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  • 角田 剛史

「フォロワー千人将」爆増!Twitter × noteで企業認知を高める、ベーシックの広報戦略

〜noteとTwitterの掛け合わせで、エンゲージメントを高める。1年で全社員の3分の1を巻き込み、企業認知を向上させたベーシックのTwitter運用術とは〜

Twitterやnoteを採用広報の目的で活用している企業が増えているが、全社を巻き込み、成果を出すためにはどうすればいいのだろうか。

Webマーケティングに強みをもち、Webマーケティングメディア「ferret(フェレット)」やBtoBのWebマーケティングツール「ferret One(フェレットワン)」を展開する、株式会社ベーシック。

同社では、人材紹介会社頼りの採用に課題を感じ、2019年1月からリファラル採用を強化。そこで問題にあがったのが「企業認知の低さ」だったという。

そこで、noteでのブログ制作と、Twitterでの発信を強化することを決意。1名を除き、ほぼ全員がTwitter初心者だったところから、約1年で全社員の3分の1がアクティブに、その半数がフォロワー数1,000を超えるアカウントに成長したそうだ。

その成功の裏には、アカウント立ち上げ時のサポートや、全社会議や社内報で「盛り上がりを見せる仕掛け」を作ることで、メンバーが最初の一歩を踏み出すための施策の実行があった。

さらに、noteでの発信を戦略的に行い、エンゲージメントの高いアカウントを育成。「バーチャル編集部」を立ち上げ、記事テーマの提案や編集を行うなどして、全面的なバックアップ体制を作ったそうだ。

今回は、同社のコーポレート管掌役員である角田剛史さんと、採用広報をサポートしている甲斐雅之さんに、プロジェクトの立ち上げ方から継続する仕組みづくりまでを詳しくお伺いした。

「企業認知」が課題に。リファラル促進のため、Twitterを強化

角田 私は、2018年8月にベーシックに入社しました。現在は執行役員として、人事以外のコーポレートを管掌しています。

甲斐 私は2017年に新卒でベーシックに入社し、現在はフォーム作成管理ツール「formrun(フォームラン)」のプロダクトオーナーを務めています。

角田 弊社では元々、人材紹介会社を通じた採用が多かったのですが、カルチャーマッチする人材の確率をより高めるために、リファラル採用を強化するプロジェクトを2019年1月に立ち上げました。

ですが、当時は「formrun」や「ferret」といったサービスは知られていても、企業自体が認知されていない、というのが課題で。実際にリファラルで声をかけてみても、「ベーシック」という社名の引きが弱く、なかなかうまく紹介につながらないことがありました。

▼左:角田さん、右:甲斐さん

そんな中、ある若手メンバーが「ベーシックをもっと知ってもらうために、Twitterを活用しましょう」と提案してくれたんです。

経営会議で「Twitterを使えば、こういうことが実現できます」「役員が主導すべきだと思うので、全員Twitterを始めてください」とプレゼンしてくれました。

僕自身は、完全に初心者だったので半信半疑の部分もあったのですが、まずは自分でやってみて、成果が出るかどうかを確かめようと思ったんですね。すると3ヶ月くらいでフォロワーが500ほどに増え、一定の効果を感じ始めました。

今では、全社の3分の1以上の社員がTwitterを活用し、その約半数のアカウントが1,000フォロワーを超えていますが、当初は全然そんなことはなくて。Twitterアカウントを個人で持っている人はいても、それこそ「ランチなう」程度のつぶやきでしたね(笑)。

そこで、2019年4月の全社会議の場で、採用広報を強化するために、noteを通じてカルチャーを発信し、Twitterも併せて拡散を頑張りましょうと伝えました。

初期のムーブメントを作るために、「〜人将」というネーミングにしたり、Twitterを活用することのメリットを伝えて、活動を始めました。

初期の流れを作るため、「メンバーの背中を押すこと」を意識

角田 ただ、最初はなかなか上手くいかなくて。流れができるまでに半年くらい苦労しましたね。甲斐だけが飛び抜けていた状態だったので、他のメンバーが始めやすい空気作りや支援を行う必要がありました。

甲斐 初めの頃は「メンバーの背中を押すこと」を意識していて。Twitterのプロフィール作成を手伝ったり、自己紹介ツイートを固定表示にする、自分の専門領域をツイートしてみる、といったアドバイスを行ったりしました。

角田 そうした個別フォローを甲斐にしてもらいつつ、全社を巻き込むスタンスとしては、とにかく強制しないことが大切です。

その代わり、ツイートしやすいようなネタを提供したり、盛り上げるための仕掛けを作って、まずはみんなが楽しんで継続できる体制づくりを目指しました。

例えば「もう設定した? 最近流行のTwitterアイコン『あおかベーシック』」という記事を社内報で出して、盛り上がっている雰囲気を演出したりしましたね。

▼実際の社内報

この青壁の写真は、入社時に全員が撮影しています。それをTwitterのプロフィール写真に設定することで、ベーシックとしての一体感が出るようにしました。

甲斐 またnoteも同じで、「はじめの一歩」をいかにサポートできるかが重要です。というのも、初めて公開するときって「読まれるかな…」と不安になったり、すごく緊張したりするじゃないですか。

そういう時に、最初にいいねをくれたり、最初にシェアしてくれる人がいるのって意外と大事だったりするんですよね。なので、その「最初の人になろう」と、個人的に意識していました。

「Twitter × note」で、フォロワーのエンゲージメントを高める

角田 弊社では、Twitterとnoteを掛け合わせた運用を、戦略的に行っています。ただTwitterのフォロワー数を増やすのではなく、エンゲージメントの高いアカウントを育てるために、noteでの発信を重視しました。

