• リレーションズ株式会社
  • デザイナー/エンジニア
  • 植田 将基

新卒エンジニアがデザイナーに転身!?きっかけは「オフィスデザインが生んだ出会い」

今回のソリューション:【OfficeL/オフィスル】

〜2ヶ月というスピードで新しいオフィス空間を作ったデザイン会社「OfficeL」の事例〜

本サービスSELECKを運営するリレーションズ株式会社は、2015年5月にオフィスの増床を行った。主に会議・来客用のスペースとしての活用を目的に作られた新フロアだが、50名規模が収納可能なスペースが生まれたことで、今では「IoT勉強会」「Women’s Carrer Cafe」といった企業の枠を越えたイベントも定期的に開催されている。

この新フロアのデザインをディレクションしたのは、同社新卒2年目の植田 将基さん。実はエンジニアとして入社した植田さんだが、現在では社内でデザインチームを立ち上げるなど、デザイナーとしての転身を目指している真っ最中だ。今回は植田さんに、デザイン会社「OfficeL(オフィスル)」とパートナーシップを組んだ新フロア完成までの経緯を聞いた。

エンジニアとして入社、でもプログラミングが好きになれず…

新卒でリレーションズというスタートアップ企業に入社を決めたのは、他に訪問した企業と比べて明らかに「何か違う雰囲気」があったからです。役職などは関係なく社員が皆フレンドリーで、エンジニアはスーツ着なくてもいいし(笑)。そういった柔軟な社風に惹かれて、入社を決めました。

ただ、僕はエンジニアとして入社したのですが、学生時代にちょっとプログラミングを触ったことがある、という程度のスキルしか持っていませんでした。でも入社してすぐに配属されたのは、新規事業のWEBシステムの開発チームで…。当然、WEBシステムを開発した経験なんてなかったので、まずは勉強から始めました。そして先輩にご指導いただきながら、入社後半年でなんとか動くものが作れるようになった、という感じでした。

でも、どうもプログラミングが好きになれず、今後打ち込んでいける自信も持てなかったんです。そこでエンジニア業を続けながらも、イベントの度に社内カメラマンを買って出たり、社内環境の整備をしたり。自分の興味領域につながる小さな仕事を社内で見つけては、コツコツ取り組んでいくようになりました。

社内スペースの改善案を「勝手に」プレゼンテーションし実行

そんな取り組みの中ひとつとして行ったのが、弊社にあるものづくりのための「クリエイターズスペース」という作業場のリニューアルです。以前は整理整頓が行き届いておらず、正直カオス状態になっていました(笑)。そこでそのスペースの改善案を勝手にデザインして社内発表してみたところ、ぜひ実現してほしいという反響があって。2014年の9月頃から2ヶ月ほどかけて、少しずつ作業を進めていきました。

最初は整理整頓から始めて(笑)、そして組み込み系の作業をする際にハンダ付けがしやすいデスクを設置しました。また、社内にAdobe製品などを使いたい人が割と多かったのですが、使用頻度に対して金額が高いのでそれぞれのPCにインストールできないという状況がありました。そこで特盛りのiMacを1台導入し、映像編集や画像編集といったグラフィック関係の作業がストレスなく行える環境を作りました。

▼リニューアルされた「クリエイターズスペース」

結果的に、普段ものづくりにあまり関わらないメンバーもスペースを利用する機会ができて、以前は関わりが少なかったメンバー同士のコミュニケーションも増えたんです。本当にやってよかったと思いましたし、これをきっかけにオフィス環境が会社に与える影響について興味を持つようになりました。

社長に直訴し、オフィスの増床のデザインディレクション担当に!

クリエイターズスペーズの改善作業をしていたのと同時期に、たまたま近くに座って電話をしていた社長が、同じビルの別階を借りてオフィス増床するらしき話をしているのが聞こえました。そこで、社長の電話終了後にすり寄って(笑)、ぜひ僕も話に混ぜてくださいと直訴しました。これが今回、オフィスデザインに関わりを持ったきっかけです。

最初は、既に会うことが決まっていたデザイン会社との打ち合わせに同席させてもらいました。いくつかの会社さんに会っているうちに、デザインの資料の整理や、打ち合わせの日程調整といったタスクを任せられるようになって。気付いた時には、コンペのディレクションするようになっていました。

