- 株式会社タナクロ
- 代表取締役
- 田中 淳也
2年で300人に業務をアウトソース! ECサイト運営者のクラウドソーシング術
今回のソリューション:【ランサーズ】
クラウドソーシングとは、仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい個人をオンライン上でマッチングさせるWEBサービスだ。「外注コストを抑えたい」「繁忙期のみ人を増やしたい」というような企業の悩みと、「空いた時間に在宅で働きたい」「地方在住で仕事がない」というような個人の悩みを一度に解決する手段として、近年成長中の「新しい働き方をつくる」仕組みだ。
ブランド古着の買取・販売を行うECサイトを運営する株式会社タナクロの代表、田中 淳也さんが活用するのは、日本初のクラウドソーシングサービスを展開する「ランサーズ」だ。偶然の出会いで企業ロゴを発注したことを皮切りに、約2年間の間に累計300人以上に様々な業務を依頼してきたのだという。田中さんのクラウドソーシング活用術と、経験から得たノウハウについて聞いた。
「無知のかたまり」からブランド古着のECサイトを立ち上げ
大学卒業後、福岡にUターン就職をして、1年間ネットTV局で働きました。でも非常に激務で、自分自身をコントロールできなくなり会社から逃げ出してしまったんですね。その後アルバイトをしたり、兄の会社の立ち上げ期を手伝っていたのですが、兄に何か自分でも稼げ、と言われて。それでオークションでブランド古着を売り始めたのが今のタナクロの始まりなんです。
1年ほどひとりでやっていたんですが、あるタイミングでバーバリーが非常に売れて忙しくなり、2012年4月にバーバリー専門の通販サイト会社を立ち上げました。川口の事務所を借りて、社員もそのタイミングから雇い始めました。最初の1年間は経営の知識もなくて、無知の固まりでしたね。借り入れの発想もなくて支払いもいつもギリギリでした。
現在はバーバリー専門店の「BBL SHOP」以外にも、「ブランドリザーブ」という幅広いブランドの古着の買取・販売を行うECサイトなどを運営しています。「ワンダーウェルト」というゴシック&ロリータ服専門のサイトも立ち上げ、順調に拡大しています。
クラウドソーシングで関わった人は2年で300人超え!累計686件の発注実績
現在は社員4名に、アルバイトが20名強の組織です。自社で行う業務は「物理的にうちでしかできないこと」だけで、あとは全てクラウドソーシングを通じて個人の方に依頼しているんです。今までランサーズさん経由でお仕事をして頂いた方は、2年ほどの間でもう300人を超えています。取引の数でいうと、累計の発注数で686件です(2015年4月時点)。常に50人ほどの個人の方と業務に関するやりとりをしています。
依頼内容は、社内でなくてもできる「単純作業」が多いです。例えば商品の写真を撮って加工して納品してもらうこと、商品をサイトに登録すること、商品説明の文章のライティング、SNSアカウントの運営、ちょっとしたデザイン、などさまざまです。自社内で行っているのは、商品の発送やカスタマー対応、自社サイトのクオリティを担保するためのディレクション、などです。未来に繋がる仕事はできるだけ社内で行っています。
ランサーズ経由で「企業ロゴ」のデザインを依頼したのがすべての始まり
まだ会社が4、5人くらいだった時、全員が毎日朝から晩まで出品作業に追われていた時期があったんです。作業だけでいっぱいいっぱいで、未来について考えることに時間を使えず、会社を大きくしていくためにはこのままではダメだ、と思うようになりました。
そこでたまたま知ったのがランサーズさんのクラウドソーシングのサービスです。最初は、企業ロゴの制作を5万円で募集しました。80件ほど応募がきて、そこから5個に絞り、デザイナーの方とコンタクトをとって微調整をしてもらって最終的には選定しました。すべてWEB上でやりとりが完結したので非常に楽で、クオリティも担保されているな、と感じました。
▼実際のロゴ作成依頼の時の画面
それでもうちょっと使ってみよう、と考えまして、ECサイト上への商品の出品作業を依頼しました。商品の写真を見て、商品説明のライティングを行い、写真と文章を24時間以内にサイトに上げて下さい、という作業です。資料の共有はすべてDropBoxで行うので、作業をする方は在宅で行うことができます。細かい連絡はSkypeで行いました。
何人かの方に出品作業をお願いするようになって、これはすごいと思ったんです。今まで社内にいた4人が1日がかりでやっていた仕事が一気に片付いて、その空いた時間を使って、我々はどんどん新しいことができるようになりました。ランサーズさんを活用させて頂くようになって、今はもう、できないことがないんじゃないか、というくらいやりたいことが実現できているんですよね。
徐々に依頼の領域を「単純作業」以外にも拡大
依頼する業務の範囲もどんどん拡大して、いわゆる技術が求められるような仕事もお願いするようになりました。たとえば商品撮影のカメラマン、撮影用のモデルさん、市場調査のコンサルティング、などです。
コンサルティングに関しては偶然の出会いだったんですよね。もともとは原宿のゴスロリ系のお店の紹介レポートを書くライターさんを募集していて、応募されてきた方のプロフィールを拝見したら市場調査のプロの方だったんです。それで本来の案件とは別のものとして、コンサルティングを依頼させて頂きました。
弊社は2014年12月には新規事業としてゴシック&ロリータ専門のECサイトを立ち上げたのですが、海外展開を見据えています。それに必要な翻訳作業もランサーズさんで依頼していますし、海外在住の方も登録されているので現地の情報を頂いたりもしているんです。もう、クラウドソーシングを通じて世界中繋がるんじゃないか、と感じています。
クラウドソーシングは「使い手次第」 経験して学んだで活用ノウハウ
これまでの経験を踏まえて思うのは、クラウドソーシングを活用できるかは本当に「使い手次第」だということです。最初の頃はそれがわかっていなかったので、失敗したこともありました。ある時にアプリを作ってみようと思ったんです。ただこちら側にまったく知識がなかったので、エンジニアの方のスキルレベルがわからないまま依頼してしまったんです。結果、お互いの意志疎通がうまくできずに、破綻してしまいました。
依頼する時にいかに要件をしっかり定義して伝えることができているかが重要だと思います。デザインのような業務だと特にそうで、希望をとにかく細かく伝えないとこちらの思ったものはなかなか出てきません。
単純作業の依頼であっても、最終的にはこちらがチェックしなくてはクオリティを担保できません。今は、そういった作業に関してはものすごく作りこんだマニュアルを用意しています。何度かクラウドソーシングで業務依頼をしていくうちに、こういうことがわかってきたんですね。最初の頃はちょっともったいなかったな、と今は思います。
また、案件をお願いしていくうちに価格の相場観もわかってきました。最初にクラウドソーシングを依頼される方は、まずは類似業務の募集をたくさん見て、価格を掴むのが良いと思います。あとはランサーさんとのコミュニケーションも重要です。弊社ではChatWorkを使って、チャットでお互い気軽に連絡がしあえるようにしています。
ランサーズのおかげでビジネスが拡大できた!
本当に弊社は、ランサーズさんのおかげでビジネスが拡大していったと思っています。地方の方だと99%、お会いしたこともないのですが、本当に支えていただいています。
在宅などで働きたい個人が仕事に出会えることができ、弊社のような小さな組織が労務リスクを減らして業務を外部に依頼することができる。お互いにとてもメリットがあると思います。今後は、もっともっと登録してくれる人が増えるといいですね。クラウドソーシング自体の発展が、弊社の発展にも繋がると思っているんです。