• 株式会社アサツーディ・ケイ
  • 人事・総務本部 キャリア開発グループ 兼 採用グループ
  • 岡野 千速

3ヶ月で40名を採用!Web面接の導入で「熱量の高い人」を効率的に採用した手法とは

〜再上場に向け「構造改革人材」の採用を目指す!Web面接ツールの導入と中途採用向け専用サイトの開設で、熱量の高い人材を効率的に選考した手法をご紹介〜

自社にマッチした優秀な人材を採用するために、多くの時間と費用を投下する企業は多い。

株式会社アサツーディ・ケイ(以下、ADK)は、スピード感を持った経営へと舵取りするため、2018年3月に東証一部から非上場化。再上場に向けた「構造改革」ができる人材を採用するため、今年の春より中途採用を強化している。

そして、例年の1.5倍にあたる採用数を目標に、エージェント頼りであった採用手法を一から見直し。より「熱量の高い候補者」に絞った選考で、採用効率を高める戦略を取っているという。

例えば、Web面接ツールの「インタビューメーカー」を導入し、書類に加えて録画面接をセットにした選考を実施。

これによって選考に進むハードルが上がり、候補者が応募総数の3分の1に絞り込まれ、志望度の高い人の選考により時間をかけることができるようになったそうだ。

また、リファラル採用の促進のため、2018年9月には中途採用の専用ページを開設。会社の「ありのままの姿」を見せることで、面接における質問の深堀りと惹きつけに成功している。

今回は、同社で中途採用を担当している岡野 千速さんに、採用強化に至った背景から具体的な採用手法までお話を伺った。

再上場に向けて、「構造改革人材」の採用がミッション

僕は2007年に新卒で入社し、約10年にわたってコンテンツ制作や広告の提案営業を経験した後、一度会社を辞めて起業しました。ですが、自らの力不足で稼ぐことが出来ず、ADKに出戻りしたんです。

その時に、元々いた営業ではなく、人事に転向することにしました。というのも、営業の仕事をしながら経営学の修士号を取得したのですが、その科目の中でも組織開発の勉強がとても面白くて。

広告会社は、メーカーと違って工場や技術を持っているわけではないので、アイデアやクリエイティブを通じて「社員」がどう価値を提供できるかが重要です。

そこに人事の魅力を感じ、2018年2月に中途で戻ってきてからは、採用と組織開発を兼務しています。

ADKは広告代理店の業界において、国内で三番手に位置する会社です。

そのため、構造改革を進めるうえで、いかにスピード感を持って付加価値を上げていくか? が最も重要な経営課題だったんですね。

そんな中で、2018年3月には米投資ファンドによるTOBが成立し、東証一部から非上場化しました。

その一方で、今いる人材だけではその改革が難しいと。そこで、会社としてさらに付加価値を付けるための「構造改革人材」を採るための投資をしようという意思決定をしました。

それ以前からADKでは、従来の年功序列を辞め、中途や若手でも能力やスキルに応じた年収を払う人事制度へと移行していました。実力勝負の中途採用を行う中では、こうした制度は候補者の方にも好評ですね。

応募数をKPIに置かない。「熱量」の高い人材に絞る採用戦略

今年の中途採用のKPIとしては、例年の1.5倍にあたる採用人数を掲げています。

一方で、当初の採用チームの体制としては、実質的な中途担当が僕ともうひとりの2名しかいなかったんです(笑)。

そうした背景もあり、いかに自社にマッチした熱量の高い方に応募してもらうか? を軸に戦略を立てました。

そこで営業職の募集を求人媒体で行う際に、Web面接ツールを導入してみることにしたんです。

というのも、求人広告はマスにアプローチできる一方で、気軽に応募できるため、あまり志望度が高くない人も集まってしまうのが課題で。以前、同様の求人を他媒体で出稿した時は、月500件を超える応募が来たこともありました。

そうなると、レジュメの確認にかなりの時間を要してしまい、工数がすごくかかってしまうんですよね。なので入り口の部分から、弊社への志望度が高い人を絞り込みたいと考えました。

そんな中、2018年6月に導入したのが、Web面接ツールの「インタビューメーカー」です。これは、時間と場所を選ばずに、Web上で録画面接のできるサービスです。

これを活用して、従来の書類のみだった1次選考のステップにおいて、録画面接を加えました。質問項目は志望動機、募集ポジションで活かせるスキル、フリーアンサーの3つを用意しました。

