- 株式会社レアジョブ
- 新規事業開発部 Chattyチーム アシスタントチームリーダー
- 小松 翔太郎
国境も職種も越えるシンプルなタスク管理術!レアジョブ流・Asana活用ノウハウ
今回のソリューション:【Asana/アサナ】
〜リモート開発におけるタスク管理にお勧めな「Asana」の使い方〜
フラット化する社会の中で、異なる職種の人や離れた場所にいる人と同じプロジェクトに取り組む機会はこれからも増え続けるだろう。特に物理的な距離が問題になりにくいIT業界では、他の業界に先んじてリモート開発というスタイルを確立してきた。しかし果たして、その「距離を越えた協働」はどの企業でもしっかりと機能しているのだろうか。
オンライン英会話サービスを展開する株式会社レアジョブでは、新規事業として英会話のチャットアプリ「Chatty(チャッティ)」の展開を進めている。同社初のモバイルアプリの企画開発をゼロから進めてきたのが、新規事業開発部でChattyチームのアシスタントチームリーダーの小松 翔太郎さんとシステム部でChattyを開発するアシスタントチームリーダーの川仁 伸さんだ。
彼らの開発スタイルは企画と開発が密に連携をとるアジャイル開発であり、更に驚くべきことにその開発体制は4カ国にまたがっている。
そのような環境下で開発をスムーズに進めるために活用しているのが、タスク管理ツール「Asana(アサナ)」だ。「1番シンプルだからこそ選んだ」というAsanaの導入経緯と活用法について、詳しいお話を伺った。
英語を身近にするチャットアプリ 4ヶ国にまたがるリモート開発
小松 私はまだレアジョブの社員が10名以下の時に新卒入社して、今はChattyの事業責任者をしています。もともと弊社のオンライン英会話サービスのコアユーザーはビジネスマンだったのですが、他の層にも幅を広げたいと考えていました。
でもいきなり25分のマンツーマン英会話にチャレンジするのは多くの人にとってハードルが高いので、より入りやすいサービスとして英会話のチャットアプリChattyを立ち上げることになりました。
Chattyのチームは実は、4ヶ国にまたがっています。東京に企画と開発の担当が3名 、フィリピンにエンジニアが2名、アメリカとカナダにも1名ずついます。日本とアメリカではiOSとAndroidのアプリ開発を行い、フィリピンでは講師が利用する管理画面などのバックエンドのシステムを開発し、カナダではデザインを担当しています。
各メンバーが異なるツールを使い、コミュニケーションロスが発生
川仁 当初Chattyにはコアサービスであるチャット機能のみを実装して、まずは「英語でチャットが流行るかどうか」を見ていました。ダウンロード数などのマーケットの反応も良かったので、半年ほど前に本格的に追加の開発を動き出すことになり、私が開発リーダーになりました。
当時、海外チームとリモートで開発することは決まっていましたが、体制はまだ何も整っていなかったのでまずはそれを構築する必要がありました。
その時はコミュニケーションのツールも定まっておらず、それぞれのメンバーがSkypeやPivotal Tracker、Emailなどをばらばらに使っていたので、データが分散してしまっていました。
例えば、ミーティングの際にも「あの仕様の画像ってどこだっけ?」ということになり、どこにあるのか色々なところを探すことから始めるハメになっていました。今考えると、大きなロスが発生していましたね。
職種・国籍を問わず使えるシンプルさが決め手の「Asana」
川仁 そういった経緯でプロジェクト管理のツールをいくつか試してみて、結果、最もシンプルなAsanaを導入することにしました。
海を越えたリモートワークが前提でしたし、企画と開発のメンバーが密にやりとりしながらプロダクトを作っていきますので、とにかくとっかかりが楽なものを選びたかったんです。
例えば横スクロールで見るようなカンバン方式・ガントチャート方式の管理ツールは複雑になりがちですし、ノートPCの小さい画面で見ると横と縦に広がっていて見づらいんです。Asanaの場合は縦スクロールの分かりやすいUIで、余計な機能がないんですよね。
そのシンプルさのおかげで、導入は特に問題なかったです。フィリピン人のエンジニアは、日頃から英語で最先端の情報をキャッチアップしているので、新しいツールを取り入れるのもスムーズでした。
Asanaは弊社のように、ビジネスサイドとエンジニアサイドが関わりあいながら開発しているチームには合うと思います。
▼タブレットやスマートフォンで、縦スクロールでタスク管理ができる「Asana」
「カンバン」よりわかりやすい!?Asanaの「セクション機能」
川仁 縦スクロール型のAsanaで、どうやってアジャイル開発をやろうか考えた末に、私たちは「セクション機能」を使ってタスクの工程を管理することにしました。セクションはAsana独自の機能なのですが、各タスクに小見出しのようなものがつけられるんです。
アジャイルの概念の中でも大事なプロセスだけ抜き出して、Sprint、Doing、Pull Request、Doneというセクションを作っています。1ヶ月ごとの「プロジェクト」の中にその月のTo Doをまとめて突っ込んで、セクション間でタスクを移動させることで、どのタスクがどの工程にあるのかが一目で分かるようになっています。
▼タスクの進捗状況も直感的に判断できる
小松 開発フェーズだけでなく、企画メンバーが発案するところからのプロセスをすべてAsana上で行っており、企画側のセクションとしてはiceboxとbacklogというものを設けていています。メンバーがアイデアをiceboxにどんどん放り込んで、週次のミーティングでその機能の良し悪しや優先順位を話し合います。
仕様と工数の見積もりまでできたものをbacklogに移していく流れですね。私たちの感覚だとカンバン方式までは必要ないのですが、何がどこの工程にあるかは直感的にわかるようにしたかったので、Asanaのセクション機能を工夫して利用しています。
完了したTo Doもチェックボックスはそのままに…
川仁 Asanaでは各タスクのチェックボックスをクリックすることでタスクが完了になるのですが、弊社の場合は実装やリリースができたタスクもチェックボックスはそのままにしておきます。
使い始めた当初は、To Doが終了した時点で画面から消していたのですが、「終わっているタスク」も分かったほうがいいという結論に至りました。企画側も開発側も「自分たちが進んでいる感じ」が出ますし、他のチームのメンバーからしても「Chatty、進んでるな」と感覚的に思ってもらえます。社内の応援を勝ち取るのも大事ですからね(笑)。
リモート開発でもスピードは落とさない!今後も開発効率を追求
小松 今後も日本中で、海外とのリモートワーカーと仕事をする機会は増えていくと思います。特に弊社は海外に対して心理的な抵抗がない文化がありますので、その敷居は低いと思います。
一般的に、リモートでの開発はメンバーの連携を不安視する声がありますが、弊社の場合はAsanaのおかげもあってかスピードは落ちていません。
ChattyのバージョンアップもAndroidアプリで週1回、iOSは2週間に1回の頻度をキープしています。今後もAsanaを使って開発効率を最大化しながら、Chattyをより良いサービスにしていきたいですね。(了)