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Googleも導入!悩めるリーダーのストレスを緩和する「マインドフルネス」を実践しよう
自分の「ありのままの状態」を認識するための方法として知られる「マインドフルネス」が、ビジネスの領域でも注目を集めています。
マインドフルネスはもともと、仏教における「念(サティ)」を表す言葉である「mindfulness」から来た言葉です。
…と聞くと、少し宗教色を感じられるかもしれませんが、最近では多くの企業が生産性向上や、リーダーシップの向上を目的とし、研修として取り入れています。
最も有名なのは、Googleが2007年に開発したマインドフルネスプログラム「Search Inside Yourself(以下、SIY)」です。
現在こちらはパッケージ化されており、実は先日、弊社もこのSIY研修を、日本企業としては二番目に導入させていただきました。
個人的には、この研修を通じて「ひらめいた!」みたいな感覚はなかったのですが(笑)、特にマネジメントという視点から見ると、良いヒントをもらえた気がしています。
海外では他にも、NikeやApple、Goldman Sachsといった名だたる企業がマインドフルネスを取り入れており、今後日本でも拡大していくことは間違いありません。
そこで今回は、SIY研修で学んだことを一部取り上げつつ、マインドフルネスがどう仕事に役立つのか、そしてその実践法をご紹介できればと思います。
要するに「マインドフルネス」ってどういうこと? 効果は?
日本マインドフルネス学会によると、マインドフルネスとは下記のように定義されています。
(マインドフルネスを)「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」 と定義する。
なお、「観る」は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。
…まぁシンプル化してしまうと、自分の「今」の状態を正しく、客観的に認識する、ということかと思います。
例えば、何か嫌なことがあってムカついているとします。その時に、「私は今怒っている」ということを認識できること、これがマインドフルネスなんですね。
これはいわば「自己認識力」だと思うのですが、これは、スタンフォード大学ビジネススクールの理事会でも、今後のリーダーに必要とされる資質の第一位に挙げられています。
ですが、このマインドフルネスを実践することで、リーダーシップには具体的にどのような影響があるのでしょうか?
例えば、アメリカでリーダー向けのマインドフルネス研修を実施する Institute for Mindful Leadership の調査結果を見てみましょう。
同団体がアメリカの大手食品会社 General Mills のマネジャー123名に7週間の研修を実施したところ、下記のような結果が得られたそうです。
- 集中力が上昇した(+ 48%)
- 個人の生産性が向上した(40%)
- 物事に優先順位をつけやすくなった(+ 34%)
- 会社への満足度が上昇した(+ 31%)
- 強いプレッシャー下でのパフォーマンスが向上した(+ 34%)
上記はあくまでも一例ですが、一般的には、マインドフルネスを実践することで集中力が向上し、また感情に振り回されずに意思決定を行うことができるようになる、と言われています。
今日からすぐ、マインドフルネスを実践できるテクニックとツール
ですが実際に、どうやってマインドフルネスを実践すれば良いのでしょうか。
今回は、1人でもチームでも実践できる、マインドフルネスのテクニックと、役立つツールをいくつかご紹介できればと思います。
①「瞑想」
マインドフルネスで重要なのは「リラックスしながら、今に集中すること」ですが、瞑想を行うことで、最もシンプルにその状態を実現できます。
瞑想の基本は、「自分の呼吸に集中すること」です。そしてマインドフルネスでは、自分の呼吸を意識することが、自己認知の最初の1歩だとされています。
実際にSIY研修を受けたSansan株式会社の西村 晃さんは、下記のように言っています。
呼吸って、普段は全く意識しないじゃないですか。なので呼吸をしていると、認知しようと思っていても、「今日の晩飯は何かな」みたいな感じで、最初は絶対に意識が飛ぶんです。
でもそこで、「呼吸に集中できていない」ことをまた認知しようとする。このトレーニングを行うことで、脳をジャック(※)されることなく、自分で自分の感情をコントロールできるようになると。