▼インタビューメーカーの質問画面

実験的ではあったものの、当初の狙い通り、これによって応募のハードルが上がったんです。具体的には、約2ヶ月で300名ほどの応募があった内、実際に選考にまで進んだ人はその3割ほどに減りました。

実際に選考を受けてくださった方は、弊社の志望度が高い人が多く、1人ひとりをより丁寧に見ることができましたね。

また従来ですと、書類選考の後に人事との面談を挟むのですが、そのステップも省略することができ、大幅な工数削減にもつながりました。

さらに、Web面接を取り入れたことで、当初想定していなかった副次的な効果もあって。

それは、動画を通じた創意工夫が出るので、熱意や高度なコミュニケーション能力を見ることもできるんですよ。例えば、営業職で活かせるスキルの説明では、模造紙を貼ってプレゼンをしてくれたり、公園に行って撮影したりする人もいて。

そもそも録画選考というハードルで候補者が絞り込まれる上に、動画の見せ方で工夫するという熱意も確認することができたので、二重の意味で良かったですね。

リファラル採用を強化!ありのままの姿を見せる中途採用サイト

さらに、会社の変革期にあたり、社員自らが一緒の船に乗る仲間を見つけてきてほしい、という思いから、リファラル採用を強化し始めました。

もともと社員紹介制度はあったのですが、それだけでは限界がありまして。そこで、今年の4月頃から中途採用ページの構想を始めたんです。

僕が発案して社内で有志を募ったところ、コピーライター、プランナーがひとりずつ集まってくれました。その中でブレストをして出した案の中から、「第二創業者、募集。」というコンセプトに決定し、コンテンツを作っていきましたね。

コンテンツ内容としては、あえてシンプルにインタビュー記事と社員QAの2つにしました。

まず、社員インタビューを通じて伝えたかったのが、やはり今は「変革」の時だということです。そのため、各部署の戦略を語れて、かつ現場のこともよく理解している本部長クラスが話をする形式にしました。

さらに、それだけでは現場の声が伝わらないため、社員アンケートをそのままQAコンテンツとして公開しようと。

▼中途採用ページの「社員QA」

ここで意識したのが、会社の「ありのままの姿」を見せるということです。例えば、「資本が変わったことによって変化はありましたか」といった質問に対して、「現場レベルではまだ実感していない」といった本音の回答をそのまま掲載しています。

というのも、ここで綺麗ごとを並べてしまっては、自分と合うかどうかを候補者の方が判断できないじゃないですか。メッセージをあえて統一しないことで、入社後のギャップを極力なくしたいと考えています。

今年の9月にサイトを公開してからまだ2ヶ月ほどですが、社員からは「会社を説明するのにURLを送るだけなので楽になった」といった声も聞こえています。

その効果もあって、今では応募総数に占めるリファラルの割合が、2割弱を占めるようになりました。Webページからのダイレクト応募も、以前の倍に増えましたね。

業績や年収だけで判断されない「自社の魅力」を伝えていく

また、中途採用ページの開設によるもうひとつの効果は、面接の「質」の向上です。

というのも、ページを通じて事前の理解を深めやすくなったことで、候補者の方がより踏み込んだ質問ができるようになったと感じています。

今までですと、「最後に質問はありますか?」という問いかけに対して、例えば「御社のデジタル戦略について教えてください」といった大まかな質問が多くありました。

ですが今では、弊社の事業戦略を知った上で、さらに自分のキャリアと照らし合わせたような、突っ込んだ質問をしていただけるようになって。

その結果、会社や事業理解で終わってしまわずに、入社後のキャリアも踏まえてマッチングを確認するような選考ができるようになりましたね。

こうした施策を通じて、3ヶ月で40名の優秀な人材を採用することができました。

また新卒採用でも、3年前から「相棒採用」という学生が面接官を逆指名できる制度を始めており、自社にマッチした人材の採用に成功しています。

今までですと、業界の中の順位や年収の面で競合他社に勝てない部分もあったのですが、弊社の規模で再上場を目指している、という変革期に魅力を感じてくれる人も増えてきましたね。

今後もありのままの情報発信を継続し、スピード感をもって色々な採用手法に取り組んでいきたいと思います。(了)

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