• 株式会社KOMPEITO
  • 取締役 CTO
  • 黒木 信吾

スタートアップにないノウハウは業務提携で獲得!「OFFICE DE YASAI」躍進の背景

今回のソリューション:【キユーピー】

〜スタートアップ企業が事業会社「キユーピー」との業務・資本提携を行い、自社にはないノウハウをも獲得した事例〜

オフィス向けに旬の野菜や果物を定期的に届けるサービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を運営する株式会社KOMPEITO(コンペイトウ)は2012年9月に設立したスタートアップだ。

スタートアップは、事業を運営するにあたって資金、ノウハウ、営業構造などあらゆるものをゼロから獲得していくことが必要になる。

そこでKOMPEITOが選択した手段が、マヨネーズでお馴染みのキユーピー株式会社との業務・資本提携だ。KOMPEITOはこの提携により、長期スパンで事業を一緒に育てていくスタンスかつ実務に役立つノウハウの提供を受けている。

今回は同社3番目の社員で取締役CTOを務める黒木 信吾さんに、創業メンバーとの出会いから、事業会社と提携した背景、実際にどのようなサポートを受けているかについて聞いた。

創業メンバーとの運命的な出会いでスタートアップに参画

僕は九州の田舎育ちで、地方を活性化していきたいという想いがあったんです。元々はベンチャー企業でエンジニアをしていたのですが、創業者の川岸・渡邉との偶然の出会いからKOMPEITOに参画することになりました。

前職のオフィスと彼らのオフィスの中間くらいに、果物を使ってカクテルを作ってくれるBARがあってたまに通っていたのですが、彼らはその裏で八百屋をやっていたんですよ。

たまたま空いていた僕の隣の席に、八百屋で余ったトマトを持って来た彼らが座って、店員さんにそのトマトでカクテルを作って欲しいと頼んだんです。実はそのトマト、僕の実家から3キロも離れていない農家で取れたものでした。

彼ら2人はコンサルティングファームの出身で、ちょうどその時エンジニアを探していて。歳も近くて、やっていることは違うけれど地方に対する共通の想いがあって、そのまま意気投合して。1年くらいは土日の時間で事業を手伝いつつ、2014年6月に正式に参画しました。

オフィスに野菜を提供! 地方活性のために新しいマーケットを創造

KOMPEITOは2012年設立の会社で、メインのサービス「OFFICE DE YASAI」は2014年から展開しています。

OFFICE DE YASAIを始めるまでは個人向けの野菜宅配事業を試したり、八百屋のような形で野菜を店頭販売して商流について学んだり、いかに地方の野菜を使ったサービス開発をして農業活性・地域活性を実現していくかを考えていました。

ただ、既にあるマーケットに入っていくのではなく、新しいマーケットを作っていかないと、地方活性という意味では効果が薄い。結局食い合いになってしまうだろうということで、注目したのが、野菜を企業のオフィスに提供することです。

個人向けの野菜宅配事業や店頭販売で問題になったのが物流コストと在庫リスクだったんです。これらを考えると人がたくさんいるところに野菜をある程度のロットで運んでいくほうがいいなと思って、野菜を欲しがる人がたくさんいそうな場所を探したんです。

例えば、飲食店に直接販売する形も考えましたね。そんな中で、企業に野菜を送って社員の方に持って帰ってもらうモデルはどうかと考え、仲の良い企業さんと一緒にトライさせてもらったんですよ。

そうしたら、持って帰るのではなくて美味しいからここで食べられた方がいいよね、という話になったみたいで。そこからオフィスに野菜を提供するビジネスを着想しました。

▼オフィスで新鮮な野菜を!「OFFICE DE YASAI」

サービス開発をする中で見えてきた課題

初めのうちは、オフィスに提供する野菜を確保するために、直接農家に足を運んで、美味しい野菜を探しました。とにかく足を使いましたね。

仕入れた野菜をパッケージングするのに部屋を16度くらいにして、がたがた震えながら自分たちでパッケージングしてました。野菜の方が大事ですからね(笑)。

野菜ってクオリティのコントロールがすごく難しくて、温度が変化しすぎるとストレスがかかってしまうんですよ。梅雨の影響だったり、お客さんが増えてきたことで、僕達の力だけでクオリティをコントロールすることが徐々に難しくなってきていたんです。

キユーピーと業務・資本提携! 課題を解決する体制ができた

そんなときに声をかけてくださったのが、キユーピーさんなんです。弊社がテレビに取り上げられた時に見てくださったそうなんですね。

当時はベンチャーキャピタルともやりとりしていたのですが、食に関するノウハウをたくさんお持ちの企業さんとご一緒させてもらった方が、物流やクオリティコントロールの課題をクリアできると思ったんです。

お話をしていく中で、キユーピーさん側にもスーパーやコンビニに来店する消費者のニーズや生の声を拾いきれていないという課題があるとわかりました。

またキユーピーさんはマヨネーズを販売してから90周年で、ファンの年齢層が40〜50代。対して、私たちのサービスは20〜30代に一番受け入れていただいているので、お互いに消費者層を拡大する上でもメリットがありますねと。

弊社のスタートアップならではのスピード感も魅力に感じて頂き、2014年10月に業務・資本提携となりました。

実務に役立つノウハウ提供! 課題が次々と解決していく

実は、業務提携のお話が進んでいる最中から、キユーピーさんの担当の方はオフィスに野菜の配達も同行するなど、実際に弊社のビジネスを体感してました。

結構ぐいぐい引っ張る形で他のキユーピーの社員さんも巻き込んでくださっていて、僕らでは持っていないノウハウやアドバイスをしてくれています。

提携後も1週間に1回は必ずオフィスに来てくださいますし、役員会議にご参加いただいたり、電話は毎日しているかもしれないですね。

事業同士のコラボレーションなど、提携して頂けそうな企業さんをご紹介していただくこともあります。僕らもできるだけ色んな人を巻き込んでいこうと思っているんですが、ベンチャーという立場ではどうにもならない部分はどうしてもあります。

そんなときには企業訪問に同行してくださったりもして。やっぱりキユーピーさんと一緒に訪問することで信頼感も上がりますし、良いお話に繋がることも増えますよね。

一番の課題だった野菜のクオリティーコントロールの部分ですが、野菜は温度が高すぎても低すぎてもダメで、配送中は温度を一定に保たないといけないんです。

僕らだけではそれがどうしてもできなかったんですが、キユーピーさんがノウハウを丁寧に教えて下さっています。本当にすごいです。様々な数値データを元にアドバイスをいただいています。

中にはどれだけ気をつけていてもどうしても傷んでしまう時もあるので、その場合にお客様によってどのように対応していくかといったことも教えていただいてます。

今後も最高のパートナーと二人三脚で事業を育てていく

そんなキユーピーさんの支援もあり、OFFICE DE YASAIを導入いただいている企業様にも、たいへん喜んでもらっています。中には会議室に冷蔵庫を置いて、ミーティングに入る前にブルーベリーを食べてアイスブレイクしたり、来訪者があった時に「何これ!」というコミュニケーションに繋がったりしているそうです。

また、野菜があることでオフィスに季節感がある、色とりどりの野菜があって綺麗、みんなが野菜を食べているのを見ると元気になるという声ももらっています。私たちは野菜に特化して、今後もキユーピーさんにご支援を頂きながら、「挑戦する農家とオフィスワーカーを応援する」というミッションを実現していきます!

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