• Sansan株式会社
  • Sansan事業部 マーケティング部 兼 プロダクト部
  • 石野 真吾

「人を増やして売上を伸ばす」時代は終わった。Sansanが見据える、MAと「名刺」の未来

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今回のソリューション:【マルケト】

〜「マルケト」と「名刺管理のSansan」を連携させたマーケティングオートメーション(MA)を導入。受注を倍にし、営業効率を大幅に改善した事例〜

営業活動を効率化する手段として、各領域で導入が進みつつあるマーケティングオートメーション(MA)。

BtoB領域における、「マーケティングオートメーションとは?」

法人向け名刺管理サービス「Sansan」でも、2015年末にMAツールの「マルケト」を導入し、MAの取り組みをスタートした。その背景にあったのは、「受注を増やすには人員を増やさなければならない」という状況に直面していたことだ。

Sansanは、テレビCMなどの効果によってリード(見込み顧客)の数を急激に増やすことに成功した。しかしその一方で、「沢山のリードを集めて電話をかけていく」従来の方法では、受注を伸ばすには限界があったという。

そこで同社マーケティング部の石野 真吾さんは、ほぼ独力でマルケトの導入を実施し、既存のCRMと連携させ、MAの体制を作り上げた。

営業がケアする顧客数を減らすことで、受注率は10%上昇。その他様々な施策の結果、受注件数はMAの導入前の倍になったという

さらに同社では、自社製品のSansanをマルケトに連携させ、さまざまな新しいマーケティング・営業の打ち手を生み出している。

今回はそんな石野さんに、Sansanが抱えていた課題、マルケト導入の経緯と成果、そしてSansanとマルケトの連携が可能にする未来について、詳しくお話を伺った。

▼「マルケト」を活用した、SansanのMA体制とは?

「ひとつのプロダクトで勝負する」Sansanに直感で入社

薬学部を卒業し、新卒でコンサルティング会社に入社しました。主に新規事業を立ち上げる部署にいて、自ら新しいビジネスを立ち上げる経験もしましたね。

DVDを制作して、それを全国の大手書店に「置いてください」とかたっぱしから電話をしたり…。実際にそのコンテンツで成果を上げ、結果的に「自分で稼ぐ」という経験ができたことが、とても良かったのかなと思っています。

ただ昔から、世の中を変えていくような「新しい仕組み」を作っていきたいという気持ちがあったんですね。それで独立も視野に入れて活動していたのですが、そんな時にSansanで働いている大学の同級生に飲みに誘われて。

すると、あれよあれよという間に弊社代表の寺田と会うことになり、会って1時間後には「入ります」と言っていた、という(笑)。

Sansan 石野 真吾さん

「クラウドで名刺管理」というようなひとつのプロダクトに、全社員が向き合っている日本発の企業ってあんまり無いですよね。そんな文化に、強く惹かれた部分がありました。

「受注を増やすには、人員を増やさなければならない」状況

入社後は様々な業務を経験したのですが、今はマーケティング部とプロダクト部を兼務する形で働いています。大まかな役割は、Sansanを「インフラ化」していくための仕組みづくりを行っている、ということになりますかね。

言い換えると、Sansanの成長をより一層加速させるための活動をしています。市場調査から始まり、リード(見込み顧客)の獲得から契約に至るまでの過程の分析、そしてそれに基づいた戦略の提言や設計、といったことですね。

Sansanは2年前から急速に成長し、現在では4,000社を超える企業に導入されています。ただ、さらに成長を加速させていくための課題として「受注を増やすには人員を増やさなければならない」状況に直面していました

その状況を打開するための、新しいマーケティングの仕組みを作っているところになります。

露出の拡大でリードの数は増えても、質は下がっていく

売上を拡大させていく上でまず必要なのは、「トップ・オブ・ファネル」を拡大する施策です。ファネルとは「漏斗」のことで、顧客が見込みの段階から実際の受注に至るまでの過程を、漏斗に見立てるものです。そしてトップとは、漏斗の口の一番広いところ、つまりリードとの最初の接点になります。

Sansan 石野 真吾さん

その接点は、できるだけ広げなければいけない。しかし、それだけでもダメなんですね

例えばSansanでもテレビCMを打ったり、各所で露出を増やしてきました。それで確かに問い合わせは増えましたし、それに伴ってリードも増加しました。でも、その増えた顧客全員にアプローチして受注につなげていこうと思うと、営業を増やすしかないですよね。

さらに、トップファネルを広げるほどに、「製品にあまり興味を持っていない」リードも増えてきます。つまり、闇雲にすべてのリードに対応するために人を増やすだけでは、受注は伸びない

また、人をこれまで以上に急に増やしていくことも難しいので、事業の成長を加速させることもできません。

温度感の高いリードを選別することで、営業の生産性を高める

では、どうすればいいのか。集まったリードを、受注につながるHOTなものとそうではないものに適切に選り分け、HOTなリードに営業のリソースを集中すればいい

一言でいえば、成約につながるリードをしっかりと発掘するような、インサイドセールス(※)の生産性を高める仕組みが必要です。

(※インサイドセールス:リードに対して社内から電話やメールでコミュニケーションをとることで、成約に繋がるリードや商談を発掘する営業活動のこと)

しかし弊社ではそもそも、既存のリードデータベースに重複が多く、データベースとしてうまく機能していませんでした。リードを扱うインサイドセールスの活動に手作業が多くなり、業務効率が下がっていたんですね。

Sansan 石野 真吾さん

そういった課題を解決するために、MA(マーケティングオートメーション)の仕組みを導入することに決めました。MAを導入すれば、データベースを整備し、HOTなリードを適切に選別することで、インサイドセールスの生産性を上げることができます

