• ヤフー株式会社
  • マーケティングソリューションカンパニー 開発本部 データソリューション部 可視化集計
  • 東 浩稔

ヤフーの意思決定を加速させた「Domo」とは? 数十億のデータをビジネスに活かす方法

今回のソリューション:【Domo/ドーモ】

〜数十億ものデータを一元管理して分析を効率化することで、よりスピーディなビジネスの意思決定につながった「Domo」の活用法〜

ヤフー株式会社のデータソリューション部可視化集計チームは、Web広告の運用には欠かせない「データ分析」を下支えするチームだ。

同部門では、直近2年間で蓄積された数十億件のデータの分析・可視化のため、以前は専用ツールを自社開発していた。しかし、メンバーそれぞれが作ったダッシュボードが乱立し、正しい情報を見極めるのが難しい状態に陥ってしまったと言う。

その課題を解決するために選択したのが、ビジネス管理プラットフォームの「Domo(ドーモ)」だ。導入により、大量のデータを一元管理し、簡単にグラフ化することが可能になった。モバイル端末を使って「その場で」数字を確認することもできるようになり、結果的に意思決定のスピードも速まったそうだ。

「使えそうなデータを取得し、こうしたら分析に使えますとデータアナリストに提供するデータマネジメントチームは、言わば野菜ソムリエなんです」と語る安井 千香子さんと東 浩稔さんに、Domoの詳しい活用方法をお伺いした。

▼大量のデータを一元管理&簡単にグラフ化できる「Domo」(内容はイメージです)

データが命の「Web広告」 数値分析を支えるチーム

 前職では証券系のSIerで、オンライントレードの開発やプロジェクトマネジメントをしていました。その中で、受け身の仕事よりも企画から携わってみたいという思いを持ち、より上流の仕事ができるヤフーに2012年に入社しました。今は可視化集計というチームで、広告システムの開発に携わっています。

安井 私は以前は印刷会社で、データを印刷物にするためのシステム設計や、品質保証の仕組みを作っていました。そこから5年ほど前にヤフーに転職し、広告の審査業務を経て今の部署に異動しました。

Web広告では、大量のデータから得られる情報を元に営業さんをはじめとするスタッフが動くことになります。私はそのデータをいかに精度良く、最適化されたものにするかという部分を担当しています。

変化するビジネスのスピードに合わせるため、Domoを導入

 私たちのチームでは、1年ほど前からビジネス管理プラットフォームの「Domo(ドーモ)」を、数値データの可視化に使っています。以前は自前でシステムを構築していたのですが、新しい数値を見たいと思っても開発工数がかかってしまい、そのコストがビジネスのスピードに合わなくなっていきました。

広告は、本当にスピードが勝負の世界です。新しい指標が出てきたり、ビデオ広告のような新しい製品もどんどん登場します。そのスピードに実装がついていけなくなった結果、社内でSQLを書けるメンバーが「野良ダッシュボード」を作る状態になってしまったんです。

すると同じようなダッシュボードが社内に乱立してしまって、しかも物によっては結果も少しずつ違うというような事態になりました。また、数が増えることでデータベースへの負荷が増し、システムリソースをひっ迫するという弊害も発生していました。

そういったダッシュボードを統一しようということで、導入したのがDomoですね。

自前では数ヶ月かかる…データ可視化の工数削減に成功!

 自前でシステムを構築していたときは、ひとつのグラフを作るのに数ヶ月かかってしまうこともありました。けれどDomoであれば、必要なデータをつなぎ込むだけで、最も時間がかかるケースでも2週間ほどで数値をグラフ化できるようになったので、効果は大きいですね。

基本的に、データを取るときは営業やデータアナリスト、サービスマネージャーから依頼がきます。それを元に私が広告配信のログから、分析用のデータベースを生成します。そのデータベースに対して安井がSQLを投げてデータを引っ張ってきて、レポートにするといった流れです。

安井 データを見ているのは、基本的に本部長や部長といったマネジメント層です。あとはサービスの戦略を考えているサービスマネージャーになります。Domo上には今までの売上推移や全体のKPI、プロダクト固有のKPIなどを可視化していますね。

Domoを使うには簡単なSQLの知識があったほうが良いですが、なくてもできることはあるので、最初のハードルは低いのかなと思います。リアルタイム性も高いので、毎日何かの進捗を確認したいとか、日々の変化を見たいという用途には適していると思います。

専門領域を分けることで、強みを発揮し合える環境に

安井 Domoは、自分でグラフや枠組みを自由に表現できるところが便利ですね。それほど工数をかけずに様々なパターンを作れるので、試しながら変えていく事ができます。実際に数字を見る人の声を聞いて改善していく、ということもできるようになりました。

▼グラフも簡単に作成できる(内容はイメージです)

 私は「簡単に作って簡単に消せる」という表現をしているのですが、要は作るのに工数がかかってしまうと、「最初にいくつか作ってダメなら消す」ということができませんよね。DomoならUIのプログラミングが不要なので、エンジニアがそこに携わる必要がありません。

私はデータの生成の部分を担当して、可視化の部分はノウハウを持っている安井のような専門チームが行う。そのようにお互いの強みを発揮し合えるということは、大きなメリットだと思います。

データをその場で確認できるので、意思決定のスピードが向上

 Domoにはモバイルのアプリもあるので、移動中でもリアルタイムに今何が起こっているのかを確認できるのも良いですね。広告配信のチューニングをかけている時であれば、想定通りに動いているか確認が必要ですし、出勤時に変化があればどう対応するべきか、出社してすぐ意思決定ができるようになりました。

▼モバイルでも確認できる(内容はイメージです)

また以前は、会議中に「この数字ってどうなっていたんだっけ?」という議論になることがあったんです。当時はその場で確認する術がなかったので、後でメールで連絡しますとか、持ち帰って調査しますという事で、意思決定が先延ばしになっていました。Domoを導入してからは、その場で設定を少しいじるだけで確認できる数値が増え、その場で意思決定できることが多くなりました。

データ分析チームは「野菜ソムリエ」?

安井 今、Domoには数で言うと数億件、およそ2年分のデータが保存されています。そのデータを分析用に提供するチームというのは、言わば野菜ソムリエのようなものなんですよ。

チーム内にデータアナリストがいて、データを管理している私たちがいる。私たちはデータという畑から分析に使えそうな良い野菜を採ってきて、こうしたら分析に使えますよ、というところまで考えてアナリストに提供する。

材料もレシピも変えて、どこに提供するかという範囲まで考えるのが私たちの仕事だと思っています。

すべての情報を出してしまうと、逆にどう使って良いのか、処理の仕方が分からなくなってしまいます。なので必要なパラメータは漏れがないように気をつけながら、本当に必要な物だけを人や分析内容によって選ぶようにしています。

 Domoは、たくさんの数字をトライアンドエラーを繰り返しながら検証していけるような会社には適していると思います。特に、ビジネスアナリシス主導で動いている会社にマッチしていますね。

エンジニア主導の社内ツールとして作ってしまうと、どうしても独りよがりの見せ方になってしまうこともあるので。ビジネス側が自分たちの考えたとおりに、数値を見るための環境を作れることが大きいのかなと思っています。

今ではリアルタイムに正しい数値を取り、それを見るという文化までは作ることができました。次は、得られたデータをいち早くアクションにつなげ、データドリブンで進めていく習慣をつけるということが課題だと考えているので、引き続きDomoを活用していければと思っています。(了)

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