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ベンチャーからグローバル企業へ ユーザベースCTOが作った「ニコ動」式の全社会議

今回のソリューション:【Zoom/ズーム】

〜ビデオ会議システム「Zoom」をカスタマイズし、「ニコニコ動画」形式で全員がリアルタイムに参加できる全社会議を行なっている事例〜

経済情報に特化したニュースメディアNewsPicksと、アジア最大の企業・業界データベースSPEEDAを展開する株式会社ユーザベースは2008年に創業したベンチャー企業だ。

同社はその後急成長を遂げ、今や100名以上の社員を有し、上海、香港、シンガポールに現地法人を持つグローバル企業となった。

しかし事業規模が順調に拡大する一方で、社内における全社会議の運営の課題が顕在化した。ひとつは海外拠点のネット環境、もうひとつは社員の会議に対するコミットメントの低下だ。

その解決策として、同社ではビデオ会議システムの「Zoom(ズーム)」に独自の「ニコニコ動画」方式を組み合わせたツールを開発し、使用している。従業員数がまだ30名強だった2011年にユーザベースに入社し、組織の拡大を目の当たりにしてきた村樫 祐美さんにその経緯を聞いた。

海外拠点の設立後、同時通訳で全社会議における言葉の壁をクリア

私はまだ弊社の従業員数が30名ほどだった、2011年にユーザベースにジョインしました。組織の成長を長い間、見てきたメンバーのひとりだと思います。

元々弊社では週に1度、「みんなの会」という全社会議を行っていまして、全員がどんなに忙しくても必ず出席し、進捗を共有しあっていました。

海外ブランチができてからは、Google Hangoutを使ってビデオ通話で会議を行っていました。

また、香港とシンガポールにイングリッシュスピーカーが入社した昨年1月の時点から、英語と日本語の通訳をしながらの会議が必要になってきました。

その時、最初は全員が可能な限り英語で話そうとしていたのですが、不得意な方だと無理に話しても伝わりづらいこともあって。今は母国語をメインで使うことにして、両方をネイティブで使えるメンバーが翻訳する形をとっています。

海外のスローなネットワーク環境でもスムーズに動いた、Zoom

でもその時ひとつ課題として出たのが、海外は地域によってネット環境にばらつきがあったことです。そうするとGoogle Hangoutが繋がらなかったり、招待できる人数に制限があったりして不便になってきたんです。

その時、みんなの会のインフラをいつも設定してくれるエンジニアが「Zoom(ズーム)」を見つけてきて。

声がきちんと届くか、操作性は良いか、などを試してみたら良かったんです。音もクリアに聞こえるし、弊社の人間が打ち込む同時通訳もちゃんと専用タブに表示されるので便利だねと。有料にはなりますが、導入することを決めました。

100人を超えた組織で、以前のように全社会議がワークしない

実は全社会議に関してはもうひとつ大きな課題を抱えていました。事業規模が100名を超えて、海外ブランチが3ヶ所と増えてきた時に、今までの「チームの状況を報告する」会議の進め方自体に問題が出てきたんです。

少ない人数だった時はお互い周りのチームが何をやっていて、何に苦しんでいるのかわかっていたんです。でももはや、各チームがこういう状況なんです、と言ってもピンとこないようになって、そのような状況がずっと続いていました。

それまでは皆パソコンも閉じて議論に集中していたのですが、業務が多忙で内職をするメンバーが出てきたり。

それで「みんなの会」に意義があるのか、どうしたら皆をもっと巻き込んでいけるのか、ということを、2015年のはじめに社員全員ですごく話し合いました。

▼ユーザベースの全社会議「みんなの会」の様子

全社会議を変える!議題をチームの進捗報告から組織の未来へ変更

結果的に、まずは会議の内容自体を大きく見直しました。いろいろなアイデアが出たのですが、最終的にはチームの進捗報告は止めて、内容を会社の未来を考えることに変えていったんです。

例えば事業計画についてや、チームのコミットメント、プロジェクトチームがどうしたらみんなが楽しくできるか、というようなことを話すようになりました。

皆で問題意識のあることについてディスカッションすることもあれば、新しい制度のお知らせや報告だったり、アジェンダによって中身は様々ですが。

ディスカッションの中で出たアイデアを、CTOが形に

会議についてのディスカッションの中で、「ニコニコ動画」のような、コメントが画面上にライブでどんどん流れる仕組みを取り入れたら面白いね、というアイデアがありました。ですが、すぐにサービスを探して取り入れることはしていませんでした。

そうしたらある日突然、弊社のCTOの竹内が「作ってきました」と持ってきて。URLを叩くと、いつも共有しているGoogleドキュメントの画面の上にニコ動のようにメッセージが右から左に文字が流れて、「えー!」みたいな(笑)。文字の大きさや流れるスピードを変えたりもできますし、「いいね」ボタンもあって。感動しました!

▼「Zoom」画面イメージ

Zoomにニコ動方式の機能を追加し「みんなの会」を盛り上げる

この仕組みとZoomを組み合わせて、2015年1月に「みんなの会」に導入しました。そうしたらすごく盛り上がったんです。

皆コメントを書いたり、「いいね」を押したり。チームの発表の時にも「もっとこういう情報が知りたいです」というような意見が出たり、発言や質問がしやすい空気ができたんですよね。

▼「ニコニコ動画」形式で、スライドにコメントが流れる

もっと面白いところだと、例えば発表者が噛んだりするとツッコミが入ったりとか、「飲んでいる時はこうだ!」というプライベートネタとか(笑)。会議の雰囲気が、すごくいい方向に変わったと思っています。

こうして全社会議はかなり良くなったと思っています。でももっと良くしていくために、例えばZoomではもっと全員の顔が一度に見られるようになったらいいですね。

今はスクロールしないと一画面上で4、5名しか見えないので。全社会議に参加している海外拠点のメンバーとは物理的な距離もありますし、今後も「みんなの会」でもっと距離感が近づいていくといいな、と思います。

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