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有料顧客は5年で15倍に。「MAツール」から「統合型CRM」へ進化を遂げたHubSpotの現在地
【Sponsored by 株式会社100】「企業が見込み客に有益なコンテンツを提供することで、自社製品やサービスへと惹きつけ、顧客へと転換する」インバウンド・マーケティングを実現するソリューションとして、2006年に登場した「HubSpot(ハブスポット)」。
現在ではマーケティング領域のみならず、顧客関係管理やセールス、カスタマーサービス、さらに社内オペレーションまでを一気通貫で支援する「統合型CRMプラットフォーム」として、大きな進化を遂げています。
日本では2016年にHubSpot Japan株式会社が設立され、上陸から5年で国内の有料顧客数15倍を実現。2025年までに従業員数300名規模への拡大を目指すなど、順調に成長を続けています。
今回は、2021年に同社のカントリーマネージャーに就任した廣田 達樹さんと、日本では2社のみが認定される(※2022年1月現在)HubSpot「Diamond Partner」を務める株式会社100(ハンドレッド)の代表 田村 慶さん、取締役 遠藤 祐太朗さんの3名による特別鼎談をお届けします。
「DXブーム×コロナ渦」により、ニーズの多様化が進む日本市場に挑むHubSpotの現在地から、デジタルツール導入にありがちな「失敗」とその対策法まで、幅広くお話をお聞きしました。
▼本記事でお話いただいた皆さま
HubSpot Japan株式会社 カントリーマネージャー 廣田 達樹さん
2021年9月より、カントリーマネージャーとしてHubSpot日本法人の代表を務める。
過去には、Google、Dell、HP、VMwareといった大手テクノロジー企業を中心に、26年間に渡りセールス、マーケティング、戦略立案といった幅広い領域で活躍した経験を持つ。
株式会社100(ハンドレッド) 代表取締役 田村 慶さん
2018年、株式会社100を創業し、2020年にHubSpot Diamond Partner認定。2021年には、HubSpotユーザーグループ「Japan HUG」のリーダーに就任。
過去には、株式会社24−7を創業し、2012年よりHubSpot関連事業を提供。
株式会社100(ハンドレッド) 取締役 遠藤 祐太朗さん
BtoB企業を中心にマーケティングの戦略設計から実行支援まで、一気通貫で伴走。お客様のビジネス成長を前提としたコンサルティング+αを得意とする。
週末はワークアウトで汗を流すストイックな京都人。
▼左から株式会社100 遠藤さん、田村さん、HubSpot Japan株式会社 廣田さん
マーケティング領域を越え、部門間連携を実現する「統合型CRM」へ
ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは100(ハンドレッド)のお二人から自己紹介をお願いできますでしょうか。
田村 我々はHubSpotのDiamond Partnerとして、「HubSpotのことであれば何でも聞いてください」というスタンスで、お客様のお手伝いをしている会社です。
2021年2月にはHubSpotのPlatinum Partnerだった株式会社パンセを子会社化し、現在は札幌と東京で15名体制で顧客支援をしています。
個人的にHubSpotを使い始めたのは2012年で、そこからお客様にも紹介したいということで、当時経営していた株式会社24−7でHubSpotパートナーを始めました。
遠藤 私は弊社の立ち上げ時から参画したのですが、実は学生のときからインターンとしてHubSpotについて勉強をしたり、ブログ記事を書いたりといった活動をスタートしていました。
その後、新卒という形で24−7に入社し、2016年からHubSpotの顧客支援に携わってきました。
ーーありがとうございます。続いて廣田さんもよろしいでしょうか。
廣田 私は2021年9月に、HubSpot Japanのカントリーマネージャーに就任しました。もともとは旅行会社からキャリアをスタートしたのですが、そこからテクノロジー業界に興味を持って飛び込み、DellやHP、VMwareといった企業でセールス、マーケティング領域の経験を積みました。
その後はGoogleにジョインし、日本と韓国、それから東南アジアの国々のデジタルトランスフォーメーションを支えていくような、営業と事業開発を10年に渡って担当していました。
その後、シンガポールが本社のBPO企業に移ったのですが、実はそこでHubSpotを導入したことがHubSpotとの出会いです。
ーーそこからHubSpotにジョインされた決め手としては、どのようなことだったのでしょうか?
