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「自分だけのAIノート」で学習効率10倍!? Google発「NotebookLM」の使い方を徹底解説
ますます盛り上がりを見せる、AIツール市場。過去にSELECKでもご紹介してきた、ChatGPTやClaude、Feloなど、気軽に使えるAIツールは個人の活動からビジネスシーンまで幅広く活用されています。
しかし、「AIと対話すればするほど、情報が溢れてしまって整理が追いつかない…」「トピックやテーマ別に情報を整理したい…」などと感じたことがある方も多いのでは?
そんな方々におすすめしたいのが、自分だけのナレッジベースを作成できるGoogle発のAI搭載ノートブック「NotebookLM(ノートブック・エルエム)」です。
その大きな特徴としては、自身のGoogleフォルダ内のデータやPDF、YouTube動画などのデータを学習させた上で、ノートブック形式で情報を整理できる点にあります。
▼NotebookLMの画面
AIと対話しながら情報を整理できるだけでなく、生成内容をメモやノートとして残せちゃうんです…!日常での学習が捗りそうな予感です。しかも、Googleアカウントさえあれば完全無料で利用できます。(※2024年11月6日時点)
そこで今回は、NotebookLMの特徴から基本的な使い方、活用事例までをまるっとご紹介します。特に、AIを使って学習効率を上げたい!という方におすすめですので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
<目次>
- 「NotebookLM」は他のAIツールと何が違うのか?
- 早速、NotebookLMを使ってみましょう!
- 英語学習も可能。ポッドキャスト生成機能「Audio Overview」
- NotebookLMと一緒に使いたいAI搭載の論文検索サイト「Elicit」
※本記事に掲載している情報は、記事公開時点のものになります。サービスのアップデートにより情報が記事公開時と異なる可能性がございますので予めご了承ください。最新の情報については、NotebookLMのサポートページをご参照ください。また、記事の内容についてご意見や修正のご提案がございましたらこちらまでお願いします。
「NotebookLM」は、他のAIツールと何が違うのか?
改めて、「NotebookLM」とは、Googleが開発したAI搭載のノートブックツールです。
高度な推論機能をもつGemini 1.5 Proを搭載したAIツールとして注目を集めていた中で、2024年6月から日本でも利用可能になったことを機に一気に国内でも話題となりました。
その機能としては、ユーザーが読み込ませた資料や情報をもとに、要点をまとめたり、質問に答えたりといった形で学習をサポートしてくれるのが特徴です。
GoogleのJapan Blogに2024年6月6日に投稿された記事では、NotebookLMは以下のように紹介されています。
「私たちが NotebookLM で目指してきたのは、複雑な資料を理解して精査し、情報から新しい類似性を見つけ、下書きなどをすばやく作成するのに役立つツールの開発です。研究論文や取材記録、仕事でのドキュメントなどの参照文献(ソース)をアップロードすると、NotebookLM がそれらの重要な資料を理解し、必要なサポートを提供します。」
※引用:NotebookLM を日本語でも提供開始。ウェブサイトや Google スライドにもサポート – Google Japan Blog
つまり、NotebookLMは資料を「理解」「分析」「活用」する一連のプロセスを、効率的にサポートする機能を備えているのです。
では、具体的にどのようなことができるのかというと、以下のようなものが挙げられます。
- Googleドキュメントをベースに質問・回答生成が可能
- テキストファイルやWebのURL、YouTube動画、PDFデータなども学習させられる
- チャットボックスに質問や指示を入力することで、要約や検索が可能
- 各ノートには最大50個のソースを読み込ませられる
- 回答の参照箇所がインラインで表示されるため、文脈を確認することが可能
- 生成内容をもとにポッドキャストを作成可能(※現在は日本語に非対応)
- 作成したノートブックを他のユーザーと共有可能
YouTubeやPDFデータなどをアップロードした上で要約や質問ができると聞くと、「他のAIツールとあまり変わらないのでは?」と思われるかもしれませんね。
しかし、NotebookLMならではの大きな特徴があります。それが「ユーザーがアップロードしたデータからのみ情報を抽出・要約してくれる」という点です。
一般的なAIツールは、開発企業独自のデータベースやWeb上の情報など、事前学習されたさまざまな情報から回答を生成するため、不正確な情報が含まれる可能性がありました。
その一方で、NotebookLMの回答はユーザーが学習させた限られたデータからのみ生成してくれるので、ハルシネーション(間違えた回答)を最小限に抑えられる点が大きなメリットです。
また、ChatGPTやClaudeなどはチャット形式のUIUXですが、NotebookLMはあくまで「ノート形式」なので、情報をテーマごとに整理できるほか、新たなアイデアや思考メモなどを追記しておけるのが嬉しいポイントです。
