- ギークス株式会社
- 新規事業開発室 アプリ開発エンジニア
- 田宮 幸子
クラッシュ率が1%未満に!バグ解析からデプロイまで、Fabricでアプリ開発・運営を効率化
今回のソリューション:【Fabric/ファブリック】
〜バグ検知も可能な無料ツール「Fabric」の導入により、ネイティブアプリのクラッシュ発生率を平均1%以下に抑えることに成功した事例〜
最近では多くの企業がiPhone/Android端末向けのネイティブアプリを開発するようになり、利用者のアプリ選択の幅も広がった。それに伴い、完成度が高いアプリでなくては、市場に受け入れられなくなっている傾向がある。
2015年1月にゴルフ用品専門フリマアプリ「golfpot(ゴルフポット)」をリリースしたギークス株式会社。同社では、Twitterが運営するモバイルプラットフォーム「Fabric(ファブリック)」を活用してバグ検知を自動化し、アプリのクラッシュ発生率を平均1%未満に抑えることに成功したそうだ。
Fabricを導入すると、アクセス解析やデプロイ作業など、アプリ運営に欠かせない多くの業務が効率化されるそうだ。「Fabricは、どんどん新しいアプリをローンチしている会社にオススメ」と語る同社エンジニアの横関 秀樹さんと田宮 幸子さんに、詳しいお話を伺った。
アプリのバグ修正に時間がかかることに、危機感を感じていた
田宮 新卒で入社した会社でデザイナーをしていたのですが、ギークスキャンプというプログラミングと英語をセブ島で学べるプログラムへの参加をきっかけに、2015年2月にギークスに入社しました。
現在はアプリエンジニアとして、ゴルフ用品を取引できるフリマアプリ「golfpot」や、エンジニア専用の転職アプリである「Swipee(スワイピー)」をはじめとする新規アプリ開発や、WebサイトのLP作成など、幅広い業務を行っています。
横関 新卒で大手の通信会社に入り、官公庁の案件に関するシステム開発のマネジメント業務を1年半ほど担当していました。ただ、そこでは学生時代に学んできたプログラミングには、触れることができなかったんです。
そんなときにギークスキャンプを見つけて参加し、入社したという経緯になります。ギークスでは様々なポジションを経験しつつ、ネイティブアプリの技術リーダーとして、管理ツールなどの提案を行ってきました。
golfpotのリリース直後に感じていた課題が、バグの修正まで時間がかかるということでした。当時はユーザーからバグに関するお問い合わせをいただいて、調査を開始し、思い当たる節から原因を究明する、というフローをとっていました。
ただ、原因がすぐに特定できず、バグの改修に数日かかることもありました。また、そもそもバグがあると、問い合わせをする以前に使用を止めてしまうユーザーもいます。この状況に危機感を感じて、何らかのバグをレポートするサービスが必要だと感じていました。
バグレポート、アクセス解析、デプロイ機能が使えるFabric
横関 他の事業部で使っていたクラッシュ解析ツールは有償で、まだ採算が取れるか分からない新規事業に導入するのは難しかったんです。そこで、バグのレポート機能も持つ、アプリ開発ツール「Fabric(ファブリック)」を導入しました。無料であるだけでなく、高機能かつUIが優れていたことが導入の決め手でした。
一般的には、無料ツールは使用量に制限があったりするのですが、Fabricではそれが無いんですよね。具体的に、弊社で使っているFabricの機能は3つあります。
田宮 ひとつ目は、バグのレポート機能です。どのファイルの何行目の部分で実際にクラッシュしているか、というところまでがわかるようになっています。
例えば、Images.mmというファイルがあったとします。すると、「このファイルの582行目で落ちていますよ」という部分まで表示されるので、バグの原因が瞬時に突き止められるようになりました。
▼どこにバグの原因があるかすぐに分かる!
田宮 ふたつ目が、アプリのアクセス解析です。DAUやMAUがわかるだけではなく、今現在、具体的にどれだけのユーザーがこのアプリを立ち上げているか、といった情報もリアルタイムで確認できます。
特定の画面に入ったユーザー数などを把握できるので、プッシュ通知を打った後や、イベントを行った後のインパクトもリアルタイムにわかります。
▼DAUなどの数値や、リアルタイムのアクセス情報も確認可能
横関 最後が、デプロイ機能です。テストをする際に、アプリをテストユーザーに配ることができます。それまで使っていたテストフライトというデプロイツールがサービスを終了するということだったので、Fabricのデプロイ機能を使えるのはありがたかったですね。
気持ち良いUI 導入もとても簡単
横関 また、Fabricは、UIも優れていて、他のバグレポートツールのように無機質なデザインではありません。単純に画面がカッコいいんですよ。社内で特にウケが良かったのが、バグ改修時のUIです。
バグの管理の中で、既に改修したものについては「Close」というボタンを押すのですが、すると「バーン!」とスタンプが押される画面が出てくるんです。ゲーミフィケーションのような楽しいUIになっているので、バグ改修の管理も気持ち良いです(笑)。
▼バグを改修すると、スタンプが!
田宮 ちなみに、登録時のUIも優れていて、とても簡単に使い始められます。登録に必要な情報を入力すると「よくできたね、はい次!」みたいな感じでサクサクと進めていくことができました。
クラッシュ率が5.8%⇒1%未満に 対応スピードもアップ
横関 Fabricを導入する前は、「◯◯の機能が使えません」というお問い合わせがあったとしたら、バグの原因になりうる箇所を複数挙げて、例えば「バグの原因になり得る場所は5つあるから、ひとつずつ調べていこう」という感じで対応していました。
これだと、仮に1つの原因を突き止めるのに1営業日かかるとしたら、バグに対処するのに1日×5個=1週間ほどかかってしまうこともありました。
それが、Fabricを導入してからは、問い合わせをしてきたユーザーIDに関するバグレポートを見て原因を突き止められるようになりました。このおかげでバグがあっても1日ほどで直せるようになりましたね。
田宮 バグへの対応がスピーディにできるようになった結果、導入した当時は5.8%だったクラッシュ率を、平均1%ほどに下げることができました。
新しいアプリをローンチする会社にオススメ!
横関 Fabricは、どんどん新しいアプリをローンチされている会社にオススメですね。理由は高機能かつ、無償で導入できるからです。アプリ単位で課金がされる開発ツールですと、採算が取れるとわかっているサービスでなければ導入がなかなか難しいと思うので。
田宮 Fabricは次々と機能が追加されており、驚くほどの開発スピードです。試してみて、使えそうな機能はどんどん運用に活かしています。これからも、Fabricを活用しながら、品質の高いアプリを開発していきたいです。(了)