甲斐 実際、ツイートが1万リツイートくらいに達しても、意外とフォロワーって増えないんですよ。それよりも、noteがバズった時の方がずっと伸びる。そこで全社的に、noteを継続的に発信できるような体制を整えていきました。

角田 立ち上げ時は、まずは月6本を目安に、半年間継続することを目標にしました。

採用広報チームの主要メンバーである、僕と甲斐、人事の管掌役員、代表の秋山の4人で週次のミーティングを行い、そこで記事の振り返りやコンテンツの方針などを決めていました。

コンテンツの方針は、「事業」「カルチャー」「取り組み」の3つを軸にしていて、記事別にどの軸の要素を含んでいるかを表にまとめています。それをもとに、定例会議で「今ここが足りていないから、次はこういう記事を出していこうか」といった話し合いを行っていました。

また、きちんと継続して出せるように、記事テーマ、編集担当、公開予定日などをシートで管理して、採用広報チームが一緒になって進捗を追うようにしていました。

▼実際の採用広報(note)のプロジェクト管理シート

甲斐 他にも、採用広報チーム内に、編集のサポートを行う「バーチャルnote編集部」のようなものを設けています。

例えば、「noteに何を書いたらいいだろう…」と悩むメンバーに対しては、普段の業務を通じて得ている知見を壁打ちして、「こういうテーマが良いんじゃないか?」と提案をします。

さらに、「あとは執筆よろしくね」と突き放すのではなく、自分のnoteを執筆してきた経験を活かして原稿をブラッシュアップし、執筆者自身の 「自分の文章が世の中に認められないんじゃないか」という不安を取り除くように取り組みました。

この編集部には、広報だけでなく他事業部のメンバーが複数人集まっていて。僕もそのひとりに該当するのですが、振り返ると「主業務のうち1割くらいのリソースを割いてくれる人」を適切に巻き込めたことが、運用面として大きかったかなと思います。

1年継続した結果、リファラル比率や「名指し」での依頼が増えた

角田 こうした支援体制だけでなく、全社会議でnoteの反響や現状のTwitterフォロワー数などを共有し、熱量を下げないように意識していましたね。開始から8ヶ月くらい経って、参加してくれるメンバーが一気に増えました。

甲斐 メンバーを巻き込むためには、いかに「成功体験」を早く作ることができるかも重要だと思っています。

あるメンバーが最初に書いたnoteが、240スキを獲得したことがあり、Twitterに存在するビジネス系のインフルエンサーにも数多く言及いただきました。

こうした成功体験を全社に共有することで、「初めてでもそんなに反響があるんだ」「もう少し続けてみよう」といった雰囲気が盛り上がり、まだnoteを書いたことのなったメンバーの背中を押してくれるんですよね。

角田 また、取り組みを提案した当人や、役員やマネージャーが率先して継続することも重要だと思っていて。

「やってください」だけではみんなの士気が上がらず取り組みも進まないので、まずは役員やマネージャーが率先垂範を心がけて、一番成果を出すということも大切だと思います。

甲斐 結果として、元々8割くらいが人材紹介会社を通じた採用でしたが、Twitterの強化をした2019年は、リファラル採用(社員紹介を通じた採用)比率が約4割まで上昇しました。

また、採用だけでなく、コーポレートや事業のPRなど、あらゆる面において効果がありました。

特に「名指しされることが増えたな」と実感していて。例えば、展示会では「ベーシックさんのferret Oneが出展していると聞いて来ました」といったように、サービスの指名で会場まで足を運んでくれる人が増えたんです。

そこからTwitterで繋がり、展示状況のツイートなどへのリプライを通してやりとりが増え、その後お客様としてサービスをご利用いただくようになったり、取材依頼や外部イベントの登壇依頼が複数の社員に相次ぐようになったりと、良い循環が生まれていると思います。

全員で取り組むからこそ「一体感」と「表現の幅」が生まれる

甲斐 僕は元々SNSが好きで、以前からTwitterをよく活用していましたが、その時は「ベーシックの人」というよりも「formrunの人」という感じでした。

ですが今、これまで1人で発信してきたものを、10人、20人と社内のメンバーがTwitterやnoteで発信することで、ひとつの事象に対する「表現の切り口」が増えたかなと感じています。

例えば、僕がツイートをすると「formrunという事業を担当している人」という視点からベーシックを捉えてもらえますし、広報やマーケ担当者が情報を発信すれば、それぞれの専門性からベーシックとの接点が設けられます。

つまり、ベーシックという会社ひとつを取っても、「どの視点から捉えるか?」によって見方や接し方が変わりますし、その視点の切り口は多様かつ複数ある方が、発信の受け手としては自分に適切な人(Twitterアカウント)を選びやすいですよね。

また、僕はなにより、Twitterは当事者自身が楽しんでやるべきだと思っています。始めるきっかけや継続する理由が会社や事業のためであっても、発信すればするほどフォロワーは増えますし、結果として自分自身に良いことが返ってきて、良いご縁が生まれやすくなるんですよね。

なので、その楽しい状態まで持っていけるように、まずは小さな取り組みを続けることが大事だと思っていて。そして、周囲の人たちは「最初の成功体験」を掴んでもらえるよう、初めてのツイートやnoteの執筆において、背中を押してあげることが大切なのかなと思います。

角田 ここまで成果を出すことができたのは、やはり個人に任せきりにするのではなく、全社でTwitterを強化する方針を打ち出し、全面的にサポートする体制を整えたからこそだと思っています。

プロフィール背景の「青壁」の統一や、全社会議での成果の共有などで常に一体感を醸成しつつ、あくまで強制はせず、自主的に楽しむ雰囲気をいかに作れるかが重要だと考えています。

ですが、まだまだこの活動も道半ばなので、これからも地道に発信を続けていき、事業面での成果を今以上に出していきたいですね。(了)

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