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1,000万ユーザー、1人ひとりと向き合う!「ツイキャス流」ユーザーサポートとは
今回のソリューション:【メールワイズ】
〜ただひたすら「ユーザーと向き合う」ことで、ユーザー数が1,000万人を突破した「ツイキャス」。ユーザーの声をいかに吸い上げて活かすか、その裏側を公開〜
ユーザー数1,000万人、累計の配信回数2億5千万回を突破した、国内最大級のライブ配信サービス「TwitCasting(通称ツイキャス)」。
2010年の運営開始後、10代~20代前半の若者を中心に拡大を続け、個人が動画を配信するという新たな文化の先駆けにもなった。
同サービスを運営するモイ株式会社のユーザーサポート運営は、一般的なBtoCのWebサービスとは少し異なる一面を持っている。
ITツールを駆使して効率化を進めるというよりは、できるだけ多くのユーザーの配信を実際に「見る」ことや、丁寧なコミュニケーションを行うことに力点を置いているからだ。
その背景には、ツイキャスの開発者であり同社代表である、赤松 洋介さんの「ユーザーが喜ぶサービスを作る」という哲学がある。
赤松さんのインタビュー記事はこちら▶︎KPIより、ユーザーのための開発を。利用者1,000万人!ツイキャスのサービス運営哲学
では、実際に現場ではどのように1,000万人のユーザーと向き合っているのだろうか?
「『ツイキャスで人生が変わった』と聞くこともあり、ユーザーの方々にとってそれだけ大きな存在であることがうれしい」と語る同社広報の福田 有美さんに、詳しいお話を伺った。
▼ユーザー数1,000万人と向き合う、「ツイキャス」のサポート体制とは
サービス運営を「個人」から「組織」へ
私はこれまでライターや編集、そして広報といった仕事してきたのですが、領域としてはずっとIT系に関わっています。以前から弊社代表の赤松とは知り合いで、転職を考えていた時にモイのコーポレートサイトも見ていて。
そこには広報の募集がなくあきらめたのですが、2週間後くらいにたまたまとあるパーティで赤松に会った時に「広報を募集している」と言われて。ずっと一緒に働いてみたいと思っていたので「行きます!」と(笑)。そして2014年12月に、当時は15名ほどだったモイに入社しました。
当時も今もメンバーは積極的に採用していて、今は全体で30名ほどになりました。まだまだ採用する予定なので、オフィスには余裕がありますね。
弊社の場合は、ツイキャスというプロダクトを赤松がずっとひとりで開発してきて、未だに彼が担っている部分が多い状況です。人を増やすことで、その状態を少しずつ変えていきたいというフェーズにあります。
ほぼ「PRなし」でユーザーが1,000万人を突破した「ツイキャス」
「TwitCasting(ツイキャス)」の原型は、2010年に赤松が開発した「Joker Racer」というサービスです。ラジコンにWebカメラを積み、インターネット上で操縦できるんです。
ユーザーの方が「右に曲がろう」と操作した瞬間にラジコンが動く、というリアルタイム性を実現するために工夫していた技術が、今もツイキャスに活かされています。
今ではユーザー数も1,000万人を越え、累計の配信回数も国内のライブ配信サービスで初めて2億5千万回を突破しました。ユーザーの中心は10代の高校生から20代前半の、比較的若い層になっています。
ただ「どうしてツイキャスがここまで広まったのか」ということは、未だにあまりわかっていないというか…(笑)。赤松自身が「エンタメ好き」のようなタイプではなく、どちらかと言うと、まじめに黙々と開発する技術者なんです。
なぜ女子高生が「自撮り配信」を楽しんでいるのかはよくわからなかったし、そのような使い方がされるとはまったく思っていなかったそうです。
iPhoneにカメラが搭載されたこと、Twitterが若年層に爆発的に広がったこと、考えられる理由はありますが、それを見越していたサービスではありません。これまで大規模なプロモーションもしていませんし、広告を出したのも2回ほどです。
偶然ロンドンブーツの田村淳さんが使ってくれたことで芸能人の方に広まり、同じぐらいの時期にTwitterが中高生に広まりました。その後は基本的にユーザーの方のTwitter上の発信によって、自然に広がりを見せています。
ツイキャス・ユーザーサポートの姿勢は「とにかく向き合う」
ツイキャス運営の文化として特徴的なのは、開発と同じくらいユーザーサポートに力を入れていることだと思います。
それぞれ兼務しながらですが、サポートとエンジニアがほぼ同数おり、そのほか広報・マーケティングなどといった構成になっています。
赤松は当初ひとりで運営していたので、サポートも自身で担当していました。その時に持っていた考え方から、社内には「ユーザー第一」という理念が完全に浸透しています。
Webサービスを運営されている方は、みなさんユーザーさんと真摯に向き合っておられるとは思うのですが、うちはちょっと独特かな…と感じる部分があって。
特に「若年層」のニーズやトレンドは、なかなか意図が見えにくいんですね。それをどうキャッチするかということが大切なので、実際のツイキャスの配信やコメントは、本当に毎日みんなでチェックしています。
人気のユーザーは1回の配信で1万人以上に視聴されることも多々ありますので、そういった配信でのコメントなどは特に気をつけて見るようにしていますね。
問い合わせメールは「メールワイズ」で一元管理
いまではコアタイムには、1日に30万件ほどの配信がされていますし、問い合わせが1日で数百件にのぼることもあります。ユーザーからのお問い合わせに関してはすべてメールで対応していて、「メールワイズ」を使って一元管理しています。
メールワイズは、お問い合わせ対応などで使う共通のメールアドレス宛のメールを、複数のユーザーで共有できるグループウェアです。
▼メールグループウェア「メールワイズ」を活用(内容はイメージです)
メールワイズに集約した問い合わせは、社員全員が全て閲覧できるようにしています。そもそもユーザーの「声」自体が貴重なものなので、サポートチームだけでなく、開発・広報も知っていた方がよりよいサービス作りができると考えているからです。
さすがに本当に全員がすべてを確認できるわけではありませんが、メールワイズで一元管理することでチームの共通認識を高めています。
集約した「ユーザーの声」をどう活かすのか?
メールワイズに集約されたユーザーの声は、例えばキャンペーンを打つときに活かしています。
お正月やハロウィンなど、季節のイベントや新学期や夏休みなどの時期に、ユーザーが参加できるイベントを開催しているんですね。
キャンペーンを打つときには「参加人数」のようなKPIより、キャンペーンそれ自体の「盛り上がり」を大切にしています。どれだけコメントがついたか、どんな反応があったか、という、どちらかと言うと定性的な部分ですね。
また、キャンペーンの応募時にサービスに関するアンケートを記入してもらって、普段の使い方やツイキャスの感想などをまとめています。
その情報はキャンペーンごとにストックされ、全員がいつでも見られるようにしています。次のキャンペーンや新機能の実装に活かす、貴重な意見です。
縁の下の力持ち「ツイキャスサポートチーム」
またキャンペーンを打ったあとも、ユーザーの声はアンケートという形で必ず聞くようにしています。それをサポートチームがチェックして、特に印象的だった内容については社内の掲示板を使って全社に共有していますね。
弊社では、入社すると全員が必ずカスタマーサポートの研修を受けます。そのくらい、サポートを大切にしているんです。
業務効率化という意味では、本当に課題が多いのは事実です。けれどユーザーさんに愛されて成長してきたサービスなので、今後もできるだけ多くの方と向き合って、結果的にツイキャスを使う人が増えていけばいいな、と思っています。(了)