<NotebookLMの活用シーン>
では、実際にどのようなシーンでの活用可能性があるのか、せっかくなので、NotebookLMのサンプルノートとして公開されている「Introduction to NotebookLM」のノート内で質問してみました。その回答結果がこちら。
研究:
- 複数の研究論文をNotebookLMにアップロードし、「○○に関する既存研究の主な findings は何か?」という質問をすることで、関連研究の概要を把握することができます。
- 論文の執筆中に、NotebookLMに「この議論を裏付ける根拠となる引用を提案して」と指示することで、適切な文献を見つけることができます。
ビジネス:
- 会議の議事録をNotebookLMにアップロードし、「○○について誰がどのような意見を述べたか?」という質問をすることで、議論の内容を整理することができます。
- 顧客からのフィードバックをNotebookLMにアップロードし、「顧客が最も不満に思っている点は何か?」という質問をすることで、製品やサービスの改善点を把握することができます。
教育:
- 授業で使用する資料をNotebookLMにアップロードし、学生に「この資料の主要なポイントを3つ挙げよ」という課題を出すことができます。
- 学生が作成したレポートをNotebookLMにアップロードし、「このレポートの改善点と、その根拠となる情報を示せ」というフィードバックを返すことができます。
研究や教育をはじめ、主に「学ぶ」シーンでかなり活用できそうですね。
補足として、2024年10月に企業や組織単位で利用できる「NotebookLM Business」が発表されています。一般提供開始の時期と価格については、2024年後半に発表予定とのことです。
社内でのAIデータ活用がより一層進むことで、マーケティング施策の検討や、マニュアルを活用した新人研修など、ビジネスシーンでの活用も広がりそうですね。
<学習させるデータの取扱いについて>
最後に、AIツールを使用する際にやはり気になる点は、「読み込ませた情報がAIの学習に利用されてしまう可能性」ではないでしょうか。この点について、NotebookLMは、アップロードされたデータがAIの学習に使用されないことを明確にしています。
実際に、NotebookLMを起動すると、最初の画面で「個人情報がAIのトレーニングや改善には利用されない」という方針が明示されます。
ただし、個人情報や機密情報を含むドキュメントのアップロードは推奨されていませんので、十分に注意を払いながらご自身の判断のもとでご利用くださいね。
早速、NotebookLMを使ってみましょう!
それでは早速、NotebookLMの具体的な使い方をお伝えしていきます!
NotebookLMはモバイル用のアプリは提供されていないため、パソコンまたはモバイルのWebブラウザからの利用になります。また、利用にはGoogleアカウントが必要になりますので、まだアカウントがない人はこちらから作成しておきましょう。
Googleアカウントにログインした上でNotebookLMの公式サイトを開くと、以下のような画面が表示されますので、画面中央の「作成」をクリックします。
次に、読み込ませたいデータや資料をアップロードしましょう。
現在、NotebookLMに読み込ませられるデータの形式は以下の通りです。
- Googleドキュメント・スライド
- PDFファイル
- Markdown
- テキスト
- WebページのURL
- YouTube動画
- 音声ファイル(MP3、WAV)
なお、アップロード時には以下のような注意点があります。
- CSVやExcelファイルなどは非対応
- 1つのソースにつき最大50万字
- 各ソースは200MB以下
- Webページはテキストコンテンツのみが対象(画像や動画はインポートされない)
- YouTube動画は、「公開動画」「音声が含まれているもの」「公開から72時間以上経ったもの」のみ対象
- YouTube動画が非公開に設定されると、30日以内にNotebookLM上から削除される
また、Googleドライブ経由でアップロードしたデータに関しては、元データを編集した際にNotebookLM上には自動で反映されない点に注意が必要です。編集が検知されると表示される「クリックしてGoogleドライブと同期」というボタンから、都度更新する必要があります。
※アップロードできるデータについてより詳しく知りたい場合は、こちらのページをご覧ください
今回は試しに、厚生労働省が公開している「大学におけるキャリア教育の 内容と課題」というPDF資料を読み込ませてみました。アップロードが完了すると、読み込ませた資料は、画面左側の「ソース」に一覧で表示されます。
そして、同時に「ノートブック ガイド」が表示されます。「作成のサポート」「概要」「音声の概要」「質問の候補」という4つのメニューが用意されており、それぞれの詳細は以下の通りです。
- 作成のサポート:アップロードした資料を基に要約やテキストを生成したり、質問が可能
- 概要:アップロードした資料の要点を自動的に抽出・要約
- 音声の概要:アップロードした内容を会話形式の音声に変換
- 質問の候補:資料の内容に合わせて自動的に質問候補を生成
次に、メモを作成してみましょう!
