• 株式会社ソニックガーデン
  • 代表取締役社長CEO
  • 倉貫 義人

【前編】「アイルランドで働きたい」がきっかけ リモートワークという働き方の実現法

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今回のソリューション:【リモートワーク】

〜スタートアップがリモートワークという働き方を選んだ事例〜

「アイルランドからリモートで仕事したいです!」「いいよ」というやり取りからリモートワークというスタイルが始まった、株式会社ソニックガーデン。

月額定額のユニークな「納品のない受託開発」で注目を集める同社では、創業期よりカナダやアイルランドでの勤務を認め、今では働く場所、勤務時間、休日等を各メンバーが自由に選択するワークスタイルが完全に定着しているという。

近年日本でも少しずつ広まりつつある、このような新しい働き方。「やってみたいけど、本当にできるの…?」と感じている人も多いのではないだろうか。

そこで今回は、同社の創業者でCEOを務める倉貫 義人さんに、現在の働き方のスタイルを組織として実現するまでの経緯と、その背景についてお話しいただいた。

※【後編】はこちらです。

#ソニックガーデンの始まりは、大手Sler内の社内ベンチャー

もともと大手SIerにエンジニアとして勤めていた時に、社内SNSの企画・開発をしました。そのシステムが割とうまく組織に浸透していったので、世の中にも出したいなと思ったんです。

そこで、社長に直談判して社内ベンチャー制度を作ってもらい、2009年にソニックガーデンという名前で事業を始めました。

2年で黒字化の目処が立ったため独立したいと考え、MBO(Management Buyout:経営陣買収)という形で社内ベンチャーを買い取って今の会社を作りました。当時、メンバーは自分を含めて5名でした。

「納品のない受託開発」をスタート!

社内ベンチャー時代には企業向けSNSを販売していたのですが、会社を作ってからは「納品のない受託開発」という新しい事業を始めました。

Slerで働いていた頃から、受託開発というビジネスの在り方を変えたいと考えていたんです。そしてせっかく会社を作ったので、元々やりたかったことを始めることにしました。

納品のない受託開発とは、本当に必要な機能を本当に必要な順番に、少しずつ開発をしていき、月額定額で受託開発をしていくビジネスモデルです。

少しずつ開発をして、毎週お客さんに成果物を見せるのですが、その打ち合せは基本的にオンラインで行います。移動にかかる経費も最終的にはお客様から頂くお金から出るので、そのコストを削減して費用対効果を高めたほうがいいという考え方なんです。

もちろんお客様がオフィスに来たいという場合であれば、来ていただければと思います(笑)。

僕たちの仕事はソフトウェア開発ですが「顧問税理士・弁護士のように仕事をしよう」というスタイルです。自分が弁護士に相談したい時、弁護士さんに「ちょっと来てくれる?」とは言わないですよね。それと同じ考え方なんです。

倉貫 義人さん

「アイルランドで働きたいです!」「いいよ!」「!?」

弊社の特徴の1つは、リモートワークを採用していることです。現在、社長である僕自身も1週間に1回しかオフィスには行きませんし、日本全国にリモートで働いているメンバーがいます。

始まったきっかけは、社内ベンチャー時代にとあるメンバーが、海外で働きたいと言ったことでした。

弊社ではメンバーが「この1年でこれをやってみたい!」ということを宣言して、それを皆で応援する「宣言大会」というイベントがあります。

その大会で、あるメンバーが「アイルランドで仕事をしてみたい!」と宣言したんです。

おそらく本人は反対されると思って言ったんだと思いますが、皆が会社をあげて「行っていいよ」となって。

本人も引くに引けず、本当に行ってしまった感じです(笑)。でもいきなりアイルランドでリモートワークは怖かったみたいですね。実はそのメンバーは、それまで海外旅行も行ったことなかったんです。

そこでまずはカナダに3ヶ月滞在することになり、その前段階として2週間ほど在宅勤務を行いました。そうしたら何の支障もなくて。「2週間家でできたから、カナダにも行けるね!」ということになりました。

そして実際にカナダに飛んだ後も、何の支障もなくリモートで業務を行うことができたので、そのまま「アイルランドにも行けるね!」ということになったんです。

リモートワークの実現に必要なのは「経営者の意思決定」?

倉貫 義人さん

そのメンバーがカナダに行っている時に東日本大震災があって、日本にいたメンバーもオフィスに出社できないことがありました。

リモートワークのカナダでの前例もあり、離れた場所にいるメンバーと仕事をすることに抵抗はなかったので、それぞれが在宅で勤務することになったんです。すると何の問題もなく業務を進めることができたので、「これはいけるんじゃないか」と思いました。

震災から1ヶ月ほど経った頃には通常通りオフィスに来て仕事をするようになりましたが、「出社はデフォルトではなく、必要がある時だけ」というスタイルになりました。これが弊社のリモートワークの始まりです。

今振り返ってみると、最初はリモートワークの方法も分かりませんでしたし、制度やツールもありませんでした。

そんな中でも始めることができたのは、「やる」と決めてしまったことです。経営者の意思決定次第で、どんな会社でもリモートワークを導入することは可能だと思います。

「リモートワークOK!」の記載で、兵庫県からも求人に応募が

その後、採用ページを作った際に、アイルランドのメンバーがいたので「住まいはどこでも大丈夫です」と記載したんです。

そうしたら応募者の1人目か2人目でもう、「兵庫に住んでいるのですが、入社できますか?」と言う問い合わせが来ました。「確かにそう書いたけど、本当に応募が来るんだ!」と思いましたね(笑)。

聞けば、兵庫県の西脇市という、大阪から3時間ほどの距離の場所に家を建てて、奥さんがその1階でパン屋さんをしているそうなんです。

「だから東京には絶対行けないし、引っ越しも絶対無理。でも働きたい!」とおっしゃっていて、僕も随分悩みましたが、結局優秀な方だったので採用しました。結果、現在まで3年間、リモートのままで活躍してくれています。

「オン・オフ」を細かく切り替えできるのが、リモートワークの強み

リモートワークのいいところは「遠くに住んでいる」という理由だけで、優秀な人材を手放さなくて済むことです。

どこに住んでいようが、優秀でありさえすれば採用できる。例えば今のメンバーが「実家に帰りたい」と言っても全然大丈夫です。

これまでの働き方は、1日が「会社の時間」と「家の時間」に完全に分断されていました。

これはシステム用語で言うと「バッチ的」なんです。0、1を繰り返しているような感じで、振れ幅の単位が大きいので無駄がたくさん含まれます

イラスト

もっと小刻みに1日の中で「仕事の時間」「オフの時間」「仕事の時間」「オフの時間」.....と細かく切り替えることができれば、無駄がなくなって多くの人は楽になるのではないかと思います。

例えば定時に会社に行かなくても、保育園に子供を送り届けてから仕事をしたっていいですしね。その方が家族にとっても絶対にいいと思いますし。

オンとオフしかなかったこれまでの働き方を変えることで、人生そのものがもっと上手くいくようにできるはずなんです。(了)

※リモートワークで生じる課題をどのように解決していったのかをお伺いした【後編】はこちらです。

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