- テテマーチ株式会社
- コミュニケーションデザイン室 室長
- 福間 昌大
「個の発信力」が企業にもプラスになる時代。テテマーチの、チームで戦うTwitter運用術
〜SNSの「楽しさ」が社内外に伝播することで、自社の認知度が向上。1人ではなく「みんなで」行う個人SNS運用がもたらしたものとは〜
Facebook、Twitter、さらにnote等の広がりによって、1人ひとりが自由に情報を発信し、自らのバリューを高めていくことができるようになった。
このような時代に、企業はどのように「個の力」の成長を後押しし、チームや会社の進化につなげていくことができるだろうか。
SNSマーケティング支援などを展開するテテマーチ株式会社では、インターン含め40名を超えるメンバーのほとんどが個人SNSを運用し、日々発信を行っている。
そして、メンバーのSNS発信力をさらに向上させるため、2019年5月からは個人のSNS上の発信に応じてインセンティブを受け取れる「SNS報奨金制度」を運用中だ(※期間限定で、2019年7月31日まで)。
同社内でメンバーのSNS運用を推進する福間 昌大さんは、「会社に属さなくても、個人の力で仕事ができるような時代になってきている。これからは『個々人でも仕事ができるんだけど、あえてテテマーチに所属している』という組織を目指したい」と話す。
今回は福間さんと、同社の創業メンバーで、取締役を務める松重 秀平さんに、SNS運用の秘訣や、企業として個人SNSの活用をどうモチベートするかについて、お話を伺った。
世の中の新しい「兆し」を見つけて、事業展開を行うテテマーチ
松重 私はテテマーチの創業メンバーという形で、2015年6月の設立のタイミングでジョインしました。現在は取締役として、新規事業の開発であったり、広報的な目的からイベントに登壇したり、幅広く担当しています。
テテマーチの事業内容としては、InstagramやTwitterを活用したプロモーション支援に重きをおいています。
ただ、僕たちはInstagramをやるために会社を作ったのではなくて。
会社としては「サキダチ、ヤクダツ」というコンセプトを掲げているのですが、世の中のこれから伸びそうな「兆し」を見つけて、それを先に始めることで世の中の役に立っていこう、という考え方をしています。
創業時の2015年にはそれがInstagramだったのですが、今は他にも新しいチャレンジをどんどん進めています。
会社のフェーズとしては、現在の社員数は25人ほどで、どんどん拡大しているところです。インターンも20人近くいるので、全体では40人を超える組織になりました。
福間 僕はもともと広告代理店に勤めていたのですが、個人的にSNSがめちゃめちゃ好きで。それを仕事に活かしたいなという背景から、2017年の1月にテテマーチにジョインしました。
最初は企業のSNSプロモーションの提案や営業活動を中心に行っていたのですが、現在はそこから離れ、社内の「コミュニケーションデザイン室」の責任者をしています。と言っても、所属しているのは僕1人なのですが(笑)。
コミュニケーションデザイン室は、もともと2018年に「SNS戦略室」という名前で立ち上げました。僕がSNSを活かして何かするのが得意だった、という背景があるのですが、徐々に活動が「SNS」という枠に収まらなくなってきて。
例えば外部の講師の方を招いて社内勉強会を開催したり、他の企業とコラボしてセミナーを実施したり、クライアント向けに企画を提案したり…。非常に幅広く活動していたため、それを体現するためにも名称を変えたんです。
その活動の一環として、社内メンバーの個人SNS発信強化の支援やアドバイスを行っています。先日発表した「SNS報奨金」も、その活動のひとつになります。
1人ひとりが発信力を持つことで、「銀河系軍団」を目指したい
松重 テテマーチは、会社として「中数精鋭」の組織づくりを目指しています。イメージで言うと、銀河系軍団だった頃のレアル・マドリードのような感じで。ジダンもいて、ベッカムもいて、ロナウドもいる…みたいな。
代表や事業責任者だけが有名な会社ではなくて、「あいつもあいつも、あいつもいるテテマーチってすごいよね」みたいな会社になれたらいいな、と思っています。そのための手段のひとつとして、ソーシャルメディアはミニマムで自己表現・自己発信がしやすいので、会社としても推奨している形です。
ただ、ほとんどのメンバーが何かしらの個人SNSを運用しているのですが、全く強制しているわけではなくて。実際に、代表も個人発信はしていません。
ただ、文化として浸透しているので、新しく入ったメンバーも自然と始める空気感ができていますね。
福間 自分としても、「テテマーチの誰々」というより「誰々がいるテテマーチ」という形を目指したいと思っていて。
インターネットとSNSの普及によって、会社に属さなくても個人の力で仕事ができるような時代になっていますよね。ここから、「個の力」はもっと加速していくと思います。
▼福間さんのTwitterアカウント
そう考えると、「個々人がそれぞれでも仕事ができるんだけど、あえてテテマーチに所属している」という状態のほうがイケてると思っていて。
全員が個人で発信力を持った上で、それに付随するようなスキルをしっかりと身に付け、ブランド化していく。それを体現していきたいという思いがあります。
楽しくなければ続かない!1人ではなく「みんな」で始めるのが鍵
松重 SNS運用に関して、強制しているわけではないのに多くのメンバーを巻き込めているのは、「楽しそうだから、仲間に入りたい」という気持ちが大きいと思っています。
例えば最近では、誰かがテテマーチにジョインしたらみんなで「新しい仲間入りました」とツイートするんです。そうすると、「テテマーチブースト」みたいな感じでそのメンバーのフォロワーが100人くらい増えたりして。それだけでも、最初の体験として楽しいじゃないですか。
なので、1人ではなくて何人かで一緒にやるということはすごく大事なんじゃないかと思います。自分自身も、1人だとたぶん続かなかったですね。