MAツールを比較検討の末、マルケトを導入

そこでMAツールのサービス・プロバイダー5社ほどの担当者の方とお会いして、比較検討の末、「マルケト」の導入を決めました。

マルケトを選定した決め手は大きく3点ありました。まず1点目はPDCAを回しやすい機能設計と、CRMとの連携が一番スムーズだという機能面での優位。

2点目は、同ツールのBtoBマーケティングでの導入事例が、国内外でもっとも多いということ。

そして3点目が、営業過程から実際の導入にいたるまで、担当者の信頼感とサポートへの安心感がもっとも強かったということです。

▼実際に使っている、「マルケト」のメニュー画面

マルケト 画面

MAの導入に合わせて、マーケ・営業の仕組み全体を再設計

導入自体は2015年の10月末でしたが、実際の運用は12月末からになりました。その2ヶ月の間に、MAの仕組みを設計し、かつ連携させるCRMのデータベースを丸ごと作り変えたんです。

これまでの「たくさんのリードを集めて電話をかける」というマーケ・営業のやり方を、MAの導入タイミングで一新したかったんですね。

きちんとリードをナーチャリング(育成)して温め、スコアの高いHOTなリードから適切なタイミングでアプローチしていく、という、より効率的な方法を取り入れたいと思っていました。

そうなると、売上だけではなく「成約率」のような指標も追うようになるので、そもそもKPIも変わります。すると必要なデータも当然変わってきます。そのためのデータベースの再設計は、色々な人にヒアリングをしつつ進めました。

このときに気をつけたのは、インサイドセールスや営業の理解を得られるようなデータベースを作ることでした

CRMの入力工数が最小限になるように工夫したり、表側の入力画面はこれまで使っていたものと変わらないようにするなど…。楽になる、便利になるということを強調しながら、実際の導入前から現場への研修を始めていました。

結果的に、早い人は1週間ほどで新しい仕組みを使いこなすようになり、それが導入初月からの実績につながりました

MAの導入の結果、受注率が10%上昇、月間受注件数は倍に

そのように構築した新しいデータベースとマルケトを連携させ、MAの運用を始めました。

まずシンプルな成果として、マルケトを使ったことでリードへのメール送信やセミナー開催がとてもラクになりました。結果的に打てる施策数が倍以上になり、課題だったトップ・オブ・ファネルはおよそ3倍になりました

さらに、その中から適切にHOTなリードを絞り込めるようになったためにアポ率も受注率も上がり、受注率は平均で10%ほど上昇しました

また、ひとりの営業が担当する顧客が減り、フォローできる時間が増えたことで一件あたりの受注額も伸びたんです。もちろん波はありますが、現在は、月間平均の受注件数が導入前の倍にもなりましたね

PDCAを回し、成功パターンを自動化するところに、MAの本質がある

また、マルケトの「リサイクル」という場所に商談化しなかったリードをまとめておき、様々な施策を実施していっています

商談に至らなかった理由でセグメントし、それぞれのセグメント毎にカスタマイズされたメールを適切なタイミングで送っていく、という感じです。

どのタイミングでどんな内容を送るのか、ということは、最初は色々と実験しましたね。今ではある程度の成功パターンは見えていて、たった一度のメール送信で翌週には10件の受注につながったこともありました

ただ、気をつけなければいけないのは、MAと言えども全てが「自動」というわけではないことです。

むしろMAの本質は、PDCAを回してテストを繰り返して「成功パターン」を見つけることにあります。そして、そのパターンを自動でアクションできるようにツールを活用していく。

このPDCAを回すところでは、マルケトのユーザー会が活発なのも助かっています。Facebookメッセンジャーでユーザーの方に質問したり、スクリプトをもらったり…。最初は僕もMAはまったくの未経験だったので、そういったつながりに支えられて今があると思っています。

Sansanとマルケトの連携が開く、MAの未来とは?

SansanはAPIを公開したので、他の様々なソフトウェアと連携できるようになりました。弊社では実際にSansanとマルケトを連携させています。

マルケトにリード情報がメールアドレス付きで入ってくると、その情報はまずCRMと同期されます。そして同時に、Sansanの名刺データの検索が始まります。

メールアドレスの一致する人がいれば、それがCRM上やメールで通知されるんですね。

▼マルケト上で、Sansanにある「つながり」が可視化される

マルケト Sansan 連携

すると、担当者がリードと自社の社員との「つながり」が確認できます

営業であれば、お客様と自社の社員との人脈のつながりの情報から、それを商談中に話題にしたり、その社員にお客様との取り次ぎを頼んだりすることができるわけです。

例えばSansanに残っている「名刺交換日」のようなデータを使って、自動でメールを送ることもできます。どういうことかと言うと、リードと接点があったタイミングで、「何月何日に弊社の誰々とお会いしましたよね」といった文面のメールを送ることも、理論上では可能なんですよ。

こういった活動は、デキる営業であれば普通にやっていることですが、それが自動でできるわけです。しかも、「何月何日に弊社の誰々とお会いしましたよね、◯◯です」なんてメールが来たら目にとまりやすくなります。

このような自動化に違和感を持つ人もいるかもしれませんが、そもそもMAのいいところは、全てのお客様に適切なタイミングで、関心に沿った情報を提供できることです

1人ひとりに対して、よりパーソナライズされたコミュニケーションができるようになる、ということなんです。

今後は以上の例に限らず、Sansanとマルケトの連携をもっといろいろな仕方で活用していきたいと思っています。MAツールにとってこのようにSansanが有用な手段になることは、Sansanがインフラとなっていくためのステップとしても、とても重要だと考えています。(了)

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