• 株式会社ヒトクセ
  • 代表取締役社長
  • 宮崎 航

採用や協業につながる可能性も?「ランチから生まれるネットワーク」の活かし方とは

〜まだ知名度のないスタートアップが優秀な人材に出会うには?「ランチ」を活用したユニークな手法を公開〜

スタートアップやベンチャーのようなまだ「知られていない」企業が優秀な人材と出会うために、ひとつ重要になるのが「ネットワーク」だ。

業界内や学生層に強いネットワークを持っておくことができれば、採用のみならず、ビジネスを展開する上でも有利に働くことが多いだろう。

しかし、そのようなネットワークはどうすれば持つことができるのだろうか? そこで参考になるのが、動画・リッチメディア広告配信プラットフォーム「Smart Canvas」やネイティブ広告配信プラットフォームの「カメレオン」などを展開する、株式会社ヒトクセの「ランチ会」という取り組みだ。

同社のランチ会は、「豪華なランチを食べながら社長と話せる」というコンセプトで、新卒採用を目的として学生を呼ぶことからスタートした。そして「ランチに来てくれた学生が、次に自分の友人を1人連れてくる」という紹介制を取ることで、4ヶ月で50名の学生に出会うことができたそうだ。

このランチ会、今ではエンジニアや広告業界といった社会人領域にも拡大し、ビジネスにおける情報交換やネットワーキングにも役立っているという。今回は同社代表の宮崎 航さんに、ランチ会のメリットや運営方法について、詳しいお話を伺った。

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▼同社ランチ会では、参加者に「招待カード」も配布

学生時代に創業し、試行錯誤の末に広告ビジネスへ参入

ヒトクセを創業したのは、2011年8月になります。社名の由来は、ユニークなチームで、他にはないプロダクトを作り、ヒトクセある夢を実現できる会社にしたいと考えたことです。

今のインターネット広告を中心とした事業ドメインにシフトしたのは、3年ほど前です。それまでは、マンガやイベントアプリ、Webサイトにアニメーションを作成できるツールなど、いろいろな事業に手を出していました。

会社としてビジネスを大きくしていくために、そこで使っていた技術をWeb広告にフォーカスさせていった、という背景がありますね。

広告領域に参入するまでの長い間、3、4名のメンバーで事業をしていました。私自身、6年間学生をしていまして(笑)、ヒトクセを創業したタイミングでも、まだ学生でした。人を本格的に増やし始めたのは、広告の事業が上手く回り始めた半年ほど前からです。現在は約20名が働いています。

社員ネットワーク中心の採用を、半年前から多角化

現在の組織構成は、ビジネスサイド・開発サイドが半々くらいです。「ビジネスも開発もできる」メンバーが多いのが特徴かと思います。

採用を本格的に開始したのは、昨年(2015年)の11月です。中途・新卒共に本格的に始めていこうと決め、そこから手探りで色々な活動をしてきました。当時は7名ほどの組織だったので、半年かからずに20名まで一気に採用したイメージですね。

以前は、基本的に社員ネットワークを活用して人を採用していましたが、現在は大きく4つの経路があります。まずはエージェント、ダイレクトリクルーティング、Wantedly、そして社員からの紹介になります。

社員からの紹介に関しては、自分たちでできる様々な活動にも取り組んでいます。そのひとつが「ランチ会」の開催です。

新卒採用の糸口として、学生と会える「ランチ会」を開催!

ランチ会は、「学生と僕が一緒に豪華なランチを食べながら、色々な話をしよう」というイベントです。新宿に移転してからは、高級ホテルのランチが定番ですね。

昨年の11月から始め、これまでに40回程度(5/10時点)開催し、100名以上の方とお会いしました

▼実際に開催されたランチ会の様子

この取り組みを始めた背景にあったのは、自分自身が学生だった時の経験です。社会人の方に誘ってもらったランチで生まれたつながりが、今の事業に活かせている部分があり、実際に数千万円規模のビジネスになっているんですよ。

また、いざ新卒採用を始めようと思っても、最初は手法もわからなくて。まずは「今の学生に話を聞いてみたいな」と思ったんです

そのきっかけを作るために、ランチを活用してみようと考えました。ランチであれば夜よりも時間も取られませんし、コスパも非常に良いので。

最初は自分の知り合いの学生や、既に働いていたインターン生のつながりでメンバーを集めました。その後は「紹介制」をとっています。ランチに来てくれた学生が、次に自分の友人を1人連れてくる、という「誘われた人が次の人を誘う」形です。

ランチ会はまずは学生を対象に始めたのですが、上手く回ってきたので、今は中途採用向けのビジネスサイドやエンジニアにも広げています。金曜日に学生、土曜日に広告業界に関わる人、日曜日にエンジニア、という形で運営していて、日曜日は、弊社CTOの長尾が担当しています。

