• 株式会社subsclife
  • 代表取締役
  • 町野 健

メーカー開拓に振り切ったUI/UXで、売上30倍に成長!業界に革命を起こすsubsclifeの戦略

〜ユーザー目線を優先したECサイトが多いのに対し、メーカー開拓を優先して「商品を載せたい」と感じられる世界観を追求。急成長に寄与したUI/UX戦略とは〜

新領域でサービスを展開する上で、どのようなUI/UX戦略が有効なのだろうか。

2018年に日本初となる家具のサブスクリプションサービス「subsclife」をリリースし、2019年と2020年の同月比で30倍の急成長を続ける、株式会社subsclife。

同社では、良質な家具を作るメーカーを盛り上げたいという想いから、創業時に海外で主流となっていた月額定額のサブスクリプションサービス(以下、サブスク)と家具をかけ合わせた、新しいビジネスモデルを提案。

CPO 兼 Platform General Managerとして同サービスの開発・ディレクションを担う小野 雅之さんは、「まずは家具のサブスクという新しい概念を、多くのメーカーさんに支持していただくことがビジョン実現の近道だった」と話す。

実際、同社の事業成長には「メーカー開拓に振り切ったUI/UX戦略」が大きく寄与したという。

今回はCEOの町野 健さんと小野さんに、事業運営において大切にしている思想と、どのようなUI/UX戦略が成果に結びついたのかについて詳しくお伺いした。

「家具×サブスク」の市場を作り、メーカーを盛り上げることを決意

町野 2016年にカマルクジャパン(現subsclife)を設立し、2018年3月に日本初の家具のサブスクサービスである「subsclife」をローンチしました。

もともとはtoC向けに自社家具を製造・販売する事業としてスタートしたのですが、そこからtoB・toC向けの「ブランド家具のサブスク」という事業形態に転換したのには、ふたつの理由がありました。

まず、2017年にアメリカで開催されたカンファレンスに参加する機会があり、他の100社ほどのプレゼンも聞いた中で、ほとんどの企業が「お金の回収方法はサブスクだ」と言っていて。

当時国内では「サブスク」という言葉自体がありませんでしたが、アメリカではそれが主流になっていたことから「日本にもその波が来る」と感じたのがひとつです。

▼左:町野さん、右:小野さん

また、引っ越す機会があって目黒の家具通りを30店舗ほど見て回った際に、「家具って高いな」と感じて。中には良心的な価格でおしゃれな家具もありましたが、店長さんと話すと「すごく安価な量産型メーカーがあるから、僕らが質の良い家具を作っても儲からないんだよね」と元気がなさそうで、もったいないなと感じたんです。

やっぱり良いものを作っているメーカーさんには報われてほしいですし、家具マーケットは販売手法などが他業界に遅れを取っていたので、僕たちが「家具×サブスク」でメーカーさんが売上を伸ばせる土壌を作り、一緒に大きなビジネスに育てていきたいと考えて事業転換をしました。

既成概念を打ち破る「定価を超えないビジネスモデル」で差別化

町野 とはいえ、創業から数年は資金繰りが大変で、地獄のようでした(笑)。

というのも、僕たちは「ユーザーに良質なサービスを提供するためにも、メーカーさんとの関係を一番大事にするべきだ」と考えて、月額払いのサービスにも関わらず契約が決まったら一括で先払いしていたんですね。加えて、メーカーさんにとって競合商品となる自社家具の取り扱いもやめました。

そのため融資枠もすぐに上限まで達してしまって。さすがにそういう素振りは見せませんでしたが、「大丈夫、大丈夫です」と言いながら僕からメーカーさんに支払っている時期もありましたね。

そうまでして成し遂げたかったのが、「家の中を、世界一、豊かな国へ。」というビジョンの実現です。

▼同社のビジョン・ミッション(HPより一部抜粋)

日本は家の中には投資しない国だと言われますが、僕たちは「家の中を豊かにして、人生も豊かになる」という世界観を作っていきたいと考えています。

また、今主流となっている家具の大量生産・大量廃棄のビジネスモデルはこの時代にそぐわないと感じていて。そういった既存のやり方を変革していきたいという想いから、「STAY FEARLESS(勇敢であれ)」という言葉を掲げて、創業当時からの思想を曲げずに突き進んできた感じですね。

ここから生まれた「長く使っても定価を超えない価格設計」や、「新品のみを扱いながらも、使用後の家具は二次流通に回して再利用する」といったビジネスモデルが、既存の販売手法や類似のレンタル家具の企業とは異なる独自性に繋がっています。

メーカー開拓を優先したUI/UXで、商品を載せたくなる世界観を作る

小野 それらのビジネスモデルに加えて、「subsclife」の大きな差別化ポイントになっているのが、サービスのUI/UXとブランディングです。

私は、アパレル業界やWeb業界を経て2017年9月に入社し、事業の初期フェーズからsubsclifeのWebサイトやシステムの開発・ディレクションなどを幅広く担ってきました。

