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  • 山本 花香

【海外事例3選】MAU2億人超えのSpotifyに学ぶ!「ユーザーコミュニティ」の作り方

近年、ビジネスにおける「コミュニティ」の有用性が注目されています。

ですが、その「コミュニティの価値」を正しく理解し、最大限に活用できているでしょうか?

SELECKでは、プロジェクト管理ツール「Backlog」や、個人間カーシェアサービス「Anyca」など、いくつかのコミュニティマーケティングの事例を取材させていただきました。

その中で、改めてコミュニティの価値を考えてみると、ユーザー間のサポート、開発へのフィードバック、PRネタの提供など、マーケティングにとどまらない様々なメリットがサービスにもたらされています。

▼コミュニティの多岐にわたる価値(※Anycaより引用)

そして、これらの価値を活かしたコミュニティ運営をしているのが、海外の先進企業です。

例えば、音楽ストリーミングサービス「Spotify」では、オンラインコミュニティのユーザーからアイデアを募り、サービス改善に活かしています。

▼「Spotify Community」のアイデア投稿フィード

そこで今回は、先進的な「海外コミュニティの実態」から、サービスに最大限の価値をもたらす「コミュニティ作りのヒント」までをお届けしたいと思います!

<目次>

  1. 【サービス改善】ユーザーのアイデアを、開発に活かす「Spotify」
  2. 【ブランディング】オフラインコミュニティが、絆を強める「Airbnb」
  3. 【課題解決】プロダクトの使い方や、ノウハウを共有「Salesforce」
  4. 【コミュニティ活性化】MVPの表彰から、グッズありのRewardsまで
  5. 最後に…SELECKでも「コミュニティ」始めました!

(※以下、記事文中の数値は、2019年1月15日時点で確認したものです。最新の数値につきましては、各サービスサイトにてご確認ください。)

1. 【サービス改善】ユーザーのアイデアを、開発に活かす「Spotify」

最初にご紹介するのは、世界No.1のユーザー数を誇る、音楽ストリーミングサービス「Spotify」

日本でもすっかりお馴染みになりましたが、2019年1月時点の公表数値によれば、世界の月間アクティブユーザーは2億人を突破し、内、有料会員は8,700万人超え…!

そんな桁違いのユーザーを有するSpotifyは、Spotify Communityというオンラインのユーザーコミュニティを運営しています。

全世界の、約684万人ものユーザーがコミュニティに参加し、これまでに2万7千ほどのアイデアが生まれていると言います。

このユーザーコミュニティでできることは、以下の4つです。

  • 質問の投稿や、課題の解決方法の検索
  • 新しい使い方などのノウハウの紹介
  • アプリ改善の提案や、アイデアの共有
  • 音楽に関するチャットやプレイリストのシェア

中でも、個人的に秀逸だなと感じたのが、ユーザーから意見やアイデアを吸い上げ、アプリの機能改善にきちんと活かしているということ。

ユーザーがアイデアを投稿をすると、「Live Ideas」というフィードに表示されていきます。

それを見た他のユーザーは、「いいな」と思ったアイデアに、投票やコメントをしていきます。

すると、人気を集めたアイデアがフィード内の上位に表示され、「Top Ideas」にランクインするという仕組みです。

これらのアイデアは、得票数の高い順に採用される訳ではなく、Spotifyの開発方針やコメントの内容など、総合的な観点を踏まえて機能に反映されるようです。

そして、実際にアップデートされた機能などは「Monthly Ideas Review」という月次のレポートを通じて、ユーザーに共有されます。

例えば、先月のレポートを見てみると、「Explicit Filter(不適切な音楽に対する制限フィルター)」や「Your Top Songs 2018 Playlist」などが採用されています。

また、もう少し検討したい提案や、方針上の都合で今は採用できない提案なども、その理由とともにレポートに記載。Spotifyの、ユーザーに対する丁寧なコミュニケーションが伝わってきます。

このように、コミュニティから要望やアイデアを吸い上げることで、「サービス改善」に繋がりますね。

2.【ブランディング】オフラインコミュニティが、絆を強める「Airbnb」

次に、世界191ヵ国以上で宿泊場所の貸し借りを行う、ホスティングサービス「Airbnb」のコミュニティ運営をご紹介します。

Airbnbのコミュニティは、宿泊施設を貸し出す「ホスト」のためのコミュニティです。

世界中の60万人以上のホストが参加するオンラインコミュニティと、ローカル別に開催されるオフラインコミュニティがあります。

▼サイトにログインすると、名前表示つきで迎えてくれます

このユーザーコミュニティでできることは、以下の4つです。

  • ホスト同士の、ノウハウやアイデアの共有
  • 質問の投稿や、課題の解決方法の検索
  • ホスト体験談(Stories)の共有
  • ローカルグループの作成や、ミートアップの開催

上記の中でも、「オフラインコミュニティ」の活動に力を入れていることが同コミュニティの特徴です。

同社でGlobal Director of Communityを務めるアトキン・ダグラス氏が「リアルでの交流が、オンラインコミュニティの絆を強くする」と話していることからも、同コミュニティ戦略において「オフラインの交流」を重視していることが伺えます。