廣田 HubSpotは2006年にマーケティング・ソフトウェアとして事業をスタートした後、15年にわたって大きな成長を遂げてきました。
現在はマーケティング領域のみならず、セールス、カスタマーサービス、オペレーションと幅広い領域をカバーするCRMプラットフォームに進化を遂げています。
私自身も様々な企業で、「マーケティング部門と営業部門」といった異なる部門間の連携が非常に大切だと実感してきました。その課題を解決できるソリューションを持ったHubSpotに大きな可能性を感じ、ジョインを決めたという背景があります。
日本法人の設立から5年。2025年までに300名規模までの拡大を目指す
ーー日本法人としてHubSpot Japanが設立されたのは2016年ですね。そこから5年が経過し、事業成長としても著しいものがあるかと思います。
▼HubSpot Japan 事業開始5年の成長(※HubSpot Japan株式会社提供)
廣田 そうですね。今後についても、現在100名ほどの従業員数を、2025年までに300名規模まで拡大することを目指しています。
ですが日本での展開については、そもそも我々が上陸する前から始まっている…ということをお話する必要があると思います。
それこそ、田村さんのような方がHubSpotを使ってくださって、英語の資料を翻訳しながらマーケットへの普及活動していただいていた。それがベースとなって、日本に法人を置こうという決断に至ったので、本当に感謝しています。
上陸後は、「HubSpot マーケティングブログ」のようなコンテンツを通じて、マーケットの皆さまが求めている情報を提供し続けてきたことの積み重ねが、良い結果につながっているのだと思います。
▼創業以来のHubSpotの歩み(※HubSpot Japan株式会社提供)
ーー田村さんは2012年からHubSpotをお使いということで、日本マーケットの変化も肌で感じてこられたのではないでしょうか。
田村 そうですね。日本法人ができる以前は、HubSpotは一部のテクノロジーやマーケティングに明るい企業が使っているような製品でした。そこからHubSpot Japanさんがコンテンツ提供や啓蒙活動を担っていただくようになり、認知も大きく広がりました。
加えて、新型コロナウイルスによって人々の仕事の仕方ががらっと変わったことで、これまでHubSpotが取り組んで来たことが日の目を浴びることになった部分もあると思います。
例えば、HubSpot Japanの立ち上げ当初は、営業担当が「訪問をしない」ということを徹底されていました。背景としては、SMB(※)に特化したサービス提供をしているので、営業活動でも効率を重視してオンラインで訪問すると。
※Small and Medium Businessの略で、「中堅・中小企業」の意味
田村 最初、この考え方は日本企業にはなかなか理解してもらえませんでしたが、世の中の変化によって皆さんがオンライン営業の良さに気が付きましたよね。
HubSpotのやり方が世の中に受け入れられると同時に、それを実現するためのソフトウェアとしてHubSpot自体の導入も進んでいる…という感覚があります。
DXで顧客ニーズが多様化。「企業の成長と共に進化する」CRMを目指す
ーー顧客層についてはいかがですか? 印象として、IT企業だけではなく多くの業種・業態にも拡大しているのではないでしょうか。
廣田 そうですね。当初はアーリーアダプターと言いますか、テクノロジーに明るかったり、大都市圏でビジネスを展開されていたり、といった企業様が非常に多かったかと思います。
それが最近では本当に裾野が広がってきていて、製造業のような伝統的な産業や、大都市圏外の地域からも多くの引き合いをいただいています。
田村 企業規模も変化しましたね。先ほども申し上げたように、当初のHubSpotはSMBに特化していましたが、2〜3年前からエンタープライズ向けの機能強化にも非常にスピーディに取り組まれたので、大企業でも採用されるケースが増えています。
加えて、HubSpotの使い方も変化してきたと思います。もともとはインバウンドマーケティングを始めたい、もしくはマーケティングオートメーションを入れたい、といったマーケティングの一施策としての導入がほとんどでした。
しかし、今ではCRMがHubSpotの核になったことで、顧客管理を中心に、マーケティング、営業、カスタマーサービス等まで用途が広がるようになってきました。
ーー「統合型CRMプラットフォーム」に進化したHubSpotがお客様に提供される価値とは、どういったことなのでしょうか。
廣田 以前は、CRMと言えば「複雑なオペレーションを回すためのコストが高く利便性の低いもの」か、「非常にシンプルだができることが限られているもの」、この二択でどちらかを選ばないといけないという状況でした。
ですがHubSpotはそのどちらでもなく、企業の成長と共に進化できるようなCRMを目指して、自社開発にこだわってサービスを拡大してきました。
実際、CRMは無償で提供していますので、まずはそれだけでシンプルにスタートすることもできますし、そこから企業が成長していく中で、エディションを上げて欲しい機能を追加していく…といった動きも可能です。
▼CRMからオペレーションまで、一気通貫でサービスを提供(※詳しくはこちら)
ーー実際の顧客ニーズとしては、どのようなものが主流になっていますか?
