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SNS上での拡散を後押し! 「Kloutスコア」によるリファラルマーケティングとは

今回のソリューション:【Klout/クラウト】

近年注目されているマーケティング手法のひとつに、顧客やファンの口コミを企業側のアクションによって喚起・拡散する「リファラルマーケティング」がある。

情報としての信頼性の高い口コミを効果的に使い、「顧客が顧客を呼ぶ」という形を実現することで、営業コストをかけずにプロダクトやサービスを広めることが可能だ。

ヒートマップ機能のついたアクセス解析ツール「Ptengine」を提供する株式会社Ptmindでも、フリーミアム(Freemium)の事業モデルを活かしながら、リファラルマーケティングを展開している。

無料でサービスの一部機能を提供することで、できるだけ多数のユーザーにサービスを届け、それらのユーザーから生まれた良い口コミがソーシャル上で広がることで更にユーザーを増やすことが狙いだ。とは言え、ソーシャル上でユーザーの声を拡散することは簡単ではない。

そこで同社では、ソーシャル上での影響力をスコアリングするサービス「Klout(クラウト)」を活用し、Kloutスコアが一定数以上のインフルエンサーに特別な無料プランを提供するという施策を実施している。

結果として「登録の上昇角度が大きく変わった」と語る同社の小原 良太郎さんに、Kloutを使ったマーケティング施策について具体的に聞いた。

サービス拡大を目指し、Ptengineのマーケティングを担う

もともとはOKwaveというQ&Aサービスを展開している会社に新卒で入社し、営業や大手のクライアント様のサポートをしていました。その中でPtmindの代表と出会い、日本に支社を作るタイミングで参画したという経緯です。

今はPtengineというサービスをどう広めていくかという視点に立って、マーケティングやアライアンスの部分を担当しています。

例えば、はてなさんとアライアンスを組み、はてなさんのユーザーであれば僕たちのツールの特別無料プランを使える、といった取り組みを実施しています。

それは僕たちのツールを広めてくれるブロガーさんの獲得にもなりますし、はてなブロガーさんにも自分のブログの解析ができるという価値を提供することができます。

フリーミアムの事業モデルを選択した理由とは?

PtengineはWebサイトを分析するためのヒートマップ付きアクセス解析ツールで、ユーザーが無料でも利用できるフリーミアムのモデルになっています。

事業モデルに関しては、実はサービス提供を開始する段階でかなり議論がありましたが、最終的にフリーミアムを採用した理由は大きく2点あります。

1点目は、まずはサービスをできるだけ多くの人に使っていただくことを重視したことです。Ptengineの良さをいくら自分たちのサイトで謳っても仕方ない部分があって。やはり実際に使ってみなければ、ユーザーの方も良し悪しを判断できませんよね。

もう1つの理由は、サーバーにかかっていた無駄なコストを有効活用することです。サービスの初期フェーズですと、ユーザー数に対して用意したサーバーの容量が大きく、スカスカの状態になりがちです。

そのままではリソースが無駄になってしまうので、そのサーバーの空いている部分を無料ユーザーに使ってもらおうと。より多くの人にサービスを使ってもらうために新たなマーケティングコストをかけるのではなく、サーバーのコストをマーケティングフィーに転換する、という発想です。

この方法であれば、追加のコストをかけずにサービスを広めることができる可能性があります。

一般的なBtoBサービスであれば、「1ヶ月無料」というような手法が多いですよね。ただ国内・海外問わず、弊社のようなフリーミアムのモデルがユーザー数を増やすことで、そうでないモデルを一瞬で抜き去るケースも増えてきていると思います。

無料プランを用意したが、ソーシャルで拡散が起こらない…

多くのユーザーの「無料版を使ってみたら良かったよ!」という声が勝手に上がっていくことで、リファラルが生まれることがフリーミアムの強みです。

そこで弊社のマーケティング戦略としては、まずは無料で使ってもらうための機会を作ること、そしてそのユーザーの声を広げていくことが重要になります。

でも実は、最初は全然うまくいかなかったんですよね。無料プランを使っていただくことができれば、すぐにブログやSNSに投稿されてそれが拡散すると考えていたんです。でも実際には想定していたようには書いてもらえないし、書いてもらってもそれが広がっていかない。

そこで感じたのは、いかにソーシャルで影響力を持つ人に、Ptengineについて書いてもらうかが重要だということでした。

ただ、有名なブロガーさんにアプローチするのも難しくて。なかなか書いてもらえませんし、それに広告やステマに見えてしまっても良くない。

そこで考え出したのが、「Klout(クラウト)」を活用した、ソーシャル上で影響力を持つ人だけが特別プランでPtengineを使えるというキャンペーンです。

「Kloutスコア」が高いインフルエンサーだけの特別プランを用意

Kloutは、ソーシャル上のアカウントの影響力をスコア化するサービスです。TwitterやFacebookなどが流行り出した頃からあるものなのですが、Twitterであればフォロワーやリツイートの数、Facebookであれば「いいね!」の数などを分析し、1〜100という数値の範囲内で独自のスコアリングを提供しています。

自分の数値だけではなく、他人のアカウントのスコアも見ることができます。

▼SNSアカウントの影響力をスコアリングする「Klout」

弊社の「インフルエンサー限定無料特別プラン」は、このKloutスコアが50以上の方であれば、無料でPtengineの特別プランが使えるというものです。

まずは拡散力を持つ人にPtengineについて投稿してもらう「可能性を作る」ことが必要だと考えたのが、このキャンペーンを始めた背景ですね。

キャンペーン開始後、対象となる方に周知するために専用ページを作成するだけではなく、ブログやSNS上の問い合わせ窓口からも個別にアプローチをしていきました。

適切なターゲットに、適切なプランを提供することが重要

キャンペーン対象者のKloutスコアを「50」に設定していることにも意図があります。60、70になってしまうと本当にきゃりーぱみゅぱみゅさんとかイケダハヤトさんレベルになってしまうので、かなりハードルが高いんですね。

でも50であれば、頑張ってTwitterなどを更新すればある程度、到達可能な数字なんです。

また、インフルエンサーの方にメリットを感じていただくために、特別プランの内容もかなり充実させています。例えばPtengineの通常の無料版はPV数が月間2.5万までなのですが、そこは200万まで上げています。

これは実際に、世の中の割とイケているブロガーさんのPV数を調査した上で決定した数値です。うまくインフルエンサーのニーズに合うように設定し、登録しやすいプランを作ることが重要ですね。

▼インフルエンサー特別プランは内容も魅力的

登録率は急上昇!リファラルマーケティングにはお勧めの手法

このキャンペーンを始めて、非常に大きな成果が出ました。正直、登録率のグラフの角度が変わりましたね。デイリーで考えると以前の何十倍という数値が出ることもありますし、月で考えても3〜5倍は伸びました。更にこれは結果的になのですが、SEO対策になりました。

「Ptengineいいよ」という内容の記事をブロガーさんがいくつも書いてくれたことで、「ヒートマップ」という弊社にとっての重要キーワードで1位になったり、といった効果がありましたね。

僕たちからはプランを提供しているだけで、特に「記事を書いて下さい」っていうようなアプローチはしていないんです。プランを用意して、Kloutスコアを見て、アカウントを登録しているだけなので、大きな手間をかけることなく高い実績を生むことができました。

このようなKloutスコアを活用したマーケティング手法は日本ではまだあまり見かけませんが、特にリファラルによってマーケティング活動に繋げたいビジネスモデルであれば、非常にマッチする施策だと思います。(了)

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