- 株式会社エウレカ
- 採用・広報担当
- 庄田 一郎
リファラル採用比率が「8割」に!エウレカの「全社で取り組む」採用戦略とは
〜リファラル採用を成功させるカギは何か? 半年間で約40名を社員紹介によって獲得した、エウレカの採用戦略を紹介〜
国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「pairs(ペアーズ)」とカップル向けのコミュニケーションアプリ「Couples(カップルズ)」を運営する、株式会社エウレカ。同社では、職種に関わらず、数値目標を徹底的に追う組織づくりを行っている。
▼同社の組織作りについてお伺いした記事はこちらです。
エンジニアの価値はマーケットが決める!全社員がサービスの成長に向き合うための組織作りとは
その目標達成へ取り組む姿勢は、採用活動にも表れている。
2016年1月より、リファラル中心の採用戦略に舵を切り、紹介目標数の設定とチーム対抗戦での施策に取り組んだ結果、半年間で約40名を社員紹介によって採用することに成功した。
※リファラル採用:社員の紹介や推薦によって、新しい社員を獲得する採用手法のこと
採用が売り手市場となり、企業間での優秀な人材の取り合いが過熱する中、どのようにしてリファラル採用を社内に根付かせたのか。
同社で採用・広報責任者を務める庄田 一郎さんに、社員紹介を促進する方法から採用広報まで、リファラル採用を成功させるためのノウハウを伺った。
リクルートの広告営業からエンジニア採用担当へ。最初は気乗りしなかったが…
私は以前、リクルートホールディングスで、新卒のエンジニア採用を担当していました。それまでは広告営業を担当していて、ちょうど波に乗っていた時期だったので、最初は気乗りしないところも正直ありました(笑)。
採用担当になる前は、採用というものに対して、ある種のマインドコントロールのようなイメージを抱いていました。
しかし、全リクルートグループの新卒のエンジニア採用を担当する中で、「自分の大好きな会社の魅力を正直に伝える事で、一緒に会社をよくする」という、組織を作る面白さに気づいていきました。
もともと独立志向を持っていたこともあり、2年間採用を担当した後、個人事業主として独立し、エウレカの採用業務に携わっていました。そこから社員としてお誘いをいただき、昨年の12月に採用・広報担当として正式にジョインしました。
「採用の9割が外部依存」の状態から、今ではリファラルが8割に!
今は、弊社に入社する方々の8割がリファラル採用です。半年で、約40名に社員紹介で入社していただきました。一方で媒体やエージェント経由での入社は、月に全体の1〜2割程の数となっています。
ただ弊社としても、最初からリファラル採用ありきの戦略を立てていたわけではありません。
私が入社した当初は、採用のおよそ9割が媒体やエージェント経由によるもので、採用力は完全に外部に依存している状況でした。面接なども含めて、経営メンバーの4名の中で運用しており、「採用力は全社員で担保すべきものである」という意識が、ほとんどありませんでした。
「人材がこれからのエウレカにとって大きな資本になる」という揺るぎない事実を、全メンバー社員に認識してほしいと考えました。
そういった状況を踏まえて、このタイミングでリファラル採用を推進していくことがベストだと判断し、私が採用担当として主導する形で進めていきました。
まずは「採用数の半分をリファラルで」という目標からスタート
リファラル採用を成功させるためには、まず「採用は企業価値向上のための全社共通の課題」という認識をメンバー全員が共有しなければなりません。
そのためにも、まずは「1人ひとりの社員全員が採用を頑張らないといけない」という話を、全社会議の場で発表しました。メンバーの反応も良く、日報でその感想を書いてくれた方々もいたのは嬉しかったですね。
▼発表スライドの一部
方針を決めたところで、定量的な目標が無いと進捗状況を図りづらくなってきてしまうので、次は全社採用としての目標を立てました。
具体的には、
「今期の採用目標数の半分をリファラルにすること」
「その他の採用も、自社のブログや媒体サービスを使ってコストを抑えること」
「残りの部分をエージェント経由で採用する」
というものです。
成果を出すために、「チーム対抗合戦」で紹介数を競う!
