- 株式会社3ミニッツ
- 取締役副社長 COO
- 細川 潤
月間1億回再生を誇るファッション動画メディアMINEの、「巻き込み型」メディア運営術
〜立ち上げ2年で急成長を遂げたファッション動画メディア「MINE」。インフルエンサーを企画から巻き込み、読者の声を取り入れる、独自のメディア運営に迫る〜
近年、雑誌をしのぐ勢いで成長しているWebメディア事業。女性ファッション誌の売り上げが年々落ち込んでいることからも、デジタルネイティブ世代が雑誌感覚でWebメディアを見ている様子が伺える。
そんな中でも、株式会社3ミニッツが運営するファッション動画メディア「MINE BY 3M」は、多くの女性に支持され、月間再生数は1億回を超える。
▼ファッション動画メディア「MINE BY 3M」
特筆すべき点は、メディア立ち上げからわずか2年であるにも関わらず、ラグジュアリーブランドをはじめとする350社以上の企業にスポンサードされるなど、「雑誌」のような立ち位置をWeb上で確立したことだ。
その背景には、ほぼすべてのコンテンツをインフルエンサーと共に作り上げ、読者の声を企画に活かす、「巻き込み型」のメディア運営があった。
今回は、同メディアに立ち上げから携わる、同社COOの細川 潤さんに、インフルエンサーを巻き込んだコンテンツ作りのポイントから、SNS運用のコツまで、詳しくお話を伺った。
「雑誌」のようなWebメディアを目指して
3ミニッツは、「3分で世界中をHAPPYに」をビジョンに掲げ、2014年に立ち上がったスタートアップです。
2015年には、ファッション動画メディア「MINE BY 3M」を開設しました。私はこの立ち上げ時に、COOとしてジョインした形になります。
MINEは、コンテンツの再生回数が月間で1億回を記録するなど、順調に成長してきています。また、メディア立ち上げから2年が経過する現在までで、ラグジュアリーブランド・有名ブランドをはじめとする350社以上の企業に、広告を出稿していただきました。
実は、ハイブランドからのスポンサードに関しては、メディアの立ち上げ当初から構想していて。
こうした企業に「出稿したい」と思ってもらえるメディア作りを意識していたんです。そのため、コンテンツの質やブランディングを、ものすごく重視してきました。
検索からの流入を通して消費されるキュレーションメディアのような形ではなく、新しい発見をしてアクションに繋げられる「雑誌」のようなWebメディアを目指しています。
「あこがれ」の存在であるインフルエンサーと共にメディアを作る
MINEではこうしたメディアの実現に向けて、立ち上げ当初から、ほとんどのコンテンツをインフルエンサーと作っています。
その背景としてあるのが、現代の「インフルエンサーのメディア化」という流れです。
インフルエンサーは、かつての雑誌のモデルのように、ある種「あこがれ」の存在になってきています。最近では、インフルエンサーが良いと言ったものが、本当に売れる状況が出てきていて。
そうした中では、リスティング広告を打って集客するより、ファンを抱えているインフルエンサーを通じて読者を集めた方が、効率もいいし、よりメディアのファンになってくれると思っています。
積極的に協力してもらうコツは、セルフブランディングへの貢献
ただ、インフルエンサーを巻き込むためには、メディアの対応や方針、信頼のおけるスタイリストやカメラマンの存在を通じて、「このメディアだったら参加したい」と思ってもらうことが重要になってきます。
もし変なコンテンツを出されてしまうと、彼女たちのブランディングにマイナスになってしまいますので。逆に良いものを作れば、「また参加したい」と思ってもらうことができます。
特に、立ち上げ当初は予算が限られていたため、この「参加する価値を感じてもらう」という部分には、非常に気をつけていました。
当時は、「このスタイリストさんだから」「このエディターさんだから」など、人と人の信頼関係によってクリエーターを集めていきましたね。
こうして次へ繋げていった結果、次第に雑誌のカバーガールを経験したことがあるようなモデルさんにもご協力いただけるようになりました。
MINEを立ち上げて1年経ったころには、ラグジュアリーブランドにもスポンサーに入っていただけるようになりましたね。
ユーザーからの投稿が10万件!SNSで、読者も巻き込む
MINEは、インフルエンサーからの拡散以外も、その流入のほとんどがSNS経由になります。
SNS運用は、現在InstagramとFacebook、Twitterをメインで行っています。
Instagramは、どちらかというとユーザー参加型の運用にしています。MINEがターゲットにおいている25歳から35歳の女性は、やっぱりInstagramが一番アクティブなので。
▼Instagramの公式アカウント
Instagramでは、MINEのユーザー向けに「#mineby3mootd」というハッシュタグを用意しているのですが、このタグが付いた投稿はもう10万件を超えています。
例えば、トップス・ボトムスの両方がデニムの「デニデニコーデ」を募集する企画などを行っているのですが、1週間で1,000以上の投稿が集まることもありますね。
こうしたユーザーからの写真は、編集部でいくつかピックアップして、MINEの公式アカウントで紹介しています。
一方、Twitterでは、ユーザーに刺さるコンテンツを継続的に作るため、月に5、6度ほど、「投票機能」を使って簡易アンケートを取っています。その結果をもとに、コンテンツや特集を決めていくこともありますね。
▼Twitterの投票機能で、アンケートを取る
また、Facebookはこちらからの発信がメインです。公式ページのフォロワーは、現在50万人ほどになるのですが、基本的にはコンテンツである動画をSNS用に短く編集し、配信しています。
▼Facebookの公式ページ
また、MINEはアプリも出していて、最近「メッセージ機能」をつけたんです。これにより、編集部とユーザーが直接会話できるようになりました。
現在は「いつも楽しみにしています」といった読者からの感想がメインのコミュニケーションなのですが、今後はアンケートや、ユーザー参加型の企画も実施していきたいと考えています。
理想のメディアのあり方を追求していきたい
このように、インフルエンサーとユーザーを巻き込こんだメディア運営をする一方で、「CLASSY.」で編集経験がある人を編集長に起用するなど、他にもコンテンツのクオリティを上げるため、様々な施策を行っています。
運営から2年で、コンテンツのクオリティも上がり、インフルエンサー・ユーザーとのコミュニケーションを通じた「血のかよった運用」が形になってきています。
今後はもっと、クライアントやインフルエンサーが主体的に関われる、プラットフォームのようなメディアにしていきたいと考えています。そして、そこで出会ったものをそのまま買えるといった、新しい理想のメディアのあり方を追求していきたいと思います。(了)