- 株式会社IDOM
- Gulliverトレード事業部 チームリーダー
- 山畑 直樹
動画で1,200人の営業トークをレベルUP!サービス登録率90%を達成した方法とは
〜専用アプリを活用し、営業ロープレや店構えを動画で共有。店舗ごとにバラつきがちだった「接客品質」を大幅に向上させた事例〜
営業組織のマネジメントにおいては、属人化しがちな営業ノウハウの品質を、一定以上に保つことが重要だ。
自動車の買取及び販売事業を展開する株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル)。同社においても、新サービスが次々と生まれる中、それらの「接客ノウハウの型」を現場に定着させることに苦労していたという。
そこで同社では、2017年1月に接客などの「ロープレ風景」を動画で共有できるナレッジシェアアプリ「TANREN(タンレン)」を導入。
最初に導入された事業部では、KPIである顧客のサービス登録率が、50%から90%まで上昇。その後、瞬く間に社内で普及し、現在では1,200人のスタッフが活用するまでに定着したという。
今回は同社でGulliverトレード事業を率いる山畑 直樹さんと〆木(しめき) 崇至さんに、組織の営業力を効率的に向上させた取り組みについてお話を伺った。
新サービスが次々と立ち上がる中、接客ノウハウの定着が課題に
山畑 弊社は創業以来、自動車の買取及び販売事業を中心に事業を展開し、現在は全国約500店舗、年商約2,500億という規模にまで成長しました。
新しいサービスも次々と立ち上げてきたのですが、その中で、新しく生まれる接客ノウハウをいかにして現場に定着させるか? という課題が発生していました。
「車を売りたい人からそれを買い取って、買いたい人に売る」というのが、弊社の従来のモデルです。
一方で、私が担当しているGulliverトレードは、「売りたい人と買いたい人をつなげる」という、いわばマッチングサービスなんですね。
そのため、売り手のお客様に対するスタンスが全く異なります。「車を買い取らせてください」ではなく「どうやって中古車の買い手を見つけるか、一緒に考える」となるんです。
そして、このような新サービスを展開する際、以前までは、アナログに全国から社員を集めて研修を開催していました。ただそこで問題だったのが、研修後の現場での定着に、どうしてもバラつきが出てしまうことでした。
実際、研修後1ヶ月間が経過しても、全く成果の変わらない店舗もありました。
そのため、私が店舗へ行き、スタッフを集めてロープレをやってもらったのですが、以前の営業トークと変わりがなかったんです。
そこで、店長に話を聞くと、日々の業務に追われて練習があまりできていなかったことがわかりました。
このように、現場にしっかりと施策を定着させることは簡単なことではありません。
しかし、ずっと現場に張りついてコミュニケーションをしようとすると、体が何個あっても足りません。
そこで、現場に行かずとも深くマネジメントできる方法って何だろう? と考えた答えがナレッジシェアアプリ「TANREN(タンレン)」の導入でした。
テーマ別に「手本の落とし込み」と「定着度の確認」を週次で行う
〆木 TANRENは、接客などのロープレ風景を動画で撮影し、アプリ上でシェアすることのできるツールです。お手本となるマニュアルを現場へ落とし込むことに加え、現場スタッフの接客品質をチェックする目的で活用しています。
▼動画を活用したナレッジシェアアプリ「TANREN」
運用イメージとしては、まず、店長とマネージャーを集めた会議で「今週はこれをやろう」というテーマを週ごとに決めます。
例えば、「初回案内ロープレ」といったものですね。
そして、各店舗で接客技術の高いスタッフに、お手本としてロープレを撮影してもらい、それをTANREN上にアップします。
弊社では、それらの動画をコミュニケーションツール「LINE WORKS(ラインワークス)」を活用してシェアしています。
▼LINE WORKS上で動画がシェアされる
※LINE WORKS(ラインワークス)について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ビジネス版「LINE」で残業を30時間カット!老舗企業における、チャットツールの使い方
ロープレ動画は「お申込みまで」「登録後」といった商談のフェーズごとに、1本5分前後で撮影しています。長過ぎると、見るのがしんどくなるので、この位がちょうど良いですね。
山畑 また、今度は逆に、他のスタッフにも同じテーマでロープレ動画をアップしてもらいます。
TANREN上でテーマに則した課題を作り、「身だしなみ」「元気」「気遣い」などの評価項目を6つ設定します。そして、マネジメント層のメンバーが、評価者として定量評価とコメントを残していきます。
▼6つの評価項目を設定し、スコアをつけてフィードバックを行う
ランキング形式で投稿された動画をチェックできる機能もあるため、そこから評価の高いロープレ動画を確認することもできます。
一方で弊社の場合は、あえて評価項目を伏せることもあります。項目がわかってしまうと、それだけを意識してしまい、普段と違ったロープレになってしまうことがあるためです。
このように、適宜、テーマ設定や評価項目のカスタマイズをしつつ、実際に現場で接客ノウハウが定着しているかを確認しています。
店構えの確認や、店舗スタッフの士気向上にも動画を活用
〆木 更に、ロープレのみならず、TANREN上で、店内の車の配置確認も行っています。
弊社は店舗を持った小売業ですので、お客様に来店いただき、満足いただけるような店構えに仕上げることが大切です。
ただ、500店舗もあれば、どうしてもバラつきが出てしまうので、それをチェックするためにも動画は便利だと感じています。
また、来店客数の多い週末には賑やかしといった形で、朝一に各店舗からテンションを上げるための動画がアップされます。
▼朝一に賑やかし動画を投稿して、士気を高めるという使い方も
「頑張るぞー!」という動画が、SNSのような感覚で投稿されるため、皆のモチベーションアップにもつながっていますね(笑)。
このように動画を活用することで、接客力を高める以外の面でも、メリットがあるなと感じています。
アレンジをしすぎず、基本の「素振り」を繰り返すことが重要
〆木 Gulliverトレードでは、お客様が販売されたい車を、弊社のサービス上にどれだけ登録いただいたか? という「登録率」をKPIとして追っています。
以前はそれが50%だったのですが、TANRENの導入後、僅か1ヶ月間で、90%にまで向上しました。
お客様とのコミュニケーションに慣れてくると、どんどん自分なりにアレンジしてしまうことが多いんです。
それでうまくなる人もいるのですが、情報が多すぎて、お客様にしっかりと伝わらず、成果を落としてしまうスタッフも多くいます。
ですので、できるだけシンプルに「ここだけを守ってもらえたら大丈夫です」という1本の道を作ってあげることが、マネジメント側の役割なのかと思います。
そして、それを毎日素振りのようなイメージで繰り返してもらうことで、成果があがったと感じています。
山畑 また、以前までは誰かに質問をする際、多少ハードルがあったと思うのですが、TANRENやLINE WORKSを使うことで、よりコミュニケーションがカジュアルにできるようになりました。
これまでは普段会うことのなかった、他店舗に勤務する優秀なスタッフのロープレを見る機会が生まれたことで、トークの引き出しを増やすことができたという声もあがっています。
このようにツールも積極的に活用しながら、IDOM(挑む)という社名が表す通り、常に挑戦をして、新しいサービスがどんどん生まれるような組織にしていきたいですね。(了)
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