【徹底解説】「DX = IT化」と思っていませんか? 基本・成功のポイント・事例を紹介

最近、インターネットや書籍などで「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を頻繁に見かけるようになりました。

DXとは、一言でいうと「企業がデータやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法を抜本的に変えること」です。しかし、DXで成果を上げている企業は、世界でもわずか5%とされているのが現状です。

DXの概念はなんとなくわかるけれど、「今までのIT活用と何が違うの?」「なぜ今、日本でDXが推し進められているの?」という疑問をもたれている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「『DX』って何?」という疑問にお答えするべく、DXの定義から、DXを進めるために意識すべきポイント、3社の具体的な実践例までをご紹介いたします。

<目次>

  • なぜ今、DXが注目されているのか?
  • DXの定義は、文脈によって変化する?
  • DX化に成功している企業に共通する「5つの特徴」
  • 「ポストデジタル時代」のDXとは
  • 【3社事例】DXでレガシー産業からの脱却に成功

 

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なぜ今、DXが注目されているのか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、経済産業省(以下、経産省)が発表した「DX推進ガイドライン Ver.1.0(平成30年12月)」によると、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

言い換えると、DXは「ITの活用を通じて、ビジネスモデルや組織を変革すること」を意味します。その目的は「企業の競争優位性を確立すること」です。

つまり「IT化」と「DX」の違いは、前者が業務効率化などを「目的」として、情報化やデジタル化を進めるものだったのに対し、後者はそれを「手段」として、変革を進める、ということです。

ではなぜ、今、日本の企業はさらなる「DX」の必要性に迫られているのでしょうか?

経産省の報告によれば、今のままでは「IT人材の不足」と「古い基幹システム」の2つが障害となり、2025年から2030年までの間に、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある、といいます。

反対に、今DXを推進することができれば、2030年の実質GDPにおいて130兆円の押上げを期待できるとされています。

少子高齢化によって労働人口が減少しつつある日本では、海外市場も視野に入れ、ビジネスモデルの変革や不足しているIT人材の穴埋めを行わなければ、どんどん競争力が縮小していってしまいます。

日本の国力低下を招かないためには、こうした外部環境の変化に応じて、DXを通じて企業が変わっていく必要があるのです。

DXの定義は、文脈によって変化する?

DXは、どの文脈で語られているかによって、その定義が異なります。DXという言葉の意味が曖昧なのは、この文脈の違いによるものではないでしょうか。

(参考:デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 起源・歴史・組織・成功率など

まず、最も広義のDXを意味するのが、社会的文脈でのDXです。2004年にスウェーデンの大学教授が提唱した「ITが社会全体・人類全体にどのような影響をもたらすか」という概念が、これにあたります。

そして2つ目は、ビジネスの文脈で語られるDXです。ここでは、外部環境のデジタル化を機会と捉え、デジタルテクノロジーを推進し、変化に対応するという意味で使われています。「0→1」を志向したDXです。

最後は、経産省が唱えているDXです。主に、IT活用を妨げる既存システム・組織体制を包括的に変化させるという意味で使われています。マイナスをプラスに転じ、「日本のDXの遅れを取り戻そう!」というメッセージが込められていると思われます。

DX化に成功している企業に共通する「5つの特徴」

(参考:デジタルトランスフォーメーションへの3ステップ

実際にDXを実行すると言っても、IT化を促進し、経営戦略を変えるだけではなかなか前に進みません。改革を進めたい経営者と、現場の意識に乖離が生じ、進展しないことも多くあるといいます。

では、DXに成功している企業はどのような特徴があるのでしょうか? マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査によると、5つの共通点があるといいます。

  1. デジタルに精通している適任のリーダーを、各部署に配置している
  2. 将来の労働力の変化を見据えて、全体的な組織能力を向上させている
  3. 新しい働き方を導入し、従業員の生産性を向上させている
  4. 日々デジタルツールを導入するなどして、社内をアップグレードし続けている
  5. 新しいデジタルシステムをむやみに導入せず、旧システムも見直しながら、徐々に新体制へと移行させている

DXは、既存の個別領域をデジタルに適用させ、組織を変革し、新しい事業モデルへと転換していく必要があります。こうしたステップを踏みながら実行するため、その実現には時間がかかります。

そこで企業に求められるのは、長期的な視線をもち、国内外にアンテナを張りながら、リソースを的確に割り当てる意思決定を迅速に行うことではないでしょうか。

その上で、データを上手く活用しながら既存ビジネスの変革を行い、新規事業を創出するなどして、国際競争力を高めていくことが重要です。

「ポストデジタル時代」のDX

世界的に多くの企業がデジタル化を進めてきた結果、日常生活にもデジタルが浸透し、場所に囚われずに買い物をしたり、友人や家族と会話することが可能になりました。

このようにDXをすることが「当たり前」となり、ビジネスにおける他社との差別化要因にならない世界のことを「ポストデジタル時代」と呼びます。

ではDXを前提とした、ポストデジタル時代において、企業は何を指針にしていくべきなのでしょうか。日本最大のコンサルティングファームであるアクセンチュア社が掲げているポイントを参考に、ここでは3つのポイントをご紹介します。