すぐに採用できなくても良い 長期的な目線で「接点」を増やす

学生向けのランチ会の目的としては大きく3つあり、まずは採用です。インターンと新卒を探していますが、ランチからすぐに採用につながらなくても良いと考えています。

いったん別の会社に就職して、経験を積んでから戻ってきてくれてもいいわけですし。そこは長期的な目線を持っていますね。

次の目的は、情報交換です。最近の学生がどのように動いていて、どんな企業に入りたいのか、どの業界に注目しているのか、といったことが聞けます

そして最後に、ビジネス的なつながりです。例えばランチ会の参加者が広告代理店に就職すれば、将来そこから協業につながるかもしれませんし。接点を持つ人を増やす、という風に捉えています。

実際にランチ会の参加者から、インターンしたいですという話ももらっています。単純に、弊社に興味を持つ人が増えることは嬉しいですね。他にも「いいな」と思う方がいれば、個別に話をして継続的な関係を続けています。

運用はFacebookページで 「コミュニティ」をつくることを意識

(※インターンとしてランチ会の運営に関わる、森 遥香さんにお話を聞きました。)

 私は今大学3年生で、昨年の12月からヒトクセでインターンをしています。今はすべてのランチ会に参加し、参加者を集めたFacebookページの運用も行なっています。

ランチ会の人数は、自分たちも含めて4名〜6名ほどです。時間は1時間半ですが、話が盛り上がれば伸びることもありますね。

学生さん側のモチベーションとして一番大きいのは、「無料で、自分たちだけでは食べられないような豪華なランチが食べられる」ということだと思います(笑)

「社長とランチ」と言われると、豪華そうな感じがしますよね。また、学生は自分の専門外・活動外の学生に出会える機会が少なく、意外とそういったチャンスとしても捉えられていると思います。

「紹介制」をとっているので、参加者1人ひとりとコミュニケーションをとる必要もありますし、運用には苦労もあります。けれど、優秀な人同士はつながっていることも多いですし、ランチ会の雰囲気に合う人を紹介してくれる学生が多いですね。

運用の中心はFacebookページなのですが、そちらをコミュニティとして育てていくことを意識しています。どんな人が参加したのか、といった情報をできる範囲で共有して、メンバーを可視化していますね。

▼実際に運用している同社のFacebookページは こちら

将来的には、このグループに来れば優秀な人がたくさんいて、最新の情報が手に入る、ビジネスに役立つようなコミュニティを作っていきたいですね。どんどん新しい人に参加してもらって、大きなグループにしたいと思っています。

ビジネスサイドにもランチ会を拡大し、業界内での情報交換を

運営はなかなかコストがかかる部分もあるのですが、このランチ会は学生より社会人の方が活かせる部分が大きいのではないかと感じています。そういった背景から、広告領域のビジネスサイドやエンジニアにもランチ会を拡大し始めました。

ビジネスサイドの方も僕が参加しているのですが、会話の中心は主に情報交換ですね。DSP、SEO、代理店などの各領域で、今どういうことをしているのか、今後どういうことをしていこうと思っているのか、注目していることなどについて話しています。

特に広告業界はカオスマップ(※Web広告市場の業界地図の通称)を見ればわかるように、領域やプレイヤーが細かく分かれているので、より良いサービスを提供しようと思うと、色々な企業が連携していくことが重要になると思っているんです。そのためにはネットワークを持っていることがとても重要なので、その部分を強化していきたいですね。

このように、今のランチ会は学生の方が採用に近く、社会人の方はビジネスに近い、という感じです。ただ中途採用で考えても、充分に機会として活かすことができると思っています。

そもそもベンチャーの場合、知名度が高くないので、優秀な人にアプローチすることもなかなか難しいですよね。それに人材紹介にお願いすると、1人あたり数百万のコストがかかってしまう

でもランチ会であれば、100人と会ってそのうち1人でも採用できれば、コスパは悪くありません。採用できなかった分も情報交換ができているので、無駄にはなりませんしね

今後は「ランチ会」と「採用」をもっと仕組み化し、改善していく

以前から弊社では、会社として採用したいポジションを組織図の中で明確化して、全社に公開しています。さらに最近では「紹介人数」などの採用KPIを、会社として設定し始めたところです。社員紹介も、「ランチ会」という機会があることで気軽に声をかけやすいと思うんですよ。

新しく、「ランチチケット」も作成しました。社員やランチ会に来てくれた人や社員に渡して、良い人がいたら気軽に誘えるようにするためです。

今後はランチ会などの活動も、より良いものにどんどん改善していきたいと思っています。例えば、ランチ会の開催後に参加者にアンケートを送り、フィードバックをいただく取り組みを始めました。

ひとつひとつの活動がしっかりと成果につながるように、仕組み化して回していきたいですね。(了)

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