それを促進するためのプラットフォームが、「Home Sharing Clubs」と呼ばれる都市別のオフラインコミュニティです。

▼「Home Sharing Clubs」トップページ

このHome Sharing Clubsへの、Airbnb側の関わり方についての説明文がこちら。

These Clubs are of the hosts, by the hosts, and for the hosts! Airbnb wants to provide a global platform to make it easy for hosts who share a commitment to making their communities stronger and allow hosts to connect, organize and share.(※同コミュニティの説明文より引用)

このクラブは「ホストの、ホストによる、ホストのためのコミュニティ」であり、Airbnb側はそのためのプラットフォームを提供するだけにすぎないと。

あくまで、ホスト同士が繋がり、互いの経験などをシェアすることで、コミュニティを強くすることを狙いとしているようです。

現在、約100のクラブが存在しており、最も活発なワシントンD.C.のクラブには約590名ものホストが参加しています。

このようなリアルの場があることで、サービスへのエンゲージメントが高まり、その体験談や口コミによるブランディング効果も期待できそうですね。

3.【課題解決】プロダクトの使い方や、ノウハウを共有「Salesforce」

続いてご紹介するのは、世界最大シェアを誇る顧客管理ソフトウェア「Salesforce」のユーザーコミュニティです。

その名もTrailblazer Community。コミュニティに属するユーザーを「Trailblazer(先駆者)」と呼び、Salesforceを活用して革新に挑戦する人々の知見を共有する場になっています。

Airbnbと同様、全世界のユーザーと交流できるオンラインコミュニティだけでなく、ローカル別のオフラインコミュニティが存在します。

このユーザーコミュニティでできることは、以下の3つです。

  • 質問の投稿や、ノウハウの共有
  • テーマ別のコミュニティへの参加
  • ミートアップの作成、開催

BtoBサービスという特性上、特に活発なのがユーザー同士の課題解決です。

このフィードでは、Salesforceのプロダクトを利用する上での疑問や、業務上の課題などを投稿することで、ユーザー同士での課題解決が行われています。

▼Salesforceに関する質問投稿

質問と回答はカテゴリ別にすべて検索可能なので、過去のログが蓄積されていくことによって、カスタマーサポートのQAページのような機能も果たしています。

4.【コミュニティ活性化】MVPの表彰から、グッズありのRewardsまで

最後に、これらのコミュニティをより活性化にするためのアイデアをご紹介します!

まずはじめに、Salesforceの「Trailblazer Community」で取り入れられているのが、ユーザー同士の課題解決を促進するための「MVP制度

MVPは、質問に対する回答の数ではなく、以下の基準を元にしたノミネート形式で行われます。

▼Salesforce MVPの選考基準

簡単に訳すと、選考基準は以下の4つです。

  • Salesforceのプロダクトと文化に対する深い理解があるか(専門知識)
  • 他のメンバーの成功のために、積極的に関与したか(寛容さ)
  • コミュニティを率先し、革新的な道を歩んできたか(リーダーシップ)
  • Salesforceとそのコアバリューを支持しているか(支持者)

MVPの選考は年に1度行われ、数週間のノミネート期間があります。過去MVP受賞者やステークホルダーによる選考を経て、毎年数名のMVPが選出されています。

また、MVPに選ばれると、MVP同士のコミュニティに参加できたり、各地のローカルグループで開催される勉強会に登壇したり、といった活動を行っているようです。

MVPに似た活動として、Adobeのコミュニティなどではエバンジェリストを任命し、コミュニティを活性化しています。

次に、Spotify Communityで導入されているRock Star Programについてもご紹介します。

これは、ユーザーがコミュニティやTwitter上で課題解決に役立つノウハウやアイデアを投稿すると、ポイントが付与され、特典と交換できるというプログラムです。

その特典(Rewards)がなんとも豪華。以下のようなものがゲット出来るそうです。

  • Spotifyプレミアムプランへの無料アップグレード
  • Tシャツ、パーカー、ペン、ステッカー、ヘッドフォンなどのグッズ
  • スタッフとの電話での会話
  • 旅費無料での Spotify 本社への招待(!)

※特典内容の詳細が気になる方は、こちらをチェックしてみてください。

以上、「MVP制度」や「特典交換プログラム」など、コミュニティ活性化のためのアイデアのひとつとして、ぜひご参考にしてみてくださいね。

最後に…SELECKでも「コミュニティ」始めました!

さて、海外の先進的なコミュニティ事例、いかがでしたでしょうか?

サービス改善やカスタマーサポートなど、マーケティングにとどまらない「多機能の価値」をもつコミュニティは、今後もますます盛り上がっていきそうですね。

そんな中、実はSELECKでも、昨年よりコミュニティを始めました!

そのひとつが、マネージャーのためのコミュニティ「Management Lab(マネジメントラボ)です。

このコミュニティは、「日本のマネジメントを進化させ続ける」ことを目的に、1on1のシャドーコーチングや、EX(従業員体験)のLTイベントなどを不定期で開催しています。ぜひ、チェックしてみてくださいね。

もうひとつ、昨年末より小さく始めているのが、SELECK編集部と読者の皆さんとで交流する「SELECKゆる飲みコミュニティ(仮称)」です(笑)。

こちら月イチ・少人数でゆるく開催しておりますので、ご興味ある方はぜひこちらよりメッセージ下さい。

多くの読者の方々とお会いできることを、心待ちにしております!

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