• シナジーマーケティング株式会社
  • BtoB事業部 ProductManagementグループ
  • 矢熊 吉成

電話対応をITで効率化!お客様を待たせない、クラウドAPIを活用した通話システム

今回のソリューション:【Twilio(トゥウィリオ)】

〜約8時間で、クラウドAPI「Twilio」とZendesk,Slack、Salesforceを連携させるシステムを開発し、顧客への電話対応システムを構築した事例〜

顧客に「良いカスタマーサポートだな」という印象を与えるための手段のひとつに、電話対応の改善が挙げられる。

電話をかければすぐに担当者が応対してくれ、爽やかな声とともに、疑問を即座に解決してくれる。顧客は、そんな対応を期待している。

だが、それを実現できている企業はどれだけあるだろうか。とりわけ、専任のスタッフがいない小規模の組織では、なかなか即時に対応できないケースも多い。

CRMツール「Synergy!LEAD」等を提供する株式会社シナジーマーケティング。同社では、クラウドAPIサービス「Twilio(トゥウィリオ)」を活用し、固定電話、携帯電話、Zendesk、Slack、Salesforceを連携させた独自の顧客対応システムを構築している。

顧客からの着信履歴をSlackに通知することで可視化し、顧客への対応スピードを向上しただけでなく、ZendeskやSalesforceとも連携することで、営業活動にも活かすことができているという。

1人でたった8時間でそのシステムを作り上げ、月1,000円以下の料金で運用していると話す、同社エンジニアの矢熊 吉成さんにお話を伺った。

全員野球でサービス運営 問い合わせに専属の対応者がいない…

新卒入社した時からシステム開発に携わっていて、縁あって2010年にシナジーマーケティングに入社しました。

顧客管理システム「Synergy!」の開発や保守を経て、現在はクラウド型マーケティングアプリケーション「Synergy!LEAD」の開発に携わっています。

「Synergy!LEAD」は現在12名のメンバーで運営をしているのですが、基本的に全員が営業とお客様のサポートをするという、全員野球の組織になっています。各自が重点的に取り組む役割はあるのですが、各領域に専任の担当は置いていません。

カスタマーサポートに関しても、ずっとデスクの電話のそばにいる人はいないんです。すると、*お客様から会社の固定電話にお問い合わせがあったときも、対応がその場でできないこともあります。

*以前はそういったケースでは一度お待ちいただいてから、折り返しお電話するという運用をしていたので、お客様に待ち時間が発生していました。

担当者の携帯電話番号を使うこともできるのですが、そうなるとサポートの窓口となる電話番号を1つにできず、お客様からもわかりづらくなってしまいます。

そこで、各自の携帯電話に電話を転送する設定も考えましたが、仕様を変更するだけで7万円ほどの費用がかかってしまうということでした。そこを安く済ませようとすると、他のサービスも抱き合わせで購入する必要があったりして、結局二の足を踏んでいました。

####▼当時のカスタマーサポート体制

お客様→Twilio→各自の携帯電話へ転送

そういった背景から、弊社では「Twilio(トゥウィリオ)」を活用して、お客様からの電話を携帯電話へ転送するシステムを作ることにしました。Twilioは、簡単にWebと電話をつなぐことができるクラウドAPIサービスです。

以前はPBXと呼ばれる、複数の電話機をつなぐ電話交換機を使用していましたが、こちらをTwilioに換え、独自の着信制御アプリケーションを作ってAPI連携させるようにしました。

具体的には、お客様ごとに担当者を割り振って、お客様からの電話が担当の携帯電話に自動的に転送される仕組みを作っています。営業時間外であれば、自動で対応音声が流れるようになっています。

TwilioとZendesk、Slackを連携し、抜け漏れのない体制を構築

システム構築の中では、着信制御アプリケーションをHEROKUサーバーに置いていて、こちらとカスタマーサポートツールのZendeskを連携させることで、通話履歴がその都度Zendesk上に残るようにしました。

