- 株式会社インティメート・マージャー
- 代表取締役社長
- 簗島 亮次
【後編】無限に続くA/Bテストから見えた、ランディングページ最適化の本質とは
今回のソリューション:【A/Bテスト】
WEBサイト上でA/Bテストを繰り返すことでランディングページを最適化する「LPO(Landing Page Optimization)」は、今ではサイト改善に欠かせない戦略手法のひとつだ。複数パターンのランディングページを訪問者に見せ、それぞれのコンバージョンレートを計測することで最適なページを探り当てる。
前編ではA/Bテストを実施する際に、WEBサイトに訪れる人すべてを一括りにせず、代表的なユーザー属性ごとに切り分けてテストを行う必要性について聞いた。
後編では、その代表的なユーザー属性をどのように突き止めるのか、そして人気のLPOツールをそれぞれどのように使い分けるべきかについて解説してもらった。
※代表的なユーザー属性ごとに切り分けてテストを行う必要性についてお伺いした前編はこちらです。
A/Bテストの前に、まずは大きなユーザー属性を押さえる
DMPとLPOツールを組み合わせることで、A/Bテストを実施する際にユーザーの属性別にページを出し分けることが可能になります。ただ、その前提として注意するべきなのは、属性を細かく切り分け過ぎてしまうと大きな改善にはつながらないということです。
特にDMPのようなデータが絡むと、どうしてもデータ起点でターゲットを細かく設定しがちなのですが、実はそれは危険なんですね。
例えば、女性向けの化粧水のランディングページを改善するケースで、最初にどんな属性の人にA/Bテストをするかを考えるとします。
こういった場合によく話に出てくるのは「①競合の商品を検索している人」「②以前に1度サイトにきた人」「③40代の女性」といった切り分けです。ただ、この3つの属性の人をすべて合計してもサイトに来ている人全体の5%にもならず、残りの95%は「その他」に分類されてしまうことになります。
そうするとターゲットのコンバージョンレートが2倍になったところで、全体の数パーセントの改善にしかならないんです。
このケースの問題点は、ランディングページをユーザーの細かい属性を起点に作成していることです。95%が「その他」に分類されてしまっているので、そもそもA/Bテストで最大限に成果を上げるためのユーザーの正しい切り分けができていないんです。
このようなケースであれば、まずはテストを出し分けするべき大きなユーザー属性から探っていく必要があります。
そこで有効なのは、最初はランディングページを属性起点ではなくクリエイティブ起点で作ることです。それに対するユーザーの反応から、ターゲットとなる大きな属性を探ることができます。
例えば、「早い・安い・うまい」というメッセージのランディングページを作り、それに対して反応があった人のデータをDMPでチェックします。
そうすると「早いが刺さる人」や「うまいが刺さる人」といった形で属性を明確にすることができます。そうすれば、次はその大きな属性に対してA/Bテストを回せるので、大きな改善を導くことが可能だと考えています。
データが目の前にあるとどうしてもそれをベースに考えがちですが、特にターゲットとなる大きな属性が明確でない場合は、クリエイティブから考えていくことが効果的だったりするんです。
ターゲットの大きな属性を突き止めるには、KaizenPlatform
このような考え方を実践するとしたら、LPOツールの中ではKaizenPlatformが適しているのではないかと思います。KaizenPlatformは、あらかじめユーザーの属性を分けてそれぞれに対してA/Bテストを実行していく形ではなく、サイトに来た人すべてにテストをしていく形です。
▼全ユーザーに対する改善案をグロースハッカーに募集し、テストができる「KaizenPlatform」
そこで得た反応をDMPのデータと照らし合わせて、ターゲットとなる大きな属性の仮説を作っていけます。
大きな改善を導くユーザー属性の仮説があまり明確でない段階で、DMPとセットで使うには最適なツールだと思います。
ただ、いくつかのユーザー属性を探った後、特定の属性に対してランディングページを出し分け続けていく、ということはKaizenPlatformではできないので、その場合は自分達でツールを作るか違うものを使う必要があります。
仮説とユーザー属性が明確なケースにはDLPO、Optimizely
一方で大きな改善を生み出すための仮説とユーザー属性が明確な場合は、DLPOとOptimizelyをお勧めします。
これらのツールは、ユーザー属性別に様々なランディングページを試し、コンバージョンレートが高いページを探り出すことで、結果的にサイト全体のパフォーマンスを最大化していきます。
▼ユーザーの属性別にテストを実施できる「DLPO」(上)と「Optimizely」(下)
先ほど挙げたように、細かいユーザー属性に対してA/Bテストをしてしまうと結果に結びつかず危険です。
ただ一方で「この性別・この年代」といったターゲットとなる大きな集団が分かっているなら、その人達に対してひたすらコンバージョンレートを上げることを追求することで、大きな改善に繋げることができます。
このようにある属性に対して無限にA/Bテストを実施し続けるケースにDLPOやOptimizelyはマッチしていると思います。
効果的にテストを回すための「ユーザーの切り方」自体を商品に!
ここまで見てきたように、ユーザーの切り分け方がLPO最適化に大きな影響を与えます。そのため、今後、LPOで成果を出していくためにDMP側としてやりたいこととしては、ユーザーの切り分け方のバリエーションをナレッジとして蓄積したいと思っています。
「あなたのサイトであれば、ユーザーをこう切ると効果的なA/Bテストが回せる」ということを提案できるようになりたいですね。
そのためには、どこかの会社でつくったユーザーの切り分け方を「どのように効率良くほかの会社にも展開できるか」が肝になってきますね。将来的にはそれこそ、ユーザーの切り方がマーケットプレイスになってしまえばいいと思ってるんです。
一番いいユーザーの切り方を誰かがみつけたら、それを展開し使われた数に応じてその方にお金が入る形。そんなことが出来たら面白いなと思ってます。(了)
※代表的なユーザー属性ごとに切り分けてテストを行う必要性についてお伺いした前編はこちらです。