• 株式会社ツクルバ
  • ツクルバデザイン マネージャー/建築家
  • 飯田 拓哉

想いを伝える「場」をつくる!3Dイメージの共有が、スピード感のカギになる

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今回のソリューション:【SketchUp/スケッチアップ】

「場の発明を通じて欲しい未来を作る」というミッションを掲げ、シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」、中古住宅オンラインマーケット「cowcamo(カウカモ)」、貸切スペース「365+(サンロクゴプラス)」の3つの事業を展開している株式会社ツクルバ。同社はまた、「tsukuruba design(ツクルバデザイン)」というチームを持ち、空間デザイン・プロデュースも行っている。

ツクルバデザインのクライアントにはITベンチャーが多く、デザインをする際は想いやイメージを共有して、スピード感を持って擦り合わせていくことが重要だという。そのイメージの摺り合わせに一役買っているのが3Dモデリングソフト「SketchUp(スケッチアップ)」だ。同社でデザインワークを担当している飯田 拓哉さんに、SketchUpの活かし方について聞いた。

「使い手」に寄り添った場をつくりたい、という想いで参画

大学卒業後にオフィスデザインを手がける会社に入社しました。ただもともと建築を勉強していたのでデザインだけでは物足りなくなり、設計事務所に転職したんです。そこでは、自治体の庁舎の設計や、牧場でランドスケープを考えたり、兎小屋を作ったりしていました(笑)。それはそれで面白かったんですが…。

ただ、そういったケースですとお話するのは担当者の方だけで、設計した場所を「実際に使う人」と話をする機会があまりなかったんです。もっとそういった人と接していきたいなと感じていました。

そんな時にツクルバのことを知り、使い手に深くコミットした実践的なスペースを作っているところ、ハードとソフトをつなげて考えるところに魅力を感じ、2013年10月に正式に入社しました。

現在僕は、ツクルバ内部の空間デザイン、プロデュースの専門機関であるツクルバデザインに建築家として所属しながら、同時にマネージャーとしてチームを束ねています。

急成長中のベンチャー企業・メルカリのオフィスも手がける

ツクルバデザインがよくお仕事をさせて頂くのが、ITベンチャー企業です。最近ではフリマアプリ「メルカリ」で知られる株式会社メルカリのオフィスを手がけさせて頂きました。急成長中の企業なので、オフィスが完全に手狭になっていて。さらに、新しい社員がどんどん入ってくるのでコミュニケーションについて頭を抱えているようでした。

そこで、コミュニケーションのあり方自体をデザインしてはどうか、という提案をしました。偶発的なコミュニケーションを「たまたまコミュニケーション」、計画的なコミュニケーションを「わざわざコミュニケーション」と名付け、それらを実際の空間に落とし込む、簡単に言うとそんな提案です

これは非常に喜んで頂けましたね。結果的に、社員の皆さんが席にいないんですよ(笑)。例えば窓際のハイカウンターや座の低いソファ、大きな棚の中にビルドインしたベンチなど、色んな場所でコミュニケーションをとりながらそこで作業されています。

加えて、「メルカリウォール」と呼ばれる大きなシェルフを提案していて、それ自体が各コミュニケーションエリアのインターフェースになると同時にエントランスまで伸びていって、展示棚に変化します。ここでは、ゲストに対してメルカリさんのアプリサービスの世界観を伝える役割を担わせるようにしています。

▼実際の株式会社メルカリのオフィス

実際に使って頂いているのを見たり、喜んでいる姿をみると設計者冥利につきますね。だから自分が設計した場所は竣工後も定期的に見に行くようにしています。

SketchUpでクライアントとスピーディなイメージのすり合わせを

メルカリさんは本当に急成長されていて、2週間に1度は新しい人が入ってくるような組織でした。このような、どんどん社員が増えていくようなITベンチャー企業とお仕事をさせて頂くことが多いので、オフィスづくりも非常にスピード感があります。

僕達も基本的には模型を作ることから始めて「ここもうちょっとこうしたいね」などと話しあったりしているのですが、そんなこと言ってる時間もないぞ、と(笑)。とにかく早く、アウトプットを出していくことが必要になってきています。

