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投稿してくれるファンを大切に。1,000万人に愛されるハーゲンダッツジャパンのSNS戦略

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〜ハーゲンダッツジャパンが、InstagramやTwitterなどのSNS上でユーザーを巻き込んだキャンペーンを展開し、売上アップ、ファン作りに成功した事例〜

高級アイスクリームブランドとして、世界中の人々に愛され続ける「Häagen-Dazs」。

その日本展開を支えている、ハーゲンダッツ ジャパン株式会社は、2013年からSNSマーケティングに注力している。2016年現在、Facebook、Instagram、LINE、Twitterの4つのSNSを運用し、合計ファン数は1000万人を優に超える。

公式アカウントが発信する、質の高いクリエイティブもさることながら、UGC(User Generated Contents)※の投稿も活発だ。「ハーゲンダッツ」のハッシュタグが付いたInstagramの投稿は、38万件にのぼる。

(※ SNS上の投稿など、ユーザーによって生成されたコンテンツのこと)

今回は、同社マーケティング本部で4つのSNSを運用する、續 怜子(つづき れいこ)さんに、各種SNSの使い分けから、実際に行ったキャンペーンとその効果まで、詳しくお話を伺った。

「テレビ離れ」のF1層にリーチするため、SNS運用を開始

私は2013年に、SNSの運用担当としてハーゲンダッツジャパンに入社しました。

入社したのは、ちょうどSNS運用を始めようと動き始めたタイミングでした。今では、Facebook、Instagram、LINE、Twitterの4つのSNSを運用しています。

ハーゲンダッツ ジャパン株式会社の續 怜子さん

SNS運用に力を入れ始めた理由は、ターゲット層の行動の変化です。弊社は今まで、主にテレビCMを使ってマーケティングをしていたのですが、ターゲットであるF1層(20〜34歳女性)のテレビ視聴時間がだんだん減ってきていて。

そんな彼女たちの変化にも対応し、しっかりとリーチしていくため、FacebookやLINE、Twitterの運用を始めたんです。

Facebookは「真面目モード」。4つのSNSの使い分けとは?

SNSによって、ユーザーが使うときの「モード」は違います。ですので弊社では、それぞれのモードでどんなコンテンツが喜ばれるのかを考慮し、発信する情報を決めています。

例えば「Facebook」の場合、「真面目モード」のときに見られやすいので、オフィシャルな情報を出すようにしています。新商品やキャンペーンなどの基本的なお知らせははもちろんですが、その他にも、祝日や記念日に合わせてハーゲンダッツの写真を投稿するなど、ブランディングを兼ねたコンテンツが多いです。

▼Facebookに投稿された、「秋分の日」に合わせたハーゲンダッツの写真

Facebookに投稿された、「秋分の日」に合わせたハーゲンダッツの写真

ここで面白いのが、同じ「祝日」に関する投稿をしても、「Instagram」の場合だと反応が違うことです。

Instagramは、他のSNSに比べても若年層のユーザーが多いです。加えて、「素敵なものに敏感になるモード」で使われるSNSなので、おしゃれなコンテンツの反響が良いんです。ですので、例えばハーゲンダッツのカラーに合わせたネイルの投稿もしています。

▼期間限定商品のパンプキンフレーバーに合わせたネイル写真を投稿

期間限定商品のパンプキンフレーバーに合わせたネイル写真を投稿

また、「LINE」の企業アカウントの場合は、「お知らせ」に使われるのが一般的です。そのため、月に1、2回、キャンペーンや新商品などの情報のみをお送りしています。

▼LINEからは期間限定商品などのお知らせを発信

LINEからは期間限定商品などのお知らせを発信

最後に「Twitter」ですが、ここは「速報」の情報価値が高いんです。例えば、新商品の発売日から大体2ヶ月位前にリリースを出すのですが、そのタイミングでツイートすると、リアクションが大きいんです。逆に、発売日当日はFacebookに流したほうが反応が良くなります。

▼Twitterでは、新商品の情報をいち早く発信

Twitterでは、新商品の情報をいち早く発信

ファン獲得にはInstagramやTwitterの「UGC」を活用

このように、「モード」に合わせて4つのSNSを使い分けているのですが、弊社のターゲットであるF1層は特に、InstagramやTwitterを使っている人が多いです。

そのため、「ファン獲得」という位置づけでは、この2つのSNSを重視しています。

また、ファンを獲得するには、単なる情報発信だけでは不十分です。世間の話題を集めるには、UGC(User Generated Contents)、つまり、ユーザーの投稿を活用することが鍵になってくるんです。