家具のサブスクは新しい概念なので、まずはメーカーさんに支持していただけるようになることが、結果としてユーザーに満足いただけるサービスを提供する近道になります。その考えから、当時町野とは「良いものを扱うには、自分たちのお店も綺麗じゃないといけない」「メーカー開拓のためのブランディングを最優先しよう」ということを話していましたね。

多くのECサイトでは、いかにユーザーに選ばれるかを重視してUI/UXを設計すると思いますが、私たちはメーカーさんに興味を持っていただき、何社かサイトを見比べる中で「subsclifeってちょっと違うね、何か良いよね」とか「ここに商品を並べたい」と感じていただくことに注力してきました。

そこで目指したのは、各社のブランドイメージをさらに向上させられるような「わかりやすいおしゃれさ」があり、ハイファッション誌に掲載されていても違和感がない世界観を作ることでした。

▼実際の「subsclife」商品ページ(一部)

私も町野もファッション関連事業に携わった経験から感覚的に身についているものがあるので、その世界観の作り方をすべて言語化するのは難しいのですが、たとえば余白の使い方は多くのECサイトと異なる部分だと思います。

また、申し込みのカート以降のページも含めて、多くの企業で使われているパッケージデザインではなく、ヘッダー・フッターに余計なリンクや要素を置かないといったように、最後まで一貫した世界観が伝わるようなカスタマイズをしています。

お客様の反応を見ながら細かい改良はしているものの、最初から完成形の世界観を明確にしていたので、これまで大きくUI/UXを変更したことはないですね。

▼2018年以前に設計した画面要件(左:パッケージデザイン例、右:subsclifeの比較イメージ)

町野 このような世界観を作ろうと考えた時に、たまたま出来ることはないと思っていて。やっぱり裏づけされた経験やロジックがあって、今のUI/UXに行き着いているなとは感じますね。

プロダクトは戦術を支援するツールであれ。昨対30倍の成長を実現

小野 私が開発時に大切にしているのは、まず企業としての戦略があって、「セールスやマーケティング戦術を支援するツール」として、プロダクトがあるべきという考え方です。

なので、今後レイトマジョリティの方々にもサービスを利用していただけるようになり、仮にユーザーの利便性を優先する方針になれば、もう少し説明的な表現を増やしてユーザーに優しい仕様にする必要があるかなと考えています。

このように戦略と戦術によってUI/UXは変えていくべきだと思うので、「最初から全部を完成させようとしない」ということも意識しています。その時の戦術に合わせてフロント側の世界観はしっかりと作り込む一方で、差別化が難しい裏側の機能改善は後にまわし、優先度が高い方にリソースとコストを配分するといった具合ですね。

もし戦術を成功させるためのプロダクト開発が間に合わない時には、他社のツールを使って実現したり、一部のオペレーションを人力で補ったりしながらも、「とにかく戦術として成立させる」という意志がすごく重要だと思います。

町野 このようなメーカー開拓を優先した取り組みによって、1社目に「journal standard Furniture」や「ACME Furniture」といったブランド家具を扱うベイクルーズさんとの契約が叶い、現在では400ブランド10万種類の商品を取り扱わせていただけるまでになりました。

また、2019年のサブスクブームと、2020年のコロナ禍で自宅やオフィス家具の見直しが行われたことも大きな後押しになり、前年同月比で月商ベースが30倍まで成長しています。

創業当時から今に至るまで、僕たちがメーカーさんを盛り上げたいという気持ちや、メーカーさんから期待されていることは全然変わっていなくて。「一緒に大きくなっていきましょう」と団結している感じですね。最近はよりサービス拡大への期待をいただいて、責任感が増しているところです(笑)。

メーカーとユーザーと自社が報われる仕組みで、業界に革命を起こす

小野 今後は、基幹事業としての家具のサブスクや、昨年開始したサービスを拡大していく予定です。

それらの事業で成果を出すことでメーカーさんを元気にして、みなさんがより一層家具を楽しむ生活ができるような世界を作っていきたいと思っています。

町野 僕も、家具の売上がさらに伸びていく仕組みを構築することで、「メーカーさんが本来のものづくりに注力でき、ユーザーのみなさんに良質な家具が届き、我々の利益にも繋がる」という三方よしの状態を追求していきたいです。

その状態を個人的に「革命」と呼んでいて、それが実現できると家具業界は大きく変わると思っています。創業時から「理想論だ」と言われてきましたが、最近は実現できそうなイメージが湧いてきていますね。そのためにも、僕らは脇道にそれることなく実直に、三者の幸せを作り出していきたいです。(了)

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