そこで、社員紹介を促すために、会社内での情報共有を大切にするようにしました。例えば、面接の評価シートのフォーマットと、募集中の職種は全員に共有しています。
評価シートでは、「設定された項目で基準値を上回る人でないと採用は難しい」という基準を設けています。自分のつながりの中から誰を会社へ紹介したらいいのか、事前にメンバー自身に考えてもらうことも重要だからです。
目標に対する成果が大きかったのが、メンバーをグループに分けて紹介数を競う「チーム対抗戦」形式の施策です。
弊社メンバーは、目標達成に対する意識が非常に高いので、その点がうまくマッチしたように思います。
チーム制で取り組むことにより、モチベーションが継続しやすくなります。また、事業部や職種が異なるメンバー同士がコミュニケーションを取り、チームの作り方を考えることは、組織の成長と活性化にも繋がります。
今では、「身近に紹介できる人が減ってきたから」という理由で、社外のセミナーイベントなどに積極的に参加し、新たなネットワークを作りにいくエンジニアも出てきています。
「紹介数が足りないから、こういう企画のイベントを開いてもいいか」という提案も出てきて、採用担当としてはとても助かっています。
ブランディングのためのブログは、「はてブ数」をKPIに
採用活動では、広報もとても重要な役割を持ちます。人とサービス両方のブランディングを行うことがポイントですね。
弊社では、エンジニア職のブランディングとして、自社ブログ「eureka tech blog」にて技術に関する情報を発信しています。
▼eureka tech blog
KPIには、エンジニア間の情報網と相性の良い「はてなブックマーク」の数を置いています。定量的に決めたはてぶ数を獲得することを目標に置き、会社全体で追っています。
設定した目標を達成するまで、記事を書き続けます。マネージャーにもネタを出してもらったりしますし、技術広報ミーティングも毎週開催しています。エンジニアも含めて、数字で成果を出すという風土ができているからこそ実現できることだと感じています。
採用で成果を出すためには「サービスのブランディング」も重要
恋愛・婚活マッチングサービス「pairs」は、世界的に「オンラインデーティング」と呼ばれている事業領域です。サービスの安全性が高く、ビジネスとしても大きく成長している業界なのですが、国内ではひと昔前に社会問題となった「出会い系」サービスと一緒にされてしまうことがあります。
採用においても同じで、内定を承諾していただけるはずだったのに、サービスの印象が起因となって辞退されるケースがあります。これは非常に悔しいことです。
そこで、弊社だけでなく、オンラインデーティング業界全体として、健全なサービス運営を世の中に広く認知いただくため、競合各社と共同でイベントを開催したりしています。このようなイベントは一見サービスをPRしているだけのようにも見えますが、実は採用広報の側面もあるんです。
▼イベントの様子
今年6月に発表した、福利厚生プログラム「baniera(バニエラ)」も、一番の目的はもちろんESの向上にありますが、採用広報にも役立っています。
内容は、オンライン英会話学習の補助、海外カンファレンス参加費の全額負担、pairsを通して結婚したメンバーへのお祝い金など。多様な価値観を持つメンバーが、お互いに認め合い、高め合えるような環境づくりを目指しています。
このように働く環境を整えることで、メンバー1人ひとりに友人や知人を紹介したいと思ってもらえるようにするのも、リファラル採用において大切なことです。
リファラル採用を一過性の取り組みで終わらせないためには
「リファラル採用を始めても一過性のもので終わってしまう…」というお話を、よく聞きます。
それは「なぜリファラル採用をするのか」ということを、社員にきちんと伝えられていないことに原因があるのではないかと考えています。組織の成長のために欠かせない共通課題として、採用を改めて認識してもらうことが重要ですね。
もうひとつは、経営陣や人事・採用担当者のコミットメントだと思います。
結局、上の人が本気で取り組まないと、メンバーも真剣に取り組んでくれません。実際、弊社内で最も紹介者数が多いのは私自身だったりします。
紹介を経由して入社した方と、その方を紹介したメンバーは、お互いに良きライバルとして心地よい緊張感を持った良い関係を築けます。すると、新しく入社したメンバーもまた、積極的に優れた人材を紹介してくれるんですよ。
そういった組織・仕組みを作ることで、今後も会社を成長させていきたいと思います。(了)
SELECKからの特典
当媒体SELECKでは、ツール紹介記事の他にも、500社以上の課題解決の事例を発信してきました。
その取材を通して、目標を達成し続けるチームは「振り返りからの改善が習慣化している」という傾向を発見しました。
そこで「振り返りからの改善」を、botがサポートする「Wistant(ウィスタント)」というツールを開発しました。
「目標達成するチーム」を作りたいとお考えの経営者・マネージャーの方は、ぜひ、チェックしてみてください。