• 株式会社旅と平和
  • 代表取締役
  • 佐谷 恭

毎日の「出退勤」が「交流」を生む!? 月額無料のiPad向け勤怠管理ツールとは

今回のソリューション:【Tablet Time Recorder/タブレット タイムレコーダー】

〜出退勤時にカメラ撮影が行われる、iPadの勤怠管理ツールの活用で、新しいコミュニケーション機会を創出している事例〜

会社に到着すると、タイムカードを挿入して、出勤を記録。多くの企業で毎日行う作業だが、義務だからという理由で機械的になされるもので、それ自体に楽しみやワクワクはない。

パクチー専門料理店「paxi house tokyo」を営む、株式会社旅と平和。同社では、iPad向けの勤怠管理ツール「Tablet Time Recorder(TTR)」を活用している。

出勤時にiPadにタッチすると、同時に写真撮影も行われるという、ユニークな勤怠管理ツールだ。こちらの活用により、勤怠管理が簡単になっただけでなく、社員同士が楽しくコミュニケーションをとるきっかけにもなっているという。

今後は、こちらのツールを、お客さんとのコミュニケーションにも利用することも検討しているという、同社代表取締役の佐谷 恭さんに、その活用について詳しくお話を伺った。

▼iPadで勤怠管理ができるTablet Time Recorder

留学、ライブドアを経てpaxi houseを創業

新卒で富士通に入って、採用関連の業務を担当した後、友人の廃棄物関連のコンサル会社の創業を手伝いました。その後はフリーランスとして働き、お金を貯めて英国の大学院に留学し、平和学に関する論文を書きました。

留学後は、世界中のいろいろな考えや言論を発信するメディアを作りたいと考えていました。その時に当時のライブドアを知り、ライブドアニュースの立ち上げに関わりました。

ライブドアは素晴らしいところでしたね。そこで働くみんなにベンチャースピリッツがあったんですよ。「とりあえず自分で何か立ち上げたい」みたいな。

「ただ社長になりたい」みたいなのは当時はバカだと思っていたのですが、日本の今の安定志向を見ていると、「自分で何かやってみたい」というスタンスそのものが素晴らしかったと思いますね。

ライブドアで2年間、ニュース部門の立ち上げから終わりまでを担当した後、自分でも何かしたいと感じて、弊社「旅と平和」を立ち上げました。そして2007年にパクチー専門料理店「paxi house tokyo」を開店したんです。

この社名の由来ですが、平和学を勉強し、さらに今まで50カ国くらい旅をするなかで、「旅人が平和を作る」と思うようになったんです。旅をして、現地の人たちと「交流」したら、「そこに爆弾を落とそう」なんて思えないはずですよね。

店の名前になっているパクチーは、本当は phakchi(タイ語)と書くのですが、あえて弊社ではpaxiと書いています。これは「pax (ラテン語の「平和」)」と「 i (人の象形文字)」を組み合わせたもので、この「paxi」という言葉 を「旅と平和」の象徴と定義づけています。

「交流する飲食店」がコンセプトの paxi house

paxi houseのコンセプトは、「交流する飲食店」です。相席を推奨し、貸し切りにはしないというポリシーのもと、すべての人に開かれた立ち飲みスペースを提供しています。パーティを開催する場合も、「交流」を主目的にデザインするようにしています。

そのため、従業員にも、コミュニケーションカタリストと呼ばれる、お客さん同士をつなげて店内のコミュニケーションを活発にする「触媒(カタリスト)」のような人材を登用しています。

店内のツールに関しても、お客さんと従業員のコミュニケーションを活性化する使い方ができればと考えています。例えば、最近使い始めたTablet Time Recorder(以下、TTR)も、交流を促進するのに役立てることができると思っています。

TTRは、iPadにインストールして使う勤怠管理ツールです。初期費用が少々かかりますが、それ以後は無料で利用できます。出退勤のときに必ず写真を撮るのが特徴になっていて、ユニークな使い方ができるようになっています。

