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「Microsoftだから」採用できるのではない。日本企業がLinkedInを使いこなせない理由

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今回のソリューション:【LinkedIn/リンクトイン】

〜「LinkedIn」などを活用し、日本でもダイレクトリクルーティングに成功している日本マイクロソフトの採用哲学とは?〜

なぜ、ダイレクトリクルーティングがうまくいかないのか?採用数を伸ばせる企業と、そうでない企業の差はどこにあるのか?そのような悩みを抱える、採用担当者も多いのではないだろうか。

そしてその理由のひとつとして考えがちなのが、「会社のネームバリュー・知名度」だ。「そもそもうちの会社は知られていないから…」と考えて、ダイレクトリクルーティングを諦め、エージェントや採用媒体に頼ってしまうケースもある。

しかし一方で、「会社の名前やお金だけで、採用できる時代ではない」と語るのは、日本マイクロソフト株式会社でおよそ10年にわたって人事・採用に関わる、普久原 朝親さん。

同社では昨年より「タレントソーシングチーム」を立ち上げ、「LinkedIn(リンクトイン)」を中心としたツールを通じて「候補者に直接リーチする」活動を開始した。結果的に、他社との競争の激しいエンジニアのポジションで数十名単位の採用に成功している。

今回は、普久原さんと、同チームで「タレントソーサー」を務める岡本 貴大さんに、 ダイレクトリクルーティングの本質や、LinkedInの使い方、そして同社における中途採用の成功の背景をお伺いした。

※この記事の情報は、2016年5月時点のものです。

LinkedInの使い方を解説した記事はこちらです

▼ LinkedInにおける、Microsoftの会社ページ

LinkedIn Microsoftのページ

「Microsoftだから採用できる」という時代ではもうない

普久原 私はMicrosoft(以下、MS)で、10年ほど人事を担当しています。

弊社がいわゆる「ダイレクトリクルーティング」に本格的に注力するようになったのは、昨年のことです。候補者の方に直接リーチしてダイレクトに人材を掴むために、2015年の4月に「タレントソーシングチーム」を立ち上げました。

チームは現在8名ですが、弊社の中途採用のコアとなる部分で、相当数の実績を挙げています。例えばIT業界でどの会社も喉から手が出るほど欲しいポジション、MSで言う「クラウドソリューションアーキテクト」だけでも、およそ半年で数十名の採用に至っています

Microsoft 普久原 朝親さん

技術を持っているだけではなく、お客様とも向きあえて、コミュニケーション能力も高いエンジニアです。このような人材は、いまは本当に獲得競争が激しいですよね。

もしかすると皆さん、「Microsoftの名前を使えば来てくれるでしょ」とお考えになるかもしれませんね。でも実際に活動していく中で感じたのは、もはやそういった時代ではなくなっているということです。それこそ私がMSにジョインした10年前は、そのような部分もありましたが…。

簡単に言うと、いまは優秀な人材は、「やりたいこと」がしっかりマッチしていなければ、採用することは難しいです。お金よりも「やりたいこと」だと感じます。とりあえずスカウトを100通打てばなんとかなる、という時代では、もうありません。

私たちはソーシングチームを通じて、きちんと欲しい領域の人材を見極め、相手のことも理解した上で、正しい場所にスカウトを入れるように地道な努力を重ねています。そのマッチングがしっかりできていることで、これだけの成果が挙げられているのだと思っています。

LinkedIn経由で入社した「タレントソーサー」が、人材を発掘中!

普久原 MSの採用チームの体制は、まず俗に言うリクルーターと呼ばれる者がおります。社内の採用ニーズを聞き取って求人を出したり、外部のエージェントさんにもリーチします。

それとは別に、マーケットから自分で良い人材を探してくるチームがあり、それがタレントソーシングチームです。そのメンバーは「タレントソーサー」と呼ばれています。

岡本 私は昨年の10月にMicrosoftに入社し、今はタレントソーサーを務めています。そもそも実は私は、いまの上司からLinkedIn経由で直接スカウトを受けて入社しているんです。タレントソーシングチーム経由での、入社第一号の社員なんですよ。

Microsoft 岡本 貴大さん

普久原 面白いですよね。我々の方から、「採用を変えていきたいので一緒にやってくれないか」とLinkedInで直接お声がけさせていただき、その彼がいまはLinkedInを使って人材を見つけ出し、我々に紹介し、何十名もが入社に至っているという。以前はソーシングされて、今はソーシングしているんです。

マーケットを直接検索し、独自の人材データベースを持つ

岡本 タレントソーサーの役割をひと言で言うと、候補者になり得る方へのファーストコンタクトです。 いま旬の人、業界の中でのベストな人材にリーチして、弊社の魅力をお伝えし、リクルーターにつなぐ。

基本的に何をしているかと言うと、LinkedInやBing検索といったマーケットの情報から、候補者の方をまずリスト化します。各部門で必要な人材に合わせて探すのですが、例えばエンジニアで言うと、4桁近くのリストを持っています

現場で人が欲しい、というときには、キーワードが出てきます。例えばその領域でのトレンドであったり、スキル、ジョブタイトル(ポジション)などですね。

けれど社内におけるワードが、世間一般で使われている言葉とは一致していない場合もあります。それを噛み砕いて、ピンポイントでマーケットから人材を絞り込んで、リスト化していきます。