今回は、「作成のサポート」の「よくある質問」をクリックしてメモを生成してみました。生成が完了すると、以下のようなポップアップ画面が表示されます。
画面の見方は以下の通りです。基本的には、「ソース」「メモ」「チャットボックス」の3つのシンプルな構成になっています。ノートのタイトルは自由に設定できますので、テーマに沿って変更しておきましょう。
そして、左のソース一覧に表示されている資料をクリックすると、各資料の概要や詳細な内容を閲覧できます。
さらに、ソースガイド内の「主なトピック」をクリックすると、AIチャットボックスが開き、プロンプト内容に対しての回答が生成されます。
回答内容には、どこの情報を参照にしたのかがインラインで表示されます。それぞれの数字をクリックすると該当箇所を表示してくれるため、文脈の確認などもスムーズです。
<チャットボックスにプロンプトを入力する>
次に、資料の内容について質問を投げかけてみましょう!
NotebookLMでは、「キャリア教育の課題は?」といった事実を確認するような質問だけでなく、「キャリア教育における課題の解決案を5つ提示してください」といった創造的な会話も可能です。一方で、計算能力は低いとのことで、アップロードした資料内のデータを引っ張ってくる以上のことは回答が不安定になるとのことです。
それでは早速、チャットボックスに「キャリア教育における課題はなんですか?」と入力してみました。
その回答結果がこちら。箇条書きや太字を用いながら、かなりみやすく整理してくれているのではないでしょうか…?
チャット内で生成された回答は、メモとして個別に保存できます。回答の一番右下に「メモに保存」というボタンがありますので、そちらから保存が可能です。
<ソースを追加する>
次に、ソースとなる資料やデータを追加してみようと思います。画面左のソース一覧にある「+」ボタンから追加できます。
今回は、YouTube動画をアップロードしてみます。文科省が公開している「令和4年度 全国キャリア教育・進路指導担当者等研究協議会(1)」という動画を読み込ませてみました。
すると、たった数秒で音声の文字起こしが表示されました。動画自体の閲覧は出来ないようです。この内容を元に、同様に質問を投げかけることができます。
<メモを自由に追加する>
NotebookLMのメモ機能は「チャットでの生成内容」をそのまま保存できるのはもちろん、独自のメモも作成できです。画面上部の「メモを追加」から、自由記述式のメモを作成できます。
メモの編集は以下のような画面で行えます。太字、斜線、箇条書き、文字スタイルなど、基本的な操作が可能です。
<複数のメモをまとめる>
「メモが増えてきたので整理し直したい…」という時も簡単。メモを複数選択すると表示される画面下部のメニューバーから、要約を作成したり、グルーピングしたりといった作業が可能です。
以下、それぞれのメニューを試してみました。特に「学習ガイド」は、どういった観点から情報を整理して学ぶべきか?を表示してくれるため、学習の際の指針としてかなり活用できると感じました。
▼要約
▼学習ガイド
▼概要を作成
▼まとめてメモを作成(グループ化)
<ノートブックを新規作成する>
「違うテーマでノートブックを作成し、一からソースをアップロードしていきたい…」という時は、画面左上の「NotebookLM」をクリックするとノートブック一覧のページに移動できます。
こちらがその画面です。「新しいノートブック」と記載されたボタンから作成できます。
<ノートブックを外部に共有する>
作成したノートブックは、他のユーザーに共有できます。共有設定はアカウントの種類によって異なり、個人用Gmailアカウントであれば最大50人までと共有可能で、エンタープライズアカウント(company.comドメインなど)の場合は、共有できるユーザー数に限りがないとのことです。
共有は、画面右上の「共有」ボタンから可能です。(筆者は、何度やり直してもボタンの文字が縦並びで、うまく表示されませんでした…)