廣田 すごくシンプルに言うとやはりDXですが、その中でもニーズは多様化しています。例えばアナログデータを電子化したいケースもあれば、顧客の体験をより良くするためにオンラインのカスタマーサービスを強化したい、といったものまで様々です。
田村 廣田さんがおっしゃるように、今はDX文脈で、マーケティング等の単機能というより全体を見られている方が多い印象です。CRM、マーケティング、カスタマーサポートまで一環して実現したい、となったときの選択肢として、HubSpotが選ばれていますね。
また、会計ツール、名刺管理ツール、BIツールといった外部ツールとの連携など、細かい開発のニーズも非常に高まっています。そういった連携は割とクセもあったりするので、我々のこれまでの経験や知識が強みになっています。
パートナー企業と共に、顧客の成功を実現するためのエコシステムを構築
廣田 また、我々がお客様に届ける価値としては、プロダクトももちろんですがカスタマーサクセスが非常に重要です。それこそ100(ハンドレッド)さんのようなパートナーさんと一緒になって、これまで大きく投資してきました。
HubSpotのパートナープログラムでは、我々のパートナーさんは大きく3種類に分かれています。代理販売をしていただくソリューションパートナーさん、連携アプリを提供してくださっているアプリパートナーさん、さらに、開発を一緒にしていくディベロッパーの皆さんです。
▼HubSpot CRMプラットフォームの全体像(※HubSpot Japan株式会社提供)
廣田 ただし、パートナーさんのケイパビリティも、どんどんオーバーラップしてきています。例えば100さんも、ソリューションパートナーという位置づけではありますが、開発のケイパビリティも持たれていますよね。
重要なのは、単純にツールを導入して終わり、ではなくて、導入後もしっかりと支援をしていく。そのためのエコシステムをパートナーさんと一緒に作り上げている、ということです。
ーー日本はDXブームもあり、ツールベンダーが顧客の本当の成功までを支援することが重要になってきていますよね。
廣田 HubSpotが単一ベンダーとして提供できるものには、限界があるのかなと思っています。顧客のニーズが多様化しているからこそ、きっちりと満足度を上げていくための支援活動が重要で、それはパートナーさんの力なくしては実現できません。
実は日本の特徴としては、100さんもそうなのですが、上位パートナーさんが非常にお客様と寄り添ったカスタマーサクセスを実現されていることがあります。サービスやサポートの質という意味では、他のマーケットと比べても非常に高いです。
ーー実際に顧客と最前線で向き合っていらっしゃる遠藤さんにお聞きできればと思いますが、具体的にはどのようなサポートをご提供されているのですか?
遠藤 まずはメインとして「導入支援」があります。新規でHubSpotを導入したお客様のサポートと、それに付随する開発やWebページ等の制作ですね。
遠藤 弊社の場合は、基本的にお客様と共通のSlackチャネルを作らせていただいて、いつでも問い合わせができるような環境を作っています。また、単なる機能や設定の部分だけではなく、より効果的にHubSpotを活用するための具体的なアドバイスもさせていただいています。
▼実際のSlackの様子(※株式会社100提供、クリックして拡大表示)
田村 「お客様の使ってる社内チャットツールに入り込む」ということは、実はとても重要なんです。
HubSpotからも以前にデータが出ていましたが、SaaSの顧客が解約をする理由の中で、品質や金額の割合は実はそこまで高くなく、一番の理由は「コミュニケーション」なんです。
弊社はSlackを中心にお客様と直接つながることで、フリクションレス(摩擦の少ない)なコミュニケーションを実現しています。その結果として、解約率も2%ほどと非常に低水準になっています。
廣田 HubSpotももちろんカスタマーサポートは提供していますが、より幅広く、抽象的な内容も含めてご相談をされたいといったときに、パートナーさんの存在は非常に心強いと感じます。
田村 HubSpotの場合は直販と、我々のようなパートナー経由の販売がありますが、直販の場合は「運用は自分たちでやります」という方も多いですよね。そういった方であれば、HubSpotが提供しているチャットサポートも対応はとても早いですし、十分なのかなと。
一方で我々のお客様の場合は、中小企業で担当者がいなかったり、大手企業でもまるっと全部お任せしたかったり、といったパターンが多いので、我々がお手伝いできる範囲が広いということがありますね。
「ツール、戦略、チーム、インセンティブ」が揃わずして、顧客の成功は実現できない
ーーこれも遠藤さんにお聞きしたいのですが、HubSpotのようなデジタルツールを勇んで導入したものの、うまく使えないようなケースもあるのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
遠藤 よくあるのが「専任の担当者がいない」というパターンですね。例えば「顧客管理をデジタル化したい」といった目的でプロジェクトを立ち上げたたものの、結局は目先の営業KPIが優先になってしまう…といったことです。
廣田 そうですね。HubSpotのようなデジタルツールを用いて顧客体験や自社の競争力を高めていく上で、重要な要素としては「ツール、戦略、チーム、インセンティブ(KPI設計)」の4つがあると考えていますが、ツール以外の3つが意外に忘れられがちです。
例えば、営業の方がCRMにきちんと情報を入力することでインセンティブがある、といった設計が実はとても重要なのですが、そういった戦略なしにツールだけを導入してしまう…といったことです。
廣田 HubSpotでは、そうした「ツールだけとりあえず入れる」という案件は受注しないように徹底して努力しています。
それは社内の仕組みにも反映されていて、例えばHubSpotのセールスは、販売後の一定期間内にそのお客様が解約に至ってしまうと、販売ボーナスとして受け取った金額を会社に返納しなければいけないんです。
これはあくまでも一例ですが、そうした戦略や組織づくりがあった上でHubSpotをお使いいただくことで、 初めてツールがツールとして機能すると考えています。
ーーパートナープログラムについてのお話でも感じましたが、顧客の成功を本当に見据えて展開されていますね。他にも、導入時にありがちな失敗はありますか?
