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- 宮下 俊
応募数「月間100名」のインターンシップ!すべてを任せ、エースを育てるその仕組み
〜従業員の3割が学生!?優秀な学生を惹きつける、株式会社Loco Partnersの「人気インターン」の裏側を公開〜
じゃらん、楽天トラベル、一休…といった競合がひしめき合う、オンライン旅行業界。2013年にその領域に参入し、会員数を約40万人にまで伸ばしているのが、会員制の宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」だ。
実はその成長に一役買っているのは、同サービスを運営する株式会社Loco Partnersの従業員の約30%を占める、学生インターンである。
同社では、インターンに社員並みの予算や権限を与え、FacebookなどのSNSの運用もすべて任せているという。
その結果として、大学生の間で「Loco Partnersのインターンは成長できる」というブランディングに成功。今では月間の応募者数は、100人に上るそうだ。
「入社して一番驚いたのは、働いているインターンの優秀さです」と語る、同社の執行役員である宮下 俊さんと、インターンリーダーを務める矢田貝 栄治さんに、インターン採用や育成の裏側を伺った。
「月間100人が応募する」インターンを作り上げた、2つの要素
宮下 僕は、リクルートでカーセンサーやポンパレモールといったWebサービスを手がけた後、2015年の11月にLoco Partnersに参画しました。そして入社後、まず驚いたのが「インターンの優秀さ」だったんです。
いま弊社では約60名の従業員が働いているのですが、そのうち20人ほどがインターンで、大きな予算と社員並みの権限を持って仕事をしています。全社合宿にも参加します。マーケティングチームの社員は3人ですが、インターンは12人です。(笑)
ReluxのFacebookページは「いいね!」を55万ほど獲得していて、投稿ひとつにつき2〜3,000の「いいね!」がつきます。その重要なマーケティング・チャネルであるFacebookページの運用も、すべてインターンが行っています。
▼インターンが運用するFacebookページ
月間で数百万円、なかには1,000万円を超える予算を与えられて、その範囲で責任を持って運用しています。
その他にも、フォロワー数25,000人のInstagram、さらにTwitterやLINE@といった複数のSNSの運用も、インターンに任せています。
弊社のインターンには、月100人の応募があり、採用サービス「Wantedly(ウォンテッドリー)」内の順位も常に上位です。
▼Wantedlyのインターン募集画面
この状態が実現したのは「ぶれないターゲティング」、「バリューに基づいた育成」を続けたことが大きいと思っています。
決して妥協しない「ぶれないターゲティング」
宮下 「ぶれないターゲティング」とは、自分たちが採用したい学生だけにターゲットを絞り、決して妥協しないことです。そして、その学生に響く価値を提供する。これを徹底してきました。
応募してきた学生がターゲットかどうかは、「コミット」「意志」「地頭」の3点で見極めています。
社員並みの仕事を任せるためには、社員並みのコミットが必要です。そのため「1日8時間以上、平日の週3日以上、そして6ヶ月以上働けるかどうか」を条件にしています。
また、強い意志を持っていることも重要なので、Loco Partnersのインターンを活用して何を成し遂げたいのかを、エントリーシートに書いて提出してもらっています。
Wantedlyは気軽に会える媒体ですが、ターゲットを絞るため、エントリーシートのハードルを高くすることで、敢えて気軽には会わないようにしているんですね。
エントリーシートを突破したあとは、面接で意志や地頭を確認します。僕は週に、10〜15回面接していますね。現状、インターン選考の倍率は30倍ほどになっています。
このように厳しくターゲットを絞り、妥協もしないため、面接には時間もかかります。ただ、その厳しいハードルを超えてきた学生には、安心して社員並みの仕事を任せることができるんですよ。言い換えると、入社後にしっかりと価値を提供できる人だけを採用しているんです。
「ロケットスピード」「さいごの砦」 バリューに基づいた育成を
宮下 結果として、学生の間で「Loco Partnersのインターンは大きな裁量を与えられるし、成長できる」というイメージがつき、月に100人もの応募が来る状態ができました。人が人を呼ぶ、非常に良い循環になってますね。
これには、入社後の「バリューに基づいた」育成も関係しています。
