• ウルシステムズ株式会社
  • 代表取締役社長
  • 漆原 茂

「すごい仕事」が経営目標!? 売上目標をやめても、増収増益を続ける組織作りとは

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〜疲弊した組織を大改革!全社目標から評価制度、社内ルールを刷新し、エンジニアが誇りを持てる会社を作った組織改革の裏側〜

目先の目標に追われて、本来目指すべきビジョンを実現できない…。そんなときは思い切って目標そのものを見直すことが、本質的な解決につながるかもしれない。

2000年に「エンジニアによるエンジニアのための会社」を掲げて創業し、戦略的ITコンサルティングを手がけるウルシステムズ株式会社。

同社は過去に、売上目標を過度に重視するあまり、組織を疲弊させてしまう苦い経験を味わったという

そこで最優先する経営目標を「売上」から「仕事の価値」に変え、それに伴って評価制度や社内ルール、育成の仕組みを一新したそうだ。

その結果、組織は再び活力を取り戻し、2016年まで過去最高の業績を更新し続けたという。

今回は代表取締役社長の漆原 茂さんに、仕事の価値を全社の目標にした背景と、それを機能させる社内制度について、詳しくお話を伺った。

「エンジニアがすごい仕事をできる会社」順調に売上を伸ばすも…

ウルシステムズは、業務ITの中でも戦略的な領域に特化したコンサルティング事業を展開しています。現在、グループ会社も含めると、約280人が在籍しています。

もともと弊社は、「エンジニアによるエンジニアのための会社」「エンジニアが最先端のテクノロジーを使って、すごい仕事ができる会社」を目指し、2000年に立ち上げた会社です。社長である私自身も、もちろんエンジニアです。

「超イケてるやつらで、すごい仕事をしよう!」という気持ちでスタートしたので、採用にもトコトンこだわって、本当に優秀なメンバーだけを集めました。

お客様もそういった部分を好んでくださって、仕事をたくさんいただくことができたんです。

結果として、初年度の売上は1.5億円、2年目が7億円、3年目で14.7億円と、倍々以上のペースで急成長し、組織も80名まで拡大しました。

ですが、徐々に息切れするようになったんです。創業から3年目くらいから社内が疲弊しはじめ、仕事でもトラブルが増えるようになりました

目先の売上を追いすぎた結果、ビジョンに逆行する仕事に追われる

当時、私は会社を成長させるために、挑戦的な売上目標を毎年掲げていました。時にはその目標を達成するために、アサインできるメンバーが足りなくても、無理して案件を取ってきていましたね。

しかし、社内のリソースは足りないので、仕方なく外部からチームを集めていました。結果、仕事の品質が下がってしまって…。

ふと気が付くと、創業前に「こんな仕事はやりたくない」と思っていた仕事ばかりをやっていました

みんな、「最先端のテクノロジー」というビジョンに共感して集まっているのに、「食っていくために、目標を達成しなければ」という目の前のロジックで、ビジョンに逆行した仕事に追われていたんです

このまま行くと、もうバラバラになると思ったんですよ。人もいなくなるだろうし、それこそ会社も倒れるだろうし。すごく危機感がありました。

そもそも「すごい仕事をしよう」を思って会社を作っているのに、目標に売上を掲げているのはおかしいと考えました。そこで、売上ではなく別の指標を会社の目標に置くことに決めたんです。

根拠のない売上目標をやめ、「仕事の価値」を全員の目標に

それ以来、「去年は売上が◯◯円だから、今年は150%で成長を見込んで△△円」のような、根拠のない売上目標を掲げることは一切やめました。

もちろん、上場しているので、投資家向けに数字は出します。ただ、社内では売上に代わる目標を全員に設定しています。

それは私たちにとっての「価値」です。社員1人ひとりが本当に価値のある面白い仕事ができているか、それを測る指標を設定しました

そしてその目標を機能させるために、様々な社内制度を作りました。

例えば、全社貢献という評価尺度を取り入れました。部門ごとの目標達成よりも、全社目標の達成への貢献度を、圧倒的に高く評価するようにしたんです

以前の弊社では、部門ごとに、それぞれが目標を持っていました。以前はその弊害として、時に他の部門が困っていても、知らんぷりをしてしまうこともあったんです。部門目標だけを評価する、目標設計が悪かったんですね。

