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2021年に向けて!withコロナを生き抜く「ビジネスの実践知」を総まとめ【事例9選】

みなさま、こんにちは! 今年も残すところあと数日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

SELECKでは毎年この時期に、その年の「ビジネストレンド」をまとめた記事を出しています。

昨年はこちら:HRBP、CX、Twitterマーケetc…2019年の「ビジネストレンド」を総まとめ!【7選】

2020年は全部で90本の記事を公開したのですが、改めて振り返ってみると、本当に激動の1年だったなと(笑)。

外部環境や働き方が大きく変化するなかで生じた課題に対し、新たな「実践知」がたくさん生まれた年だったなと思います。またそこには、withコロナ時代を乗り越えるためのヒントが詰まっていると感じました。

そこで今回は、組織づくり、マーケティング、プロダクト開発、デジタルシフトetc…2021年にも役立つ事例を厳選して、お届けさせていただきます!

<今回ご紹介するテーマ>

  1. リモートコミュニケーション
  2. ウェビナー
  3. デジタルトランスフォーメーション(DX)
  4. フルリモートのプロダクト開発
  5. オンライン採用・オンボーディング
  6. リモートマネジメント

※本記事でご紹介する事例は、取材時点での情報となります。

1. 目的と性質から「リモートコミュニケーション」を設計する

はじめに、すべての仕事の土台となる「コミュニケーション」について。その完全なオンラインシフトは、誰しもが課題に感じた部分ではないでしょうか。

SELECKでは、以前からフルリモートで組織運営をされているoverflow社に「リモートコミュニケーション」について取材しました。

同社では、テレワークで失われがちは「偶発」のコミュニケーションを意図的に設計しているといいます。そこで大切にしているのが、「ラポール形成」という思想です。

そこで僕が大切にしているのが、「ラポール形成」という思想です。個の存在をお互いに認め合うことでより強い絆が生まれ、特に逆境の時、エネルギーに直結すると思っています。

例えば入社時には、全メンバーが自己紹介を書くようにしています。自分を象徴する写真を2、3枚貼ったり、好きなことや得意なこと、ペットの話などパーソナルな内容を書いてもらうことで、相互理解のきっかけになっていますね。

記事はこちら:3年で270名に拡大!全社フルリモートでも「情報格差」を生まない組織の運営法

※ラポール形成について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。

また同社では、フルリモートでも情報格差を生まないよう「テキストコミュニケーション」と「ドキュメント文化」を徹底しているそうです。

一方、目的に応じて「オンライン・オフライン」「フォーマル・インフォーマル」の手段を使い分け、コミュニケーション施策を実行しているのが、ヒトカラメディア社です。

▼同社のコミュニケーション施策マップ

私が大切にしているのは、「いま解決すべき問題はなにか」という目的に応じて、適切なコミュニケーション手段を考えるということです。

ひとつは、オンラインとオフラインの使い分けです。たとえばナレッジ共有は、ただ共有するだけならばオンラインでも十分できますが、そこからメンバーの主体的な参加を促し、議論を深めるまで行うのであればオフラインの方が適していると思います。(中略)

もうひとつは、フォーマル・インフォーマルの使い分けです。事業活動の足腰を強くすることが目的であれば、できるだけ参加をマストにしたフォーマルな場を設定し、その内容も事業活動に直結するものを企画します。

記事はこちら:リモートワークによって「閉じた」関係をひらく。4象限のコミュニケーション施策とは

どの施策を行うにしても、「なぜやるのか」を明確に伝え、理解してもらうことが重要とのことでした。目的に応じて、それぞれの特性を加味してコミュニケーション手段を使い分けることが大切ですね。

以下のイベントレポートでも、リモートコミュニケーションについて触れていますので、ぜひご参考ください。

記事はこちら:なぜ「雑談」が大事なの? フルリモート経営のプロ3人が語る、組織マネジメントの極意

2. マーケティングは「ウェビナー」へ。差別化するためのコツは?

次は、マーケティングです。コロナ禍で大きな変化として感じたのが「ウェビナー」の活性化。

ウェビナーは場所を選ばず参加しやすかったり、主催側も会場設営などの準備の手間が省けたりと、様々なメリットがあります。

一方で、ウェビナーが「飽和」状態にあるのも事実です。そんな中で、どのように他社と差別化し、事業の成果につなげられるかが一層難しくなっていると思います。

そこで参考になるのが、FORCAS社の事例です。今年の3月からセミナーをオンラインシフトした同社では、なんとオフライン時の10倍のリードと商談数を獲得。

その企画〜商談化に至るまでの秘訣を、詳しく教えていだきました。

一方で、変えたのは「時間軸の概念」ですね。今までは「いつ聞いても価値がある」ようなストック情報を軸にコンテンツを企画していました。例えば、マーケティングオートメーションの実践法といったものですね。

それを「今、聞く価値がある」ようなフロー情報に変えたんです。というのも、多くのウェビナーが開催されている中では、「いつでも聞ける=今、聞かなくてもいい」となって優先順位が劣後してしまいます。

