• 株式会社登喜和
  • 代表取締役
  • 原英晴

生涯リピート率100%を目指す!「街の不動産屋さん」のSalesforce活用術

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〜「部屋探しにおける見えにくい志向性の分析」「家系図・紹介相関図の把握によるリピート率の向上」など、Salesforceをフル活用して成果をあげているユニークなCRM活用事例〜

顧客との長期的な関係づくりや、営業活動の効率化を目的に、SFA・CRMツールを導入する企業が増えている。

しかし、導入した後の「定着」や「活用」に苦労する場合も多い。

そんな中、埼玉県で不動産流通仲介・賃貸管理業を営む株式会社登喜和(ときわ)では、パートスタッフを含めた21名の全従業員が、「Salesforce(セールスフォース)」をライフラインのごとく活用して営業活動を行っている。

その結果、導入前と比較して、リピーター反響件数が180%増加するといった成果をあげ、取り組みへの自信と手ごたえを感じているそうだ。

今回は同社で代表を務める原 英晴さんに、そのSalesforce活用法についてお話を伺った。

顧客からの問い合わせ情報を、Salesforceで一元管理

弊社は来年には創業50年を迎える「街の不動産屋さん」(※)です。パートを含めた21名で、2つの店舗と、昨年新設したリノベーション・ショールームを運営しています。

※不動産流通仲介・賃貸管理業を対象

そして、2013年から導入し始めたSalesforceを全員が活用し、顧客管理を行うことで、成約率とその後のリピート率を向上させる取り組みを行っています。

▼同社でのSalesfroce活用の全体像イメージ

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まず、弊社とお客様の最初の接点となるのが「問い合わせ」です。

弊社では、全ての問い合わせ情報をSalesforce上で一元管理すると共に、過去に接点があった既存顧客との重複チェックも欠かさず行っています。

賃貸でも購入でも、物件を探す時って、色々なサイトから問い合わせをすることが多いと思います。ただ、その物件を扱っている不動産屋がどこかって、あまり考えていないですよね。

なので、「半月前にSUUMOさん経由でお問い合わせがあったAさんから、今日はHOME'Sさん経由で問い合わせがあった」というケースも少なくありません。

▼問い合わせ情報が全てSalesforce上で管理されている

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そういった重複確認(名寄せチェック)だけではなく、過去にお電話をいただいていたり、ご来店されている形跡があれば、希望予算や間取り、家族構成など、「当時」の反響で取得・ヒヤリングした情報を「今に」活かすことができます。

アンケート結果を鵜呑みにせず、対話から顧客の本当の要望を抽出

また、ご来店時の成約率を向上させるためにもSalesforceを活用しています。

不動産屋さんにいくと、店頭でまずアンケートを書きますよね。ただ、たいていのアンケートは、住宅設備などのスペックを重視した内容なので、なかなかその要望に対して100点満点の物件が見つからないのが実状です。

極端な例ですが、自分が住みたいエリアがあって、絶対にオートロックは欲しいとするじゃないですか。けれど、該当する物件が仮に1軒だとしたら、その1軒に住める確率ってものすごく低いわけです。

このようにスペックだけで選ぶとなると、「希望に叶う住みたい物件がない」という結果に陥ります。そして、営業マンが一生懸命に物件を選んでも「提案力がない」という不満を生んでしまうんですよね。

ですので、そのエリアの物件の供給量とお客様のニーズを照らし合わせて、客観的・論理的な説明をする必要があります。

私たちがすべき営業は、お客様の「問題解決」であり、そのためには、お客様自身のお考えを導き出して、見える化する仕掛けが必要です。

ただ、アンケート結果とお客様の本当の要望は違うということがよくあり、アンケートだけでは、お客様の真意が見えてきません。

例えば、アンケートで、防犯カメラやオートロックのある物件をご希望いただいたとします。ですが、お客様が求められているのは「防犯カメラ」や「オートロック」といったモノ自体ではなく、あくまで、安心して生活のできるセキュリティの担保です。

であれば、「家賃予算を上げましょう」といったありがちな営業ではなく、「防犯カメラ」や「オートロック」が無くとも、「ここの近隣は常に人通りがある」「2階以上の部屋」といった条件を持つ物件を提案することができます。

このように、お客様の真意を踏まえたご提案をすべく、アンケートに加えて、営業がヒヤリングを通して、改めて「プライバシー」「居住快適性」といった指標に定量的な重み付けをしていくんです。

そして、両方のスコアを見比べて、「実はお客様は、こういうものに重きを置いたお部屋探しをされているんですよね?」という風に提案をします。

▼アンケートとヒヤリングを通して、志向性をチャート化

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こうして、デジタル・アナログ双方の情報を踏まえて提案を行うことで、お客様の頭の中にある「暗黙知」を「見える化」し、Webサイト上での機械的な検索だけでは見つけづらい物件の提案を実現しています。