しかし今では、他部門のトラブル解決に協力したために自部門の目標が達成できなくても、それは自部門の達成と同等以上の評価になります。

全社への貢献には売上だけでなく、若手の育成や組織運営、広報活動も含みます。社外カンファレンスへの登壇やメディアへの寄稿なども立派なブランディング活動なので、同様に高く評価しています。

▼実際のセミナー登壇の様子

「同じ種類のポケモンを集める」チーム編成のメリットとは…

目標の変更に伴って、組織の体制も刷新しました。

まず、業種やプロジェクトなどの枠ではなく、「性格や志向性が近いメンバーを集めたチーム」で部門を編成するようにしました

「業務分析チーム」「ITアーキテクトチーム」「プロマネチーム」といったイメージです。同じ系統のポケモンを集めた、という感じでしょうか(笑)。

志向性が近い人同士でチームになった方が、やはりお互いの気持ちがわかりますし、評価もしやすくなります。

そしてマネジメント層の登用基準も、考え方を大きく変えました。

以前は、役職者への登用は技術力や経験を重視していたんですね。しかし、チーム編成を変えたことで、それぞれのチームの中に「ボスキャラ」的なメンバーが自然に出てくるようになったんです

面倒見が良かったり、率先して人材育成に取り組み、メンバーに一目置かれるような人物です。彼らをマネージャーや、部門長に起用しています。

現場のエースが、一流の技を見せる!社内研修の制度も整備

彼らボスキャラには、社内研修も担当してもらっています。

弊社では、新卒社員は入社後5ヶ月間、中途社員も入社後1ヶ月間、「大リーグ養成ギプス」と銘打った社内トレーニングプログラムを受講してもらいます。

完全に内製のプログラムで、コンサルやPMのノウハウ、技術的な知識、ビジネススキルなどの猛特訓を積むものです。その講師を、ボスキャラ達が務めています。

ですが、普通は社員に育成を任せると、必ず「面倒だ」「忙しい」という反発が起きますよね。

そこで弊社では、敢えて現場が「ぐう」の音も出ない、超エース級の社員を中心に、このプログラムを担当してもらっています。

彼らは現場のプロジェクトも兼任していますが、研修の間は稼働しないこともあります。こうした期間でも、育成という点で組織への貢献を評価しているんですね

この研修期間で、入社したメンバーの性格や特性もよくわかります。すると、よりその人に合ったチームにアサインができるので、マッチ度合いが高まるという相乗効果もあります。

「会社のDNA」が全員に浸透。ビジョンを保ちながら売上を伸ばす

他にも、具体的に「やらないこと」も定めました。

例えば、仕事の受注ルールを変え、チームメンバーのアサインが確定しない限り、お客様に提案をしてはならない」というルールを作りました。十分なエンジニアのリソースが充てられる、と判断した案件だけを受注することにしたんです。

▼ウルシステムズが定めた「やらないこと」(※画像は編集部が作成)

その結果、無理に案件を取ることがなくなり、品質が格段に向上しました。それに伴ってお客様からの評価も高まり、継続的にお仕事が来るようになったので、ますます無理な営業活動は要らなくなりました。

他にも、「挑戦なき保身はしない」「お客様のためにならないプロジェクトは受けない」、といったルールを並べています。

これはいわばウルシステムズの憲法のようなものです。役員であろうが誰だろうが絶対に破ってはいけない「会社のDNA」として今や全社員に浸透しています

会社のビジョンを保ちながらも、堅調に成長することができたのは、当時の改革の成果だと考えています。まだまだ、道半ばですが、今後もエンジニアが誇りを持てる最高の企業を作っていきたいですね。(了)

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