• 株式会社クレハ
  • 包装材事業部 企画・管理部 店頭活性化グループ グループリーダー
  • 村上 勉

全国5万人のファンをコミュニティ化!「NEWクレラップ」のロイヤルユーザー育成法

〜ユーザーの声から、「商品の強みが伝わっていない」と認知。ファンコミュニティからテレビCMまで、ロイヤルユーザーを増やすための一気通貫したプロモーション施策の全容〜

自社の製品だけをずっと使い続けてくれる。そんな熱狂的なファンを増やすためには、どのような施策が有効なのだろうか。

「NEWクレラップ」をはじめとする家庭用品や化学製品などの製造・販売を行う、株式会社クレハ。

同社は、「NEWクレラップしか買わない」というコアなファンを増やすため、2014年からオンラインコミュニティの運営を開始。

その運営においては、料理レシピのようなライトな内容だけでなく、商品の特徴を「学べる」コンテンツの発信を強化。現在では、5万人以上のファンが集う場になっているという。

また、「クレハカット選手権」などのリアルイベントの開催と、「快感」をテーマにしたテレビCM施策によって、商品の一番の特徴である「クレハカット」の認知を向上。これらの活動によって、ロイヤルユーザー層の割合が、5年で約10ポイントも上昇したそうだ。

今回は、同社でプロモーション企画と運営を担う村上 勉さんに、自社製品の愛用者を増やすための一気通貫した施策の全容について、詳しくお伺いした。

ファンを増やすため、商品の魅力を直接伝えるコミュニティを開設

私は、1989年にクレハ(旧社名:呉羽化学工業株式会社)に入社しました。工場勤務や営業、マーケティング担当を経て、現在は主に家庭用品のプロモーション企画・運営を担っています。

弊社では、2011年の東日本大震災をきっかけに、大きな変化が起こりました。福島県いわき市にある工場が被災したことで、売上・利益に直結する家庭用品の供給が止まってしまったんです。

その4カ月後には再稼働に至りましたが、その間は主力商品である「NEWクレラップ」の製造ができず、ラップ業界全体に大きな影響が出ました。

というのも、この業界は当社ともう1社の2大ブランドで、市場の80%以上のシェアを占めています。そのため、世の中に必要とされる量が供給しきれない状況に陥ってしまったんです。

そこで、企業として消費者や取引先とどのように向き合うべきかを考えた結果、シェアを奪うための価格競争を止め、店舗で欠品しないような安定供給を優先にしました。ところが、市場のシェアや販売規模はほとんど変わりませんでした。

その理由を考えたところ、お客様にとってのラップはすでに生活必需品の位置づけであり、商品として認められていると。もう価格じゃないんだな、と思ったんです。

そこで、消費者に商品自体の良さを伝えることで、愛着を持って購入し続けてくださるようなロイヤルユーザーを増やすことが重要だと考えました。

それを実現するため、消費者の声を直接的に拾い上げたり、私たちからメッセージを伝える手段を模索していたところ、ファンコミュニティクラウド 「QON(クオン)」を展開していたクオン社と思想が合致し、2014年にオンライン上の「クレラップコミュニティ」を立ち上げました。

ラーニング目的の投稿を増やし、段階的に関心度を引き上げる

コミュニティを開設した初年度は、料理レシピを中心に「こんな便利な調理方法や保存方法があります」といった内容を発信しながら、消費者が商品に対してどういうイメージを持っていて、実際にどう使っているのかという情報を集めました。

すると、これまで150回以上もの改良を加えてきた商品にも関わらず、その工夫したポイントや使いやすさが、消費者にはあまり認知されていないことがわかってきました。

そこで2年目からは、商品の特徴や改良の歴史を学べるような、ラーニングを目的とした発信の割合を増やすことにしました。

特に訴求したのは、商品の最大の特徴である「クレハカット」です。V字型の刃で、簡単にスパッと切れるように工夫を施したものですが、そういった商品の特徴や魅力を知っていただくことで、ロイヤルユーザー化を図っていきました。

▼実際にコミュニティに投稿した内容(一部)

