- 株式会社Loco Partners
- 代表取締役
- 篠塚 孝哉
「和」✕「快適さ」✕「アイデアの源泉」 古材を活用したオフィス空間づくり
今回のソリューション:【WIZU/ワイズ】
〜Loco Partnersが大切にする想い、コンセプトを反映したオフィス。そのオフィスデザインを担当した設計事務所 WIZU (ワイズ)の導入事例
会員制宿泊予約サービスのrelux(リラックス)を運営する株式会社Loco Partners(ロコパートナーズ)は、2015年3月に同社4箇所目となる新しいオフィスへと移転を行った。新オフィスのテーマは、「Loco Village」。同社が大切にしている「和」のコンセプトと「社員にとっての快適さ」そして「アイデアが生まれる場所であること」を追求している。
この空間づくりを同社代表の篠塚 孝哉さんと共に行ったのが、設計・デザイン事務所の「WIZU(ワイズ)」だ。実際の旅館で使われていたドアや窓の古材を使うなど、随所に同社独自のこだわりが感じられる新オフィスについて、篠塚さんに話を聞いた。
「おもてなし」と「社員にとっての快適さ」を実現する新オフィス
移転を検討し始めたのは2014年の9月位です。正社員が25名程に増えて元のオフィスが手狭になり、会議室もひとつしかなくて不便だったんですよね。今のオフィスは以前の約2倍強の約90坪なので、相当広く感じます。
デザインや設計について、基本的に意識しているのは来社されるお客様にとって「おもてなし」がきちんとできているということと、社員にとっても快適であるということです。社員にとってオフィスは長い時間を過ごす空間なので、快適な方がいいですよね。
特にエンジニアメンバーはずっと社内にいるので、彼らにとってとにかく働きやすい空間を目指しました。スタンディングデスクや集中ゾーンを作って、座席でずっと仕事をしなくてもいいようにしています。みんな今では全然席にいなくて、あちこちで仕事をしています。
▼左:執務スペース 右上:集中ゾーン 右下:スタンディングデスク
「和」のコンセプトを最も汲み取ってくれたデザイン会社、WIZU
今回のオフィスデザインをお願いしたWIZUさんは、「和」というコンセプトを伝えてコンペを行い4社の中で決めたのですが、実は前回のオフィスもお願いしています。その時のコンセプトが「離れ」で、正方形のオフィスの中心に日本古来の家を意識した独立した空間を会議室として作ってもらったんです。
WIZUさんに今回ご提案頂いたのはそのコンセプトの延長で、「Loco Village」です。離れだったものが成長して村になった、という。エントランスに入ってすぐに、「パークエリア」という芝生をイメージした床が緑の空間があったり、「前庭」には「飛び石」があってエントランスまで続いていたり。「村」を意識したデザインと設計になっています。
▼左:カーペットの色で「飛び石」を表現 右:緑の広がる「パークエリア」
コスパ最高の「古材」を活用 随所に取り入れる遊び心
予算を抑えたかったというのもあって、WIZUさんに相談した時に古材を使うことを提案してもらいました。例えば会議室のドアや窓は、実際に昔旅館で使われていたものなんです。弊社は旅行会社なのでマッチングもありますし、「和」のコンセプトにもぴったりですし。
実際に一緒に葉山の古材屋さんに行ったんですけど、信じられない店でしたね(笑)。ドアだけで何千枚もあって、観光で行っても面白いんじゃないかと思いました。それに古材って意外と安いんですよ。それなのにおしゃれですごくコスパがいいと思います。
▼左:「文化財 天野屋旅館@湯河原」の小蔀(小窓) 右:ドアにも古材を
会議室の名前は社員に公募したんですが、Kamakura、Edo、Meiji、という日本の元号なんです。各会議室の入り口にはそれぞれの時代が始まった年を入れています。イベントスペースの窓には「2011年」と入っているんですが、これは弊社の創業年度になります。次の日本の一時代を築く企業になる、ということを意識しています。
▼各会議室には歴代の幕府の創立年度が 「2011」はLoco Partnersの創立年度
原状回復や防音まで 機能面も考慮した設計
コンセプトの部分だけではなく、WIZUさんは機能面でもいろいろ工夫して提案をしてくれました。例えば前回のオフィスは作るより原状回復の方がお金がかかってしまってすごく嫌だったんですが(笑)、今回は例えば天井には穴を一切開けずに施工したり、退去の時のことまで考えて設計をしてくれました。
また、「パークエリア」は3、40人入れるイベントスペースでもあるんですが、そこの音が執務スペースに漏れないような設計もして頂きました。イベントスペースにはライティングレールを取り付けて、昼と夜の雰囲気が全く変わるようにしています。
▼パークエリアの昼(左)と夜(右)
新しいアイデアがどんどん生まれるオフィスづくり
また、今回もう1つ強く意識しているのは新しいアイデアが生まれてくるような空間づくりです。去年の夏にサンフランシスコへ行っていくつかのスタートアップ企業へ訪問した時に、空間がアートで溢れているのを見て本当に刺激を受けました。オフィスの壁に色があることでクリエイティビティーが刺激されるなと。
エントランスを入って右手の壁一面にあるのは、アートディレクターの佐藤 圭さんに弊社のために描いて頂いた、”ETERNAL PINE”という作品です。これは和紙に印刷したものなんですよ。松(PINE)の名前の由来でもある「緑を保つ(たまつ)」という「不老不死」を意味するような部分と掛けて、「お客様・宿泊施設様・弊社」の3者の良縁がいつまでも続くように、という想いがこめられています。
▼和紙に描かれた佐藤 圭さんのオリジナル作 ”ETERNAL PINE”
アートもそうなんですが、クリエイティビティーの源泉はオフィスになるので細かい部分まで今回はしっかり作りました。例えば、40席ほど設置可能な執務スペースは席数を敢えて減らして「遊び」の空間にリラックススペースを設けています。「パークエリア」にあるカフェコーナーもそうなんですが、こういった空間によって社員同士の偶発的なコミュニケーションが活性化し、そこからもアイデアが生まれると考えているんです。今後ももっと様々な工夫を散りばめて、「アイデアが生まれるオフィス空間」を創っていきたいと思っています。(了)