1人でやってると何が正解で、何が不正解なのかがわかりにくいですし、心細くなるかなと。それに会社の看板を背負っているとなると、プレッシャーを感じる人もいますよね。なので、みんなで運用するほうが楽しめるんじゃないかなと思います。
私自身は、もともとFacebookは使っていたものの、Twitterは全くやっていなくて。最初のきっかけとしては、福間に「Twitter見てるとさみしくないんですよ」みたいな話をされて。
でも、当時は意味がわからなかった(笑)。知らない人が何かよくわかんないこと言ってるのを見るだけで何が楽しいんだろう、と思っていたのですが、今はすっかり習慣化して、感覚も全く変わりました。
▼松重さんのTwitterアカウント
福間に最初教えてもらったことは例えば、「とりあえず毎日発信する」「ただシェアするだけではなくて、見解をどんどん入れる」といったことですね。
Facebookって、自分ごとの投稿をするとすごくリアクションがあるのですが、Twitterはそうでもないんです。でも、ニュースやノウハウのシェアをするとすごく反応がある。それぞれのコミュニケーションがあるということを学びました。
福間 細かいノウハウもありますが、大きくは目的によって運用の仕方を変えるべきなんですよね。例えば松重の場合、Facebookはもともとプライベートでつながっている人が多かったから、プライベートの話はエンゲージメントが高かったんだと思っていて。
僕のTwitterの場合は、自分を発信したいということもありますし、そこからリアルにコミュニティを広げていきたいと思っているんです。なので、僕はどんどんリプライもするしリツイートもするし、色々な人に絡みまくります。
リアクションの輪が広がると、いつの間にか、発信すると色々な人から反応が得られるようになってきます。つまり僕の運用は、なるべく多くの人に発信をして、さらに受信をして、インタラクティブな環境を築いていく、という感じです。
SNSって、始める前は「何が楽しいかわからない」という感覚がありますよね。でも僕は、一度楽しむと抜け出せない「中毒性」のようなものがあると思っていて。実際に僕も、今は1日10時間くらいTwitterにいますからね(笑)。
その楽しさを知るためのきっかけづくりとして、「報奨金」のような制度を作っています。最初にインセンティブという「ニンジン」をぶら下げることで、SNSの楽しさを知ってもらう。そこから習慣になれば、やがて離れられなくなるんじゃないか、ということが狙いです(笑)。
Twitter上の活動によって、「テテマーチ」の認知度が大きく向上
福間 実際にTwitterを中心に個人SNSの運用が活発になった結果、本当にたくさんの恩恵があります。
一番大きいと思うのは、Twitterにエンゲージし続けた結果、「思い出してもらえる」ようになったことですね。それが大きな案件が始まるきっかけや、メディアからの問い合わせにもつながっています。
(※編集部注:今回の取材も、Twitterで松重さんにDMを送らせていただき実現しました)
「テテマーチって名前、よく聞くよね」というお声をいただくことも増えたのですが、その半分は、Twitterでメンバーがそれぞれ発信して、露出が増えていることに起因しているのではないか、という感覚を持っています。
インターンも含めて2、30人で運用しているので、その中の1人が誰か社外の方とつながると、連鎖的にテテマーチのたくさんのメンバーとつながるんですね。するといつの間にか、その人は「テテマーチの人に囲まれる」ような状態になるんです。
まるで自分がテテマーチという「村」の中にいるような感覚になるので、それがわりと成功したなと思っています。誰でも簡単に出入りできる、緩いコミュニティのようなものが形成されていて、「そこに入ると何か楽しい」という感覚を社外の方に持っていただけるようになったのかなと。
松重 2019年の2月に、Twitterで「テテマーチ」とつぶやいた人に社員全員で「いいね」するという遊びをしていたことがあったんです。
その結果、知らない人たちもTwitter上で「テテマーチ、テテマーチ」と言ってくれるようになって。先日、とあるイベントでも、あの活動がきっかけで弊社を知ったと声をかけてもらったりしました。
実は、狙ってやっていたわけではないのですが、「まずは知っていただく」という第一関門をそれで突破できたんだという実感がありましたね。
より一層「個の力」を引き上げ、活躍する人を増やしていきたい
福間 このSNS運用に関して、数値的な目標は置いていません。ただ、「発信をしていくことでどうなりたいのか」という未来の状態は決めています。
例えば、SNSを通じて大手の企業さんから直接お声がかかるようにしたい、SNSマーケティングと言えばテテマーチだよね、という認知をしてもらいたい、といったことです。定量的なところというよりは、定性的なところを見ている感じですね。
また個人的には、この活動の延長線上で、SNSを活用して成功する人がどんどん増えていったらいいなと思っています。
そうすれば例えば、大企業のプロモーション案件に、大手の代理店ではなくSNS起点で軸になった人たちが食い込んでいけるかもしれない。そうなったらめちゃめちゃかっこいいですし、それを目指していきたいですね。
松重 自分としては、メンバーの発信の幅を広げていきたくて。具体的には、外部で登壇する機会を増やしていきたいと考えています。
SNSってアウトプットのひとつの手段なんですよね。その中でもTwitterはミニマムで、最近ではnoteなども出てきている。その流れで、「リアルの場で話せる」ということはさらに個人の力を引き上げるものかなと思っています。以前に「テテマーチ全員登壇プロジェクト」というものを推進していたこともありました。
なので、「この人に登壇してほしいな」というご依頼があったら、ぜひどんどん声をかけていただければと思います。(了)