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ITアレルギーも克服!新卒全員に「アプリ開発」までを研修で体験させる理由とは?

今回のソリューション:【TechAcademy/テックアカデミー】

〜 プログラミングスクール「TechAcademy」と協働し、新卒全員にビジネスを設計する力を高めるためのプログラミング研修を導入している事例 〜

職種を問わずITスキルの向上が叫ばれる中、企業はどのようにして社員のスキル向上を図っていくべきだろうか。

通販事業者向け後払い決済サービス「NP後払い」、法人向け決済サービス「FREX B2B後払い決済」などを提供する株式会社ネットプロテクションズ

同社の新卒向け「ビジネスアーキテクト研修」は、単にITスキルを身に付けるだけでなく、ビジネスの本質を捉え、ITを使いビジネスを設計する力を養成することを目的に新設されたものだ。

同研修の中には、オンラインプログラミングスクール「TechAcademy(テックアカデミー)」との協働によって作られた、プログラミング学習も含まれている。非エンジニアも含めて全員が、2週間で実際に使えるアプリを開発することで、「問題の本質を解き明かすこと」を学べるのだという。

今回は同社の新卒研修を設計した相澤 雄大さんと、その研修を実際に体験した、新卒入社の藤野 荘子さんに、詳しいお話を伺った。

サービス提供者は、非エンジニアでもITの知識が必要

相澤 私は新卒でITコンサルティング会社に入り、コンサルタントとして企画から保守まで一貫してプロジェクトに携わりました。そこで2年半ほど勤めた後、2011年にネットプロテクションズに転職しました。

現在は、ビジネス部門とIT部門の架け橋的な役割を担いながら、新規事業開発とサービスの内製化推進をミッションとして業務に取り組んでいます。

弊社の主力事業である「NP後払い」は、23,000店以上に導入していただいているサービスです。そして、クライアント様の課題を解決するためには、職種問わず基礎的なITの知識が必要になります。

例えば、弊社サービスを導入してもらうためには、クライアント様の運用を理解した上で提案することが重要になります。また、事業を作る上でも、事業フェーズと将来的な拡がりを考慮して「どこを自動化させるか」「どこまで汎用化させるか」など、ITの勘所を押さえることは必須となります。

このような背景から、弊社では「ビジネスアーキテクト研修」を新卒全員を対象に行なっています。「IT知識の習得」に重点をおきながらも、単にITの知識・スキルを身に付けるだけに留まらず、課題の本質を捉え、ITを使ってビジネスを設計する力を養うことを目的としました

ビジネス寄りの研修だけでは、技術トレンドに追いつけない…

相澤 実は昨年まで、研修コンテンツの大部分を外部にお願いしていました。プログラミング実習も研修内容に含まれてはいたものの、内容が比較的ビジネス寄りだったこともあり、技術的なトレンドに乗れていないところもありました。

そこで、今年からは技術トレンドを踏まえた上で、しっかりと自分の頭で考えてサービスを作るところまで取り組める研修を導入したいと考えました。ITを「課題解決のためのひとつの手段」として活用できるように、オンラインプログラミングスクールのTechAcademyさんと協働して研修メニューを組みました。

TechAcademy さんには、我々の想いを伝えた上で研修の企画段階から一緒に考えて頂き、「システムはなぜ動くのか?を捉えるためのIT基礎の習得」と「技術トレンドを踏まえた企画設計からの実践的なモノづくりの経験」をゴールとして、研修を実施して頂きました。

「オリジナルアプリ」の開発までを行う研修を実施

相澤 実際の研修は、6月前半から2週間半ほどかけて行いました。

▼実際の研修スケジュール

まずはオリエンテーションを行った後に、弊社にて「抽象化」「構造化」といった思考法を学ぶ「システム思考研修」を実施しました。システム思考は、ビジネスにおいても有用であるというメッセージを込めています。

その後は、TechAcademyさんに研修を行っていただきました。まず、2日間の「IT基礎研修」で、基礎的な知識を教えます。「ビジネスの要素も入れて欲しい」という弊社の要望も反映させてくれて、非常にクオリティは高かったと感じています。

具体的には、ゲーム形式によるアジャイル開発体験ワークや、その体験から得た気付きを踏まえてビジネスにどう活かすかの講義などを行っていただきました。基礎研修の後は、約1.5週間でHTML、CSS、Ruby on Railsについての実習を行いました。

プログラミング未経験者でも、「アプリ作成」を通した学びが

藤野 私は2016年4月に、新卒でネットプロテクションズに入社しました。IT未経験者だったので、研修は本当に大変でした(笑)。ただ、わからないところが出るたびに、講師の方や先輩社員と相談し、疑問を解消できましたね。そうすることで研修の終わりには、自作のアプリを作りきることができました。

研修では、個人でそれぞれ自由にアプリを作り、全社に向けてプレゼンテーションをしました。

最初にシステム思考研修を受けたときには、その内容をあまり理解できなかったのですが、「今は難しい内容かもしれないけれども、きっと研修が終わったあとにわかるから」と言われたんです。実際、研修が終わった後に復習してみると、内容がわかるようになっていました。

システム思考研修は、サービス作りだけでなく、実際のビジネスに活かせるものでした。

例えば、クライアント様の悩みを表面的に捉えて、ただITを使って解決するのではなく、クライアント様が何に悩んでいるのか、まずは具体的な事象を把握して、抽象化をするという思考方法は、問題の本質を解き明かすことにつながると理解しました。そして、その問題解決の手段としてITが必要であれば使いましょうと。

実際のアプリ開発を通して、「最初の研修で言っていたのは、きっとこういう事なんだろうな」ということがわかってきました。

ITアレルギーも克服!未経験者でも、アプリを開発できた

藤野 未経験者だったので、開発はとても大変でした。けれど結果的に、技術的な会話にもついていける下地を整えることができたと思います。

研修を追えて、現在はセールスグループに所属しています。クライアント様にシステムに関わることを説明することもありますし、セールスグループが使用するシステムの運用フローの構築もしています。

この研修を受けたおかげで、開発者と運用フローについて話すときも、ITに関する用語を聞いて、「ああ、もう何言ってるのかわかんない」となることも減り、ITアレルギーはなくなりましたね(笑)。

実務に入る前に、ITに対する抵抗感が払拭できたことは、とても大きかったなと日々感じています。新卒で、この研修を受けることができて本当に良かったです。

会社の未来を提案するグループワークで、先輩社員の想いも共有

相澤 アプリ開発と並行して、新卒のメンバーには「5年後のネットプロテクションズを想像し、未来のビジネスアーキテクトの在り方を提案する」というグループワークも進めてもらいました。これは、先輩社員が考えていることを新入社員に共有する良い機会となりました。

プレゼンテーションでは、現状を捉えた上で現場の期待を超えるような「イノベーティブな提案をする」ことが求められました。そのためには、どんどん社員にヒアリングして、まず現状把握から始めなければなりません。

ですが、現状を知れば知るほど、それを超える提案をすることが難しくなり、自分達の首を絞めていきます(笑)。正直、少しエッジが効き過ぎていたかなとも思いましたが、開発も大変な中で妥協することなく、メンバー全員が一丸となって全力で取り組んでくれました。

これからどんな方向に会社が向かっていきたいのか、どんなことにチャレンジしていきたいか、そういった伝えたかったことを、このグループワークを通じて、新卒社員にうまく伝達できたと感じています。今後もこのような新卒研修を通して、ビジネスの課題解決ができる人財を養成していければと思っています。(了)

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