Loco Partnersには「5 Values」という行動規範があり、その行動規範に基づいてインターンを育成しています。
▼Loco Partnersの行動規範である「5 Values」
例えば、「ロケットスピード」という規範があり、とにかくアクションのスピードを求めます。例えば、「Snapchat、きてるよね」という話になれば、その日のうちにアカウントを作ってまずやってみる、というアクションを推奨しています。
そして「ロケットスピード」を実現するために、「締め切りドリブン」という言葉が流行っています。何にも見えていない中で、まず締め切りから決めるんです。例えば、「韓国マーケットに進出するから、来月出張行こう」といきなり決めてしまう。
韓国マーケットに進出するためにどうすべきかを、インターンに考えてもらって実現してもらうんです。みんな頭が良いので、タスク分解とかはできるのですが、いざやってみると「ちょっと無理そうなので遅らせて下さい」となるんです。でも、こちらは「遅らせるのは、無理です」の一点張りにする(笑)。
この体験で、まずインターンは衝撃を受けます。初めに越えるべき壁を見て、「こうやってパワフルに仕事が進んでいくんだ」という圧倒的な成功体験をする。するとその後一気に成長し、社員並みの裁量を持って仕事ができるようになります。
矢田貝 僕は、2016年の4月から弊社でインターンとして働いています。
ロケットスピードの例をあげると、Pokémon GOがリリースされて3時間後に、Pokémon GOユーザーを対象に旅行クーポンをプレゼントするキャンペーンを開始しました。「ロケットスピードに価値がある」と共通認識ができているからこそのアクションで、そのスピードには衝撃を受けました。
▼「Pokémon GO×Reluxキャンペーン」のプレスリリース
宮下 他には「さいごの砦」というValueもあります。これは「そのポジションを守ってる君が最後の砦で、君が負けたらもう負けるんだ」と思って仕事をしてね、ということです。こうした行動規範を、インターンにも社員と同様にしっかり伝えています。
矢田貝 「さいごの砦」を根付かせるために、社内には「YK」という言葉が飛び交っています。「YariKiru(やりきる)」の略語で、メンバーがお互いに煽り合っていますね(笑)。
ライトな表現なのでお互いに声掛けしやすいですし、行動規範が浸透する良い言葉だと思います。お陰様で、以前より圧倒的に仕事をやり切れるようになりました。
入社2ヶ月でFacebookアカウントを完全に任せる
宮下 このように育成していくと、大体2ヶ月ほどでFacebookアカウントの運用は任せられるようになります。
予算を触る時は必ず社員がチェックしますが、基本的にはインターンが自由に運用します。「新しいキャンペーンを立てて、〜な効果を出したいので、予算これくらい使っていいですか?」といった感じで。
▼ インターンリーダーの矢田貝さん
日々の育成については、シニア層のインターンが行っています。インターンリーダーがインターンを育成する循環ができているんです。
インターンには5段階あって、Junior、Associate、Leader、Manager、Senior、と分かれています。毎月活動の振り返りを行って、段階に応じて給料が上がっていきます。
矢田貝 僕はもともと、IT業界での実務経験はありませんでしたが、入社10日後にはFacebookの広告管理者として、KPIに責任を持つようになりました。
現在は、SNSマーケティングの各チャネルのフォロー、アプリマーケティング、メールマガジン改善、社外クライアントとのミーティング、インターン採用面接、採用Meetupの設計運営、インターンチーム全体のマネジメント、などなど…。インターンとは思えないほどの、多くの業務を任せていただいてます。
インターンは、組織に「新陳代謝」をもたらす
宮下 さらに、今年の新卒入社の2人は、2人ともインターンからの採用なので、非常に効率よく新卒採用ができているという一面もあります。
ただひとつ辛いのは、就活時期に、一気にエースが抜けてしまうことです…。彼らは社員並みの裁量を持っているので、一気に抜けられるとかなり痛い。
一方で、エース級が常に入れ替わることで、組織に新陳代謝が起きます。
また、新しいメンバーが常に入ってくるサイクルが回っているので、既存メンバーが会社のことや、行動指針などをしっかりと伝える役割を担うことになり、自然と既存メンバーの会社への理解が深まります。
今では、弊社の組織成長とインターンは切っても切れない関係になっていますね。どんどん若い人が入ってくることで、社員にも刺激になります。一番若いインターンは18歳ですが、僕も彼らに負けずに頑張りたいと思います。(了)