そこで選んでもらうためには「why now」を軸にして、相手が「今、知りたいこと」を伝えるコンテンツが大切だと考えています。

記事はこちら:「オフラインの10倍」リードを獲得するウェビナーの秘訣。企画〜商談化のすべてを公開

また同社では、ウェビナーから生まれたオンラインコミュニティを運営することで、ウェビナー前後のコミュニケーションも活発に行われているとのこと。

※詳しくは、同社のマーケティングを統括する酒井さんのnoteをご覧ください。

ウェビナーやオンラインイベントのTipsについては、以下の記事でもまとめておりますので、ぜひご参考ください。

記事はこちら:【5社に緊急取材】オンラインイベント・ウェビナーを成功させる!各社のノウハウ大公開

3. 「DX(デジタルトランスフォーメーション)」による生存戦略

新型コロナウイルスは、さまざまな産業に影響を与えました。特にレガシー産業にとっては、デジタルシフトが迫られる1年になったと思います。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が流行ワードにもなっていましたが、実際にそれを推進していくのは至難の技。

そこで参考になるのが、京都市観光協会の事例です。同協会では、観光のデジタルシフトを支援するため、事業者さんのITリテラシーや支援ニーズに違いがあることを考慮して、相手に合わせた手段によるアプローチを図ったといいます。

ただ、一口に「事業者」と言っても、アナログな事業に従事している方もいれば、ITを活用した事業をされている方もいて、デジタルへの親しみ度合いが全然違ったんですね。

そこで、事業者それぞれのITリテラシーに合わせて、異なる手段でアプローチしていきました。

まず、デジタルに慣れていない方々に向けて「デジタルお悩み相談所」を開設しました。これは、デジタルの導入やさらなる活用を希望する事業者と、そのサービスや知見を有する事業者をマッチングするサービスです。

記事はこちら:1,500事業者の「観光のデジタル化」を推進!逆境に負けない、京都市観光協会の挑戦

また、今後も「新しい観光スタイル」として、動画の活用やSNSを通じたファンとのコミュニティがより重要になってくる、と考えているとのことでした。

DXの基本概念や、DXに成功した企業の事例については、以下の記事もぜひご参考ください。

記事はこちら:【徹底解説】「DX = IT化」と思っていませんか? 基本・成功のポイント・事例を紹介

4. プロダクト開発もフルリモートで! 大規模プロジェクトを完遂

続いては、フルリモート環境下でのプロダクト開発

密なコミュニケーションを要する大規模プロジェクトにおいて、どのような工夫をすればフルリモートでも円滑に進むのか。

そのヒントとなる事例を、ストアーズ・ドット・ジェーピー社にお伺いしました。

同社では、デイリー単位の開発デザイン定例や、新しいメンバーに向けた「入隊キット」の作成、音声チャットツールを活用したQAなどを実行。

様々な工夫によりコミュニケーションの量と質の低下を防いだことで、97画面にも及ぶデザインのフルリニューアルを無事に完遂することができたといいます。

▼フルリモートでリニューアルした、STORESの新ダッシュボード画面

最初のQAで200くらいのイシューが上がって来た時は、本当に終わるかな…と心配になりましたが(笑)、デイリー単位でエンジニアとデザイナーが集まる「昼会」を設けていたことが重要なポイントだったと思います。

ここで積極的にデザイナーと優先度づけを相談して、リリースに向けて必要な部分を明確にし、お互いの調整ができたのはめちゃくちゃ良かったですね。昼会は30分を基本にしていましたが、確認事項が多いときは1時間くらいかけていました。

全員集まるのでかなりのコストにはなりますが、これがウィークリーになると、細かい部分になかなか口が出しづらくなると思っていて。すると結局、どこかで上手くいかなくなるので、いま振り返ってみてもかけるべきコストだったと思います。

記事はこちら:フルリモートでフルリニューアル!STORES、6ヶ月にわたる大規模プロジェクトの軌跡

同社のように、業務のコミュニケーションを円滑にするため、DiscordやTandemといった音声チャットツールを活用するのもおすすめです。

5. オンライン採用は「非言語」を活用。オンボーディングの工夫も

採用やオンボーディングもオンラインに移行したことで、様々な工夫がありました。

オンライン面接だと見極めが難しい…といった声もあるなかで、グッドパッチ社では、面談・面接において3つのことを意識しているといいます。

まずは会社の雰囲気を知ってもらうために、Zoomのバーチャル背景をオフィス風景や会社を象徴するような画像に設定することです。これを設定することで、「会社の雰囲気がよく伝わりました」という候補者の声もあるとのこと。

そして2つ目は「話の内容に応じてカメラに近づくなどの『動き』に抑揚をつけて、非言語を活用する」ことです。

目線合わせや身振り手振りなどが伝わりづらいオンライン面談では、画面に近く、離れる、の動作を繰り返すことで、相手に「傾聴されている」と感じてもらうことができるといいます。

