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AI秘書から爆速プロトタイピングまで!ゆめみの社内ハッカソン「未来研究大会」レポート

AI秘書から爆速プロトタイピングまで!ゆめみの社内ハッカソン「未来研究大会」レポート_SELECK

多くの企業や個人が、生成AI活用の可能性を模索する昨今。株式会社ゆめみでは、社員が新しいアイデアや技術を検証をする機会の提供を目的として、社内ハッカソン「未来研究大会」を立ち上げ。その第1回が、「生成AIで自分たちの業務効率化!」をテーマに、2024年10月にオンラインにて開催されました。

将来的に業務に応用できる技術やプロジェクトを自由に研究し、共有することで、企業全体の技術力向上と新しい事業機会の創出を目指す本大会。今回は5名が研究発表を行い、ユニークなアイデアやリサーチ結果をシェアしました。

発表されたのは、AIが秘書となってスケジュール管理をサポートする「AI秘書ずんだもん」や、生成AIによる爆速プロトタイピング開発の手法など、いずれも従来の業務フローを一新する可能性を秘めたものばかり。生成AIと人間がより効果的に協働する、未来の働き方を示唆する刺激的な発表となりました。

本記事では、当日の発表内容をダイジェストでお届けします。

<目次>

  • 業務をサポートしてくれるChrome拡張「AI秘書ずんだもん」
  • Slackのこんがらがったスレッドをまとめる「SilkWeave」
  • プロトタイピングを生成AIで爆速にするワークフローを研究
  • ペルソナ画像をたった10分で生成できる「UXとや」
  • Googleの生成AI「Gemini」の開発業務での活用

業務をサポートしてくれるChrome拡張「AI秘書ずんだもん」

最初の発表者は、デザインエンジニアのKanon(きゃのん)さん。きゃのんさんが発表したのは、「AI秘書ずんだもん」というChrome拡張機能です。

  • ずんだもん(※)が秘書として業務をサポートするChrome拡張機能
  • Googleカレンダーと連携し、予定の前にリマインドをしてくれる
  • チャット機能があり、疲れたときなどにおしゃべりができる
  • React + TailwindでPlasmoフレームワークを使用
  • GPT-4.0を活用し、Structured Outputでリマインダー生成

▼「リマインドして!」と「お話しよう!」の2つの機能が

AI秘書から爆速プロトタイピングまで!ゆめみの社内ハッカソン「未来研究大会」レポート.001

▼スケジュールの「忙しさ」で、ずんだもんの表情が変わる

きゃのんさんが実際にAI秘書ずんだもんを使ってみた感想としては、「単なるリマインド機能ではなく、ずんだもんが『予定が始まるのだ』と教えてくれることで、オフィスで隣の人が『今から会議始まりますよ、行きましょう』と声をかけてくれるような感じがする」とのこと。

「ツールのボタンを押すだけではなくて、会話相手としてコミュニケーションをしているような気持ちになると面白いなと思って開発してみました」ということですが、表情やリアクションも変わるずんだもんが秘書をしてくれると普段の業務も楽しくなりそうです。

もっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらのnoteをご覧ください。

※「ずんだもん」とは、SSS合同会社によるずんだ餅をモチーフにした東北地方のマスコットキャラクター。詳しくはこちら

Slackのこんがらがったスレッドをまとめる「SilkWeave」

続いてご紹介するのは、フロントエンドエンジニアであるいまいまいさんが開発した、Slack上のスレッドを自動要約・整理するツール「SilkWeave」です。

  • Slack上のスレッドを自動要約・整理するツール
  • チャンネルごとにスレッドをまとめることが可能
  • Next.js フルスタックで開発、サーバーサイドではHonoも活用
  • ChatGPTによる要約を生成し、Supabaseでデータ管理
  • 年間200時間以上の業務効率化効果を試算

▼SilkWeaveのシステム構成

▼チャンネルごとにスレッドの要約が生成される

開発のモチベーションとしては、「Slackのスレッド上のコミュニケーションで行われた決定事項の確認・まとめが1日に15〜20件発生していた」という背景があったとのこと。

「SilkWeave」の名前の由来は、「こんがらがったThread(糸)を絹を織るように綺麗にまとめたかった」ということだそう。生成されたまとめにはタグ付けやネクストアクションの設定が可能で、ダークモードにも対応しているなど、細かいところまで作り込まれていました。

