• トレジャーデータ株式会社
  • マーケティング担当ディレクター
  • 堀内 健后

MAは役割分担と連携が大切 マルケトユーザー会の会長が語るMAの要諦とは

今回のソリューション:【マルケト】

〜マーケティングオートメーションツール「マルケト」を活用して、効果的な販促活動につなげている事例〜

マーケティングオートメーションはマーケティングを簡単にするか

そう聞かれると、必ずしもそうとは言えない。できることが飛躍的に多くなる一方で、運用にはそれなりの工数がかかる上に、マーケティングと営業の担当者がしっかり連携をとらなければその効果は半減してしまう。

トレジャーデータ株式会社は2011年創業のシリコンバレー発のスタートアップ企業で、クラウド型のデータマネジメントサービスを提供している。

株式会社すかいらーくやリクルートマーケティングパートナーズの「スタディサプリ」でも利用される同サービスは、どのようにマーケティング・営業活動を行っているのだろうか。

同社でマーケティング活動を担当する堀内 健后さんは、マーケティングオートメーションツールの「マルケト」を活用し、効率的なマーケティング活動を行っているという。マルケトのユーザー会の会長も務める堀内さんに、マルケトの活用についてお話を伺った。

▼マーケティングオートメーションツール「マルケト」の活用法とは…

トレジャーデータの日本支社立ちあげから参画

新卒で経営コンサルティング会社に入り、クライアント企業のIT構想策定などを担当していました。しかし、働く内に事業会社で仕事をすることに興味を持ち始め、マネックス証券に転職しました。

そちらでトレジャーデータにユーザーとして触れることがあり、個人的にとても面白いサービスと感じたんです。それをきっかけに、2013年にトレジャーデータの日本支社が立ちあがったタイミングから参画しています。

トレジャーデータは、クラウド型のデータマネジメントサービスです。ビジネスにおけるデータを簡単に集め、分析・連携できるようになっています。社員は今、アメリカに60人ほど、日本に40人ほど、韓国に2名、という体制です。

日本支社では、単なるローカライズではなくトレジャーデータ自体の開発も行っていて、比較的エンジニアが多いですね。

案件化するリード獲得をミッションに活動

日本でのマーケティングとセールスの体制としては、僕を含めたマーケターが2名に、SDR(Sales Development Representative)と呼ばれるインサイドセールスの担当者が2名、営業が4名います。

流れとしては、マーケターがリードを獲得し、SDRがそれを育てて案件化し、営業に渡す仕組みになっています。僕は営業系のマーケティング活動を担当していて、新規リードの獲得がミッションです。

主に「どうやってリードを獲得するか」という部分の、戦略と実務を行っています。
そして、リード獲得から営業に渡すまでのフロー全体をサポートしてくれているのが、マーケティングオートメーションツールの「マルケト」です。

リード情報をマーケティング担当がマルケトに入れて管理し、それらのリードに対して、SDRがメールを送ったり、セミナーを開いたりしてナーチャリング(育成)を行っています。ちなみに、私はマルケトのユーザー会の会長も務めています。

リード獲得において、イベントはやはり重要

新規リード獲得のためには、Webサイトの訪問者にメールアドレス等の個人情報を入力してもらって、匿名の訪問者をネームド(個人が特定された状態)のステータスにすることが必要です。そのためのホワイトペーパーなどのコンテンツ作りと、イベントへの出展が施策の中心になっています。

僕が追っているKPIは、新規リードの獲得数とそれが案件化されるコンバージョン率です。リードの質を考えると、サービスに興味を持って資料請求をし、メールアドレスを落としてくれた人の数を追った方が効率はいいのですが、当社の場合、まだまだその数が少ないんですよね。

従って、やはり展示会やセミナーは重要なリード獲得の機会です。どこで獲得したリードなのかわかるように、それぞれに「ラベル」をつけています。複数のイベントで接点を持つと、どちらのイベントが効果があったのかわかりづらくなってしまうのですが、その時は最初に接点を持ったほうで効果を測定しています。

どこで獲得したリードが、どのように案件化するのかを見ることが重要なので、それをわかりやすくするリードソースのレポートはよく作っていますね。

リード獲得数と、案件発生数をそれぞれチェックして、どのイベントにどういったテーマを出そうか、ということを考えることが大事です。

スコアリングの点数だけで判断してはいけない?

リードを獲得した後は、その人たちを見込み顧客としてSDRがナーチャリングしています。ナーチャリングの施策1つひとつにスコアを付与していて、プラスやマイナスをしていきます。そして一定のスコア以上になれば、見込み案件としてSDRから営業の担当者へ渡します。

▼マルケトでは、獲得したリードの「熱さ」をスコアリングできる

その際の基準のスコアは、現在は60点に設定しています。ただひとえに60点と言っても、電話をかけた方がいい60点なのか、それとも顧客にはなり得ない60点なのかは、しっかりと判断するようにしています。

スコアの上がるプロセスによっては、たとえ60点を満たしてもほとんど案件につながらないパターンもあるからです。例えば、競合他社の担当者が見に来ている場合ですね。それをSDRがきっちりと確認し、有効なリードかどうかを判断していく必要がありますね。

