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「何を作らないか」を決めることが大事。新規Webサービスの開発工数を最適化した手段

今回のソリューション:【Wufoo/ウーフー】

〜質問フォーム作成サービス「Wufoo」の活用により、仮説検証スピードを早め、プロダクトの開発工数を最適化した事例〜

リソースの限られた新規サービスの開発では、ユーザーの多様なニーズすべてに最初から応えることは難しいことが多い。結果的にサービスのコアバリューの実現にほとんどのリソースを割くことになるが、ユーザーにとって「必要かもしれない」サブ機能の開発についてはどう考えるべきだろうか?

問題なのは、ユーザーが使うかどうかわからない機能であっても、実装するには工数が必ずかかるということだ。従って、それが(実は)重要なサブ機能であったとしても、優先順位を落とすという判断をしてしまうこともあるだろう。

株式会社リブセンスは、アルバイト求人サイト「ジョブセンス」や転職クチコミサイト「転職会議」といったメディア事業を運営する2006年創業のIT企業だ。

同社から2015年8月にリリースされた医療情報サイト「治療ノート」の開発では、質問フォーム作成サービス「Wufoo(ウーフー)」を活用して、最小限の工数でユーザーニーズの仮説検証を行うことに成功したと言う。

立ち上げの人数も少ないタイミングでは、『何を作らないか』を決めるのがすごく大事だなと思っている」と話す、同社の新規事業本部でエンジニアを務める渡邊 直登さんにお話を伺った。

新規事業「治療ノート」の立ち上げから携わる

新卒でWeb制作会社に入り、受託開発のエンジニアをしていました。もともとコードを書くだけというより、サービス全体を作ることに興味があったので、それに関わることができる点に惹かれて2013年にリブセンスに転職しました。

2015年の1月頃から「治療ノート」の立ち上げメンバーとしてサービス開発にずっと関わってきて、現在もこちらのエンジニアとして働いています。

メイン機能の開発に集中 しかし、実装したいサブ機能も…

「治療ノート」は、病気に関する情報が症例ごとにまとまった医療情報サービスです。例えば虫歯になると、日本の普通の歯医者さんの場合は削るという治療法が一般的なのですが、ちょっと調べてみると実は削らないという選択肢もあるんですね。

▼治療ノート

そのような選択肢は、日本では自分で能動的に探して、初めて出会える情報なんです。そこで私たちは、症例に関する情報提供を通じて患者自身が取れる治療の選択肢を広くすることで、より良い医療につなげることを目指しています。

サービスを立ち上げる際に、いわゆるリーン開発の原則に則って、サービスのコアとなる部分の開発に集中することで、仮説検証のサイクルを早く回すことを目指していました。しかし、サービスをリリースするにあたり、サブ的な機能でも必要なものがいくつか出てきました。

そのひとつが、ユーザーからのお問い合わせ機能でした。もともとサービスの特性上、お問い合わせをいただくことが重要ではありました。ですが、それ以上に開発面においてはサービスの初期段階からユーザーのフィードバックをもらうことが大切だと考えていたため、リリース時からこの機能が必要でした。

ただ、「どのようなお問い合わせの受け方が最適なのか」「どこまでのものを作れば理想とするフィードバックを得ることができるのか」を初期段階で決めるのは難しかったんです。そのため、コアとなる機能の開発以上に工数を割くことができませんでした。

そこで、外部ツールを導入して効率的に実装をしようと考え、使ったのが質問フォーム作成サービス「Wufoo(ウーフー)」です。

質問フォームを簡単に作成できる、「Wufoo」とは

Wufooを使うと、フォームの設計からレイアウト、細かい質問項目の回答方式や並び順まで直感的に簡単に作成ができるので、フォームの改善に誰でも対応することができます。

▼簡単に質問フォームを作成できる「Wufoo」

また、問い合わせ数の分析も可能で、レポートとして出力することもできます。各問い合わせに対してどのように対応したかというメモも履歴として残すことができるので、チームをスケールさせた際にも情報の属人化を防ぐことができます。

▼どんな問い合わせが来たか、どう対応したかの分析も可能

単純に問い合わせフォームが必要なだけであれば、Googleフォームでも対応することはできると思います。

ただ、開発は問い合わせ機能を改善して、フォーム自体をサイト内に組み込んでいくという前提で進めようとしていたんです。なので、サイト内完了画面へのリダイレクトやHTMLページの吐き出しなどの必要な機能の要件を満たしていた、Wufooを採用しました。