また、運営側からコミュニティに投稿する質問は、ライトユーザー、ミドルユーザー、ロイヤルユーザーという3つの層に向けて出し分けました。

例えば、ライトユーザー向けには「どんなおにぎりが好き?」といった質問を、ミドルユーザー向けには「クレハカットをしてみた感想は?」のような質問を投げかけるイメージです。

とは言っても、実際には同じコミュニティ空間にすべての層のユーザーが混在しています。なので、質問内容に合わせて各階層の方々が自然と反応する形ですね。

そうしたコミュニケーションが日々飛び交う中で、最初は答えやすい質問だけに反応していたユーザーが、何度もコミュニティに遊びに来てくださるうちに、商品に関する質問にも答えてくださるようになりました。

2019年秋からは、新たに「キチントさん」シリーズも取り入れて、「クレライフ コミュニティ」という形に発展させました。現在、コミュニティの会員数は5万人を超える規模になっています。

「クレハカット選手権」を開催。商品の魅力を体感できる場を提供

また、コミュニティ運営と併行して、様々なリアルイベントを実施してきました。その中に、2018年から開催している「クレハカット選手権」があります。

全国主要5都市での地区大会と、その上位者での決勝大会からなるクレハカット選手権は、「30秒間で何個のお皿にラップがかけられるか」を競うイベントになります。

多くの消費者に商品の魅力を直接伝える方法を社内で検討した際、「クレハカットを正しくできれば早くラップを切れるはず。その早さを競ってみてはどうか」というアイデアが生まれ、実施しました。

2019年の第2回開催では、競技以外にも様々な参加型コンテンツを用意した結果、5,000人以上のお客様にご参加いただきました。

反響が大きく、弊社としても力を入れていたコンテンツでしたが、新型コロナウイルスの影響を鑑みて開催を取りやめることになりました。

このような環境変化があったからこそ、現在はオンラインで新しいチャレンジを始めています。家族が楽しく元気に過ごせるようにとの思いを込め、おにぎりを家族で楽しめるコンテンツ「クレハおにぎりプロジェクト」を立ち上げました。

ここでは、「おいしいおにぎりの握り方」や「NEWクレラップを使って衛生的に握る工夫」といった情報をお届けするため、親子で楽しめる動画コンテンツ「おにぎり学校」を発信しています。

さらに、マス広告の取り組みとしては、ラップの切りやすさを表現する「快感」というキーワードで、2018年からテレビCMの内容を変更しました。

その後、「クレハカット」というワードと機能に関する認知度調査を行ったところ、2018年に70%を超えていたワードの認知度が、2019年はさらに9%ほど向上しました。

一方で、クレハカットの機能に対する認知を向上させる施策は、まだまだ必要だなと感じています。

ライト層のファン化と、愛用者のオンリーユーザー化を目指したい

プロモーション活動の成果としては、「ラップを10本購入するとしたら、そのうちNEWクレラップを何本購入しますか」という指標で変化を見ています。

私たちは、8本以上購入すると回答した方をロイヤルユーザー、同様に5〜7本の方をミドルユーザー、4本以下の方をライトユーザーとしています。

結果として、ロイヤルユーザーの割合は、コミュニティ開設翌年の24%から、現在は35%に増加しました。そのうち、10本中10本購入されるオンリーユーザーは、同時期比較で7%から16.5%まで増やすことができました。

今後の課題は、人口が減少傾向にある中で、ロイヤルユーザーの育成だけで販売規模を維持することは難しいということです。

これから大事になるのは、ライトユーザーや商品を全く使ったことがない方を、いかにキャッチしてファン化していくかという部分ですね。

ライト層のファン化と、ロイヤルユーザーのオンリーユーザー化。この2軸を意識しながら、コミュニティのお客様の声を起点として、施策を使い分けていこうと思います。

また、コミュニティに「キチントさん」シリーズを取り入れて間もないですが、使ってみたら便利だったという声をたくさんいただく一方で、商品の特徴についてのご意見や感想はいただけていなくて。

なので、このシリーズも商品の特徴や便利な使い方を知っていただけるレベルまで、持っていきたいなと思っています。今年1年試した結果を踏まえて、どういった施策が一番効果的なのかを考えながら、取り組んでいきたいですね。(了)

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