、UNCOVER TRUTHは海外にも支社があるので、グローバル展開している企業の場合は便利かと思います。実際にドイツにある欧州本社にて、ドイツ・フランス・スウェーデン・スペインのECサイト改善提案を、現地でフォローをしていただいています。

もともとブラウザのページでUSERDIVEを活用してきたのですが、現在はスマートフォンの方にも検証と改善を拡大しており、こちらにも期待しています。今後もUSERDIVEを活用し、更なるサービスページの改善につなげていきたいと思っています。(了)

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