そうした絞り込んだ人材をどう口説くか(笑)ということですが、そもそも転職を考えられていない方が多いので…。まずはお会いして、MS全体の話をしながら、一度こちらを見ていただく。 「この人は!」と思う方には直接、現場のマネジャーに会ってもらうこともよくあります。

Microsoft 普久原 朝親さん 岡本 貴大さん

そして相互理解を深めながら、その方に「何が刺さるのか」をしっかり見極めていく。そこは嗅覚と言いますか、臨機応変に対応しています。

MSはやはり、「Windows OSとOffice製品の会社」というイメージを持たれていることも多いんですね。

けれど欲しい人材はクラウド領域のエンジニアの方なので、「弊社も2年前、サティアにCEOが変わって、いまはクラウド領域でどんどん攻めていっている」ということを、ストレートに伝えることも多いです。

実際に私が直接お話しさせていただくことで、エージェント経由では見つからなかった上級エンジニアのポジションを、1分の1で決められたこともあります。あれは嬉しかったですね。

いまは転職意思がなくとも、まずは一度「会う」ことが大切

岡本 人材データベースは日々更新しているのですが、過去アプローチした方に再度コンタクトをすることもよくあります。

実際にあった話ですと、昨年の秋にお会いした方で、そのときは「転職意思はゼロです」と言われまして。ただ本当にMSのテクノロジー「ど真ん中」の方だったので、「今後とも情報共有していきましょう」と。その方が、ちょうどいま選考に進んでいるんですよ。

こういったことがあると、やはり「一度、直接お会いすること」の重要性を感じますね。お会いしておくと、ご自身のタイミングが来たときに連絡をいただけるんですよ。

特に弊社が求めているような人材ですと、「自分がやりたいことを明確にして、自分で会社を見に行く」という姿勢の方が多いことも、理由のひとつかなと思います。

スカウトメールは「ピンポイントに見極めて」返信率40%超

岡本 採用ツールには様々なものを使っていますが、その中でもLinkedInの良さは、基本はピンポイントで当たれるということですね。スキルセットやポジションから、欲しい人材をIDではなく実名で探せて、直接コンタクトできる。

スカウトメールは、何通送るか、ということより、どれだけピンポイントに見つけて送るか、ということが大事だと思います。きちんとお互いにマッチングしているか、ということの見極めですね。これまでやってきてわかったことですが、やみくもにリーチ数を増やしても結果は出ません。

そこをしっかりしているおかげか、LinkedIn経由でメッセージを送った場合の返信率は非常に高いです。私個人で言いますと、4割ほどでしょうか

▼ LinkedInにおける、Microsoftの求人ページ

LinkedIn Microsoft 求人

私自身も経験しているのですが、企業から直接メールをもらうと嬉しいですよね。エージェントさんからのメールはどうしても「ビジネス」を感じさせる一方で、私たちは純粋に、「まずは会いたい」と思ってメールしている。その思いがしっかり伝わるのは、やはり良いことかなと思います。

普久原 弊社が以前に採用で抱えていた課題としては、「他力本願的な部分」があったことなんですね。いわゆるエージェントさん頼みと言いますか…。でも「このポジション、ずっと空いているんですけど、エージェントさん頑張ってくださいよ」って言うなんて、本当はおかしいじゃないですか。

エージェントさんと毎週お会いして、しっかりとコミュニケーションを取りながら人材を見つける方法もあるかとは思います。ただ、自分たちの仲間を自分たちで探さないでどうするんだと。

候補者の方も直接リーチされたほうが嬉しいと思いますし、我々としても、自分たちの課題感や温度感、そして熱意を正確に伝えることができますよね。

なぜ日本企業は、ダイレクトリクルーティングで成果が出ないのか

普久原 日本でも最近は、Wantedly、ビズリーチ、キャリアトレックなど、ダイレクトリクルーティングのソリューションも増えてきましたね。

その中で、あくまでもLinkedInはひとつのツールとして捉えています。とはいえ、世界中で誰もが使っている、コモンツールです。それを使わないということは、あり得ないですね。

ただそもそも、欲しい人材にリーチするために、ツールは必須ではありません。業界に常にアンテナを張っていれば、「この記事に出ている人、いい話しているな。来て欲しいな」と思ったら、その記事からでもコンタクトできる。そういった情報は、実は世の中に溢れているわけなんですよ。

Microsoft 普久原 朝親さん 岡本 貴大さん

日本人はそもそも何かと「待ち」なので、海外のようにダイレクトリクルーティングがワークしていない部分はありますね。ただ、日本の企業がダイレクトリクルーティングに消極的なのは、単に「すぐに成果が出ないから、続かない」からではないかと思います

皆さん、LinkedInを使って人を検索する、くらいまではされると思うんですね。そこで良さそうな人が見つかっても、そこからどうしていいのかわからない、という方が多いのかなと。LinkedInを「使ってみて」終わってしまう。

そこで次アクションとしては、良さそうな方にメールでコンタクトして、自社の魅力をお伝えして、できればお会いさせていただいて…それをただ、地道にやるだけなんですよ。本当に地道なんです。

ですから、私のようなリクルーターが、それを毎日続けられるかというと、できません。そこを会社がコストを割いて、専任のチームを作るという決定ができるか、がカギだと思います。

弊社の場合はそのチームに8名がいるわけですが、投資対効果は素晴らしいですし、今後もチームを拡大していきます。その意思決定ができるか、そして地道に続けることができるか。そこが、非常に大切だと思いますね。(了)

LinkedInの使い方を解説した記事はこちらです

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