あと2週間でデザイン確定!というタイミングで出会ったOfficeL

それまでに頂いていた提案もどれも素敵だったのですが、もっと弊社らしいデザインがあるのではないかと思って、片っ端から画像検索していきました。そして当時の弊社のオフィスに近い雰囲気の写真を発見したのですが、それが、OfficeLさんが手がけたデザインだったんです。しかも場所も弊社のすぐ近所だということがわかったので、すぐさま電話でデザイン提案をご依頼させていただきました。

ただその時、弊社の希望入居時期から逆算すると「あと2週間以内にはデザインが決まっていなければならない!」という状況だったんです。けっこう無茶振りだったと思うのですが、OfficeLさんは弊社の細かいニーズも汲み取っていただいた上で、どこよりも速いスピードで提案を出してくださいました。そしてその上がってきたデザインを見た時に「これだ!」と思ったんです。

一番良かったのは、空間がとても広く感じられる、他にあまり見たことのないデザインだったことです。弊社の特徴としてどんどん荷物が多くなってごちゃごちゃしてしまいがちなので、なるべく不要なものをなくして空間を広く使えるはいいなと思いました。こちらからの要望もすべて反映されて、コストも問題のない範囲でそういったことが実現できていたので、OfficeLさんに決めることにしたんです。

なんとコンペから2ヶ月かからずに、新フロアがオープン!

今回のオフィス増床は、もともと9階だけだったオフィスを同じビルの5階にも拡張するというものでした。9階と5階は明確に使い分けをしようということで、5階はお客様をおもてなしするスペース、9階は使いやすく機能的な執務スペース、というコンセプトを持たせました。

そしてまずは社員のあらゆるニーズを洗い出し、優先順位をつけていきました。OfficeLさんに相談しながらその中のどの要望を反映させるかを決めて、それが固まってからは、OfficeLさんにデザインと施工をお願いし、僕自身も9階の新しい家具の選定といったできることを進めていきました。

スケジュール的にOfficeLさんにはけっこう無茶振りをしたと思うのですが、さらっと「できますよ」と自信を持っておっしゃっていたのが印象的でした。そして、なぜそれが実現できるかという現実的なスケジュールもしっかり立ててあったので、安心感もあったんです。メール等のレスポンスもスピード感がありましたね。

デザインは12月中にほぼ固まり、工事が始まったのは1月16日でした。そして2月9日には、使用に差し支えない細かい部分を除いて、全て完成してしまったんです!これだけのスピードで完成したということに関しては、純粋にすごいと思いました。

新たな会議スペースが生んだ新しい社内文化

5階をオープンしたことで会議や来客向けのスペースが3倍になり、社内で「場所がない!」という事態は劇的に減りました。以前はミーティングの時に外のカフェに行ったりもしていたので、便利になったかと思います。

会議スペースが合計4箇所増えたのですが、弊社の会議は15人ほどになることもあるので、大人数に対応できるようにしています。例えばひとつの大きな机を設置するのではなく、分割できる机2台を結合する形を取り入れました。こうすると会議スペースを臨時で増やせますし、勉強会などで4〜5人のグループに分かれてワークをすることも可能です。また、高さのある椅子と机を置いているので、椅子が足りなくてもスタンディングで参加ができるようになっています。

▼オープンな会議スペースはフレキシブルな活用が可能


一番大きかった変化は、最も広い中央の会議スペースをオープンにしたことで、勉強会やセミナーを開催したいといったそれまでにはなかった声が出てくるようになったことです。

今では社内の勉強会だけではなく、社外向けのイベントも定期的に開催されるようになりました。例えば今流行りの「IoT」の勉強会であったり、女性のキャリアを考える「Women’s Carrer Cafe」などが開催されています。これらのイベントには50名近くの方々にご参加いただくこともあり、これまで交流のなかった企業の方々とつながる機会がどんどん生まれています。

▼「IoT LT」などのイベントを定期的に開催

「デザイン」の価値を実感し、社内デザインチームを立ち上げ!

このように人と人の新しい繋がりが生まれる瞬間を目の当たりにしたことで、オフィスのデザインが変わることの価値を実感しました。そういった意味で今回は、大満足の結果になったと感じています。この経験を通じてデザインが持つ可能性を確信したので、この春からは社内デザインチームを立ち上げ、会社案内のデザインなどの仕事も行うようになりました。今後もオフィスデザインだけでなく、継続してあらゆるデザイン領域にチャレンジしていきたいと思っています。

;