以下のポップアップ画面から、共有したいユーザーのメールアドレスを入力しましょう。リンクをコピーして渡す形でも共有できます。
共有の際には、以下いずれかのアクセス権限を設定できます。
- 閲覧者:ノートブック内のソースやノートを閲覧できるが、内容の変更は不可
- 編集者:ソースやノートの追加・削除、さらには他のユーザーとの共有も可能
英語学習も可能。ポッドキャスト生成機能「Audio Overview」
NotebookLMを使用して特に感動したのが、「Audio Overview」機能です。その機能を端的にお伝えすると、ノートブックの内容を要約したポッドキャストを自動生成してくれるというもの。
2名のAIホストが、ノートブックの内容について自然な会話形式で解説してくれます。生成された音声はバックグラウンド再生が可能で、ダウンロードにも対応しているため、他の作業をしながらの「ながら聴き」もできちゃうんです。
ただ、一点だけ惜しいのが、現在は英語のみの提供とのこと。とはいえ、英語を勉強されている方には、リスニング力強化に良いコンテンツになるでしょう。
ポッドキャストの生成方法は簡単。「Notebookガイド」を開くと、「音声の概要」というメニューがあります。そのメニュー内にある「生成」と書かれた青いボタンをクリックするだけ。
一点補足として、音声を生成する際に「どのポイントに焦点を当てて話すのか」といったカスタマイズを行うことができます。複数のソースをアップロードしている際には、ある程度焦点を絞った方が良さそうですね。
実際に、「キャリア教育」についてまとめたノートブックの情報をベースに、ポッドキャストを生成してみました!
生成には数分かかる場合もあるとのこと。今回は2分ほど待つと以下のような画面に遷移し、約13分の音声データが生成されました。再生速度の変更も可能で、0.5倍から2倍まで細かく調整できます。
※実際に出来上がった音声はこちらからお聴きいただけます。
筆者としては、音質や会話のテンポの良さにかなり感動しました。とはいえ、やはり日本語対応が待ち遠しい…!というところで、今後のアップデートに期待です。
NotebookLMと一緒に使いたいAI搭載の海外論文検索サイト「Elicit」
これだけ学習効率が上がるなら、海外の文献も取り入れてより深く学習したい、というニーズもあると思います。そこで、最後におすすめしたいのが、AI搭載の論文検索サイト「Elicit」です。
入力したプロンプトに基づいて1億2500万件以上の論文から最適な文献を探し出してくれるだけでなく、各論文の要旨やまとめの表示、複数論文からの表や要約の作成など、無料プランでも充実した機能を利用できます。
とてもシンプルなUIUXで操作も簡単。興味のあるテーマを入力すると、代表的な4つの論文の要約と、関連性の高い論文のリストが表示され、それぞれの要旨を確認できます。そのため、逐一論文を開かずとも、自身の探している内容かどうかを判断でき、効率的に文献を探せるのが嬉しいポイントです。
論文一覧では、並べ替えやフィルターの設定も可能です。フィルターでは、PDFデータの有無や出版年、論文の品質、研究の種類などを選択できます。
各論文の気になる箇所だけNotebookLMのメモに貼り付けてもいいですし、論文全体をダウンロードしてソートとして読み込ませるのも良いでしょう。ぜひ一緒に活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、NotebookLMの概要から使い方、また具体的な活用事例までをお伝えしました。日々新しいAIツールが登場する中で、生成された情報の整理に課題を感じている方も多いのではないかと思います。そんな方にこそ、自分だけのナレッジベースを構築できる「NotebookLM」を、ぜひ試してみてもらえたら嬉しいです。音声生成機能の日本語対応も含め、今後のアップデートからも目が離せません。(了)