弊社でも、ユーザーがコンテンツを投稿したくなるような、ユーザーを巻き込んだキャンペーンをいくつも実施してきました。

「人に伝えたくなる」企画で、投稿は6,000件に

最も反響が良かったのが、2016年の夏に実施した「ハーゲンハート」というキャンペーンです。

ハーゲンダッツのミニカップって、ふたを開けると、たまにハート型のクレーターが現れるんですよ。ただ、実はこれ、私たちが発見したわけではなくて。

ファンの人達が自発的に、「アイスクリームの天面がハートだった」「スマイルマークだったよ」という発見を、SNSに投稿してくれることが多かったんです。

このファンの動きに乗るかたちで、「ハーゲンハート」キャンペーンを始めることにしたんです。

▼天面に現れたハートをSNSでシェアするキャンペーン、「幸せのハーゲンハート探し」の特設Webサイト

「幸せのハーゲンハート探し」の特設Webサイト

具体的には、「ハーゲンハートに出逢えた人はラッキー」ということを伝え、出逢えたハートの種類によって、占いができるようにしたんです。

その結果、「いいことあるかな」「めっちゃついてる」など、ファンからの投稿がたくさん来ました。

ハートを見つけたらラッキーという、「人に伝えたくなる」内容が、ファンの人たちの発信を加速させたんじゃないかと思っています。実際、Instagramではハーゲンハートのハッシュタグがついた投稿が、約4,000件くらいありました。

▼Insragramでユーザーが投稿した「ハーゲンハート」の写真

Insragramでユーザーから投稿された「ハーゲンハート」の写真

他にも、テレビに取り上げられたり、YouTuberのヒカキンさんが「ハートを探してみた」という動画を公開し、200万回以上再生してもらえるという効果もありました。

「マニアからの発信」で、前年比1.5倍の売上を達成!

もう1つ、「マカデミマニア」キャンペーンも反響が大きかったですね。

2016年3月に、「マカデミアナッツ」フレーバーをリニューアルしたのですが、食べたことがない人には挑戦しづらいフレーバーのようで、どう買ってもらおうか悩んでいました。

そんなとき、SNSでファンの動きを見ていたら、面白いことがわかったんです。

実は、ハーゲンダッツをずっと食べてくれているファンの方が、マカデミアナッツが好きだという傾向が見られたんです。ファンの中では、「マカデミアナッツ好き=ハーゲンダッツ通」という認識ができていました。

通の好きなものって、なんだかハズレが無さそうじゃないですか。なので、その「通」の人を、「マカデミマニア」と呼ぶことにしたんです。そして、マカデミマニアのモデルさんやタレントさんに、マカデミアナッツ愛を語ってもらう特設サイトを公開しました。

▼モデルさんたちがマカデミアナッツ愛を語る、「マカデミマニア」の特設Webサイト

「マカデミマニア」の特設Webサイト

また、SNSで「マカデミマニア宣言」をしてくれた人に、冷凍庫に入る数だけマカデミアナッツをプレゼントするキャンペーンも実施したんです。すると、続々と宣言する人が出てきて、結果的に月の売上が前年比の1.5倍まで伸びたんです。

高い効果を上げるも、「ブランドイメージとのバランス」には注意

このように、ユーザー巻き込み型のキャンペーンは話題になりやすいです。ただ、このようなSNSを通じたマーケティングをする上で、注意点もあると思っています。

それは、「ブランドイメージとのバランス」です。SNSはユーザーに近いぶん、ユーザーにとって身近になりすぎてしまうんですよね。

ハーゲンダッツの場合、「憧れ」というブランドイメージがあるので、フレンドリーにしすぎてしまうと、昔からのファンのイメージを崩してしまいかねないんです。だから、ブランドのアーキテクチャと離れないよう、投稿するコンテンツのトーンには気をつけています。

「自ら投稿してくれるファン」が一番の資産

SNSマーケティングのポイントは、自社にあった媒体を探すことですね。前職の会社はB2Bのビジネスでしたので、LinkedInを活用していました。自分たちのターゲットがどこで活動しているのかを見極め、選択すると良いと思います。

ネットは移り変わりが早いので、今後も他の媒体の動きに気をつけていきたいと思っています。Instagramも、ここまで流行るなんて2、3年前は想像もつかなかったので、世の中の流れはいち早くキャッチアップしていきたいですね。

ハーゲンダッツ ジャパン株式会社の續 怜子さん

ただ、私が一番面白く感じていて、うちの資産だなと思っているのはやっぱり、「自ら投稿してくれるファン」の存在なんですよ。だからこそ、今後はそこをもっと盛り上げていって、ファンとより良い関係性を築いていきたいと思っています。(了)

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