そして3つ目は、あえて質問数を少なくし、深掘りする質問に注力すること。PC越しでは、候補者が準備しやすく、リラックスした環境で話せるため、より一層相手の本質に触れるような問いかけをこちらから積極的に行う必要があります。

記事はこちら:4社の「オンライン採用」の極意を大公開!非対面ならではの見極め × 惹きつけの方法

また、入社後のオンボーディングに関しても、課題を感じている企業は多いのではないでしょうか。

新しいメンバーが早期に立ち上がるために、リモートではより一層、「どこにどのような情報があるか」「わからないことを誰に聞けばよいか」がわかる環境づくりが重要になります。

そうした課題に対し、10X社では、ドキュメントツールのNotionで「情報の地図」を用意することで情報共有を円滑にしているといいます。

▼同社の「情報の地図」(一部)

弊社では「Notion」というドキュメント管理ツールを活用しているのですが、最初に「情報の地図」にあたるドキュメントがあるんですね。10Xにジョインしたら、まず読んでもらうものになります。

ここには、我々はどういう状態を達成したいか、どの情報がどこに置かれているか、どんなメンバーがいてそれぞれ何に詳しいのか、情報をどう取り扱うか、などが記載されています。

これを参照すれば、何かをするときにどこに必要な情報があるかがわかりますし、もしわからなくても誰に聞けばよさそうかの検討がつくので、オンボーディングのコストは小さくなっていますね。

記事はこちら:神は「順序」に宿る。10Xの、バリューを軸に組織のスループットを最大化する方法

また同社では、「インターナルコミュニケーションの最大化」を目的とした、週1回のオフィスデーを設けているそうです。こうしたハイブリッド型の働き方は、2021年も増えていきそうですね。

リモート・オンボーディングの工夫は、以下の記事にもまとめていますので、併せてご参考ください。

記事はこちら:リモートで新入社員をどう受け入れる? 7社の「オンボーディング・ハック術」を公開!

6. 見えない環境下で「リモートマネジメント」をいかに機能させるか

最後にご紹介するのは、リモートでの「マネジメント」です。

メンバーの様子がよくわからない、評価しようと思っても行動が見えなくて難しい…といったマネジメント課題は、リモートが長期化するにつれ深刻さを増しているように思います。

そんな課題に対するひとつの解決手段として、有用なのが「1on1」です。

信頼関係をつくる上では「雑談」が大事ですが、目標達成を支援するには、1on1にコーチングの手法を取り入れてみてもよいかもしれません。

Sansan社で社内コーチをされている三橋さんによれば、オンラインコーチングも、工夫次第で対面と同じ効果が得られるといいます。

僕はコーチングをする際、よく2つの物体を使って、自分と相手との「関係性」を表してもらうことがあるんですね。喫茶店であれば、ミルクとガムシロップでできますし、定食屋であれば塩とコショウでできます。

「ミルクが『あなた』でガムシロップが『相手』だとすると、いまはどんな向きでどんな距離関係ですか?」と問いかけるんです。

こうした物理的なものを媒介することによって、ただ考え込むよりも相手との関係性を自ら俯瞰しやすくなります。

これをオンラインで行うのであれば、たとえば両手を使って「右手のパーが『あなた』、左手のグーが『相手』」で同じことが表現できます。

記事はこちら:今、多くの人が「ロードリーム」に陥っている。Sansanのオンラインコーチング実践法

また、リモート環境下における人事評価について悩まれている方に参考になるのが、みんなのマーケット社の事例です。

同社では、従来のメンバーシップ型に加えて「ジョブ型」の雇用形態を新設し、かつジョブ型の評価制度では上長評価を廃止したといいます。

昨今の世の中の変化を鑑みると、今後は組織における「業務の設計者」と「実行者」の境界が明確になり、それぞれの役割に磨きをかけることを求められるようになると考えたんですね。

そこで、よりよいサービスを、スピード感をもって実現していくための組織体制として、今年の7月にメンバーシップ型・ジョブ型制度を自社にローカライズして導入しました。

記事はこちら:「馴れ合い」はご法度。同僚と評価し合う「ジョブ型」雇用で、組織の連携を生む秘訣

また、同僚同士で評価をし合う「チーム間評価」「個人間評価」といった仕組みを導入することで、リモート環境下でも「他のメンバーが何をしているかわからない」といった課題が生じにくいそうです。

リモートマネジメントの手法については、以下の記事もぜひご参考ください。

記事はこちら:優秀な人材の離職を防ぐ!「テレワーク・マネジメント」5つのコツを紹介【事例8社】

おわりに

いかがでしたでしょうか。振り返ってみると、コロナ禍でネガティブな影響を受けた側面もあった一方で、それを乗り越えるための新しい工夫が生まれたり、一気にデジタルシフトが進んだ1年だったなと感じます。

第3波が押し寄せている状況下、2021年も引き続き、様々な制約があるなかでの事業活動になると思います。こうした先進的な取り組みを参考にしつつ、ぜひ来年に活かしていただけますと幸いです。

本年も、SELECKをご愛読いただき、誠にありがとうございました。引き続き、仕事に役立つ事例を届けていきますので、2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

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