遠藤 とくに中小企業で多いのが、自社のオペレーションをそのままSaaSに乗せようとすることですね。
HubSpotに限らず、SaaSを導入する上では「オペレーションをSaaS側に合わせる」ことがとても重要です。そうでなければ、「あれもできない、これもできない」と不満が溜まっていく一方になってしまいますので。
ですのでパートナーとしても、「ここはHubSpotの管理方法に合わせてください」ということをしっかりとお伝えするようにしています。
田村 HubSpotって本当に「何でもできる」ツールなので、詳しい担当者さんが導入した後に、その方が抜けてしまって何をどうしたらいいのかわからない…とご相談いただくケースもあります。
この問題を解決するためには、我々のようなパートナーがサポートするか、もしくは「HubSpotアカデミー」という教育コンテンツを活用していただくのが良いと思います。
アカデミーのコンテンツ自体はまだ英語のものも多いですが、日本語のコンテンツもどんどん増えていくそうなので、活用が広がるといいですね。
ユーザー同士のつながりを強化していくコミュニティ活動も推進
ーー2021年には、HubSpot Japanのユーザーグループである「Japan HubSpot User Group(通称、Japan HUG)」も立ち上がりましたね。
田村 はい。以前からアメリカでは地域や産業、目的別にHubSpotユーザーが集まる活動があったのですが、日本では昨年我々が担当する形で「Japan HUG」が立ち上がりました。
HubSpotのユーザーであれば誰もが参加できるコミュニティーとして、現在は300名超の方が登録されています。基本的には四半期に1回のイベント開催と、ユーザー同士のミートアップや交流会を実施していく予定です。
ユーザーグループから得た学びが皆さんの会社であったり、ご自身の経験に活かしていただける場になればいいなと考えています。また、ユーザー同士の「横のつながり」をつくるという体験を提供していきたいですね。
廣田 昨年グローバルで開催した弊社の年次イベント「INBOUND 2021」でも発表があったのですが、HubSpotでは顧客の体験の質を高めるためには、「三つのつながり」が重要だと考えています。
まず一つ目は、社内のチーム同士のつながり。二つ目が、チーム同士のつながりが実現されることによる、個々の部門だけではなく企業としての顧客とのつながり。そして三つ目が、顧客同士のつながりです。
その一環としてのHUGの活動であり、顧客同士でのナレッジシェアを促進することを非常に重要視しています。
ーー最後に、今後のHubSpot Japan、100(ハンドレッド)の展望をお聞かせいただけますでしょうか。
廣田 創業者のブライアンやCEOのヤミニとも、改めて顧客体験の質を高めていくことの大切さを話しています。「Solve for the Customer」日本では「顧客のための最適解を考える」と訳していますが、それを実践していくということですね。
HubSpotはアメリカの会社ですが、アメリカの最適解と日本の最適解にはギャップもあるので、広義の意味でのローカライゼーションを推進していくことが重要だと考えています。日本のビジネスを成長させていくために、新しい取り組みをどんどん進めていきます。
田村 弊社としてはHubSpotに全力でコミットして、日本で最初のElite Partner(※)を目指してコミットしていきます。
※HubSpotパートナープログラムにおける最上位ランク
Elite Partnerになること自体が目的というよりは、より多くのお客様に伴走していくために、規模を拡大していくということです。人数も、現状の2倍となる30名ほどまで増やしていくことを考えています。
そして廣田さんもおっしゃったように、やはり顧客体験の質の向上にフォーカスして、その上での組織づくりを試行錯誤していきたいと思っています。
ーー皆さま、本日はありがとうございました!