- 株式会社東急モールズデベロップメント
- 109事業部 109ネット部 アシスタントマネージャー
- 望月 健太郎
「単なるもの売り」から脱却!ECサイト上でのリッチな接客を実現するFlipdesk
今回のソリューション:【Flipdesk/フリップデスク】
〜訪問者の行動を自動解析し、WEB上で最適な接客ができる「Flipdesk(フリップデスク)」の使い方〜
気軽に買い物ができるECサイトでは、運営側はユーザーと対面しないためリアル店舗で行うような「接客」をすることはできない。
その課題に対しスマートフォン向け販促プラットフォーム「Flipdesk(フリップデスク)」の活用による解決を図っているのが、SHIBUYA109をはじめとしたファッションビルを運営する株式会社東急モールズデベロップメントだ。
Flipdeskを使うと、ユーザーがスマホサイトを閲覧している時に、ポップアップでキャンペーン情報や割引クーポンを表示させたり、チャットを使ったサポートを提供することができる。
自社サイトにタグを埋め込むことで訪問者の行動を自動解析し、状況に応じた最適な接客を実現できるツールだ。同社ネット通販事業部で働く松田 太郎さんと望月 健太郎さんは、同ツールを活用して売上を向上させるだけでなく、自社ECサイトに「エンターテイメント性」を持たせるような仕組みも取り入れている。
その個性的な活用方法について聞いた。
SHIBUYA109のECサイト運用を担う
松田 私は1990年に東急百貨店で働き始め、約11年間務めました。その後食品ブランドの立ち上げや、現代アートのプロデュースなどを経験し、2008年に東急モールズデベロップメントに入社しました。
現在はICT戦略部の部長と、109ネット部の部長を兼任しています。
望月 私は静岡に109が開業したときに東急モールズデベロップメントに入社しました。
そこで立ちあげに関わった後、昨年から109ネット部でCRM担当として顧客分析や施策の実施を行っています。
松田 ネット通販事業部にはエンジニアは在籍していません。システムは外注していて、そのシステムを大枠で見ている人が1人いる程度です。そのような環境の中で、ECサイトをどう戦略的に運用していくかといったことを考えています。
リアル店舗の資産をECに活かすため、Flipdeskを導入
松田 弊社はSHIBUYA109という、リアルの世界で圧倒的な知名度を持つ店舗を持っています。
強力なリアル店舗を持っていることはECサイトを運営する上での優位性になりますが、SHIBUYA109の強みである「カリスマ店員」をもっとECでも活かしていきたかったんです。
そこでFlipdeskを運営している株式会社Socketの代表に相談してみたところ、Flipdeskのチャット機能を活用してWEB上で接客を行うといいのではという提案を頂き、導入を決めました。
試行錯誤のチャット活用も、ECとリアルのピーク時間差に苦戦
松田 導入後1ヶ月ほどは、とにかくFlipdeskのチャット機能を使い倒してみました。
細かい設定が可能なので、例えば画面上のチャットボタンの位置を変更したり、表示する言葉や画像などのクリエイティブを変えてみたりと試行錯誤していましたね。レディースサイトとメンズサイトでの使われ方の比較なども行っていました。
望月 ただ、運用していく上で大きな問題点がありました。ECサイトのピークタイムはリアル店舗の営業時間が終わった後なんです。
夜の時間帯にチャットで対応するには、こちらも通常の勤務時間外に人を割く必要があり、そうすると費用対効果が合わないんですね。
そういった経緯で、まずはチャットではなく、Flipdeskの販促ツールとしての機能を活用していく方向に方向性を切り替えました。
▼ECサイト上で「接客」ができるFlipdesk
お客様にもっと「お買い物を楽しんでいただく」ために
望月 Flipdeskの販促機能の仕組みは、まず訪れたお客様をセグメントすることから始まります。滞在時間や閲覧ページ、検索ワードといった項目を組み合わせながら対象をセグメント化します。
それを元にシナリオを作ってクーポンを提供したり、関心のありそうなページヘの誘導を促していきます。A/Bテストの機能もあるので、複数のパターンを同時に試すことも可能です。
弊社では、この機能を応用して「クーポンおみくじ」企画を実施しました。小吉なら5%オフ、大吉なら10%オフといったクーポンを、4パターンほどA/Bテスト機能を活用し設定しました。
企画の狙いは、「自分で選んだ感」と「当たった感」です。買い物という少しハードルの高い選択の前におみくじというなんでもない選択をしてもらう。自分の行動により出たクーポンには不思議と所有意識が生まれるものです。
クーポンにはその「使わなきゃもったいない」という意識にさせることが大切だと思います。また、自分で選ぶというプチエンターテイメント感によりいつものお買い物が少しだけ楽しくなると思うんです。
すべての方に一律のインセンティブを与えるよりも、少しでも変化があり、当たりハズレのある方が、当たっただけで嬉しくなるものだと思います。
きめ細かい設定とサポートにより広がる活用方法
松田 他には「宝探しゲーム」も実施しました。各画面にクーポンを隠しておいて、お客様に探してもらう企画です。隠されているものはお札で、その金額に応じたクーポンが貰える仕組みになっています。
この企画を実施するにはFlipdesk側でかなり細かい設定をする必要がありました。
例えば「2〜3ページ見た人にはこのクーポンを表示する」というシナリオを設定したかったのですが、実は最初はこの設定はできませんでした。
でも要望を上げたところ、すぐに対応していただけたんです。このようにシナリオが細かく設定でき、サポートもきめ細かいのでとても助かっています。
▼ユーザー行動に応じたメッセージを表示することが可能(右下)
「ただ物を売るだけ」ではない、コンテンツ性のあるECサイトに
松田 今後ECサイトにとって大切なのは、「ただ物を売るだけ」ではなく、コミュニケーションを楽しめるようなエンターテイメント性を持つことだと考えています。リアルとネットの境目が無くなりつつある今、リアルの世界と同じような接客をネット上でも行っていくことが必要です。
店員さんが遠方のお客さんに対しても顔を見ながら接客ができて、実際に商品を販売できるようになることが理想ですね。今考えている例を挙げると、GPSと連動して北海道からのアクセスの場合は北海道の方言で接客する、といったことを試してみても面白いのでは、と思います。
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望月 また、Flipdeskではバナー表示がアニメーションGIFに対応しているので、今後はバナーに「喋らせよう」と思っています。これまで試したもので言うと、「水着」という検索キーワードで入った方に対して「そろそろ海が恋しくありませんか?」という吹き出しをボタンに表示すると、クリック率が上がったんですね。
そこで今後はバナーが「早く押してよ」と言ったり、1万円札の諭吉が「僕を使えばお得だよ」と喋り出す、ようなことを今後は試してみたいですね(笑)。こういった面白い仕組みを作ることで、お客様にECサイトでのお買い物をもっと楽しんでいただければと思います。(了)