また、当然これらのデータもSalesforce上で蓄積しますので、次回の提案時にも活用することができます。

さらに、どのような物件の需要が高いのか? という市場動向やニーズを家主さん側にも提供することで、お客様アンケートの結果を「商品づくり」に活かすこともできます。

家系図をデータとして活用し、親族内でのリピートも促進

また、弊社では「生涯リピート率100%」を一番の会社目標として掲げております。

具体的には「お客様ご本人の再利用(住み替え)」「契約更新(住み続け)」「家族、友人などへの紹介」という形で、ご契約後に、いかにしてお客様と長期的な関係を築くかを重視しています。

特に、この業界は人と人との繋がりまでを含めた「個客」管理がビジネスの根幹となります。そのため、ご契約いただいているお客様のご家族構成や、紹介相関図をSalesforce上に登録しています。

▼個客情報を管理する取引先個客ポータル

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▼家系図・紹介相関図を図式化

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お取引が始まったタイミングでは、弊社と直接的に関係を持っているのは、ご契約をされた本人だけです。ただ、例えば、ご相続が発生した場合に、家族の関係を把握していると役に立つんですね。

こういった人間関係の情報や知識を属人化させず、暗黙知を共有する仕組み作りにも、Salesforceは役立っています。

特に我々は地場産業ですので、ここをきちんと正確に抑えない限り、狭い商圏で大手とは戦えないと思っています。

「生涯リピート率100%」実現のために、ポータルの運営も視野に

さらに今年の11月から、より顧客のロイヤルティを高めるための施策として、「Salesforce Community Cloud(コミュニティクラウド)」を活用したお客様へのポータルサイトの提供もスタートします。

▼Salesforce Community Cloudを活用したポータルサイト

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弊社では、お客様に家賃ポイントを付与させていただいており、次に弊社を利用いただく際に、費用面でお客様に還元をさせていただいています。そうすると、次も弊社をご利用いただきやすくなりますよね。

▼顧客ごとの入居期間や利用可能なポイントが自動生成、管理されている

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ただ、こういった取り組みをしても、「今何ポイント貯まっているから、次の引っ越しの際にお得になる」という情報をお客様にご認識いただくことが難しいんです。

ご契約時に説明して、その後、定期的に会員向けメルマガを送っていても、なかなか気づいてもらえないのが実状です。

そこで、お客様の持つ属性や契約情報、ポイント情報といったデータを、せっかくSalesforce上で持っているので、それをお客様が自ら確認できるような顧客体験を提供したかったんです。

他にも、ロイヤルティを高めるために、ポータル上でその地域ゆえの生活情報や防犯情報などを発信していきます。

あるいは、「駐輪場の整備をします」「共用部の一斉クリーニングをかけます」といったメンテナンスをする際も、書面ではなく、Community Cloudを通して通知しようと考えています。

定着のコツは、現場の小さな課題解決を積み重ねること

Salesforceのようなツールを活用する際は、どのようにして現場に定着させるか? という点が重要です。これは永遠のテーマかもしれません。

弊社の場合、私自身も現場のいちスタッフとして苦労をしましたし、あるいは社員が苦労しているのを常に見てきました。

そのため、「それらの苦労を解決するために、どのようにSalesforceを活用できるか?」という現場の視点を持って導入を進めていきました。

例えば、賃貸管理業では、「家賃を回収してオーナーさんに送金する」とうようなお金の処理をする際に、どうしても基幹システムを使う必要があるんです。

その際、以前はそのデータを複数のCSVに落として、Excelで結合し編集、精算処理するというようなことをやっていて、とても時間がかかっていました。

それをSalesforce上でデータを取込み、業務処理を進めるようにした結果、この業務に要する時間が約5分の1に改善されました。

▼Salesforce上で家賃控除の精算処理を行っている様子

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また、家主様へのリフォーム・リノベーションといった案件情報や、どのクレームで発生した工事の負担費用なのかなど、基幹システムでは成し得ないプラスαの情報管理を行うことができ、これが「生きた情報資産」になっています。

さらに、手作業だとミスが起こってしまいがちなことも、正確に実行できるという安心感もありますね。

このように、現場で苦労している業務を効率化する仕組みをSalesforce上で作ってあげることで、少しずつ「Salesforceいいな」「自分の仕事に活きている」という風に感じてもらうことが大切だと思います。

他にも、今ではなくてはならないものになっているが、「Chatter(チャター)」を活用した社内のコミュニケーションです。

▼Chatterをカスタマイズし、グループトークをボード化

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@メンションされた個人宛てメッセージが未読の場合、それを自動感知して防止する機能「Chatter @Clip」(※)や、トークグループを並列配置させ、一目で各グループの情報を把握できる機能「Chatter Grid」(※)などを活用しています。

※「Chatter @Clip」「Chatter Grid」は自社開発機能

弊社においては、電気や水道のように、なくてはならない重要なライフラインとなっており、ChatterはSalesforceの価値をさらに高める重要なツールと考えています。

このように、顧客管理だけではなく、Salesforceを活用した社内の業務改善を積み重ねながら、よりお客様に満足いただけるようなご提案をしていくことができればと思います。(了)

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