すぐに案件化するものから、ニーズは高いけれど少し先の検討になるところ、顧客にはならない先など、パターンに分けて判断しています。リードにならないものはもう見ませんし、それ以外は継続して検討するフローに乗せていますね。

見込み顧客をどう自分たちのカスタマージャーニーに乗せていくか

リードを案件化していくためのナーチャリングは、マルケトの中の素材を使って行っています。例えばランディングページの最適化や、メールでキャンペーンの招待状を送ることができますね。

マルケトの「ストリーム」の機能を使えば、事前に決めたカスタマージャーニーに沿って「メールを開封したら1点」のようにトリガーを使って自動でスコアリングすることができます。そのスコアリングの基準やトリガーは、うまくブラッシュアップしていくべきだと考えています。

例えば、リードへ送ったメールが開封されたときに1点と数えるのか5点と数えるのか、といった具体的なスコアリングに関しては、カスタマージャーニーを踏まえた上で、自分たちの案件につながるために最適化されていなければなりません。

ここはSDRと営業と一緒に考えなければならないので、それぞれのチームが密接にコミュニケーションをとらないと難しいのではないでしょうか。

マルケトはユーザーコミュニティが活発

カスタマージャーニーごとにどうナーチャリングしてスコアをつけていくかは自由なので、スコアの項目からその点数までを、ゼロから全て考えるのは難しいと思います。

実際、日本の企業でもそこに苦労されている方は多いです。この点については、マルケトはユーザーコミュニティが活発で、他の人の活用法を聞くことができるので、個人的に助かっています。マルケト社が自社でどのように活用しているのかを積極的に教えてくれるので良い先生です。

日本含めて世界中から6万人以上のマーケターがマルケトのユーザーコミュニティ「Marketing Nation」に参加しており、情報交換をしながらお互いの専門性を高めあっていますね。

スコアリングの際の具体的な点数付けも、自分だけだと少し不安になる部分もあったりします。そこで、他社でどうしているかを聞いて参考にできるのはありがたいですね。

ちなみに、マルケトではスコアリングモデルを複数設定することができます。例えば、トレジャーデータはデジタルマーケティング用の売り方と、IoT向けの売り方は全然違うのですが、それぞれに対してスコアリングのモデルを設定できるんです。

デジタルマーケティングの記事を読んでくれた人にはデジタルマーケティングのスコアを5点、IoTは0点といった具合に、複数のモデルを並行して走らせることができるんですね。設定作業が少し大変ですが、使いこなせる人は使ってみるといいかもしれません。

大変だからこそ、役割分担と連携を 外部の運用会社も活用

マーケティングオートメーションを実践するには部署間の連携も必要ですし、考えるべきところや、作業もとても多いです。ひとりで全部やろうと思ったらそれだけで1日が終わってしまって、他には何にもできないんですよね。

だからこそ、しっかりとやるべきところを分けるのが重要で、そのためのコミュニケーションも大切です。弊社ではマーケとSDRは営業ミーティングにも出て、職種の枠を越えて相互理解を深めるようにしています。

そういったコミュニケーションを土台にした連携が少ないと、営業側だけで勝手に見込み顧客リストを作ってしまう、というような無駄が発生したりします。

営業はSDRから渡された案件成立のために労力を割くべきで、SDRは最適な見込み顧客リストを渡すことに注力するべきなんです。

また、僕自身もミッションを追うことに注力するため、マルケトの運用を外部の運用会社にお願いしている部分も多くあります。例えば、展示会のバーコードから読み込んだリストをインポートしたり、メールの配信や修正、ランディングページを作るといった部分です。

僕が本当に時間を使うべきなのは、どういうリードを取りにいくのか、そのためにどのイベントに出展するのか、そこではどういうテーマでやっていくのかという本質的な部分を考えることです。だから社内でマルケトを使える人を増やして、運用も外に出してしまうようにしています。

機能が豊富なマルケト うまく使いこなすには

弊社でまだ使えていないマルケトの機能は、アナリティクスの部分ですね。例えば、スコアの変化のプロセスによって、案件化するものとしないものとに振り分けていますが、現在はその作業をエクセルで行なっています。その部分を今後はマルケトと自社のトレジャーデータサービス上でできればと思っています。

マルケトは機能が豊富で、すぐ使いこなすのは企業によっては難しいかもしれません。その場合は、マルケトの運用会社をうまく活用することも一つの手段です。

あと、使い勝手に関しても「次にこれをやりましょう」というようなワークフローに乗って進めていくUIではないため、最初は使い方を意識的に把握しておく必要があるかもしれません。

ただし、データ構造を理解することができれば、情報ごとにフォルダにまとまって管理されているので、運用もスムーズになります。例えば、似たようなセミナーをやるときには、以前のセミナーのフォルダを持ってきて、コピーしていじれるから簡単で助かっています。

ただ、ひとつ言えるのは、マーケティングオートメーションツールはBtoCもそうですが、特にBtoB企業ならどこも入れたほうがいいんじゃないでしょうか。導入には人とお金がかかるかと思いますが、必要なものだと思います。

自分もまだまだ使いこなす余地はありますが、マルケトを使って、他のユーザーとたくさん話しているからできたこともありますし、マーケターとしての成長もあったかと思います。(了)

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