  1. 「やるべきこと」に集中する

絶えず変化し続ける社会においては、企業にとって手に余るほどの機会がもたらされます。そうした状況では「できること」ではなく、「やるべきこと」に集中していく必要があり、ターゲットとなる機会とそうでない機会を見極める必要があります。

2. 自社の存在意義を明確にする

DXは決して企業が単独で進めていけるものではありません。連携するべきパートナーや自社が占めるポジションを見定める必要があります。そのためにも、自社の存在意義とは何か? 顧客に提供できる価値は何か? を明確にしておくことが大切です。

3. 次の目標に向かうためにSMAC(※)を使いこなす

「DARQ(※)」が多くの企業に影響を与えている中で、SMACの基盤なしではポストデジタル時代に生み出されるチャンスの多くを逃してしまう可能性があります。長期的に見れば、昨今のDXもあくまでも「手段」でしかなく、世界のビジネス市場で戦っていくことを「目的」として認識しておかなければなりません。

※SMAC…ソーシャルサービス・モバイル・アナリティクス・クラウド
※DARQ…分散型台帳技術(Distributed Ledgers)・人工知能(Artificial Intelligence)・拡張現実(Extended Reality)・量子コンピューティング(Quantum Computing)

【3社事例】DXでレガシー産業からの脱却に成功

では最後に、DX化を実践するための参考として、3社の取り組みをご紹介します。今回は、「レガシー産業におけるDX化」に焦点を当ててご紹介いたします。

1. あらゆる領域をDX化した老舗の看板屋 / クレストホールディングス株式会社

1983年に看板屋として創業した株式会社クレスト(現:クレストホールディングス)では、レガシーな看板事業を「花形」の成長事業に変革するために、あらゆる領域でDX化を行いました。

具体的には、「事業や組織のデジタルトランスフォーメーション」による生産性向上を行った上で、「レガシーアセット ✕ IT」によるイノベーションを起こしたといいます。

まず社内の生産性向上のために、営業面では商談管理や請求データの連携、営業同士の情報共有のためにSalesforceを導入するなどし、体制を構築。

さらに、マーケティングや会計、HRなど様々な領域にITツールを導入し、徹底的に効率化を図ったそうです。

こうした一連の施策によって土台を作ったあとは、目標管理の仕組みや評価制度を整え、「経営理念」と「ミッション・ビジョン・バリュー」も改めて策定し、組織改革に臨んだといいます。

その結果、看板事業としては国内トップシェアへの企業へと成長させると共に、事業譲渡やM&Aにより、他3つの事業会社でも同様の変革を成功させたそうです。

▶︎記事はこちら:レガシー産業からの脱却。老舗の看板屋がおよそ「5年で売上3倍」を実現した改革の全貌

2. 借金10億円からのV字回復を遂げた老舗旅館 / 株式会社陣屋

大正七年に創業した、神奈川県 鶴巻温泉の老舗旅館である「元湯 陣屋」(以下、陣屋)。

同旅館は昔ながらの分業体制で、勘と経験頼みの経営を行っていたところ、2008年には廃業寸前にまで追い込まれてしまったといいます。

そこで、2009年からクラウドCRMツールのSalesforceを導入。様々な分野のIT化を進めながら経営改革を実行し、見事にV字回復し売り上げ2倍を実現させました。

IT化は予約だけではなく、ワークフロー全てに適用し、予約から接客、清掃や調理場といった各業務すべてをSalesforce上で連携させたといいます。

さらに、データ化によって利益率を上昇させ、先行きの見通しも立てられるようになったことから、従業員の休日を増やし、結果として離職率低下にも繋がりました。

▶︎記事はこちら:ITの力で老舗旅館が再生!売上2倍を実現した、Salesforceの活用と働き方改革とは

3. DXでリピーター件数を180%増にした不動産屋 / 株式会社登喜和

創業50年を越える「街の不動産屋さん」(※)である株式会社登喜和(ときわ)。2013年からSalesforceを導入し、全社員が顧客管理を行うことで、成約率とリピート率を向上させたといいます。

※不動産流通仲介・賃貸管理業を対象

Salesforceで顧客情報を管理するだけではなく、ヒアリングを通じてお客様の頭の中にある「暗黙知」を見える化し、データを活用しているといいます。

データの活用が可能になったことから、顧客の真意を突くことができたり、家主側の「商品づくり」に活かすことができるようになったそうです。

さらに、顧客管理の徹底によって「住み替え」「住む続け」「家族、友人などへの紹介」といった形で、契約後も長期的な関係が築けているといいます。

▶︎記事はこちら:生涯リピート率100%を目指す!「街の不動産屋さん」のSalesforce活用術

以上、DX化の必要性や実行する上でのポイントなどをお伝えいたしましたが、いかがでしたでしょうか。

DX化はテクノロジーの導入だけではなく、経営方針やビジネスモデル、組織形態そのものを見つめ直す必要があります。そのためにも、場しのぎ的なDXではなく、「鳥の目」をもって自社に合ったDXを推進していくことが重要です。

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