機能を作ることがゴールではない 作った後の改善がキモ

個人的に、機能を作ること自体がゴールではないと思っています。問い合わせ機能に関しては、実装前の仮説が「ユーザーからこういう問い合わせが来るだろう」というものであっても、必ずしも結果がそうなるとは限らないですよね。

従って、フォームそのものをどれだけ改善していけるかがキモだと思っていて、いつでもそれに変更を加えることができる状態にしておきたかったんです。Wufooはエンジニアでなくても触れるUIなので、ビジネスサイドの人間もユーザーの反応を見ていつでも自分で修正ができます。

お問い合わせの種類は、サイトに対するもの、病気に関するもの、また自分が知りたい治療法のリクエストなど様々です。

従って、サービス開発当初は質問の種類に応じて微妙にフォームを変えたり、不要な箇所を削ぎ落としたり、細かいチューニングをすることも多かったんです。エンジニアを介さなくて済むので開発工数がかからず、フォームの改善がスピーディに行えたのはありがたかったですね。

ニーズを確かめながら、3段階に分けてお問い合わせ機能を導入

実際にお問い合わせ機能を導入する時は、プロセスを3段階に分けていました。まず、どのような問い合わせ項目が必要かを判断するために、Wufoo側でお問い合わせフォームを作成し、リンクをサイト内に貼ってユーザーの反応を見ました。そして、ニーズが少なければそのフォームを削るか、フォームそのものを変えるようにしました。

▼初期の体験談募集フォーム。Wufooで作成したフォームをサイト外に設置。

次に、ニーズがあるとわかった項目に関しては、いただいたお問い合わせに合わせて項目を調整しつつ、Wufooが出力するHTMLテンプレートをサイト内に組み込みました。最後に、フォームをよりカスタマイズしてサイト内の情報とマッチさせたい場合のみ、フォームを独自開発しました。

独自のフォームが必要かどうかの判断には、問い合わせの数と、問い合わせボタンのクリック数を見ています。クリック数の割に実際の問い合わせ数が少ない場合は、単純にフォームが悪いだけの可能性があるので、まずはフォームそのものを改善しました。

このようなプロセスを経て、現在の「病気に関する体験談」の募集フォームがサイト内に実装されました。Wufooで検証した事項を踏まえて、ユーザーが入力しやすいよう、病気ごとに項目を調整しています。

▼現在の「病気に関する体験談」の募集フォーム

「見えない開発工数」を最適化できた

Wufooを使ったことで、仮説検証を行う上でのフォーム自体の埋め込みや削除が、段階を踏んで効率的に実行できたと思います。

お問い合わせの種類を考えていると、「なんか必要かもしれないけど、絶対必要とは言い切れない」というような微妙な質問もあるので、ニーズの大きさに合わせて開発することができて助かりました。

結果的には、Wufooのフォームで残り続けているものももちろんありますし、そこで出た結果を反映して治療ノートのサイトに取り込まれたものも結構あります。Wufooを使い始めてから、10本位のフォームを走らせてきたのですが、現在は4、5本ほどWufooのお問い合わせフォームを使っていますね。

既にできているプロダクトだけを見ると、なかなか見えづらい部分かなと思うんですけど、潜在的な開発工数が最適化されたと思います。サイト内でUI含めてゼロからフォームを作っていくと、実はかなり開発コストがかかるので。

また、今後に関しても、既に検証した結果入れているフォームなのでフォームに対する要求が変わらない限り、追加の修正も発生しないと考えています。

「何を作らないか」を決めることが非常に大事

Webサービスを少人数で立ち上げるときには、初期の仮説をはっきりさせて、「何を作らないか」を決めることがすごく大事だなと思っているんですね。

ただ、何を作らないかということを議論するためには、ある程度作らなければそもそも検証できない場合もあります。今回はそこがユーザーからの情報の受け取り方であり、Wufooを使うことで、素早く作って検証することができたので、良かったと思います。当時は私ひとりしかエンジニアがいなかったので、とても助かりました。

料金については、10本のフォーム作成で月16ドルです。Wufooはサービスサイト外でも活かせるところもあると思っていて、今後はテスト的に、ユーザーアンケートのようなものにも取り入れていきたいです。これからもWufooを活用して、治療ノートをより良いサービスにしていきたいですね。(了)

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