• 株式会社Caster
  • 代表取締役
  • 中川 祥太

「マニュアル」はなぜ必要?知識とマインドの平準化で、サービスの質を担保する仕組み

今回のソリューション:【Teachme Biz/ティーチミービズ】

いかに無駄なく業務を合理的に進めるかを考えた時に、従業員全員がある一定のレベル以上に平準化された知識やスキルを持つことは重要な要素になる。ただし、その実現は容易なことではない。

人にはそれぞれに得意領域があり、更に担当する業務によって、得る経験やナレッジも変わってくるからだ。その解決策のひとつとして考えられるのは、あらゆる業務に「マニュアル」を用意することだが、その作成や更新に手間がかかってしまっては元も子もない。

2014年創業のCaster株式会社では、クラウドソーシング形式でオンラインアシスタントが企業のバックオフィス業務を請け負う「CasterBiz(キャスタービズ)」というサービスを展開中だ。

その創業者であり代表取締役を務める中川 祥太さんは、インターネット上でクライアント企業の依頼を一定の高いレベルでこなすために、マニュアル作成は不可欠だと考えていた。

そこで導入を決めたのが、「Teachme Biz(ティーチミービズ)」。マニュアルの作成・更新・管理が非常にスムーズになるというTeachme Bizについて、中川さんにお話を伺った。

▼クライアントとマニュアルを共有することも可能な「Teachme Biz」とは…

転職を経て感じた、企業間の業務効率化の差

僕が大学生の時はちょうどITバブルの時代で、IT系の企業でアルバイトしていたのですが信じられないくらい稼げて。その資金を元手に在学中に古着屋を始めました。

そこは結局、1年半で資金が溶けて潰してしまったのですが、そのまま大学は卒業せず、社会人として広告代理店に入社しました。

インターネット界隈のことはそちらで学ばせてもらったんですが、かなり仕事が激しくて「しんどいな…」と(笑)。

その後、投稿管理のオペレーションを行っている会社に転職したのですが、そちらは非常にホワイトな企業だったんです。おかしな話なのですが、「9時から18時だけ仕事しても利益を出せるんだ!」と思いましたね(笑)。

かたや優秀と言われている人を採用して、アホみたいに働かせているのに利益は少なくて、一方では普通のお兄ちゃんを雇って、時給1,000円くらいで働かせて利益をしっかり出している。

この差は何だろうか、企業によっては業務に非合理的な部分があるのではないか、ということを考えるようになりました。実際、僕自身も独立して3ヶ月ほどで、「ここにかけているリソースはもったいないのではないか?」といったことを感じるようにもなりましたしね。

日本に「バーチャルアシスタント」のビジネスを持ち込む!

2社目の企業には1年半ほど勤めました。その時にVCの方から、バーチャルアシスタントという領域を日本でも展開したいと声がかかりまして。興味もありましたし、「やります」と手を上げて2014年の9月に株式会社Casterを設立しました。

弊社で展開しているCasterBizでは、企業にオンラインアシスタントサービスを提供しています。朝の9時から夜の18時まで、経理、総務、秘書といったバックオフィス業務をオンライン完結型で受発注できるサービスです。

実際に業務を行うために待機している秘書の方たちは、優秀な地方在住者が多いです。地方でやりがいを感じられる仕事になかなか出会えない方々と、成長フェーズにあって業務が溢れている企業さんをマッチングするイメージですね。

目指すのは全員が同じレベルで業務を行うための「知識の平準化」

CasterBizはクラウドソーシングなので、サービスのクオリティを担保するためには人材の質ももちろんですが、業務の受け手の知識が平準化されていることが重要です。

「Aさんにオーダーしたら100点の出来だったけれど、Bさんに頼んだら50点だった」ということが起こると困るわけです。Aさんが休んだり、どうしても都合がつかないタイミングがあるわけなので、Bさんもしっかりと同じレベルで業務をこなせるようにならないといけないんですね。

そもそも業務の中に「引き継ぎ」を必要としない状況を作ることが大事だと考えています。エンジニアであれば、GitHubを使ってバージョン管理を行うことでそれまでの工程が誰にでもわかるので、引き継ぎが少なくなりますよね。

あの感覚を、非エンジニア業務にどのように落とし込んでいこうかと。そういったことを考えていたので、まずはマニュアルは絶対に作らないといけないと思っていました。そこで活用しているのが、Teachme Bizになります。

その数100以上!マニュアルの作成・管理を助けるTeachme Biz

Teachme Bizは簡単に業務マニュアルを作成できるサービスなのですが、今では本当にあらゆるものをマニュアル化しています。最初は僕が作っていましたが、今は現場でどんどん作成や更新を行っています。

作成の作業自体も簡単ですし、「全部わかりやすく、検索しやすく」ということを考えたサービスになっているのが非常に良いですね。

▼簡単にわかりやすいマニュアルを作成できる「Teachme Biz」


今では100以上のマニュアルがあるのですが、例えばローカルでパワポやPDFのマニュアルを管理していたら、必要な時にすぐに探すことは難しいですよね。

でもTeachme Bizであればマニュアルごとに検索タグをつけることができるので、検索が非常にスムーズなんです。

マニュアルの内容は様々です。例えば業務ツールの導入の方法のようなベーシックなものもありますし、「レストランの予約」をオーダーされた時の対応法のような個別具体的なものもあります。

ネット業界の人間であれば、レストランの予約をする時にどこのWEBサイトを見ればいいのかということにはある程度、暗黙知がありますよね。でも東京に住んでいるわけでもなく、ネット業界にもいない方ですと、探し方もわからないのでビジネスにはあまりふさわしくないお店を予約してしまうこともあるわけです。

「どこがダメで、どこが良い」という暗黙知は業界の外の人にはわからないので、マニュアルが必要になります。新しいグルメサービスがリリースされて人気が出てきた時など、暗黙知が更新された時にはそれに合わせてマニュアルも常に更新しています。

URLを共有すれば、クライアントと一緒にマニュアルが使える

作成したマニュアルは、弊社内だけではなくお客様にも使っていただいています。外部の人にURLを送ることでマニュアルを共有できるプランがあるので、それを活用している形です。

例えば弊社では、お互いに業務を円滑にするためにお客様にもツールを導入していただくことがあります。その時にお客様から「どう導入するの?」と聞かれてもマニュアルを送付するだけなので誰もが対応できますし、重いファイルを送付しなくてもURLで共有できます。

もちろんこれは社内でも同じで、「このURL見ておいて」だけで共有が終わるので、とてもスムーズですね。

マニュアル作成を研修や、マインドの平準化にもつなげていきたい


今後はより一層、知識の平準化を進めるためにも、専任とまではいかなくてもマニュアル作成に多くの時間を使う人を置いてみようと思っています。そうすれば数が4桁を超えてもきちんと管理できますし、会社として知識がどんどん蓄積されていきます。

新人にそれを担当してもらうのもいいかなと考えているんです。マニュアルを編集することで業務について学ぶことができますし、整理を行うことでも様々な業務について知り、自身の適性を見つめ直すことも可能かなと。

弊社のサービスの特徴のひとつはスピードです。「即レス」することが顔が見えない人への信頼につながるので、「5分以内に絶対に返信しよう」ということもマニュアル上で定めています。

ツールの使い方や業務内容だけでなく、こういった基本的なマインドの部分も全員が同じ水準でできるはずだと考えていて、その基盤を作っているのがTeachme Bizです。今後もITをうまく活用しながら、合理性に基づいて業務の効率化・平準化を進めていきたいと思っています。(了)

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