※ジャック:その場の感情に、脳が支配されている状態
出典はこちら
このように、瞑想を行う際には、まず自分の呼吸を認知します。そして自分の意識が呼吸からはずれてしまった際には、意識的にそれを元に戻します。
最初は別の考え事であったり、周囲の音にすぐに意識が飛んでしまうかと思います。その意識が飛ぶこと自体がNGなのではなく、それを認識して、意識を呼吸に戻す。
これを繰り返すことで、自己認識力を高め、常に自分の「今」の状態に意識を向けるためのトレーニングを行うことができるのです。
瞑想は、アプリを使って行うこともオススメです。
例えば Insight Timer は、世界400万人が使う、世界で最も有名な瞑想アプリのひとつです。
瞑想に最適な音楽やベルの音が用意されているので、それを使いながら瞑想を行い、その記録を残すことができます。
また、チャットツールとしてSlackをお使いの方は、チームで瞑想ができるアプリケーション「Stop, Breathe & Think」を活用されるのもオススメです。
※Slack連携せずに、個人で使うスマホアプリとしても使えます。
※「Slackって何?」という方は、こちらの記事をご覧ください。
Stop, Breathe & Thinkを使うと、botの質問に答えていくだけで、今のコンディションに応じた最適な瞑想法を教えてくれます。
▼「今の気分は?」「体調は?」といった質問に答えていきます
また、特定のチャンネルで、みんなでスケジュールを決めて瞑想することができます。
②「ジャーナリング」
ジャーナリングは、ひとつのテーマにつき数分間、自分の頭に浮かんだワードを手で書き出すというものです。
止まらずに書き続けることで、自分の頭の中にある考えを整理することができます。
止まってはいけないルールがあるので、「ムリムリ!」とか思いながらも、とにかく書くんです。
すると、同じ言葉が繰り返し出てきたりするんですよ。例えば「自己実現とは」というテーマでジャーナリングをしたときは、「正直さ」みたいなキーワードが5回くらい出てきていて。たぶんこれは自分の中で、自分に正直であることが大事なんだろうみたいな。
出典はこちら
これは紙とペンさえあればすぐにできますので、ぜひ実践してみてください。
③「マインドフル・XXX」
これは、マインドフルな状態で何らかの行動をする、という意味で、「XXX」に入るのは、実はなんでもいいんですね。
例えば…
- マインドフル・リスニング:相手の話を「聞くこと」に集中する
- マインドフル・イーティング:ひとつひとつの食材の味や食感に集中して食べる
- マインドフル・ウォーキング:一足一足、集中しながら歩く
といった形です。
個人的には、SIY研修後、マインドフル・リスニングはかなり意識しています。
誰かの話を聞いていても、実はいつのまにか「私はこう思う」と自分のことを考えていたり、意識が他所に飛んでいることって多いんですよね。
そうではなく、相手の話だけをしっかり集中して聞くことで、その場その場の感情や思いつきに支配されることなく、冷静に話を受け止めることができます。
④「マインドフル・ベル」
これはいわゆる「ベル(鐘)」です(そのまま)。
▼弊社で購入した「マインドフル・ベル」
このベルを鳴らすことで、「瞑想に入るきっかけ」であったり、「意識を今に集中するきっかけ」を作ることができます(これが意外と良いのです)。
弊社の場合は、ミーティングの最初にこのベルを鳴らして、みんながすっと会議に入れるようにしたりしています。
先ほどご紹介したSansan株式会社でも、SIY研修後にマインドフル・ベルを購入されたそうです。
「マインドフル・ベル」というベルをデスクにおいている部署があるんですよ。チーンと鳴らして、そのあとに30秒くらい瞑想をするんですけれども。ちょっと落ち着こうというときに、鳴らしてみています。
出典はこちら
最後に…
今回はマインドフルネスについて、簡単にご紹介しました。本当に「さわりだけ」という感じではあるので、ご興味をもたれた方は、ぜひ詳しく調べてみてくださいね。
個人的にはこういった概念を学習する機会があって、非常に良かったなと思いました。
特にリーダー・マネジメント・中間管理職の方などは、仕事におけるコミュニケーションなどにストレスを抱えていることも多いと思います。
そのストレスを少しでも減らすために、マインドフルネスを実践して自分と向き合い、心を整えることは役に立つかもしれません。
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