- 株式会社セプテーニ
- クリエイティブ部 チーフディレクター
- 加来 幸樹
情報の「受信者」を「発信者」に より良いアウトプットを導くSlideShare活用術
今回のソリューション:【SlideShare/スライドシェア】
「オンラインで知識を共有(シェア)する」という目的のために立ち上げられた「SlideShare(スライドシェア)」は、プレゼンテーションを共有する世界最大級のコミュニティだ。
インターネット広告事業を展開する株式会社セプテーニで、クリエイティブ部のチーフディレクターを務める加来 幸樹さんは、そのSlideShareを大きく分けて3方向で活用している。
活用法の1つ目は自分のインプットのため、次に自分のアウトプットのため、そして最後に組織での活用だ。「アウトプットのスキルを上げたい人にこそ、おすすめの組織での使い方がある」という加来さんの、SlideShareの活用法を聞いた。
新卒入社後、クリエイティブとマーケティングの世界を経験
2006年に新卒で入社して、今年で10年目になりますが、入社した当時はクリエイティブが重視される時代でもなくて、その領域の社員もほとんどいませんでした。
ちょうどその時、会社が持ち株会社化するタイミングで、サイトや会社案内のパンフレットなど、会社関連の諸々のデザインをリニューアルすることになり、1年目にも関わらず社内デザイナーのような役割で制作に携わりました。
当時はまだHTMLも理解できていない中で自社サイトのデザインや撮影をするなど、右往左往しながら進めていきました。
その後はサイト設計やディレクションをメインに担当し、コミュニケーションデザインの領域やソーシャルメディアマーケティングも経験しました。現在は会社全体の制作物のクオリティを底上げするためのチームで、クリエイティブディレクターをしています。
5年前から、インプットの手段としてSlideShareを活用
SlideShareを初めて見たのは、5年ほど前です。その時の上司が海外サービスに詳しい人で、SlideShareにある資料を「これだけは英語がわからなくても見とけ」「辞書を開きまくってでも理解しろ」という感じで共有してくれていたんです。
ちょうど業務領域もソーシャルメディア系だったので、特にいい事例や考え方は、海外の方が断然多いような時代だったんですよね。
そうした経緯でSlideShareの存在を知って登録していましたが、その頃はまだ自分が使うサービスとしてではなく、情報収集や考え方をアップデートをする目的で使っていました。インプットのひとつの手段という捉え方でしたね。
今でもソーシャルメディアマーケティングにおいては海外事例が重要だと考えているので、引き続きSlideShareをケーススタディの材料収集として使っています。きれいにまとめられている情報がたくさんあるな、と感じています。
ソーシャルメディア世代だからこそできるアウトプットも開始
その後2012年くらいから、個人として少しずつアウトプットもしていくようになりました。
最初は「Ad:techに行きました」というようなテーマで、そこで見た作品の傾向をまとめてみたり。僕の場合は、資料を作る時も、最終的にどこかにアウトプットできるかもしれないと思うと綺麗に作ろうというモチベーションが上がるんです。
アウトプットのゴールが自分や会社のためでも良いのですが、世の中に出せるっていうのは今の時代ならではですよね。
共有したものに対するリアクションがTwitterやFacebookで、全く知らない人経由で見えるのが面白いなって思います。それこそソーシャルメディア時代以降にしか成し得なかったことだと思うので。
社内勉強会に使えそうなスライドを発見し、組織での活用を模索
最近もう1つ、SlideShareの面白い使い道があるなと思って、いろいろ試しているところなんです。
SlideShareにはたくさんの良いスライドが上がっていますが、その中には「見やすいプレゼン資料の作り方」のような33万ビューほど見られているすごい資料もあります。
プレゼン資料の作成代行会社の方が作ったもので、とても本格的に作られているのですが、そういったスライドをもっと活用できないかと考えています。
先日社内勉強会で急遽、登壇する機会があったのですが「何かやらなきゃ勿体無い・でも手元に新しい資料がない」という状況で、そのプレゼン資料のスライドを思い出したんですね。
もともと僕は、社内で担当者が個別に作るプレゼン資料に課題を感じていたので「じゃあ、あの資料を使って話したらどうだろう」と思ったんです。そのスライドを前日に30分くらいだけ読み込んで、当日、自分が作ったとは言わずに喋ってみたんです。
聞く側・話す側 双方にとっていいことしかない!
そうすると、多くの社員から参考になったという意見を貰えて。僕としても、スライドを読むだけではなく、話したことによってきちんと自分の中に浸透して、知識にすることができたと感じたんです。
それからこのようなSlideShareの使い方もかなり面白いのではないかと思うようになりました。
準備時間もいらない、話す方も聞く方もスキルアップする。「いいことしかない」みたいな。今後もいろいろなスライドを活用することを試してみたいと思っています。資料を作る手間も効率化できますしね。
情報を「受ける側」がもっとアクティブになることが重要
世の中ではまだ、「情報を出す側と受け取る側」のような構図がやはりあって、受け取る側の方がボリュームで言うと恩恵を受けやすいですよね。でもその恩恵を受けてただインプットするだけではなくて、それを自分がアウトプットをするための材料にできるケースはもっとあると思います。
今は情報を受け取る側にいる人でも、アウトプットするスキルを上げたいと思っている人には、SlideShareの新しい使い方として僕がやったみたようなことを試してもらえたらいいな、と思います。
また、社内研修や教育の仕組み作りに悩んでいて、多額のコストをかけて研修会社を入れている企業もありますよね。
そういった企業こそ、まずは資料を作らなくてもSlideShareを使って勉強会を開催することもできます。このようにアウトプットのスキルアップや、情報不足にお悩みのチームや組織にはもっとSlideShareを活用することができると考えています!(了)