プロトタイピングを生成AIで爆速にするワークフローを研究

続いては、フロントエンドエンジニアの孟(はじめ)さんです。孟さんは、AIを活用した「爆速プロトタイピング」についての研究を発表しました。

実際にコードを書きながらプロトタイプを作り、クライアントと要件定義を行った経験を踏まえて、要件定義ミーティングからそのレポート作成、資料作成、UI・コード生成の流れの中で、「tl;dv」や「ChatGPT」などの生成AIツールを活用していくワークフローを提案しました。

▼実際に提案された未来のワークフロー

そしてこの実現のために、以下3つのアイデアを提案しました。

  • AIでも「単一責任の原則 x パイプライン」:ひとつのAIに一気に全部を生成させるのではなく、限定されたコンテキストで動くAIをたくさん組み合わせる
  • UI生成では「構造」の情報を渡せ:オブジェクト構造やER図を伝えてやりとりすると、期待するUIを生成してくれやすくなる
  • デザイナーこそコード生成を。そしてエンジニアとペアワークしよう:ワークフローが高速化するにつれて、デザイナーとエンジニアは一体化する

実際のワークフローに沿った生成AI活用の提案ということで、実務における具体的なメリットがイメージできる研究発表でした。

ペルソナ画像をたった10分で生成できる「UXとや」

続いては、UXデザイナーのありーずさんです。ありーずさんは、これまでペルソナやカスタマージャーニーマップ、コンセプトを作る際に、「AIを活用することで、より中身のある提案作りに人間の脳みそを使いたい」という思いがあったといいます。

そこで今回開発したのが、UXデザインのための画像生成ツール「UXとや」です。これは、「UX」とフリー素材集の「いらすとや」を組み合わせて名付けられました。

  • およそ10分で「ペルソナ」の画像が作れるツール
  • Google ImageFXで画像を生成(Midjourney、DALL-E3にも対応)
  • GPTsと連携し、プロンプト生成を自動で行う
  • ストーリーボード、バナー等の素材作成にも対応

▼実際に生成されたペルソナ画像

▼ペルソナの入力例

24歳 日本人女性 独身 web制作会社勤務 職業デザイナー 東京都三軒茶屋在住 間取り1LDK 家賃10万円 ミニマリスト 趣味は音楽鑑賞 特技ピアノ チワワを飼っている 好きな食べ物はドーナツ

非常にリアリティのある画像ですね。生成された画像をバナーに使うような応用も可能ということです。

Googleの生成AI「Gemini」の開発業務での活用

最後に発表したのは、サーバーサイドエンジニアで、テックリードを務めるマキさんです。マキさんは、Googleの生成AIである「Gemini」を開発業務に活用した経験をシェアしました。

具体的には、プログラミング支援ツールである「Gemini Code Assistant」と、データウェアハウス「BigQuery」内のGemini機能を使ってみたとのこと。

Gemini Code Assistant

  • コーディング支援、補完としては文句なし
  • Visual Studio CodeやJetBrainsのIDEで使用可能
  • 日本語でチャットができるのが特徴

BigQuery内のGemini機能

  • データベースの分析をサポート
  • 自然言語でデータの分析をお願いできることが便利
  • データの内容を要約してくれる

どちらも日本語に対応しており、補助ツールとしては便利という評価です。しかし、他のツールのほうが利便性が高い、単純な作業は手作業の方が早い、発展途上の機能が多いなど、課題もまだまだある印象とのこと。これからの進化が楽しみですね。

【おわりに】今後も「未来を作れるような研究」を続けていきたい

いかがでしたでしょうか。今回は、「AI秘書ずんだもん」のきゃのんさんがナイステック賞、「爆速プロトタイピング」の孟さんがナイスアイデア賞を受賞しました。

最後に総括として、審査員からは以下のようなコメントがありました。

「生成AIは、インプットとアウトプットの間を繋ぐという役目をAI自体ができるようになってきたということが革新的です。今回の発表でも、コミュニケーション領域でのアイデアが多く、意見と意見の間の関係性を生成AIで解釈を与えるような仕組みの提案が多かったと思います」

「皆さんの発表を聞いていて、ドッグフーディングの精神というか、ご自身の普段の業務や生活の中で困ったことや課題に注目して、実際に作って活用されている点が素晴らしいと思いました。第2回の開催も、とても楽しみにしております」

「専門家ではない立場から、テック賞の方はすごいなと思ったもの、アイデア賞の方は欲しいなと思ったものを選ばせていただきました。専門家ではない人たちにとっても刺激のある発表だったと思います」

今回は第1回目の未来研究大会でしたが、未来を作る研究として違うテーマでも引き続き開催していきたいということです。(了)

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