具体的なオフィスデザインの流れは、まずクライアントさんが今回つくるのはどういう場所なのか、どんなことを体験していきたいのか、何故つくりたいのか、といったことを整理していくことから始まります。そしていつまでに移転するのかを聞いてスケジュールを逆算し、予算の確認をします。

その後、叩きで図面を作るのですが、そこで登場するのがSketchUpです。パソコン用の3次元モデリングソフトで、デザインのイメージを共有するのがとても簡単にできるんです。イメージの共有ができたら細かい設計をして、予算と見積もりの調整をした後、施工に入るという流れです。

デザインを簡単に立体で表現するSketchUp

SketchUpは、僕が大学を卒業したあたりから一気に流行った印象があります。良いところは、直感的に3Dのモデルが作成できることです。

建築関連の人は3Dのパースを作ることもよくありますが、結構大変で。他の3Dソフトを使うと、座標を数値で指定して3次元情報を与えないとダメなんです。線だけを描いても面にならずに、あとで面にする操作をしないといけないんですよ。

でもSketchUpは図形を描いた時点で自動で面にしてくれて、その面を引っ張っていくだけで立体になるんです。

建築のなかでも、内装デザインって、どうしても平面スタディから入りがちなんですよね。でも辻褄がちゃんと合っているか、どんな見え方を実際はするのか、といった部分は平面だと確認できません。

SketchUpだと、模型を作るまでもなく手軽にそういったものを見ることができます。ウォークスルーでモデルの中に入って見ることができるのでイメージがつきやすいのもあります。ツクルバでは、僕が入社した2013年頃から使い始めています。

「イメージを湧かせるもの」を見せることが決め手!

施工するオフィスの面積にもよりますが、形さえある程度決まっていれば、半日か、長くても1日でクライアントに見せられるラフモデルをSketchUpで作成できます。

大体、初回提案まではSketchUpを使って作業しています。プラグインが非常に充実していて、照明のコントロールができるPodium Light Systemや、SketchUp単体ではできない3次曲面が描けるようになるExtrude Toolsなどがあります。

こういったプラグインを活用しながら書き出して、Photoshopを使って人や写真をコラージュし、クライアントに見せるためのひとつの絵に仕上げていきます。

▼左:SketchUpで作成した3Dモデル 右:実際のオフィス

イメージを共有する時は第一印象が大事です。2Dの図面を見てもなかなかイメージが湧かないと思うので、3Dの絵をお見せした方がいいと思っています。もちろんSketchUpでも表現しきれない部分はあるので、そういった場合はマテリアルのサンプルを持って行って補足しています。

初回提案が通ったあとは必ず定例のミーティングを持つのですが、その場でもSketchUpを使っています。その場で画面をくるくる回しながらイメージを共有して、クライアントからの修正点があれば、その場ですぐ直していくといった形ですね。

クライアントが選択したいのは、使い手にとって価値のあるコンセプトが反映されていて、かつ、デザインが優れたものだと思います。それを実現するためにイメージの摺り合わせは非常に大切で、いかにイメージの湧くものをこちらが出せるかが決め手になってくるのではないかと思っています。そのためにはSketchUpは欠かせないツールになっています。

心からやりがいを感じる「想いを伝播させる場づくり」を今後も

建築は本当にやりがいのある仕事です。中でもオフィスは、住宅以上に1日の時間の大半を過ごす場所だし、特定多数の人が出入りするからこそできる社会性の高いアウトプットに結びつくところが面白いと思っています。

様々な人の想いを集約して出来上がるからこそ、本質的な意味での会社のコーポレートカラーやその会社らしさのようなものが発揮できるんじゃないかと。

なので、当たり前ですがどのオフィスを手掛けても、全然違うものができるんですよね。そういう意味では建築の中でも1番面白い分野の一つだと思っています。今後も建築設計を通して使い手の想いのこもった場を作っていけたら、と思っています。

また、今まではオフィス案件が多かったんですが、今後のツクルバデザインは、オフィスデザインに限らず想いを伝播することのできる場、例えば、住環境や教育空間、公共空間などの設計、プロデュースを積極的にしていきたいと考えています。

実は、少しずつですが、SOHOやマンションリノベーションの話も頂いています。これまで以上にスピードと質が求められてくるので、SketchUpは今後もより手放せないツールになってくると思います!

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