すると、例えばあるメンバーが自分の携帯電話に転送された着信を受けられなくても、他のメンバーがZendesk上でその情報を確認できます。

####▼現在のカスタマーサポート体制

実際に携帯電話に転送された後、担当者がその電話に出たかどうかの部分までは分かりません。ただ着信があったときにその担当者のスケジュールを確認すれば、他のメンバーで最適なフォローをすることができます。

また、ZendeskはチャットツールのSlackとも連携させています。すると*着信が来たときにSlackにも通知が流れるので、リアルタイムに着信に気が付くことができます。

問い合わせの内容や対応の履歴はZendeskのチケットに記入しているのですが、その情報もすべてSlackに流れます。*「過去にこの案件ではこういうことあったよね」とか「このお客さんから次に電話が来たら俺が対応するわ」といった感じで、情報共有をしながらサポートを進めることができます。

####▼実際のSlack上でのやりとり

Salesforceとも連携し、顧客情報を管理する手間も効率化

また、お客様の連絡先が変わった際にZendesk上の連絡先を変更すれば、顧客管理ツールであるSalesforce上のデータも自動で更新されます。

以前はお客様の電話番号の変更がわかったタイミングで、ZendeskとSalesforceそれぞれに手入力をしていました。

ただ、一方だけが更新されていることもあって、どちらの情報が最新かわからなくなってしまうこともあったんです。電話を折り返す際にも「Zendeskに登録はないけど、Salesforceには登録がある」という状態のこともあり、その番号に電話をかけたら、全然違うところにかかってしまったり…。

*今ではZendeskとSalesforceがいい感じに連携できていて、問い合わせを受けたらZendeskからSalesforceに新しい情報やお問い合わせ内容が連携されます。

*電話番号などを管理する手間が減っただけでなく、「このお客さんからはこういう問い合わせが来ていたな」といった風に、問い合わせ履歴を営業の参考情報としても活用することができています。

開発もラクラク、8時間で実装 料金も格安

このシステムの実装にかかった時間、は8時間くらいでしょうか。書いたコードは100行ほどで、主にZendeskとの連携部分です。通常業務と平行しながら1人で開発しました。Twilioがサンプルコードを吐き出してくれるので、そこから不要なものを消していくという感じでしたね。

サポートに対応するメンバーを1人増やす場合でも、2行コードをかけばすぐに対応可能になっています。ちょっとしたWebサイトを構築したことがあるとか、少しのプログラムならかけるよ、という人であれば十分に作れるシステムだと思います。

ちなみに、月額108円の050の電話番号を2つ契約し、トータルでも月1,000円未満で運用ができています。お客様からの電話代が1分1円、転送で携帯電話にかかる場合は1分16.2円となっているので、外で転送電話を受ける場合は1分あたり合計17.2円ですね。

電話対応の業務を効率化したい企業にオススメ

小さな企業でも大きな企業でも、顧客サポートの電話対応を効率化したい企業にTwilioはオススメです。費用がかからないので、中小企業で、電話対応を小さく始めるときにも進めやすいですし、大きな企業であれば、コールセンターを効率化できると思います。

実際にセミナーでこの活用法をお話した後に、そのときに参加されていた大手の企業さんでもTwilioを使い始めたと仰っていました。

今後は録音機能を活かし、より一層「誰でも対応できる」状態に

Twilioには留守番電話のような録音機能があります。今後はその機能をZendeskと連携させ、完全に誰も電話に出れなかった場合でも、録音を聞いて誰かが対応できる状態を作りたいと思っています。

Twilioを使ったことで顧客対応のスピードがアップしただけでなく、折り返しなどの無駄も少なくなってプロセス全体が効率化されました。

今後はそこで得た時間を、そもそも問い合わせをする必要がないようにサポートマニュアルを充実させたり、新機能の開発であったり、お客様にもっと満足していただくための仕事に使っていきたいと思っています。(了)

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