以前は別のiPadの勤怠管理ツールを使っていたのですが、サービスが終了してしまったことから、TTRを使い始めました。

その前は、データ対応型のタイムレコーダーを利用していたんです。USBでデータが取り出せるとのことで導入したんですが、タイムカードの番号を新人に割り振る必要があり、その際に操作を誤るとデータがおかしくなったりしていました。

また、打刻忘れ(出退勤の際の入力忘れ)の処理も大変で、よくエラーが出るなど、すごく面倒だったんです。さらに、機器が何度も故障したため、iPadを利用して勤怠管理を行うようになった次第です。

出退勤の度に写真を「パシャッ!」 TTRのユニークな活用術とは

TTRが出退勤時に写真を撮ることついては、最初は、スタッフも、「え!?顔写真?」と驚いていました。

ただ、今は特に抵抗なく使っていて、いろんな表情で撮ってみたり、たまたま近くにいた仲間と「変顔」で写ってみたり、楽しんでいる様子です。

▼日々の出勤時の撮影写真が記録される

従来のタイムカードだと、ひとりで「ジー、ガッ、ガッ」とするだけで、そのいかにも機械的な感じに、「あー、これから仕事かぁ」と思ったり、「帰るのめんどくせーなー」と感じたりしがちだったようです。

TTRのおかげで、その無機質な作業が、楽しい瞬間に変わったという感じですね。

▼出勤時のイメージ

また、こちらにビデオメッセージを残せる機能があって、他のスタッフの誕生日メッセージに利用したり、ちょっといたずらしてみたりとか、色々な活用法を編み出しています。タイムレコーダーが、楽しいものになるという発想は今までなかったですね。

また、出勤簿をPDFで出すことができるのですが、こちらにも顔写真がついていて、とても良いですね。なんとなく調子の変化がわかりますし、本人に毎月渡すときにも喜ばれるんです。

▼楽しい雰囲気の出勤簿

導入も簡単で特に困ることはなく、すぐに社内で定着しました。出退勤時刻を記録し、集計し、給与計算に利用するという機能については、何ら問題ありません

操作はシンプルで、打刻後の確認もすぐできます。紙のタイムカードだと、いつも打刻後に紙をじっと眺めて、印字箇所などに間違いがないか確認していたスタッフもいましたが、今はそういったことは不要になりました。

退勤の際に間違えて「IN」で打刻するとメッセージが出るようになっているため、間違いがなくなったのも好評ですね。

広がる活用の可能性 お客さんに使ってもらうことも

今後は、従業員だけでなく、お客さんも巻き込んだ使い方が出来ないかと考えています。

例えば、打刻時にメールを送信する機能を使って、スタッフの出退勤写真をFacebook等に自動で即時公開することも面白いと考えています。

すると、「今日は○○さんが出ているな」と、常連が見て来店することができたり、写真にコメントがついて、お客さんとのコミュニケーションが生まれるなど、様々な効果があると思っています。

さらに、お客さん自身に使ってもらうことも可能だと思っています。例えば、別のiPadを用意し、記録を残したい人だけが利用します。パクチー帽子をかぶって楽しく撮影したり、みんなで仲良く写ったり、お店で知り合った人同士が写真を撮ったり。

こちらもFacebookなどに公開すれば、常連同士が呼応したり、互いにコミュニケーションを取ることもできます。次回来店時にiPadを操作して、前回の自分の写真を見たり、他のお客さんの写真を見ることも楽しみになりますよね。お客さんの交流用ノートの進化版のようなイメージです。

こういったことによって、「交流する飲食店」paxi houseで、もっと多くの交流が生まれるのではないかと思っています。

さらに、paxi houseだけでなく、同じ場所で運営しているコワーキングスペース「PAX Coworking」でも利用する予定です。

そちらでは、現在、レギュラーメンバーもゲストメンバーも、紙のゲストブックに入出退時刻、氏名、所属、一言コメントを書いてもらっていますが、これをTTRに置き換えると、簡単だし、楽しいですよね。ビデオメッセージも楽しく利用できるはずですし。

TTRはコワーキングスペースに限らず、会員制の場所で使うと色々と交流が生まれて有益だと思います。今後もTTRで勤怠管理を行いつつ、さまざまな交流を生み出す場を作っていきたいと思います。(了)

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